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新世界へようこそ〜Christian Dior Fall 2023

こんにちは。
日本時間 2月28日 午後11時に発表されたディオールの2023年秋冬コレクション。

今シーズン、マリア・グラツィア・キウリは「1950年代の再解釈」として3人の女性に焦点を当てています。カトリーヌ・ディオール、エディット・ピアフ、ジュリエット・グレコ。
3人の女性に共通するのは、彼女たちをそれぞれの選択へと導くことになった強い独立心。

カトリーヌ・ディオールは希望のメッセージとしての花を栽培し、販売するという選択を通して実現。エディット・ピアフとジュリエット・グレコは、自身の声とステージ上での抜群の存在感を通してこれを実現しました。

Christian Dior

万華鏡のような世界を表現したランウェイ。

Photo Courtesy: Dior / Adrien Dirand.

私が惹かれるのは、クリスチャン・ディオールの妹であるカトリーヌ・ディオール。
兄と同じように自然と草花を愛した彼女は、第二次世界大戦中レジスタンスに加担し、ドイツの強制収容所に送られます。彼女がレジスタンスに参加したのは24歳の時。愛した人(エルベ・デ・シャボネリエ)がこの組織の一員だったから。

右手前のドレスが1949年にムッシュ ディオールがカトリーヌへの賛辞を込めて作ったドレス“ミス ディオール”。

時を経てマリア・グラツィア・キウリが制作した“ミス ディオール”。

今回のコレクションは既成概念に反した女性らしさそのもの。情熱を内に秘めた勇敢な女性たちへの賛歌。

メタリックヤーンを織り込んだ光沢のある杢目調ファブリックは、抽象的な表情を演出し、可変性を表現しているそうです。

バージャケットも
スカートも杢目調

輪郭をぼやかしたチェックやレオパード。

ルビーやエメラルド、トパーズイエロー、ブルーのグラデーション。

これらは大胆で力強くも繊細な女性性を現しているよう。

ドイツ占領下のパリ、ドレスの顧客はドイツ軍という状況下、兄は静かに美を生み出す仕事に従事します。戦後、カトリーヌはフレンチモードを守り続けた兄とパリで再会します。

パリの地図柄ファブリックも再登場。

パリなボーダー。

トレンチ=塹壕。トレンチコートは英陸軍由来。

死と隣り合わせの収容所を生き延びたカトリーヌは、1945年5月に解放されパリに戻り、花を卸す仕事を始めます。
兄と共に自然と草花を愛したカトリーヌ、その存在はドレスと共に香りでも体現されています。

ミス ディオール オードゥ パルファン

画像は世界限定100個のクチュール エディションのもので、フォール社製のリボンは396本もの糸で草花が刺繍されていました。

このリボンは、マリア・グラツィアのドレス”ミス ディオール”を再現したもの。(記事「日出づる国へようこそ②〜『クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ』展」)

アトリエの職人が作ったミニトランクに収められて販売されました。

この香水のキーワードは“Wake up”。
自分以外の者に惑わされないで生きなさい。そんな声がきこえてきた。
固定概念に、既存のものに絡みとられずに、自分に従って生きる。

強い自己を宿したパワフルなアイコンたちが描く、万華鏡のように多彩な女性らしさを讃えるアイテムが、これからの人類の未来を形作る新たな世代の女性たちへエモーショナルな道筋を示します。

Christian Dior
ドレスと同じファブリック。

死の直前まで庭園の草花を愛し育て、カトリーヌが90歳で他界するまで共に歩んだ人生のパートナー エルベ・デ・シャボネリエ。
どんな状況下でも自分を見失わず、愛するものを手放さなかったクリスチャンとカトリーヌ。

コレクションのファブリックには必ず花は散りばめられています

今の時代への大いなるメッセージを感じるコレクションでした。
ありがとう!マリア・グラツィア。

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