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#94 わたししか知らない、昼間のわたし

世のタブーに触れてみようと思います。
仕事が休みの日、お母さんって家で何してるの という子どもの素朴な疑問。

小学1年生の頃、わたしはあんまり学校が好きじゃなくて早く帰りたかった。
だから帰宅はいつも小走りで、家が近づいてくると「あとちょっと、あとちょっとだ…!!!」とまるでマラソンのゴールのように急いだ。
大体は母が待っていてくれて、うちの中は朝よりも片付いていた。

で、思うわけです。「わたしが学校に行っている間、お母さん何してたの?」と。

ちょうと先日同じように小走り(いや走ってた)で帰宅した息子に聞かれて面食らいました。2秒ほどの間を置いたのち、「お掃除してた」と答えました。

嘘ではない、全くもって嘘ではない。(2回言いました)

でも合間合間に挟まる名前のない時間をなんと表現していいのかわからなくて、気が咎めるのです。こっそりしまっておいたチョコレートを食べたり、本を読んだり、スマホで時間を溶かしてしまったり。子供から見たら絶対、「ママだけずるーい!」と言われそうなあれこれが2秒の間にわたしの頭を駆け巡って眩暈がしました。(ちびまる子ちゃんに出てくるやまだくんの顔で記憶が蘇る)

でも結構午前中は頑張ったのです。
やることはやった。

「ふぅーん、それだけ?」と訊かれて
「えっ、ううん、ご飯の準備もしたよ。あとね、家の中で何か変わったところがあるから探してみて。」
と言ってなんか「バレなかった、やれやれ」とほっとしました。

植物の並ぶ順や、飾っているアートやポストカードを入れ替えたりすると彼は真っ先に気づいて報告してくれるのです。夫は興味がないのか言っても反応が薄いですが、息子はよく見ているなぁと感心します。たぶん、彼の生きている小さな世界の中でこの家は大きなウエイトを占めているのだと思います。
自分が不在の間ママは1人で何をしているのだろうと彼なりに想像するのでしょう。ダラけているところ?テキパキと家事をしているところ?


昨日の残り物のお昼ご飯の後うとうとし、宅配の音で飛び起きて顔にくっきりクッションカバーの後がついたまま応対したり
片方だけない靴下を探し回ったり
冷蔵庫で真っ黒になったバナナを齧ったり
急に思い立って靴箱の整理を始めたり

息子には見えないママだけの時間は、彼から見ればきっと
想像よりずっとバタバタしてて、格好悪くて、無意味に感じるでしょう。

でもわたしは、やっとあの頃の自分がこうありたかった時間の過ごし方を今やっているんだなぁと ちょっと満足げに微笑んだりしています。
それでいいのだ。

るる


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