子宮がんのこと ④手術当日から術後
手術前日。病院に着いたら倒れるようにベッドで眠ってしまう。エレベーターに乗ったら酔ってしまう。思えば元々体調が悪かったのだと思う。
翌日朝、異様に明るいステンレスだらけの手術室に入り、手の甲に打たれた麻酔の注射がものすごく痛くて、本当にこんなで麻酔状態になるんだろうか、手術中に意識と感覚だけ戻って体だけ動かないとかなったらまじ恐怖、など思っているうちにどーんと重いあの感じがきて、意識が戻ったときは先生たちが談笑しており、私が目が覚めたのに気づくと言った。
「るるこさん、無事終わりましたよー。悪いところ全部綺麗に取れましたよー」
これでおわり。そう思った。
そこまでは、本当に、良かったんである。
手術後尿管を入れられ、動作厳禁の状態で5時間くらいベッドで横になっていた。1時間ごとに看護師さんが来て、体制を変えてくれるのだけが希望。こんなの、5時間って区切りがあっても辛いのに、パパはいつ終わるともわからずずーっと頑張っていたんだな、辛かったよな…と父の闘病生活を思う(後述予定)。
5時間が過ぎ、看護師さんに付き添われて歩行練習などしながら、とにかく少しずつ水を飲むようにと言われ、ちょびちょび飲んでいたところ突然、船酔いのような気持ち悪さが起きた。
すぐおさまるだろ…と思っていたが、
ベッドを高くしたり、背もたれの角度を変えたり、自分の体制を変えたり、立ち上がってみたり、床にうずくまって丸くなってみたり、色々したけれど吐き気がどんどんひどくなり、今までで感じたことのない気分の悪さにどうしたら良いか全くわからなかった。病室の何処かに居心地の良い場所はないかと、カーテンで区切られたベッドを眺め、この時ほど慣れた家のベッドを絶望的に求めたことはなく、ほとんど叫びそうになっていた。
めまいと吐き気(実際吐こうとしても何も出ない)がひどくなる一方なので、ナースコールで看護師さんを呼んだ。
「今のみ薬がないので、注射であればできますけど、どうします?」
なんだかのんびりしているなあ、、と思いながら、息も絶え絶えに注射をお願いした。そうすると気持ちも少し落ち着いたが、しばらくするとなぜか手足が震えだし、体全体が動いてしまうくらい大きく震えだした。手足の先は冷たく、感覚がないくらいなのだが全く言うことを聞かずに動き続けている。
私はどうやってこれから一晩ここで過ごすのだろう?
恐ろしくなったとき、考えるより先に携帯に手が伸びていた。
「サラさん、こんばんわ。
今日ヒーリングのお時間ありますか?
今入院していてお話はできないのですが、
手術後の体調が悪くて 吐きけが止まらず
ヒーリングお願いできればと思いました。
お代はおまけなしでしっかり請求してください!」
今その時送ったラインを読み返して、これは原文ママだけど、よくあの状態で手も震えながらこんなしっかりメールができたものだと思う。
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