虎澤一生という男

DREAM!ingには虎澤一生という男がいる。

白寮の寮長。お日様のように明るく爽やかなオーラから、老若男女に好かれる好青年。ある事情からアメリカ暮らしだったが、歌舞伎に魅せられ部屋子となるべく来日。外国暮らしが長かった為「忍者生存説」といった巳影の嘘をあっさり信じてしまう一面も。仁とは因縁がある様子(公式サイトにより引用)

2部で明確に話されるが、虎澤さんの事情とは心臓が悪く、長く生きられないというものだ。心臓を治そうとあらゆる手を尽くしたが、治ることはなかった。色々してくれた家族の為に幸せにならなければいけない。そう言って今を懸命に生きている。そんな存在が虎澤一生という人物だ。

前提としてしっかり覚えておいてもらいたいのは私は虎澤一生という人物が好きだ。ドリミの中に登場するキャラは全員好きである。その上で虎澤さんについて話したいと思う。

彼は長く生きるコトを諦めている。関わる人の幸せや健康を願うが、自分が生きるコトは諦めている。心の中では「生きたい」と思っているのに、決して「生きたい」と言わない。

それがスゴく腹立たしい。

頑なに希望を言わないところ。人の為ばかりに生き、自分の為に生きないところ。優しくて良い人であると見られるところが、私にとっては腹立たしく思えた。

何故ここまで腹立たしく思うのか。私なりに出した答えは「きっと私は彼と同じになる」からだ。もし私が病に侵され、治る見込みもなかったら「生きたい」と言っても仕方ない。それならば叶わぬ希望を言うよりも今を懸命に生き、楽しく笑ってたいと思うようになると自分では考える。虎澤さんは私よりも周りの人を大切にし、優しい人物である為思考回路は違う。しかし「生きたい」と言わず、今を懸命に生きようとするという点で同じになると思う。

自分もそうなるだろうと思いつつ、それではいけないと心では思う。叶わぬ希望を言っても仕方ない。しかし「生きたい」という希望は、人がこの世に存在する為に必須なコトである。「生きる」というコトだけは望み続けて欲しい。どれだけ辛くても、どうしようもなかったとしても生きることだけは諦めて欲しくない。そう思っている自分がいるから長く生きるコトを諦めている虎澤さんに、そんな虎澤さんを通して見るコトができる仮に病に侵された時に諦めている自分に腹が立って仕方がない。

私は今まで様々な作品を見てきたが、敵役であったとしても何をしたとしても本気で腹が立ったキャラはいない。それなのに虎澤さんに対しては、彼が長い未来を歩むコトを諦めていると感じた時には「はぁ〜〜〜〜〜」とクソでかため息をついてスマホを投げる。

諦めている彼が「生きたい」と言ってくれるコトを願っている。しかし簡単に人は変わらないというコトをしっかり伝え、丁寧にキャラを描いてくれるドリミ。そんなドリミのキャラである虎澤さんが、幼い頃からの生き方を変えるコトができるかどうかは分からない。それでも好きだから、生きたいと望んで欲しいから、彼の口から「生きたい」という言葉が聞ける日をボロ壁は願っている。


最後にもう一度言う。

私は虎澤一生が好きだから、腹立たしい。




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