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【交換小説】#Meet The Choplin 1

チョップリンのことをお話ししましょうか。

チョップリンとは何か。まず何を差し置いても、チョップリンというのは正直な人たちです。シュールでも奇抜でもなくチョップリンは正直なのです。あの人たちは、ひねっているのでもなく、うまいこと言おうとしているのでもなく、思ったことを思った通りに言っているだけです。だからコントの時だけ憑依するタイプの芸人さんとは違って、チョップリンは常にチョップリンなのです。本当に。時々コントという形でチョップリンは自分たちの日常を報告しているだけなのです。

なかなか売れない、と言いますが、そりゃそうだろうと思います。チョップリンという看板の下には値札が付いたネタが並んでいるわけじゃなくて、いつ覗いても西野さんと小林さんがいるだけですから。あんな調子でずっといるだけですから。売れるも売れないも、売り物がないわけですから。つげ義春の漫画で、河原で拾ってきた石を並べて買い手がつくのを待ってる男の話がありましたが、お二人がやっているのはそういうことですから。

だから私はずっとお二人には売れる気がないんだろうと思っていました。そのくせご本人たちはいつも売れない売れないと言うので、私はずっとそれを鼻歌ぐらいのものだと思って聞き流していました。しかし気が付いてみればこの人たち何年そんなことを言い続けているんだろう。十年も二十年も口をついて出続ける鼻歌なんてありませんよね。ということは本気でそう思っているのだろうか。とするとこの人たちは自分たちの何が面白いのかということにもしかすると気が付いていないのだろうか。

私ですか。私が何者かなんてことはどうでもいいのです。せいぜい道々通りかかって顔なじみになっただけの通行人です。でも、関係ない人間のほうがよく見えるってこともありますからね。

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