見出し画像

全国紙の新聞記者に取材されるプレスリリースの書き方

仕事柄と言うか、親会社が新聞社なので「プレースリリースを出しているのに、御社の記者から取材をされない」と言う苦情をよく頂きます。本当に多く頂きます(笑)

そして先週、友人の高萩氏(シューマツワーカーCFO)から、サムネイル画像にある様なメッセージが送られてきたのですが、即座に”出来ません”と返信するしかない始末。。。 *コメントは本人の了承済(笑)

この場を借りて、高萩さん、ご期待に添えていないことをお詫びします。。。
そして資金調達(&プレスリリース公開)おめでとうございます!
→7/14解禁 シューマツワーカーのプレスリリース

私に相談をされる広報担当、またはシードステージの経営者の方の気持ちもよくわかります。ただ私が記者出身ではないので、スタートアップの取材経験がある本体の現役記者3名に三密を避けた餃子屋で、”どう言うプレースリリースならば取材して貰えますか?”と言う質問をしてまいりました。

と言うことで本日は”全国紙の新聞記者に取材される(かもしれない)プレスリリースの書き方”をテーマにお話しをさせて頂きます。

(この記事は広報担当に突然社内で任命された方、または広報がいないスタートアップ経営者を対象にしています。)

スタートアップで広報をされている方は、苦労しつつも日頃からプレスリリース作りに励んでいるかと思います。

もちろん新聞記者は皆さんが一生懸命準備されたプレスリリースを参考にして、記事を書く事があります。

しかし、多くの新聞記者はプレスリリースが送られてきても、余程自分が関心を持っている内容以外は、ほぼスルーしています。日によっては50件以上のプレスリリーリスが送られてくることもあるからです。

では一生懸命に書いたプレスリリースは記者には読まれないものなのでしょうか?

決してそんなことはありません。彼ら彼女ら曰く”読みたくなる”、または”気になるプレースリリースの書き方”があるとの事でした。

独特な表現でしたが、記者曰く、プレスリリースを読んだ際に、”自分(記者)が具体的に(リリース発行会社の)取材をしているイメージ”が浮かぶか、または”サービスを使っている人のイメージが湧きやすい内容”だと取材したくなるとの事でした。

*上記の理由で、朝日では資金調達だけのニュースだとほぼ取材や掲載されることはありません。(*資金調達だけのニュースを取り扱うスタンスの新聞社もあります)

▼プレスリリースを書くときの4つのポイント

どの様な内容だと、記者はスルーしないでプレスリリースを読むのでしょうか?

要約すると以下の4つとなりました。

1)具体的に取材できる(取材をあっせんできる)人・事例・
  場所などをいくつか用意しておくこと
2)直接そのリリース内容と関係なくても、
  業界全体を見通せる材料を用意しておくこと
3)遅くとも発表の2週間前までには送っておくこと
4)Twitterを会社名ではなく、個人の名前で運用をしておくこと


1)具体的に取材できる人・事例・場所などをいくつか用意しておくこと

1つずつご説明します。

記者は常に複数の取材を抱えていたりするので、思った以上に”事前準備に時間がかかるネタ”を避ける傾向があります。

その為、リリースの内容から、具体的に取材できる人・事例・場所などが用意されている事がわかると、取材してみようかと思う傾向がある様です。

具体的には以下の通りです。(結構当たり前のことですが、、、)

  ・著作権フリーの写真を複数枚用意している
  ・サービスの利用者などユーザーを具体的に取材できることが記載されている
  ・イベントの日程や内容を細かく記載している

2)直接そのリリース内容と関係なくても、業界全体を見通せる材料を用意しておくこと

2つ目をご説明します。

自社のリリース内容に直接関係がないとしても、業界全体を見通せる材料(データ)を提供する事が重要です。なぜでしょうか?

公平性の観点から1社だけの取材がしにくいのです。単なる商品宣伝になってしまうと広告になってしまうからです。

嫌かもしれないですが同業他社の情報も掲載しておき、”この領域はホットですよ”と言う業界状況も伝えておいたり、市場に関連する具体的な数字の記載などがあると、記事にしやすいそうです。

上記の理由により、新聞記事で業界のトピックを記述してから、関連する会社を複数紹介している記事を見かけるのはそのためです。

3)遅くともプレスリリースは解禁日の2週間前までには送っておくこと

これも1)で紹介した通り、記者は常に複数の取材を抱えていたりするので、「明日からサービス開始」と記載されていれば、興味があってもそもそも取材ができません。

日中にリリースが送られてきても取材や翌日の記事掲載準備のためほぼ対応する事ができず、確認できても翌日になる事が多いそうです。

以上の理由で、少なくともプレスリリースは解禁日2週間位前に送って下さい。2週間くらいあれば、何とか取材の調整ができる可能性が上がるとのことでした。


4)Twitterを会社名ではなく、個人の名前で運用をしておくこと

広報の人は絶対にTwitterをやっていて欲しいそうです。なぜでしょうか?

大きく理由は2つあります。

”サービスの概要を理解しやすい”
記者はLPで内容を確認しているかと思いきや、最初にその会社のサービスをTwitterでチェックする事が多い様です。(記者にもよりますが)

理由は、サービスの要点を素早く理解できるからです。同時にそのサービスがSNS上でどの様な評判になっているかも確認をしています。

”取材依頼が出しやすい”
メールだと返信のやり取りに時差が発生しますが、Twitterだと時間がない場合でも、取材依頼が出しやすく、かつ返信もすぐに頂ける事が多いので重宝をしているそうです。

そのため、会社で運用するアカウントよりは、必ず広報の方(あるいは代表者)のお名前でTwitterは運用することをお勧めします。

+α)おまけ

実はここが一番ポイントかもしれません(笑)

仮に記者と連絡が取れたり、Twitterで問い合わせがあった時には以下の点をフォローしていると、取材される確率が高くなるそうです。

他には伝えていないプラスαの情報を用意しておく
当たり前ですが、どこでも手に入る情報は敬遠される傾向にあります。この情報は〇〇だけ、と言う伝え方だと新聞記者には特別感や他との違いが打ち出せるので、取材したくなるそうです。
広報担当者の名前とその人個人が結びつく様なエピソードを共有しておくこと
 新聞記者は年間通じて相当数の人たちと会っています。そのため記者の記憶に残る様な強い印象を残しておいて下さい。次会った時に、名前は忘れられていてもインパクトベースの記憶が残っていると、(申し訳なさからか)何となく次も取材してあげたくなる気持ちになるそうです。

具体的には広報の名前と個人が結びつくような内容を伝えておくと記憶に残りやすいそうです。
 例1:こう見えて元警察官(官僚)です
 例2:毎日餃子を食べる記録を更新中で現在は580日連続で達成しています

記者の名前が分かったら、事前に他でどんな記事を書いていたかを確認しておく
 記者の名前でWEBやデータベースを検索すれば、その記者が過去に書いてきた記事を確認できます。事前に調査しておき一言、”◯◯さんが==に対して書いた記事を読んだ事があります。もしかしたらこの分野にもご興味があると思い連絡しました”と言うのはかなり好印象です。

記者も人間です。特に自分の記事を読んでくれている人には優しくしてあげたくなるとの事でした。

朝日新聞の現役記者3名(N=3)からの情報のみですが、参考になる部分はあったでしょうか?皆さんが思っている以上に記者も同じ人間です。ぜひいくつかのポイントだけでも押さえて頂き、その他多くのプレスリリースから抜け出して頂ければ嬉しい限りです。

朝日メディアラボベンチャーズでは、投資先の広報PR支援等も積極的に行っています。もし広報等でお悩みのスタートアップがございましたら、ご相談に乗れることもあるかと思います。遠慮なくご連絡ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?