マガジンのカバー画像

仏像をめぐるぐるりのこと

10
2ヶ月に一度、大阪キタ・扇町の「扇町ミュージアムキューブ」内談話室カフェ「マチソワ」にて、仏像トーク「仏像をめぐるぐるりのこと」を開催しています。 マチソワ(大阪市北区南扇町6…
運営しているクリエイター

#奈良

葛城・當麻寺の中将姫伝説とダンシング練り供養

當麻寺の本尊は「當麻曼荼羅」 奈良・葛城の當麻寺といえば、白鳳・天平様式の大伽藍を有する古刹で、金堂の弥勒仏や四天王、梵鐘などの白鳳美術を今に伝えるほか、古代の三重塔が東西一対で残る全国唯一のお寺さんとしても知られています。 元来、聖徳太子の弟である麻呂古王が創建した万法蔵院がはじまりで、白鳳時代に河内から當麻の地に移り、平安時代には密教文化が栄えました。 本尊として祀られているのは、仏像ではなく、「當麻曼荼羅」。 當麻寺はもともと弥勒仏のお寺さんとして創建されたのだけ

薬師如来と阿弥陀如来と浄瑠璃寺

薬師如来と阿弥陀如来 薬師如来と阿弥陀如来についてお話します。 薬師如来は東方の浄土を司る如来さんです。 東方は朝日が昇る方向で、朝の向こう、つまり昨日、過去を表しています。過去というのは苦悩の象徴であり、そのため、お薬師さんは苦悩を取り除いてくれる薬壺を左手に持っています。 阿弥陀如来は、西方を司る如来さんです。 西方は夕陽が沈む方向で、夕方の向こう、つまり明日、未来を表しています。未来というのは願望も込めて理想の象徴です。これには、あの世という意味もあります。そこ

仏像のつくりかた

仏像のつくりかたを見てみましょう。 木造や金銅像、石像など、仏像にもいろいろな素材でつくられています。 乾漆像 最初につくられたのは、どうやら塑像だったようです。 塑像とは、粘土でつくった仏像のこと。 木と縄で芯をつくって、芯にペタペタと粘土を貼り付けていって、つくります。 粘土なのでかなり細かな造形ができます。しかも制作コストが安い。着色もしやすい。 ただし粘土なのでもろい。時間が経つと、ボロボロと崩れてきます。 なので、奈良時代につくられて以降、あまり制作されなくな

神仏習合のこと

露 天神社(お初天神)の節分祭 明治の廃仏毀釈でおかしくなったけど、もともと日本の信仰の姿は、神仏が習合していました。 たとえば、露 天神社(お初天神)の節分。 豆まきが行われたあと、護摩焚きがおこなわれます。 その際、修験道のお坊さんが参列し、宮司がお祓いをします。 その後、修験道のお坊さん、山伏さんが般若心経を唱えながら護摩を焚き、木札を火にくべる。 神社で、神職と僧侶が共同しておこなう行事です。 西大寺の秋祭り 次は、奈良の西大寺の秋祭り。 神輿が出発するのは西