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仏像をめぐるぐるりのこと

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2ヶ月に一度、大阪キタ・扇町の「扇町ミュージアムキューブ」内談話室カフェ「マチソワ」にて、仏像トーク「仏像をめぐるぐるりのこと」を開催しています。 マチソワ(大阪市北区南扇町6…
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#平安時代

末法思想と阿弥陀浄土と平等院鳳凰堂

西方阿弥陀浄土を現出させた平等院鳳凰堂 今回は、宇治の平等院鳳凰堂を紹介します。10円玉に刻まれてるやつですね。 ちなみに、鳳凰堂に行くと10円玉に刻まれているものと同じアングルで撮影されている方がほとんどですが、左へまわって、阿字池から眺めると風情があっていいです。真正面はちょっと味気ない。 さて、この鳳凰堂は古い建物で、平安中期に建てられました。先ほどの浄瑠璃寺の九体阿弥陀堂と同時期に建てられた古い建物です。同時代に建てられた建築物で有名なのは、岩手県平泉町の中尊寺

薬師如来と阿弥陀如来と浄瑠璃寺

薬師如来と阿弥陀如来 薬師如来と阿弥陀如来についてお話します。 薬師如来は東方の浄土を司る如来さんです。 東方は朝日が昇る方向で、朝の向こう、つまり昨日、過去を表しています。過去というのは苦悩の象徴であり、そのため、お薬師さんは苦悩を取り除いてくれる薬壺を左手に持っています。 阿弥陀如来は、西方を司る如来さんです。 西方は夕陽が沈む方向で、夕方の向こう、つまり明日、未来を表しています。未来というのは願望も込めて理想の象徴です。これには、あの世という意味もあります。そこ