リーグアン全20クラブのオーナー&会長たちを一挙紹介!!
こんにちは。時にフットボール中継の中ではスタジアムを訪れている有名人が抜かれがちで1つのエンターテイメントとして中継を盛り上げる要素となっています。
その中でもフットボールクラブのオーナーや会長はほぼ毎試合のようにスタジアムに訪れてチームの現状をピッチ内外で観察するのが一般的です。
リーグアンの試合の中でもオーナーや会長たちが抜かれるのは度々ありますが、DAZNで数試合配信されているせっかくの機会ですので、これを機に覚えていただけたらと思います。
ということで、ここからは22/23シーズンのリーグアンの覇権を争う全20クラブのオーナーを紹介していきたいと思います。
*ここではあくまで会長またはオーナーの紹介です。SDなどは除きます。
PSG
会長: ナセル・アル=ケライフィ
PSGの会長兼最高経営責任者の役職を務める、おそらく他リーグサポの間でも知名度の高い人物でしょう。真珠漁師の父を持つ彼は経済学と海洋学の学位を取得しており、さらにはプロテニス選手としてのキャリアもあるなど、意外にも才能に溢れている人物だったのです。
2011年からPSGがカタール資本になったことで、実績のある彼が会長兼CEOとして選出されました。あらゆる面で彼の行動は問題視されがちではありますが、2006年に[Al Jazeera Sports]のCEOとして14のチャンネルを作りアフリカやアラブ地域に約50のスポーツ大会の放送権を獲得したり、2012年には[Bein Sports France]という子会社を立ち上げてフランス国内に欧州の主要コンペティションの放映権ももたらすなど、スポーツマンとしてのスポーツに対する愛情はかなりあるお方なのです。
マルセイユ
会長: パブロ・ロンゴリア
マルセイユの試合で必ず抜かれるこの人物。見た目とは裏腹に36歳という会長としてはまだ若手の存在です。12歳からサッカーのテレビゲームに夢中になっていた彼は2007年にニューカッスルのスカウトとしてキャリアをスタートさせました。
2010年からはイタリア方面へと渡り、アタランタ、サッスオーロ、ユベントスの経営に関与しました。中でもロドリゴ・ベンタンクールをユベントスに連れてきたのは彼の実績です。バレンシアのスポーツディレクターを経て2020年からマルセイユのフロントに入閣しました。
スペイン語、フランス語、英語、イタリア語、ポルトガル語、ドイツ語の6ヶ国語を話せる彼の能力が欧州の至る所で活躍できた所以ですが、現在でも週に7〜8試合程度の試合を観るなどかなり勉強熱心な人物です。
オーナー: フランク・マッコート
2016年からマルセイユのオーナーを務めるこの人物は、2004年から8年間メジャーリーグのドジャースの会長も務めていたことで世界的に名の知られている人物です。1977年に大規模な商業用不動産プロジェクトの開発を専門とする The McCourt Companyを立ち上げて富を得ました。
同じ大学に通っていたジェイミー・ラスキンさんとの結婚生活は30年近くに及びましたが、2009年に別居報道がスクープされてから、2011年の裁判で結局マッコートは元妻に和解金として1億3000万ドル支払い、カリフォルニアの歴史史上最も費用のかかった離婚であるというように広く知られています。
モナコ
会長: ドミトリー・リボロフレフ
医師の息子として生まれた彼は父と共に医療会社「マグネティウス」を立ち上げ、取締役を務めました。その後、ロシアの肥料メーカーである「ウラルカリ」の会長に就任し、2011年にモナコの66%の株式を買収し経営に参画しました。
昨今の事情でロシアのプーチン大統領と親交があるとされているチェルシーのアブラモヴィッチ前オーナーが辞任せざるをえない状況になるなど、ロシア人の風当たりが強くなっていますが、リボロフレフ会長は過去にキプロスのパスポートを所有していたことで難を逃れました。そのような事情とは別に、彼は修道院の修復やコロナ禍でゆかりのあるペルミ地方に援助金を寄付するなど人柄がかなり優れているのです。
リヨン
会長: ジャン・ミシェル・オラス
1987年から現在まで35年以上リヨンの会長を務めている人物です。なんと御年74歳。リヨンの試合では必ずと言っていいほど死んだ魚のような目をしているオラス会長が抜かれますが、いたって平常運転です。
他のクラブの選手や監督、審判団を公に批判する彼の姿勢は2011年にツイッターのアカウントを開設してさらにエスカレート。会長なのにこれまでに何度も出場停止処分をくらっています。しかしながら、2部リーグのうちの単なる1クラブであったリヨンを2001年から7連覇するほどのチームに成長させた彼の功績は賞賛に値するもので、実際に2021年には「フランスサッカー史上最高の会長」と地元紙に評価されました。
オーナー: ジョン・テクストル
テクストル氏がリヨンの大株主となったのは2022年10月と最近の出来事です。内紛状態でボロボロの状態にあったリヨンを買収してくれた彼は、スポーツ中心の OTT ストリーミング会社である fuboTV, Inc. の会長を務めていた過去があり、メディアとエンターテイメントのデジタル配信ビジネスの起業家として世界的に名を馳せた人物です。
リヨン以外にも、本田圭佑選手が過去に所属していたブラジルのボタフォゴや、イングランドのクリスタル・パレス、ベルギー2部リーグのRWDモレンベークの株式も所有しています。
ニース
会長: ジャン・ピエール・リヴェール
不動産ソフトウェア会社で富を築き、2011年にニースの会長に就任しました。一度は株主の中国人と揉めて辞任しましたが、現在のオーナーであるジム・ラトクリフがクラブを買収したことにより、再び会長の座に就任しました。10歳の頃からニースに住んでおり、地元にゆかりのある人物が会長を務めるというのは稀なケースなのではないでしょうか。
オーナー: ジム・ラトクリフ
1998年に創業し、世界的に有名な化学品グループの[Ineos]の会長兼CEOを務めています。その資産はイギリストップクラスで世界でも100位以内に収まっています。スポーツへの投資も積極的に行っており、2019年8月にニースを買収する前は、スイスのバーゼルや自転車ロードレースのチーム・スカイ(現在はイネオス・グレナディアス)を買収しています。
自身はマンチェスターユナイテッドの大ファンで、今季は愛するクラブの買収にも前向きな姿勢を見せましたが、ライバルクラブのチェルシーにも2度買収のオファーを出しています。
リール
会長: オリヴィエ・レタン
かつては伊東純也が所属しているスタッド・ランスでプロサッカー選手の経験がある人物です。ミッドフィルダーとして公式戦215試合に出場しました。彼の功績がさらに評価されるようになったのは引退後から。スタッド・ランスでの財務ディレクターの経験や、経営学修士の学位を取得していることから、2012年にPSGの副SDとして約4年、SDとして約6ヶ月任されました。
さらに2017年にレンヌの会長の座を得ると、ジュリアン・ステファンを招聘し、2019年にはクープ・ドゥ・フランスでPSGを撃破してクラブに48年ぶりのタイトルをもたらしました。最終的にはレンヌのオーナーに追い出され、2020年からリールの会長に就任した次第ですが、2021年にイタリアの新聞『Tuttosport』によって、ヨーロッパで最も優れた会長に選ばれました。
*リールはルクセンブルクの投資ファンド[Merlyn Partners]に買収済み。(正式には子会社の[Callisto Sporting])
レンヌ
会長: オリヴィエ・クロアレク
2021年に癌を患っていることを公表したニコラ・ホルベック会長が翌年に治療に専念するため、副会長を務めていたクロアレク氏が任命されました。最近就任したばかりであるため、彼に関する情報は少ないですが、過去にはストラスブールやブレスト、ロリアン、ヴァンヌ、ディジョンでフットボールクラブ経営に関する様々な役職を務めていた経験がある人物です。
オーナー: フランソワ・アンリ・ピノー
ファッションやラグジュアリー、ワインや芸術、食品など多様な分野で投資をする持ち株会社の[Artemis]の現会長を務める人物です。副会長として、この会社を1992年に創立した、父のフランソワ・ピノーがいます。彼が2003年に就任してからは各国の高級ブランドも買収し、一時期はGUCCIの業績をはるかに上回る売上高を記録しました。1998年から続くレンヌのオーナーとしての歴史は、グループとして買収しているため、彼が表舞台に出てくる機会は少なめです。
モンペリエ
会長: ローラン・二コラン
彼が現会長を務める「二コラン・グループ」は都市の清掃、家庭・産業廃棄物の収集・再処理を行う企業グループです。学士号の取得に2度失敗すると、祖父によって設立された「ニコラン・グループ」に入閣しました。彼よりも有名なのは父のルイ・二コランで、差別用語で多くの人々を不快な思いにさせてきた人物ですが、サッカーへの愛情はかなりありました。同性愛をひどく嫌悪した父とは異なり、息子ローランは同性愛嫌悪が書かれたバナーを提示したサポーターをひどく非難し、クラブと共に同性愛嫌悪への反対の意思を表明しました。
人柄に優れているローランは会長としては珍しく、許可を得て試合中にモンペリエのベンチに座ってじっと試合を見る方です。その安心感とどことなく可愛さがある振る舞いは注目です。「ニコラン・グループ」は1989年からモンペリエの一人株主となり、数々のタイトルをもたらしました。
ナント
会長: ワルデマール・キタ
ポーランドのシュチェチンで生まれた彼はポーランド系フランス人です。仲間と共に立ち上げた[Corneal]は白内障や緑内障の治療のための眼内レンズの製造部門で国内1位、欧州で4番目に大きな会社まで成長しました。もともとフットボールに情熱的だった彼がナントを買収したのは2007年から。以来オーナー兼会長を務めています。2014年には[France Football]にて最も優れた会長に選ばれました。息子のフランクもクラブのフロントにいますが、フランス人らしい、ビジュアルにも優れている人物です。
RCランス
会長: ジョセフ・ウグルリアン
パリで生まれたウグルリアンはレバノンとアルメニアにルーツを持っています。彼の父親は神経精神科医で、祖父はリバン銀行(レバノンの中央銀行)の副総裁でアルメニア人虐殺の生存者、さらに祖母が生まれた地はコロンビア、母は看護師でイギリス国籍と、それぞれ異なった経歴を持つ親族の間に生まれました。彼は経済学の学位を取得したことで、銀行と連携して投資に尽力しました。2016年にRCランスを買収した2年後に会長の座に就き、2020年には女子クラブの方の会長にも就任しました。また、セリエCのパドヴァの株式も所有しています。
*RCランスはルクセンブルクの投資ファンド[Solferino SARL]に買収されています。
スタッド・ランス
会長: ジャン・ピエール・カイヨー
ナントやアメリカでビジネスを学んだ後、ランス郊外に運送会社[Caillot]を設立しました。もともとスタッド・ランスのユニフォームのスポンサーを務めていた縁から、最初は副会長に就任します。2004年から会長になると、当時2部にいたクラブの目標を「リーグアン復帰」と定め、見事その目標を達成しました。現在はスタッド・ランスのオーナーを務める傍ら、LFP(フランス・プロリーグ機構)やUNCF(プロサッカークラブ連合)の副会長、さらにはFFF(フランス・フットボール連盟)の上層部のメンバーでもあります。
ストラスブール
会長: マルク・ケラー
おそらく現会長&オーナーたちの中で一番華やかなプロサッカー選手キャリアの持ち主でしょう。攻撃的なミッドフィルダーとしてFCミュルーズでプロデビューを飾り、ストラスブールで主力級の活躍をした後はドイツのカールスルーエSC、イングランドのウェストハムやポーツマスでプレーし、2001年にブラックバーンローヴァーズで引退しました。
ケラーはフランス代表に選出された経歴もあり、2014年にシュネイデルランが代表に選出されるまではフランス代表に選出された最後のアルザス人でした。引退後はすぐにストラスブールのGMとして新たなキャリアを開拓し、一時はモナコの最高経営責任者の役職を担いましたが、2012年から再び愛するストラスブールに復帰を果たしています。
ロリアン
会長: ロイク・フェリ
20歳のときに起業家コンペティションで仲間と共に優勝した実績から、香港やイギリスに進出してクレジット活動の開発を任されました。最終的にイギリスでは不当な解雇を受けることになりますが、2007年からクレジットおよびファイナンス市場に特化した資産運用会社である[Chenavri]を立ち上げます。ニューヨークやルクセンブルクなどにオフィスを設けるぐらい成長したこの会社はInstitutional Investors誌に世界で最もダイナミックな企業の1つとして称賛されました。
2009年にロリアンの会長に就任した当時はリーグアンクラブ最年少の会長でした。財政収支をうまくやりながら、現在の躍進につながっているル・ブリ監督の招聘や、スタジアムの改修など積極的な活動は外部から批判されがちでしたが、ロリアンの現在のフットボールスタイルが確立していて怖いチームへと歩みを続けているのは会長の実績と無縁ではないでしょう。
オーナー: ビル・フォーリー
ここ最近でフットボール界でまた名を馳せた人物の1人といって良いでしょう。彼のプロフィールを調べてみれば、実業家で金融サービスを専門とする元弁護士という経歴が出てくるかと思いますが、彼はかつて陸軍士官学校に通っていました。しかし、余暇を利用して投資した際に株式市場で4万ドルの利益を得たことから、学校を出た後は企業法務の道に進みます。
スポーツでは「ブラックナイトスポーツ&エンターテイメント」とのマネージングパートナーとして活動を始め、2022年12月にはボーンマスの全株式を買収して会長に就任しました。約1ヶ月後にはロリアンの少数株式を購入し、ボーンマスとロリアンの間でパートナーシップ協定を結んだことで実質2クラブのオーナーを兼任する形となりました。(本命はもちろん向こう、ロリアン側にはほとんど出ないでしょう)当初はリヨンの買収に失敗したから流れてきたという憶測からロリアンの地元民には反対されましたが、彼が来たことで締結先のボーンマスへウアッタラが高値で売れたというのも事実。
トロワ
会長: エメリク・マニュ
最高経営責任者の役職も請け負っています。グローバルなネットワークを持つスポーツマーケティングエージェンシーである[Lagadere Sports Latin America]のCEOや、パリのディズニーランドのグローバルイベントの企画に関わるなど、時代のトレンドを予測し実行できる能力に定評のある人物です。最近では本人は否定しているもののDVで告発され、3ヶ月の執行猶予付きの懲役刑と1,500ユーロの罰金が言い渡されたばかりですが、クラブは降格圏内に苦しんでいるため、会長という責任感のある仕事を担っているだけに暗い話題はできるだけ持ち込まないでほしいと願います。
オーナー: シェイク・マンスール・ビン・ザーイド・アル・ナヒヤーン
欧州サッカーが好きな人で、彼の名前を知らない人はいないのではないでしょうか。それぐらい彼の知名度を上げたのは何と言っても2008年にマンチェスターシティを買収した出来事でしょう。投資会社アブダビ・ユナイテッド・グループの社長である彼の後押しをもとにマンチェスターシティは日本では横浜F・マリノスをはじめ、世界各地にいわば兄弟クラブを作り上げ、トロワがシティ・フットボールグループの仲間入りを果たしたのは2020年夏の出来事でした。(ちなみにフランスではリーグドゥのヴァンヌもメンバー)このアブダビ・ユナイテッド・グループはトロワの株式の78%を保有しており、12%は中国のCITICグループ、10%はアメリカのシルバー・レイク・パートナーズが保有しています。
ブレスト
会長: ドゥニ・ル・サン
ブルトンの片田舎、人口約3,500人のブールブランで育ち、地元でサッカーへの情熱を溜めに溜め続けてきた人物です。最初は生鮮食品ビジネスに挑戦し、両親の家業である[Le Saint]を引き継ぎますが、兄のサポートもあって小さな家族経営の会社からフランスで生鮮食品の安全な短絡流通を行う独立したリーダーになりました。イヴォン・ケルマレク氏がブレストの会長を辞職することになった2016年、彼の溜めていた情熱が実り、見事会長に選出されました。兄のジェラールも同様にクラブの顧問に選出されています。
現地メディアでは[Qui est Denis Le Saint , le président que personne ne connait ?](誰も知らない会長、ドゥニ・ル・サンとは何者か)という見出しがつけられるくらい、表舞台にあまり顔を出さず、情報が極めて少ない人物です。謎多き不審な人物のようにも思えますが、この写真から分かるようにきっと温厚な性格の持ち主なのでしょう。
アンジェ
会長: ロマン・シャバヌ
2023年3月21日、ついこないだ会長に就任したばかりの人物です。クラブの不振を受け、父親で会長のサイード氏が辞任を発表したため、息子のロマンに引き継がれました。そのため彼に関する情報は皆無に等しいです。ではお父さんの情報を簡単に。アルジェリア系フランス人であるサイードはスーパーマーケットや自営業向けに、シャルキュトリーや精肉製品を製造・販売する[Cosnell]を立ち上げ、800人の従業員と1億ユーロの売上高を確保しました。2011年に当時はリーグドゥに所属していたアンジェの主要株主となり、2015年からずっとリーグアンの舞台で戦えるまでチームを見守ってきました。
約3年前にセクハラと度重なる性的暴行の容疑で予備調査された過去もありましたが、サイードが異色の会長と呼ばれる理由が他にもあります。
まず1つ目は我慢強いこと。彼が就任した当初からいるステファン・ムーラン監督を10年間アンジェの監督として雇い続け、苦しい時期があったものの目標だった昇格&残留を成し遂げています。
2つ目にクラブと共に彼もお金を稼いでいること。例として2019年のアンジェの純利益は1,700万ユーロで予算の3,600万ユーロの半分を占めました。サイードは自分への配当金として500万ユーロを得ました。
最後に、かなりやり手の会長でフランス特有の「育てて売る」ビジネス手腕に長けている人物です。今回のW杯で活躍したブファルやウナヒを含め、過去にはトコ・エカンビやニコラ・ぺぺ、レーヌ・アデライドなどの無名の選手が活躍しクラブに大金を置いていったのも彼の業績です。
クレルモン
会長: アフメト・シェーファー
スイス人の父とトルコ人の母の間に生まれチューリッヒで育ちました。地元の大学でビジネスを学んだ後は、2006年のドイツW杯のホスピタリティパッケージを販売する会社で最初の仕事を得ました。世界で有名なスポーツメディアマーケティング会社のMP&Silvaに入社した後は2015年にAGCFF(アラブ湾岸サッカー連盟)を共同創設しました。
サッカーに関わる仕事を続けていく段階で彼が創設者兼CEOを務める[Core Sports Capital]というスポーツインベストメントは名声を集め、クレルモンは2019年に買収されました。また、共同でオーストリアのルステノーのオーナーも務めており、スイスのFCビール・ビエンヌともパートナーシップ協定を結んでいます。
トゥールーズ
会長: ダミアン・コモリ
おそらく日本でもこの名を知っている方は何人かいらっしゃるのではないでしょうか。ベジエとモナコでフットボール選手のキャリアを終えた後はモナコのU16チームの指導者となります。この時トップチームを率いていたのはあのアーセン・ヴェンゲル氏で、彼が名古屋グランパスへと渡ると共にコモリも名古屋のU18を指揮しました。ヴェンゲルがアーセナルに赴くとコモリはスカウティング部門を任され、ティエリ・アンリやロベール・ピレス、シルヴァン・ヴィルトールの獲得に貢献しました。
その後はサンテティエンヌのSDを2度、トッテナムのGM、リヴァプールのSDを経験します。リヴァプールではルイス・スアレス、アンディ・キャロル、ジョーダン・ヘンダーソンの獲得に貢献しました。フェネルバフチェのSDを経て2020年にトゥールーズの会長に就任しました。
*トゥールーズは2020年にアメリカの投資家RedBird Capital Partnersに買収されました。(2001年から会長を務めていたオリヴィエ・サドランが15%の株式を保有しながら会長を辞職)
アジャクシオ
会長: アラン・オルソニ(予定) *現在は空席
コルシカ島で生まれた彼の父は第二次世界大戦でヒーロー級の活躍をした人物です。彼もその名残を受け継ぎ、コルシカ島の分離独立を主張するFLNCに参加します。イラン大使館が1980年に襲撃されたことを受け、他の武装勢力と共に一度逮捕されてしまいます。釈放された後に弟が凶悪犯に殺害されるという悲劇があり、復讐を試みた彼も有罪判決を受けます。更生した彼はコルシカ領土議会議員に選出されますが、商取引で不正を疑われ、ついに島を追い出されてしまいます。
13年にわたるラテンアメリカやスペインでの亡命生活を終えて2008年にコルシカ島に戻った彼はかつての政治的盟友が務めていたアジャクシオの会長に就任します。2015年に会長を辞職しますが、今年の5月にクリスティアン・ルカ会長が辞職したことで空席となっている会長の座に今後行われる総会で復帰することが濃厚となっています。
*アジャクシオは地元の簡易株式会社である[Holding Ajaccio Imperial Corse Investissement]に買収されています。
オセール
会長: バティスト・マルエルブ
彼が10代の頃はバッジョやロナウド、パパンなどのストライカーが全盛期を迎えていた時期でしたが、彼が憧れていたのはデシャンのような守備的ミッドフィルダーでした。ブルターニュ地方のレンヌのユースで3年間ほどプレーしますが周囲とのレベル差に挫折し、勉学の道を選びました。RCランスでスポーツマネジメントを学び、2006年にオセールのマーケティング・コミュニケーション・ディレクターに就任します。その後、副GMからGMへと昇進しますが、奥さんの転勤に伴い一度クラブを離れます。
2013年にクラブに復帰し、スポーツディレクター、ポーティングディレクターを経て昨年の8月からオセールの会長となりました。
オーナー: ジェームス・ジョウ
中国の起業家である彼は母親と共に製品包装会社[ORG Technology]で財を成し、中国でレッドブルやコカコーラの缶を製造しています。2017年には11億ドルの資産を得たとされる彼は中国のスポーツを発展させるためにサッカー、フェンシング、アイスホッケーに投資しています。
オセールの買収の目的も中国人選手やコーチの育成のためでもあって、2016年に買収しオーナーに就任しました。中国のサッカーを発展させるために中国の蚌埠市にオセールのアカデミーを開設し、フランス人の指導者を集いました。また、同時期にオセールに5つ星ホテルを建設し、中国人がいつでも良い条件で迎えることができる環境を整えました。コロナウイルスが流行した際には自身の会社から10万個の防護マスク、2万個のスクリーニングテスト、3000個の防護服からなる医療器具をオセールの医療従事者に提供しました。2021年に一度は会長にも就任しますが、次の年からマルエルブにその座を譲っています。
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