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今夏は大刷新が予想されるモナコに南野拓実の居場所はあるのか

今シーズンから再びリーグアンの試合をDAZNにて放送されることとなり、日本人選手が所属するクラブはもちろん、PSGやリヨン、マルセイユやRCランスなどの上位陣の放送も積極的に行われてきました。

今シーズンフランスの名門クラブの1つであるモナコへの南野拓実の加入は日本サッカー界でも話題となりましたが、多くの方がご存知の通り、いまだ彼は満足のいくような結果を残せていないのが現状です。

南野拓実の出場時間が無くなってきたことで最近ではモナコの試合に日本語実況すらつかなくなってしまいました。

南野拓実のことばかり述べるとネガティブな話題が出がちですが、実はモナコというクラブ全体で来シーズンに向けた移籍市場での大きな動きがあるのではないかと現地メディア[RMC Sport]が報道しました。

今回はその記事の内容をもとに今夏のモナコの移籍市場において起こりうる事象とその根本、さらに南野拓実の現在地について綴っていきます。



SDポール・ミシェルの置き土産

モナコSD ポール・ミシェル

モナコの会長を務めるのはロシアとキプロス国籍のドミトリー・リボロフレフ氏であることは以前の記事でお伝えした通りですが、補強面で実権を握っているのはイギリス人のポール・ミシェルという人物です。

2020年からモナコのスポーツ・ディレクターを務めるこの人物は契約がもう1年残っているにもかかわらず、今夏の移籍市場を終えてクラブから去る決意を固めたようです。

これまでMKドンズ、サウサンプトンやトッテナムでキャリアを積んできた彼は異国の地での3年間の経験を活かし、母国への復帰を望んでいる模様です。新たなSDを探索しているリヴァプールの新SD候補にも名前が挙がりましたが、彼自身がそれに向けて動いていないようで退任後の動向は不透明です。

彼がモナコでの最後の仕事として目標に掲げるのはチャンピオンズリーグへの出場。昨シーズンは最後の最後でストレートインの権利を逃し、プレーオフで敗退すると、ヨーロッパリーグでもラウンド32で敗れる結果となりました。今シーズンも変わらずチャンピオンズリーグへの出場を目標に掲げていたとは思いますが、クラブとして好不調の波が大きく、直近では3位RCランスに敗れ、5ポイント差(4位)に広げられてしまいました。

継続的にチャンピオンズリーグを目指すチームへの変革が期待されるうえで今シーズン以上の支出・収入が現地メディアに予想されています。ここからは具体的な内容について語っていきましょう。



さらなる高みを目指すのは

左:ディザジ 中央:フォファナ

まずは守備陣から。バイエルンからの2年間のレンタルが今季で終了するGKアレクサンダー・ニューベルですが、そこまでミスが悪目立ちするわけではないものの、ダービーや欧州カップ戦などの大事な試合ほど彼のセービング能力が疑問視されがちで、モナコは買い取りせずに間違いなく新しい即戦力GKを獲得することが予想されています。

今季守備面も成長したRSBのヴァンデルソンと、バディアシルに続いてステップアップが予想されるディザジ。ディザジはもとより、ヴァンデルソンはここにきて市場においてその名を急激に高めています。特にディザジは市場価値が高騰していて、今夏のクラブの最大の売り物になることは間違いありません。また、レギュラーLSBのカイオ・エンリケもルーツを持つスペインかブラジルの代表入りを目指すべくステップアップを熟考しているという報道が出ています。

中盤ではワールドカップにも出場したかつてチュアメニの相棒を務めていたユスフ・フォファナも市場で注目度が高い人物です。安定して代表に選ばれ続け、来年のユーロを目指すうえでもステップアップは必要な1つの要素なのかもしれません。

フォワード陣で今シーズン新加入で強烈なインパクトを残したのはスイス代表エンボロ。怪我やスタメン機会が継続的でないにもかかわらず、リーグ戦28試合(先発19試合)で12G2Aという記録を残しています。クラブレコードで加入した彼を今後の中心に添えるなら事は大きく変わってきます。その影響を受けそうなのがASモナコの象徴であるウィサム・ベン・イェデルです。彼の契約はまだ1年残っていますが、今年で33歳を迎えることになり、それを踏まえて放出して移籍金を稼ぐということもなきにしもあらず。しかし、彼との契約延長はそれほど問題ではないというのがおおよその見解です。



今後は南米中心? クレマン監督の存続は

後任SD予想のチアゴ・スクーロ

ポール・ミシェルは夏に移籍市場の仕事を終えて秋にクラブを去ることが予想されています。もともとポール・ミシェルとクレマン監督は良好な関係ですが、後任として予想されているチアゴ・スクーロもまた、クレマン監督に信頼を寄せているようです。

しかしながら、イタリアとブラジルの国籍を持つ彼は南米に支局を作りたいという考えを持っているようで、今後は南米の選手が続々と加入してくるかもしれません。クレマン監督は夏にチュアメニ、冬にバディアシルを失いながらも若手育成をしっかりやってきたという高評価がある一方、欧州の舞台での失敗が苦い味を残しているようです。現段階では続投の傾向にありますが、今後の状況次第ではクビを切られる可能性もあるようです。

されども、補強の方針とそれに関わる人事を一変したことで混乱を招いたという前例が身近にあるため、ここは慎重になるべきかもしれません。



ライバルが多すぎる南野 改めて問われるリーグアンとの相性

冒頭にここ最近はほとんど出場機会に恵まれていないことを紹介させていただきましたが、彼がなぜそこに至ったのかは様々な理由があります。

まず、彼とポジションを争う相手が多すぎるということ。南野拓実が起用されるポジションとしては左サイドとトップ下であると思いますが、左サイドにはカイオ・エンリケと共に攻撃を司るゴロヴィン、トップ下にはドイツ代表歴のあるフォラントといった実績のある選手が加入前に存在していました。さらに冬にはデビュー戦でいきなり2ゴールの活躍をしたベン・セギルという18歳の新興戦力が登場しました。

クレマン監督は年明けからフォーメーションをほぼ4-2-3-1に固定させ、春からリーグ戦に集中できるようになったためにメンバーも固定して戦うことになりました。試合中に点がほしい状況になった場合でも、前線にはエンボロやボアドゥ、ジェルソン・マルティンスなどの攻撃的な選手も複数抱えているため、サブの中でも競争率はかなり高いです。

もちろん南野に良い資質が全く備わっていないだけでなく、練習の雰囲気を見るとチームメイトからも信頼は厚いように感じられ、鳥肌が立つようなシュートを披露しています。モナコの他の選手より際立っているのは、何と言っても守備の献身性。レスター時代の岡崎慎司を彷彿させるような「大和魂」のこもったプレーを見ると応援せずにはいられません。

では、なぜ出場できないのかというと、個人的にはリーグアンとの相性の問題もかなり影響していると考えます。リーグアンは「個」のリーグであり、1対1に関わる要素が助長される傾向にあります。南野は加入当初フィジカルが弱く、フランス特有のデュエルで簡単に負ける様子が散見されました。また、ボールを持った展開でも味方との呼吸が合わない場面が多かったです。

稲妻のスピードで右サイドを切り裂く伊東純也、巧みなドリブル技術でデビュー戦で初ゴールを飾った鈴木唯人と比較すると南野拓実は攻撃的な個の要素で持ち味が明確になっていないように感じます。

それでも4試合ぶりに出場した直近のRCランス戦では狭いスペースでボールを受けてシュートまでにつなげるシーンが複数回あったので終盤にきて出番は以前より増えそうな予感がします。チャンスのシーンでも味方からしっかりボールは届いていたので、あまり出場機会に恵まれていないといえども信頼は厚いようです。

さて、ようやくここに来て本題に辿りつきましたが、来季も彼がモナコにいるかどうかは不透明です。俄然メディアからは批判の的になっており、今後の立場は上がるか下がるか全く見当がつきません。しかしながら、クラブ全体として今夏に大刷新が予想されることを踏まえると彼が来季もモナコに所属しているかはネガティブな考えの方が色合いが強いと思います。

主力選手を放出するということは、それなりの選手や今後飛躍が期待される若手選手が加入してくることは間違いないので現在よりも競争は激しくなるかもしれません。個人的には仮にモナコ残留を果たしたとしても前半戦がラストチャンスでしょう。それまでに目に見えた結果を残すことができなければリーグアンの挑戦は終わりを迎えることになると思います。

彼がモナコに来てくれたときは私も本当に嬉しかったですし、まだ28歳という老け込む年齢ではないからこそ、彼の挽回を願いたいです。さらに願うならば日本代表の10番が似合う男だからこそ、彼に期待をしないという選択肢はないのです。

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