八月中席 七日目 夜の部@新宿末廣亭(2022/08/17)【寄席編#6】

こんばんは、飯山大五郎です。

先日、新宿末廣亭に行ってきました。定席は10日間ごとに番組が変わり、主任は10日間ぶっ通しで勤めるのが普通なのですが、八月中席は、神田伯山先生・三遊亭遊雀師匠・桂文治師匠(※主任としての登場順)が交互に勤めるという、真打披露以外ではあまりお目にかからないスペシャルな番組となっていました。

そんなスペシャルな番組。この日の演目は、こんな感じでした。
(色物の先生方はジャンルを書くようにしていますが、今回は新宿末廣亭が出しているチラシに則って書いています。)

○「まんじゅう怖い・上」桂空治

開口一番は前座・空治さん。度胸あるなあ、といつも高座を拝見しながら思います。言葉がスルッと出てきている感じがするし、合間合間にアドリブを入れてもしっかり戻ってくるし。声もはっきりしていて心地よかったです。

○「まんじゅう怖い・下」桂鷹治

続けて二つ目・鷹治さん。空治さん、鷹治さんと続くと、何があるのでは?と思っちゃいますが、リレーで来ましたね。鷹治さんが後にどっしり構えておられるから、空治さんものびのびできるのでしょう。

○「(漫談)」ねづっち

続けてなぞかけ漫談のねづっち先生。時事ネタや楽屋での出来事を短いスパンで漫談に仕上げておられる。客席から出てきたお題があまりピンと来なかったようで、かなり珍しくモヤッとしたまま下りられました。

○「松竹梅」桂南楽(寿・二つ目昇進!)

続けて、この芝居から二つ目に昇進された桂南太郎改メ南楽さん。おめでとうございます!前座の時もそうでしたが、本編に入ると、ぐいっとスイッチが入るのか、トーンや空気感が変わるんですよね。

○「真田小僧」三遊亭王楽

続けて五代目円楽一門会より王楽師匠。師匠のは、子どもがお金をくれという前のやりとりが入ってて、あまり聞いたことなかったかたち。子どもの憎たらしさが他の師匠方の3割増くらいになるのも面白かった。

○「(漫才)」ナイツ

続けて漫才のナイツ先生。基本的にボソボソとしたやりとりなんだけど、その一言一言が面白い。特にあの英語で展開された漫才の部分がめちゃくちゃ面白かった。海外の人でも楽しめるんじゃないかしら。

○「鈴ヶ森」桂文治

続けて文治師匠。相変わらずニッコニコの師匠。弟子たちのことにも触れながら「鈴ヶ森」を。間抜けな泥棒が準備をしながら顔が真っ黒になっていく(笑)。間抜けなやつと親分とでコロコロ変わる様はお見事でした。

○「お見合い中」昔昔亭桃太郎

続けて桃太郎師匠。お見合いは自分をよく見せようとするもの(?)ですが、女がついていた嘘がひとつひとつ明らかになる時の男の表情がいい。この日の師匠は特に石原裕次郎に似ていてカッコよかった!

○「(太神楽)」鏡味正二郎

続けて正二郎先生。「五階茶碗」と「傘の曲」をおやりになってました。小助・小時さんみたく2人でやると受け渡しなどしやすいけど、正二郎先生はお一人でスルスルっと。簡単そうにやっているのがすごい。

○「水戸黄門記 出世の高松」神田松鯉

仲入りは人間国宝・松鯉先生で「出世の高松」。松鯉先生で聞くのは初めて。頼重の叔父叔母夫婦と道具屋のやりとりは愛山先生のと異なり、あっさりめ。寄席バージョンなのかな。

〈お仲入り〉

休憩です笑(10分程度)

○「(映画説明)」坂本頼光

クイツキは活動写真弁士の頼光先生。相変わらず暑そうな格好をされてます。いつぞやに拝見した「珍妙幌馬車」はやっぱり面白い。そんなわけないじゃん!みたいなシーンばっかり(笑)。

○「権助提灯」三笑亭夢丸

続けて、夢丸師匠。個人的に見た目と声のギャップがすごい師匠。提灯をもつ権助が主人を小馬鹿にしているところが可笑しい。嫉妬深いのも困りものだけど、あんな扱いされる方が嫌だなあ。

○「いかけ屋」桂小南

ヒザ前は南楽さんの師匠、小南師匠。南楽さんや伯山ティービィーを弄ってから「いかけ屋」へ。タイトルにはないが登場するうなぎ屋とちびっ子たちとのやりとりがめちゃくちゃ面白かった。

○「(漫謡)」東京ボーイズ

ヒザは歌謡漫談の東京ボーイズ先生。ボソボソと繰り広げられるトークと(知っている世代からすると)懐かしい曲の数々。聴いていて心地がいいし、フワッと笑える空気感がいいなあ。

○「牡丹灯籠 お札はがし」神田伯山

この日の主任・伯山先生は「お札はがし」。初めて聞く読み物。お露と新三郎という愛し愛されていた二人がどうしてこんな結末を迎えることになるのか…新三郎に会えないお露の泣き声がなんとも気味が悪い。最後の構図は、新三郎を二度と離さない、という執念なんだろうな。


松鯉先生の芝居のときも感じましたが、新宿末廣亭で怪談をやると、よりその世界観に浸ることができますね。いやあ充実した一日でございました。それではまた。

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