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泉岳寺講談会@萬松山泉岳寺講堂(2022/10/14)【講談編#29】

こんばんは。飯山大五郎です。

先日、泉岳寺講談会に行ってきました。会場は泉岳寺講堂です。なんだかんだ初めて来ました。泉岳寺といえば、浅野内匠頭のお墓、そして大石内蔵助をはじめとする赤穂浪士のお墓があるお寺で、『赤穂義士伝』を読む講談師にとってはとても馴染みのある場所です。

泉岳寺講談会は、12月を除く毎月14日のお昼に講談協会(宝井琴梅会長)と日本講談協会(神田紅会長)の共催で行われていて、両協会の講談師を同時に見ることができます。日程の都合上(御贔屓連に入会しているのに)講談協会の定席に行けていない私からすると、神田愛山先生の「講談カフェ」や永谷商事の「両派合同講談会」に並んで、ありがたい会です(両方とも行けてないのですが)。

主任の先生は毎回『赤穂義士伝』をお読みになります。この日は、この会の立ち上げから1年という記念すべき日。これまで裏方に回っておられた琴調先生が主任を勤められました。

そんなわけで、この日の演目はこんな感じでした。

○「樋口四角兵衛」田辺一記

この日の開口一番は一邑先生のお弟子さん、一記(かずき)さん。読み物は「樋口四角兵衛」。初めて聞いた読み物。小柄でどこかふわふわした雰囲気をお持ちですが、真っすぐ芯のあるお声で、主人公の四角兵衛の豪快さもしっかり出ていました。

○「柳沢昇進録 お歌合わせ」神田鯉花

続けて鯉花さんは『柳沢昇進録』より「お歌合わせ」。最近よくお読みになっていますが、やってて楽しそうですし、聞いてても楽しい。桂昌院をはじめとした女性が美しい。オーバーな動きがあったりもしますが、それでいて下品にならない印象。

○「三方ヶ原軍記 土屋三つ石畳の由来」一龍斎貞鏡

続けて貞鏡さんは『三方ヶ原軍記』より「土屋三つ石畳の由来」。どこか硬い印象のある『三方ヶ原』ですが、滑稽なところもあるんだなあと。12月の寒い時期に、鳥居と成瀬が意地を張り合って冷水でもって行水をする様子はなんとも可笑しい。滑稽でも修羅場調子が綺麗。

○「万両婿」神田伯山

仲入りは伯山先生。読み物は、琴調先生に教わったという「万両婿」。ようやく聞けました。全部、大家が悪い。あの言い方と表情と物言いと、憎さが増しますね。だからこそ、小四郎の真っすぐなところが際だっていました。いやしかし、さすが大岡様。きちんと丸く収まってよかった。

〈お仲入り〉

休憩です(15分程度)

○「(神田陽司・作)犬殿様」神田紅純

紅純さんは、陽司先生がお作りになった「犬殿様」。江戸幕府3代将軍・家光が亡きあと、4代将軍(!?)になった万珍丸(犬:ポメラニアン)にまつわる読み物。なかなかぶっ飛んでいる読み物ですが、平然と堂々と犬も人もおやりになっていました。

○「赤穂義士本伝 大石東下り」宝井琴調

お待ちかね、この日の主任・琴調先生は『赤穂義士本伝』より「大石東下り」。死んだことにされた弥十と大石のやり取りは弥十の反応可笑しく、身分を偽っていた大石内蔵助と「本物」の垣見左内とのやり取りは大石の覚悟を汲んだ垣見の姿がかっこよかった。


いやあ楽しかった。それではまた。

【追伸】次回は11月14日(月)に開催。主任は、今月真打に昇進された一龍齋貞弥先生が「岡野金右衛門 恋の絵図面取り」をお読みになります。師匠の貞花先生も出演され、披露口上もありとのことです。詳細は、泉岳寺講談会の公式Twitterでご確認を。

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