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講談広小路亭@お江戸上野広小路亭(2022/09/29)【講談編#27】

こんばんは。飯山大五郎です。

先日、講談広小路亭に行ってきました。会場はお馴染み、お江戸上野広小路亭です。写真は広小路亭の香盤。とっても歴史を感じます。

「講談広小路亭」は、二代目山陽一門が所属する日本講談協会の定例公演で、所属講談師が次々に高座に上がります。高座に上がる講談師が増えてくると一人当たりの持ち時間は短くなりますが、その分いろいろな講談師、いろいろな読み物を一度に聞ける会です。…まあそうは言っても私はこの日初めて行ったんですがね(笑)。

さて、この日の演目はこんな感じでした。

○「三方ヶ原軍記 五色備え」神田青之丞

この日の開口一番は伯山先生の二番弟子の青之丞さんで『三方ヶ原軍記』より「五色備え」。独演会で高座返しをされている姿は拝見しておりましたが、高座は初めて。梅之丞さんとは声や雰囲気がまた違った感じがします。ほかの読み物だとどんな読みになるのか聞いてみたいなあ。

○「父とパブロ」神田桜子

続けて桜子さんは「父とパブロ」。初めて聞いた読み物。ピカソの少年期を描いていて、父と子の関係が素敵。自らの実力を超えたパブロを見た父の台詞と行動がいい。なかなかああはできない。にしてもピカソの本名、ちょっとした言い立てだよな(笑)。

○「煙草屋喜八 白洲の対決」神田紅純

続けて紅純さんは『煙草屋喜八』より「白洲の対決」。初めて聞いた読み物。抜き読みでも白洲の場での対決の様子が緊張感をもって伝わってくる。時間いっぱいになってしまったので続きが気になるし、それ以前にその前が気になるぞ(笑)。

○「羅生門の鬼」神田紅佳

続けて紅佳さんは「羅生門の鬼」。初めて聞いた読み物。酒呑童子の一の家来である鬼・茨木童子を描いた読み物。美少年が血で書かれた恋文を見てなめる瞬間の不気味さよ。明るい空気が一変した瞬間でした。こちらも続きがきになるところで時間いっぱい。

○「太閤記 長短槍試合」神田真紅

続けて真紅さんは『太閤記』より「長短槍試合」。愛山先生のおやりになる形とまた違う形。特に藤吉郎側の具体的な戦略のところ。「正攻法」でなくとも、勝つためにどうすべきか考える藤吉郎。それは戦国時代においては大事なことだよな。

○「北条政子」神田蘭

続けて蘭先生は「北条政子」。初めて聞いた読み物。蘭先生が出された本にも載っているとのこと。にしても蘭先生、悪女が実に似合いますね(笑)。頼朝の女癖の悪さに対してとった政子の行動がすげえ。それに対する頼朝の家来への台詞も可笑しい。

○「天保六花撰 丸利の強請」神田阿久鯉

続けて阿久鯉先生は『天保六花撰』より「丸利の強請」。初めて聞いた読み物。「強請」をしているわけだから当然悪人なのだけど、でも、河内山宗俊かっこいいんだよな。「強請」をするのは大店などの金のある人に対してで、それをあくまでも金のない人のためにやっているからかな。

○「一本の鉛筆」神田陽子

この日の仲入りは陽子先生で「一本の鉛筆」。新作の出来立てほやほやとのことで、この日は本を置いての高座。当然ながら初めて聞いた読み物。美空ひばりの楽曲「一本の鉛筆」にまつわる読み物。ひばりさんの平和を願う思いと、ステージにかける思いに胸打たれました。

〈お仲入り〉

休憩です(15分)

○「阿武松緑之助」神田伯山

クイツキは伯山先生で「阿武松緑之助」。昨日の歌舞伎座が無事終わった翌日なだけにハプニングもありましたが、食いっぷりのいい阿武松も豪快な親方も健在。本人の努力はもちろんだけど、周りの人のサポートが大切であることを改めて思います。

○「奈良の鹿裁き」神田鯉風

続けて鯉風先生は「奈良の鹿裁き」。噺家さんから教わったとおっしゃっていましたね。日本全国を飛び回っている感じがすごく伝わってくるマクラから本編へ。主人公、実に正直者なのだけど、融通が利かないのよねえ(笑)。奉行さまのお裁きも見事。

○「もったいない善兵衛」神田紫

続けて紫先生は「もったいない善兵衛」。小さいときに「もったいないおばけが出るぞ!」と言われていたのを思い出します。善兵衛さんはしつこく「もったいない」と言い続けていたわけですが、納得のいくやり方をしていったからこそ、みんなを巻き込めたんだろうなあ。

○「敵討母子連れ(菊池寛・原作)」神田愛山

本日の主任・愛山先生は「敵討母子連れ」。まさか今日聞けるとは!ずっと聞きたかった読み物。敵討をしようとする武士としての思いと、それを捨ててしまいたくなるような厚い友情とがぶつかった竹之助がとった行動に胸打たれました。いや実によかった。


直前まで行くか迷っていましたが、行ってよかった。いい時間でした。それではまた。

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