令和の歳時記 フジハムシ
テントウムシより一回り小さい楕円形で小豆色の光沢ある甲虫である。名前の通り“フジのハッパを食べるムシ”である。
人間の勝手な見解でフジの葉っぱを喰い荒らす害虫とされている。フジの花が咲く前の小さな新芽(ツボミ)がこの虫そっくりで面白い。
『花と虫』果たしてどっちが生き残り戦略を優位に運んでいるのか興味を惹く。新芽の形状がフジハムシに似ているのはこの虫が擬態し、天敵から身を守るのに有利からであろう。
しかしこの虫はフジの新芽が大好物で、フジは一本の茎に芽吹く新芽の半分くらいをわざと食べさせているように見える。
フジが新芽の色と形状を変えれば被害に遭わず、花を多く咲かせるから種子を残すチャンスが広がるような気がする。
でも結果として毎年フジの花はきれいに咲く。私の勝手な推測だが垂れ下がるように咲くフジは重たいから適量をフジハムシに間引かせているのかもしれない。
いずれにしても春はこういった不思議な生態系に遭遇できる楽しい季節だ。