チコリータ...

前回のあらすじ:一瞬のスキをついて形勢を逆転した三人の部員たち。噴出した怒りはやがて灼熱の肉欲を点火する……!

明日の坐禅会では劈頭、般若心経を読経するようだ。いかん、全く覚えていない……と言っても参加者が導師の方に唱和するという形であり、なんとなく周りに合わせて唱えようとすればできてしまいそうではある。まあしかし、せっかくの機会なので覚えていこう。他の禅僧の方のブログにも「般若心経も覚えないで坐禅会に来る人がいて、どうかと思う」みたいなことが書かれていたし。

と思ったのが3日前、今日の段階で……仏説 摩訶般若波羅蜜多心経 観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 までは覚えた。……進捗率は26/278文字である。……やばい、全然進んでいない。丸暗記なんてほんとに久しぶりだ……

読経は一字一句を揺るがせにできないから、エッセンスに濃縮して把握するといういい加減な記憶方法が通用しない。まあ般若心経自体が600巻(!)に及ぶ「大般若波羅蜜多経」の精髄を現すものだそうだし、これ以上の濃縮などそもそも許さないのかもしれない。ぶっせつ まかはんにゃはらみたしんぎょう かんじざいぼさつ ぎょうしんはんにゃはらみたじ……ええと……しょうけんごうんかいくう。待てよ、これ、読経のリズムに乗せて暗記しないとまずいんじゃなかろうか。ちょっとうろたえたりしたら周りの読経がどんどん進んでしまい、パニックになりそうだ。

どいっさいくうやく…… しゃりし、しきふいくう、くうふいしき、しきそくぜーくう、くうそくしきぜー。どうしても意味で覚えようとしてしまい、句読点を打ってしまう。しかし参考にプロの読経を拝聴すると、特に意味上の区切りで息継ぎをしたりはしない。あくまで一定の速度で読み、意味的な区切りとは関係ないところでブレスが入るもののようだ。

じゅ・そう・ぎょう・しき・やくぶにょぜ。しゃりし、ぜしょほうくうそう、ふしょうふめつ、ふくふじょう、ふぞうふげん、ぜこくうちゅうむしき……不生不滅といえば、ある人が言及していた「盤珪禅師語録」はとても面白かった……「僧堂で食事上の特別扱いをされた盤珪が『わしに毒を食わせるつもりか!? わし、もうメシくわんから』と宣言して自室?に岩戸隠れしてしまい、弟子が必死に謝った」というエピソードが何度も紹介されていた。(弟子の名前はその都度違ったように思う。)弟子間で注意事項の伝達をしなかったのか!? ……むじゅそうぎょうしき、むげんにびせつしんに……むしきしょうこうみそくほう。

これはいかん、意味を度外視して丸暗記するのは厳しい。ちゃんと漢字で意味をとりながら覚えよう。さらにノートに手書きして電車の中でも復習すればなんとかなるだろう……なんだか高校生の頃みたいだ。
坐禅会がどんな感じだったか、いずれここにも書くと思う。