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次女の妊娠中の話 2

 妊娠末期なんて言うと、ターミナルな感じですが、妊娠期の終わりってことです。念の為。

妊娠末期に近づき、私は先生といつ手術するかの話をした。

私は、長女を妊娠する前から、絶対自分は経膣分娩無理だなと思っていた。身長が微妙なのもあったが、私はとにかくめちゃくちゃ痛みに弱いのだ。そんな人間が看護師をやっててなんとなく申し訳なくなるが、産婦人科で働いていて、何件も分娩を見ていたからこそ思うのだ。経膣分娩無理、絶対無理と。

何十時間も痛みに耐えられないし、発狂しちゃうなと、他人の分娩で確信していた。

願いが叶ったというとこの場合微妙だが、長女は帝王切開だった。しかも緊急かつ妊娠週数的に子宮も膨らんでなかったので、外側を縦に切り、子宮は横に切った。最後ちょっと斜め下にしたとのことだった。

帝王切開をよく知らない人に説明すると、緊急の場合は大体縦にお腹を切る。縦にガバッと切った方が視界が良いからです。横切りは予定帝王切開で、全体的に余力ある時にします。お腹を探る余裕があるからです。縦の方が痛いし、傷も目立ちます。でもこどもを助ける為だし、別に私の腹を見る人なんて家族だけだしね、と思って気にもしてなかったのですが。

次女の手術日を決める時、先生が申し訳無さそうに言うじゃありませんか。

縦切りになっちゃうけど…とか。いや、良いよ別に。今まで嫌だなんていったことないし。

お腹は縦切りで子宮が横切りだから、Vバックは出来ないんだけど…とか。は?誰が経膣分娩したいって言った?言ったことないし思ったこともないけど??

ここでまた説明。Vバックとは、帝王切開術後経膣分娩のことで、一度帝王切開した人が経膣分娩することです。読んで字の如く。私にはよくわからないんだけど、トライしたがる人が一定数いる、らしい。なんで???

これやりたがるのは、大体経膣分娩に憧れを抱いてる人が多いと思う。変な助産師が薦める場合もあるけど。経膣分娩is神の所業。みたいな。

世の産科には、バースプランっていう考えがあって、要はまあ、どんなお産をしたいかっていう理想プランをたてることを通して親の自覚を促すって奴なんだが、はっきり言って、意味ない。そんな計画通りに行くわけ無いじゃん、特に初産婦。

そう思ってプランを見た助産師たちは大体冷静なツッコミという名の現実的な出産を話してくれたりするんだけど、普通の人の妊娠中の幸せアタマには入らない。

誰が10数時間も陣痛に耐えるとか考えてると思う?出産後に陰部がズタズタとか出血多くて輸血しなきゃとか、そんなこと誰も考えないから。ドラマやなんかを丸呑みにして、キラキラ現実味のない綺麗なプランを立ててくる。

でも現実はシビアで、児心音が落ちたらカイザーになる確率は普通の人が思ってるよりずっとずっと高い。医療従事者は、赤ちゃんもお母さんも無事で良かったハナマル!と思ってても、この普通の人たちは経膣分娩が出来なかったからって泣いたり悔やんだりしてるのだ。そして、次こそ!とリベンジしたがる。いや意味わからん。形に拘る意味ある?それって赤ちゃんや自分の命より大事?

とまぁ、働いてた頃から思ってたキレ気味の愚痴はさておき。

私が一回でもVバックしたいなんて言ったか?お腹の傷についてなんか言ったか?答えはノー。言うわけない。ので、その時の先生に自分の気持ちをはっきり伝えたのだった。

先生は結構ビックリしてたし明らかにホッとしていた。うーん。お仕事大変ですねぇ。としか言えないな。

そのまま、手術日の話になり、私はなんにも考えずにその時のカレンダーを見て、帝王切開にちょうどよい頃合いの週数の月曜日にしたのだった。

これは随分後になって、長男の時に気づいたんだけど、手術日=誕生日であって、分娩スタイルはともかく、誕生日はもっと考えてやるべきだったな。

次女も長男も、私がなんにも考えず、その時その場でその年のカレンダー見て適当に決めてしまったので、日にちを揃えることもしなかった。その年の連休の位置で入院日から退院日を予測して決めた。

我が家は里帰りしないスタイルにならざる得なかったので、夫にかかる育児家事負担を考慮しなくてはならなかったから。

でもなぁ。誕生日と名前はなぁ。一生の話だしなぁ。と今にして思う。長男は、なんとなく良い語呂合わせの日になっていたが、次女はまぁ、墓参りの頃にしてしまって、ちょっと申し訳なかった。

そんな風に、二人目のくせにどこかドライな感じで入院予定日及び手術日を決めて、私は来たるべき産休開始日までなんとかきちんと働いたのだった。

長くなってしまったのでまた続きます。

ウマ娘が楽しすぎて、そっちに時間を取られてしまいます。

写真は、先日次女と行った、今をときめく鎌倉の長谷寺です。この時期のせいか、一時間待ちとかになっていてビックリしました。





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