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アコースティックギターにコーンスープを注ぐ2

 それからすぐ、私は自分の過ちに気が付いた。アコースティックギターが鋭い叫び声をあげたのである。その叫び声とは、ギターから発せられた表面的な音ではなくて、むしろ人や動物が強く痛めつけられた時に無意識的に発せられるものと同等のものだった。誰かの叫び声であった。  夜が明けて、次の日。仕事が手につかない。心の中で繰り返し鳴り響くギターの悲鳴が、私を引き裂くような苦悩を与えていました。仕事場で座っていること、集中することもままならないまま、時間の流れをひたすら待ち続けていました。

    • アコースティックギターにコーンスープを注ぐ

       夜の静けさが街を包むなか、私は私の身体に絡みついた細い糸に導かれるように家路を辿りました。日々の喧騒を離れ、ただひたすら静寂の中に身を沈めることができるこの瞬間が、私にとっての癒しでした。しかし、この夜はなにかが違っていました。納屋に長年放置していたアコースティックギターの存在が頭にしがみついて離れないのです。  アコースティックギターを手に取り、その木製の温かさを感じながら、私は不思議な衝動に駆られました。コーンスープでギターの響孔を満たしてしまいたい、そう思ったのです

    アコースティックギターにコーンスープを注ぐ2