- 運営しているクリエイター
記事一覧
「 サンゴ•タンゴ 」
月夜の海のサンゴを盗ろうと
着のみ着のまま飛び込んだら
爪の先まで溺れてしまった
骨の髄まで凍ってしまった
タンゴ•サンゴ•タンゴ•サンゴ•タンゴ
海の底
タンゴ•サンゴ•タンゴ•サンゴ•タンゴ
裸足で踊る
あたしの影と
それから靴は
失くしちゃいけなかったのに
三途ノ川で小粋に踊ろう
片一方はサンゴの靴よ
次のターンで逃げて!と
月の悲鳴があたしを揺さぶり起こす
タンゴ•サンゴ•タンゴ•
「 西風シャッフル 」
ねえ
浮ついた夢なんか見てちゃ駄目だと
遠い昔誰かに言われたキミの
瞳にまだ光る何か
ねえ、あたしの本音に
エールを送って
帽子が逃げたのは西風のせい
でもカーテンはそのままで
ココロ委ねないで
キミを叩く社会のこどもたちに
自業自得だね
自己責任でヨロシク!
そして自分のご機嫌は自分でとれよと
氷のスローガン!
独りでいるほうが淋しくない
なんて、少し寂しいね
優しくズルい嘘にまみれて
「 猫とロクデナシ 」
あたしの名前を
まだ覚えているなら
忘れないうちに
ここへ来て耳元で囁いて
いつもの調子で
枕元までジャンプして
眠れるあたしを起こしに来てね
消えないうちに
嵐の夜、雨降る朝
いつだってキミは自由気まま
一瞬を永遠に変えて
生きてる
命は時間
楽しい時間
キミは大きく背伸びして
星降る夜の空にキスをした
命は時間
足りない時間
長い尻尾をピンと立てて
ここにはない大事な何かを探しに行くよ
「 archives 」
雨の匂いは
気まぐれなあの夏の残り香よ
濡れたベンチで
痩せた子猫が
雫舐めてる
あなたが棄てた傘の
骨の部分が
曲がってるのに無理やり
歪なままで差して
帰る
銀の糸がまとわりつく
跳ねる不快指数
ここにはもう居たくないわ
昨日(過去)も未来(明日)も
記憶の図書館に
返し忘れてる本が山積み
片づけなくちゃ
整理しなくちゃ
だけどそれは
誰のため?
雨の匂いは
気まぐれなあの夏の残り香よ