輪島の朝市と珠洲焼

2023年6月に能登半島へ1泊2日で旅をした。
金沢港近くのイキイキ市場でキス・ハマチ・イカの近海フライ定食を食べ、なぎさビーチで波辺をドライブ。
古刹である気多神社を参拝し、白米千枚棚で静かな海を眺め、穴水の寿司屋で能登丼を食す。アカニシ貝・大トロ・いくら・ヒラメ・サザエ。
お喋りな夫婦と親戚の家に来たんだっけ?一緒にご飯食べてるんだっけ?というくらいお喋りをした。
自身のご家族のこと、東京での修業時代、飛行機でイカ釣りをしに来るお客さんのこと、電車好きな小さな子供に電車を見せるために能登まで旅行に来た家族のこと。お店のスタンプカードもいただいたんだっけ。
翌日は朝食を朝市で食べよう!ということで輪島へ向かう。
とれたてのアジを4尾買い、近くの店で1尾を刺身に後の3尾を焼いてもらいご飯とあら汁で朝食にする。
5人組だか6人組だかの女性グループが入ってきて賑やかなこと。
路端のパラソルの下にて干物を売っていたおばあさんの「私は朝からずっとここで売ってるんや。もう疲れたから家に帰りたいんや!これとこれとこれを買ってくれたら送料はいらん。」という勢いに押されつつ、ノドグロやアジ他の干物を5皿購入し、1皿分だけ自分用に持って帰り残りは実家にクール宅急便で送ることにした。
さらに私は旅の目的の一つでもあった珠洲焼を朝市通りの中の店で購入。
「珠洲焼というのは平安時代末期から室町時代にかけて珠洲市を中心に生産されていた焼き物で、忽然と姿を消したそうです。500年ほど途絶えていましたが今から30年ほど前に復興されました。」石川県観光HPより
釉薬を使わず高温で焼き上げるため他ではちょっと見たことのない灰黒色の素朴で美しい仕上がりになるそう。店員の若い男の子は愛想よく私たちが店に入るとスピッツの音楽を流してくれて(年代で選曲したのか?)しかし目は合わず、詳しく早口で珠洲焼のことを説明してくれたのだった。
お酒は嗜まないない口なのだけれど、その美しい形に惹かれて片口を購入。今のところ麵つゆ入れとして使用されているけれどそのうち花瓶になるかもね。
時折車を停めて海を眺めたりしながら、能登最北端の禄剛崎灯台を目指す。
塩田、黒い家家、数週間前にあった地震でブルーシートがかかった屋根、いかにも日本海側特有の重たい雲雲。
六根崎灯台は沈む夕日と昇る朝日が見える場所らしいけれど、私たちが見たのはぱらつく雨の中、暗い海と白く美しい灯台と青い標識。
釜山783km、ウラジオストック772km、上海1582km、東京302km。
旅の最終地は見附島。
踏み石を渡りそばまで近づくも潮が満ちてきたので途中で引き返す。
どの道島までは渡れなかったのかもしれない。
降り出した雨と見附島を見ながら微妙なカレーを食べて、今回の旅は終了。
なんてことのないガイドブックに書いてあるところを巡る旅。

言葉にできない悲劇に見舞われたとき、軽々に言葉にしてはいけないことがあるように思う。ただ祈って、ただ待っている。

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