キルビルと日本刀の話


日本アニメの米国での実写映画化は、ほぼ酷い。

でも実写版『ワンピース』は良作だった。

麦わら海賊たちのキャスティングも上手い。

ゾロ役の日本人俳優の殺陣も良かった。

彼の父は千葉真一だし、直伝の技なのだろう。

それにしても日本刀が出てくる外国映画のなんと多い事か。

藤岡弘、扮する侍が現代のロサンゼルスで蘇る『SFソードキル』も面白かった。

時空を超える西洋チャンバラ物語『ハイランダー悪魔の戦士』の主人公の愛刀は正宗。

面白い映画だったが、日本刀を西洋の刀みたいに振り回していた。

「村正」が、なぜ「妖刀」と言われる理由をご存知だろうか。

徳川家康の周りで「村正」が多くの不幸を生んだ。

家康の正妻「築山殿」の殺害や長男「松平信康」の切腹で介錯に使われた刀も村正だったと言われている。
妖刀と言い始めたのは家康だったのだ。


千葉真一さんは何故か因縁がある。

大学時代、東映撮影所で1度だけエキストラをした。

映画がどう作られるか興味本位のアルバイト。
ハイジャッカーを倒した千葉さんを迎える新聞社カメラマン役だった。

未見だったが10年くらい前、偶然にその映画を見てしまった。

千葉さんの真ん前で、茶色の安物スーツを着た20歳の私を見つけて大笑いした。

当時、美大でカメラの勉強もしてたから、カメラを構える所作が良かったのだろう。

監督から「あなた。カメラやってるの? らしく見えるから前列の方で」と指示された。

だから、フレームに長く入っていた。

卒業後はCM制作会社で勤務。

長じて、監督として女優水野美紀さんの撮影をした時。

スタジオに来られた水野さんは印象より痩せていた。

私は「役作りですか?」と問う。

「絞っています。次作の香港映画『さそり』の為に千葉さんの所で殺陣も習ってるんです」と言われる。

私は「なるほど、さそりですか。その映画は『キルビル』みたいに撮りそうですね」と思わず言ってしまう。

千葉真一も出ていた『キルビル』。

「え? どうして分かるんですか? 香港の監督はそう言ってました」と水野さん驚いていた。

映画『キルビル』自体が、東映映画の『女囚さそり』や『修羅雪姫』をベースにしている。

私は水野さんに説明する。
「タランティーノ監督は、若い時ビデオ屋でアルバイトをして、梶芽衣子ファンになったそうです」と。

だから『キルビル』のエンディングロールでも梶芽衣子の歌『恨み節』が流れていた。

俳優、水野美紀さんはアクションが得意。

香港版『さそり』は未見だが、おそらく『キルビル』のユマ・サーマンより、日本刀の殺陣は水野さんのほうが上手に違いない。

で、私に日本刀の知識がある理由。

実は津田家の先祖が「刀匠」だった。

名は「津田越前守直助」と聞いている。

中学の修学旅行で訪れた大坂城に先祖の刀が展示されていた。

更に大学時代『素浪人月影兵庫』という再放送の時代劇を見ていた。

幕府御用達の刀匠、戸上城太郎扮する怖い顔の悪役、津田越前守直助。
シナリオライターが調べて書いたと思われる。

で、ご先祖の幕府御用達刀匠越前守「刀比べ」で負けるのが嫌で、山で暮らす老刀匠を殺しにいく。

うちのご先祖、最後に月影兵庫に斬り殺されていた。
ショックだった。

私の月影兵庫への『恨み節』は仕方ないと思う。




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