ヒッチコックを追いかけて2 ー映像黙視録ー自己紹介

ヒッチコックを追いかけて 2 映像・黙視録


私はCMの企画演出、映像を作る事を主な生業としている。
ドラマやドキュメンタリーも要請があれば作る。
普通では無い数の映画やドラマも見て来たから、最近では映画評論みたいな仕事もしている。

マンガを描いたり、美大に行ったり、CM屋になったり。
計画性も無い性格だからか、映画監督にもなかなか届かない。
だから映画的な小説なども上梓した。

『ピノキオは死を夢みる』『ピノキオは鏡の国へ』という連作。
続いているが片方だけでも成立する小説。
ジャンルは、敢えて言えばSFサスペンスなのだろう。
特に『鏡の国へ』は手に汗握るストーリーなのに、『ローマの休日』『大いなる西部』などウィリアム・ワイラーの映画裏話や西島秀俊出演『ドライブ・マイ・カー』モンローの『お熱いのがお好き』など、多くの映画解説までしている。
映画好きなら笑ってしまうと思う。

さらにキューブリックやヒッチコック本人まで、この小説に登場する。
キューブリックに至っては、事件の核心になる「謎」をヒロインに与える。
ストーリーが暴走し始める章。

この章を書くときが一番楽しかった。

キューブリックは作る映画のせいか、奇才とか呼ばれる人だが、たぶんこんな人だろうと推察する。

たくさん見てきた映像の蓄積。
このNoteで映画、映像についての雑感を呟こうと思っている。

小説の数年前に「ヒッチコックを追いかけて」という本を出した。

ヒッチコック監督をタイトルにした映画エッセイ。

オンデマンド本なのだが、ヒッチコック好きの方々が多いせいか、今でもチョコチョコ売れている。
タイトルはそんなだが、別にヒッチコックの研究本などでは無い。

ヒッチコックが作った映画技法、映画術は現代の監督たちが真似している。
勝手に使ってる。
たくさん見た映画やドラマで、そんなシーンに何度も出食わす。
長く続いている『クリミナル・マインドFBI行動分析課』など、ヒッチコックオマージュだらけ。
そんなのを指摘したり、好きな映画話を書き連ねた本に過ぎない。
スピルバーグやスコセッシ、ポランスキー、黒沢清など、サスペンスとかスリラージャンルで、ヒッチが発明した「映画術」が継承されている。
本当にみんな、ヒッチコックが好きなのだ。

『インディ・ジョーンズ』で暗闇でいきなりミイラ死体とか、『ジョーズ』の船底からサメに喰われた死体が現れるショックシーンは、ヒッチコックの『サイコ』のミイラ化した母親の描写に影響されている。
スコセッシが『タクシードライバー』で撮ったクローズアップの眼、そして『鳥』で使われた神の俯瞰も真似していた。

そんなヒッチの遊び心を色んな映画やドラマが「追いかけた」のをこっそり教える本だった。

でも、ここではヒッチコックだけじゃなく、多くの映画から感じた作法やギミックなど紹介したり、映画好きが楽しめるエッセイにしようと思っている。
おそらく偏った映画やドラマの見方。

興味がある方だけでも、良ければお付き合い願いたい。

津田ゆうじ

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