札幌のラッキー(9月)
ラッキーは札幌で可愛がられているキャバリア犬。
私のご主人様は札幌に住んでるコンピュータ技術者。
奥様は美人のどさんこ娘。
住まいは手稲山の麓のマンションの5階。
ベランダから手稲スキー場が見渡せる。
ご主人様はコンピュータ相手の仕事なので変則勤務。
通常の日中勤務や、夜中の勤務、休日出勤などがあり
いつも体調維持に気をつかっている。
私は神戸のラッキーのお母さんの娘です。
神戸のご主人様と札幌のご主人様は昔の仕事仲間。
このご縁で札幌に養子縁組が決定してやってきた。
今は6ヶ月のやんちゃ娘。
しかし、ご主人様と奥様に可愛がられている幸せ者。
この一年のハプニングを日記帳でご披露するね。
毎日がハッピーな自然流。
今日は9月5日の木曜日。
午前中に手稲区主催の
防災訓練が催されるんだって。
ご主人様は夜勤と通常勤務の切替休暇なので
奥様と私と3人で参加することに決定。
何せご主人様はマンションの自治会で防災担当。
場所は児童会館前の広場で行われる。
初めての参加なので訓練の内容は不明。
ご主人様が集めてきた情報によると
結構いろいろな訓練が本格的に行われるそうだ。
ご主人様は全種目に参加する予定なので
ジーンズに長袖のトレーナー・運動靴
というスタイルで意欲満々。
奥様はご主人様の雄姿(?)を
記念に残すための「番カメ」と私の引率者で参加。
毎日がハッピーな自然流。
いつものように奥様を真ん中にして
右側にご主人様左側に私というスタイルで
マンションから児童会館前の広場まで行進だ。
私と奥様を結んでいるのはいつもの散歩用紐だけど
ご主人様と奥様はきっちり手と手を握って行進だ。
いいなあ。
広場に着いてみると
既に消防車や救急車が止まっている。
広場の中ほどにはドラムカンや
畑のビニールハウスのようなものがこしらえている。
運動会で見るようなテントもひとつこしらえている。
そのテントの中から誰かが手招きをしているよ。
ご主人様がそれに気づいてテントに行ってみると
手稲区の自治会長さんがニコニコしながら
ご主人様とご挨拶。
毎日がハッピーな自然流。
「よく来ていただきましたな。今日は平日なんで
参加してくれる人がいるか心配しとったんです」
とご挨拶。
「こちらこそ初めての参加です。よろしく」
とご主人様もご挨拶。
「そうですか。初めての参加ですか。
さっきも言ったように今日は平日なので
若い方の参加はあまりいないと思いますので
見ているだけでなくて訓練には
積極的に参加してくださいね」
と頼まれちゃった。
ご主人様には待ちに待ったお言葉。
「よろこんで参加させていただきますよ」
とニコニコしながらご返答。
奥様はご主人様の気持ちが
わかっているので苦笑い。
私も参加できたら参加しよっと。
毎日がハッピーな自然流。
さ~て。いよいよ防災訓練の
開始の時間がやってきた。
自治会長さんが心配した参加者は
結構増えてきた。
しかし、多くは孫さんの相手を兼ねての
おじいちゃん、おばあちゃんと
ヤングママと小さなお子さんがほとんどだ。
犬を連れているのは奥様だけ。
最初に消防署のおじさんから
今日のスケジュールの説明と
防災の大切さが説明された後訓練が始まった。
先ずは初期消火訓練だ。
てんぷら油を入れたおなべに
火をつけて蓋で消化する。
消防署のおじさんが見本を見せてくれた。
さあて、これから見学者の中から
実際にやってみる人を募集。
この訓練は台所で起こることなので主婦対象。
ご主人様は参加資格無し。
毎日がハッピーな自然流。
募集のマイクの声に反応する人はだれもいない。
ご主人様は出たいのだけど残念ながら資格なし。
「ラッキーは私が見ておくからやってみたら」
と奥様を前に押し出した。
それをみていた消防署のおじさんが
ニコニコしながら奥様になべの蓋を渡しちゃったので
奥様はしぶしぶやってみることに。
当然、ご主人様が番カメに大変身。
奥様が火のついたなべに向かって
蓋を盾代わりに近づいていくけど
蓋をするタイミングがわからない。
ちょっと困った顔をこちらに向けたタイミングで
ご主人様がパチリ。
しかたがないので消防署のおじさんが同行してくれて
奥様と一緒に蓋を持って
エイヤーと一気に蓋をして大成功。
これもパチリ。
毎日がハッピーな自然流。
奥様の様子でやり方がわかったのか
この後はヤングママ二人が挑戦して両方とも大成功。
奥様が「結構炎が大きくて実際に台所で発生したら
あんなにうまくいかないわよ」
とご主人様にちょっとすねた顔でアッピール。
「そうだね。ぴったり合う蓋がその場にあればいいんだけど
なければ慌てているから水をかけてしまうかも。
水をかけるともっと炎が上がってしまうらしいよ」
とうまく話題を変えている。
この話を聞いていた消防署のおじさんが
「ただいまこんな質問がありましたので
ちょっとやってみます」
といいながら油の炎に水をかけて
より炎が大きくなる実験をやってくれた。
ご主人様の言ったとおりになったので
ご主人様は鼻高々。
毎日がハッピーな自然流。
次は消火器を使っての消化訓練。
ドラムカンの中のぼろ布に火を着けて
先ずは消防署のおじさんが手本を見せてくれた。
待ちに待ったご主人様の出番が回ってきた感じ。
「どなたか~」と言い出した瞬間に
ドラムカンの方にご主人様がでていった。
先ずは消火器の扱い方を
消防署のおじさんから伝授されて
いよいよドラムカンのぼろ布に着火。
ご主人様は先ず消火器のノズルを
しっかり握って安全ピンを抜いた後
火元まで近づいてハンドルバーをグイッと握ると
ノズルから真っ白な消化液が生き良いよく噴射。
うまくドラムカンの火元に命中したので
ほんの10秒ほどで消化完了。
毎日がハッピーな自然流。
ご主人様は待望の訓練に参加できたので
意気揚揚と引き上げてきた。
「どうだい。一発で消えただろう」
と得意満面で奥様に自慢。
奥様も「消火器使うの初めてでしょう。
本当、うまくいったわね。
写真もバッチリ撮っておいたわよ」とウインク。
この後おじさんとヤングママが挑戦したんだけど
みんな炎に消火液をかけたので
完全に消化できなかった。
消火器って約10秒でなくなっちゃうんだって。
次の訓練は救出救護訓練だって。
これは担架を使ってけが人を救出して
簡単な治療をした後
救急車に運び込む訓練だ。
これは、消防署のおじさん達がやってくれるので
ご主人様の出番無し。
毎日がハッピーな自然流。
広場で行う最後の訓練は煙道通過訓練。
これは煙の中を逃げる訓練だって。
この訓練は畑の中の
ビニールハウスのようなものを使って行うんだ。
このビニールハウスの中に煙を半分ぐらい
充満させた中を通り抜けるんだ。
前の訓練と同じく消防署のおじさん達が
手本を見せてくれた。
背を低くして口にハンカチを当てて
一気に通り抜けるんだ。
この訓練はできるだけ多くの人に
経験してほしいので参加フリー。
ご主人様が消防署のおじさんに
「犬を連れて参加してもいいですか」
と聞くと「もちろんOKですよ」
と私の方を向いてうなづいてくれた。
ヤッター!私も参加できるんだ。
おじさんにお礼の尻尾振り振りを
目一杯してあげた。
毎日がハッピーな自然流。
なんと、私たちが一番最初だ。
ご主人様、奥様と私の順番で
ビニールハウスに突入。
ご主人様は背が高いので
低く背をかがめるのが大変。
奥様はちょっとかがんだ状態で前進。
私はもともと低めなのでそのまま前進だ。
しかし私の鼻レーダーは感度良好。
歩いているうちに煙で鼻がムズムズしてきた。
やっとビニールハウスを脱出したとたん
くしゃみ3発。
そして、いつもの頭と耳をブルブルっとして
やっと落ち着いた。
この光景を見ていた人たちは
私の愛嬌のある仕草でどっと笑いがあがった。
奥様はちょっと照れくさがっていたけど
ご主人様はヒロインの飼い主として
意気揚揚とご帰還。
毎日がハッピーな自然流。
司会をしていた消防署のおじさんも
ユーモアを持っていて
なかなか参加してくれない人たちに
「ワンチャンも貴重な体験をされました。
きっとこのワンチャンは火事にあったら
もっと身を低くして脱出してくるDNAを
今感じ取っていますよ。
まだ参加されていない方々も
いざ火事に合われた時に
くしゃみ3回しなくても良いように
体験訓練に参加してくださいね」
とうまくアッピール。
それを聞いていた人たちは
クスクス笑いながら大勢が参加。
消防署のおじさんがこの光景を見て
私たちにウインク。
ご主人様は軽~く片手を上げて返礼。
私も尻尾を目一杯振ってご返礼。
毎日がハッピーな自然流。
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