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「デ・キリコ  不思議の世界へ、ようこそ」@東京都美術館(上野)

5月9~10日の「お一人様東京アートツアー」 まとめ

20世紀のイタリア絵画の中で「形而上絵画」と呼ばれた画風が特徴的なジョルジュ・デ・キリコ大懐古展
形而上絵画というと「歪んだ遠近法、脈絡のないモチィーフの配置、幻想的な雰囲気によって、日常に潜む非日常を表した絵画」と定義されています。
一番有名な「通りの神秘と憂愁」という作品はきてなかったけど、この絵、私、とっても好きなんです。割と日常的に目にする素材を描いているのに、全体としてとても不思議で幻想的で非日常。どこか「悪い展開」を予想させるような暗示的な絵

この絵を描いたキリコとはどういった人物だったのだろう、この絵に至るまでどういった作品を描いてきたんだろう。
そういう気持ちでこの展覧会を鑑賞しました。

どこか「森村泰昌さん的な・・・・森村さんと重なる気がする」というのが一言感想です。
ナポレオン風の衣装を纏った自画像を描いたり、中世の騎士や中世の貴族の衣装を纏った自画像を描いていた。これ、森村さんの「セルフ・ポートレート」と重なりました。
その後、第一次世界大戦に兵士として従軍した経験もあり、また、フィレンツェやフェラーラの街で見たもの、イタリア広場の塔、また、ニーチェやショーペンハウアーなどの思想家・哲学者からの影響から、形而上絵画と呼ばれる画風へと進むが、興味深いのは、キリコはシュールレアリズムとかに進みながらも、また、古典絵画への回帰があったこと。着物のひだとかマチエールなどがルネッサンス風に描かれる時期がまた訪れてること・・・この辺、知らなかったので興味深かった。形而上学絵画の不思議な幻想的な絵が、一気にダリ的にいっちゃってたのかというと、そうではなかったってところが興味深かった。

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