映画「クライムズ・オブ・ザ・フューチャー」

原題 Crimes of the Future
directed by David Cronenberg
starring: Viggo Mortensen, Lea Seydoux, Kristen Stewart, Scott Spendman

そう遠くない未来、人工的な環境に適応するよう進化し続けた人類は、生物学的構造の変容を遂げ、痛みの感覚も消えた。「加速進化症候群」のアーティスト・ソール(ヴィゴ・モーテンセン)は、体内に次々と生み出す新たな臓器に、パートナーのカプリース(レア・セドゥ)がタトゥーを施し摘出する「解剖ショー」は、毎回チケットが完売するほどの人気だ。しかし、政府は、人類の誤った進化と暴走を監視するため「臓器登録所」を設立。ソールには強い関心を持っていた。そんな彼の元に、生前、プラスチックを食べていたという幼い男の子の遺体を解剖してほしいという依頼がくる。

デヴット・クローネンバーグ監督の作品というと・・・グチョグチョなイメージが強くて、今回も「私のヴィゴ様」が出てなかったら観なかったかもなぁ・・・
ヴィゴ・モーテンセンとしては久しぶりにお髭のない顔での主演だけど、でも、なんか、もぉ〜ね、耽美なんだけど、狂気な世界の中で「トンデモ」な人物の役だけに・・・
痛みがない・・・・それは恩恵なんだろうか? 否、痛みが全くないというのは、とても退屈で、ある意味「生きているという実感も全くない・・・ユートピアではなく、むしろディストピアに近いのか?
刺激がほしいからか、そのベッドがすごく「奇妙奇天烈」なのだ、変な生き物というか、巨大な虫? みたいな中に横たわって揺れるたびに体のあちこちを刺激する?みたいな・・・
そして、変なイスも、骨があちこちに突き出ていて、座ると体のあちこちを「つつく」ようになっていて・・・
解剖台(手術台)もなんだか、虫というか爬虫類ちっく??
ぬめっとした感じとか、その緩やかな曲線を描くフォルム・・・

これは不謹慎な連想かもしれないけど、この、彼らのいう「伝説の解剖台」の見かけが、一昨年だったか、瀬戸芸で訪れた「大島」にあった、ハンセン氏病隔離施設に、かつてあった「解剖台」のフォルムを連想させるものだった。

レア・セドゥとヴィゴ・モーテンセンのなんとも言えない「カップル」も強烈だったし、その解剖台の電子メスとかの動きもまた、アート的で、カーディフ&ミラー展での「処刑台」みたいな作品を連想させた。

とにかくアート的にはとても耽美で、グチョグチョ感は感じなかったし、ある意味「美しい」映画だったけど・・・

冒頭に出てきた「プラスチックを食べてしまう男の子」が、実は本当に「人類の新たな進化形」だったということで、「加速的進化を遂げている」と自認していたソールとしてはショックだったということなのか。「自分は進化ではなく単なる腫瘍だらけの旧人類で、実は新人類としての進化は自分じゃなく、あのプラスチックを消化できるようになった男の子だったのだ・・・という事実・・・それに打ちのめされて、嫉妬してしまったのか・・・

プラスチックを分解できる細菌が実際にいる・・・のだから、こういう進化もあるのかなぁ・・・なんか、グチョグチョしてきた(苦笑)。

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