映画「碁盤斬り」

directed by 白石和彌
starring : 草彅剛、清原果耶、中川大志、奥野瑛太、音尾琢真、市村正親、立川談慶、中村優子、小泉今日子、國村隼、斎藤工

浪人・柳田格之進(草彅剛)は、身に覚えのない盗みの罪を着せられ、妻も失い、故郷の彦根藩を追われた。娘の絹(清原果耶)と二人、江戸の貧乏長屋に住み、篆刻の仕事で糊口を凌いでいる。吉原の楼を構える女将(小泉今日子)は篆刻の仕事を回したり、絹に仕立物を頼んだりと二人に親切だ。格之進が嗜む囲碁は、その実直な人柄が表れ、嘘偽りのない勝負を心掛けている。その囲碁を通じて知り合った、質屋の主人(國村隼)は、商売に抜け目なく、あくどい商いもなんのその・・だったのだが、格之進の打つ囲碁の美しさに魅せられ、次第に商売のやり方も変わっていく。
二人が親しくなるにつれ、絹と 見習い番頭の弥吉(中川大志)は次第に親しくなっていく。
そんなある日、旧知の藩士(奥野瑛太)から、事件の真相を知らされた格之進と絹は、真犯人であり妻を犯した柴田兵庫(斎藤工)を探し出し、仇討ちを誓う。また、質屋で50両の紛失事件が発生し、その疑いが格之進にかけられたことに激昂した格之進は、絹を吉原の女将に預け、また、弥吉にある約束をさせる。芝田兵庫が江戸での賭け碁の賭場にきているとしった格之進は・・・囲碁の勝負をもちかけるが・・・

白石和彌監督の撮る時代劇は、蝋燭の火ぐらいのほの暗さで撮っていくから、影、畳、人の肌、着物、一つ一つの小さな食器や小道具、全てが美しい。また草彅剛さんが、時折見せる感情を昂らせるシーンの声音、それまでの「草彅さんの声」とは全然異質のドスの効いた迫力ある声は、凄みもあって見事だった。
草彅さんも國村さんもイマイチ囲碁のルールは知らないまま、わからないまま演じていたそうで・・・それがちょっとびっくり。でもまぁ、将棋のドラマとか囲碁のドラマとか、それをやっってない人が見たら、「これは凄い手だ」とかとかセリフがあっても、わかんないもんね。
まぁ、囲碁は陣取りが見た目(面積)や取られた石の数でわかるから、私てきには将棋よりは勝ち負けわかりやすいんだけど・・・
亡き父が囲碁が好きで、日曜日となると、NHK教育テレビ(Eテレ)をみながら、一人碁を打っていたのを思い出す。
斬り合いのシーンなど、時代劇ならではの見せ場もすごく良かったし・・・
斎藤工との斬り合いのシーンなど、もう両者凄みがすごくって、怖くって、暗い中で狭い中での立ち回りシーンは、見応え十分でした。

そして、碁盤斬り・・・落語のお題にもなっている話につながるそうなんだけど、その辺全く知らないんだけどね。でも、斬られた碁盤がとても印象に残る映し方、見事だなぁ。
また、小泉今日子さんが演じる「ただ親切だけじゃない、色を売る吉原で生きる女の強さと厳しさ」をも見せていたところ、存在感すごかったです。
特に足抜けして折檻を受けた女郎が、恨めしげな目だけで絹を見ている、あのシーン・・・絹は結局庇護されたわけだけど、それって確かに不公平は不公平だよな。

この物語は正義は勝つ・・・だけではなく「水清ければ魚棲まず」という諺も大きな位置を占めていて、ただ正しいだけを貫いてたら、実は周りの人を知らずに傷つけてしまうこともある・・・という世の中を生き抜いていく難しさをもテーマにしているだけに、最後のかなりコマ落としの端折り方はもったいなかったなぁ。

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