映画「BAD LANDS バッド・ランズ」


directed by 原田眞人
starring : 安藤サクラ、山田涼介、生瀬勝久、吉原光夫、渕上泰史、縄田カノン、大場泰正、前田航基、天童よしみ、江上のりこ、宇崎竜童

大阪西成地区。「オレオレ詐欺」の摘発・捜査が厳しくなる中、分業化されたシステムはなかなかに巧妙だ。「名簿屋」の高城(生瀬勝久)に雇われているネリ(安藤サクラ)は、オレオレ詐欺の受け子を手配する役割「三塁コーチ」を担っている。刑務所から出所したばかりのジョー(山田涼介)はネリの父親違いの弟で、高城に仕事を紹介してもらおうとネリを頼りにやってきた。ジョーを高城に紹介し、二人で仕事をこなすようになるネリとジョーだが、ジョーが調子に乗って入った「ヤミ賭博」で思わぬ負けを喫してしまい、ネリに泣きつく。結局、高城の金庫にある「上がり(オレオレ詐欺の儲け)」を狙って盗もうとした夜、二人は、思いがけず、億を超える大金を手にする・・・しかし、単なる「名簿屋」ではなかった高城の「役割」を知ったことで、ネリとジョーは命を狙われてしまう。

終始、安藤サクラさんの身のこなしの巧みさと切れ味に魅せられてしまう。
その軽いフットワークが、最後の最後で「なるほどね〜」と舌を巻いてしまう。
大阪の西成が舞台になっているので、大阪弁のやりとりが峻烈やけど、ちょっと巻舌の関東弁っぽさが気になったけど、まぁ、もともとネリは東京から逃げてきたという設定だから、まぁいいかな。
  「教授」と呼ばれた紳士然としたホームレスを大場泰正さんが好演、なんでこんなちゃんとした人がホームレスで「オレオレ詐欺」やってんんだろ〜ってすごく謎で印象に残った。
 そして曼荼羅と呼ばれてた、かなりワケあり人物を宇崎竜童。この人の存在感が素晴らしかったし、この人、背中がエロいんだよね〜だから、引きつけられちゃう。
  結局、毒親の元に生まれ、愛情なんて「とっくに捨てた」状態になって、ネリも東京で、大金持ってるがすげぇサイコパスの男に弄ばれ、暴力をふるわれ片耳が聞こえなくなったほど・・・そして転がりこんだ大阪で、父親である高城にも「愛情ではなく、手腕」で目をかけられた・・・という状態。その中で唯一、心を寄せ合ったのが弟のジョーってことだね。すごく切ないけど、そういう切なさをバッサリ捨てたようなネリの表情が際立ってたな。
  とってくっつけたような明るい場所・・・ではなく、西成の「よどんだ空気感」の中を生かした場面作りはとても似合ってたと思う。

最初に出てきた「月曜日の巫女」の設定を、最後の最後で生かす・・・まぁ、見え見えだけど、でも、安藤サクラさんの動きがすごく切れ味良かったし、やっとやっと「希望」なのかなって救いの光、そこがとても明るく撮ってたのも、スッキリしててよかった。

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