猫のような柴犬について①

我が家は柴犬を飼っている。黒柴。おそらく世界中のどの柴犬よりも可愛い。本当に可愛い。manyuちゃん以上にバズるポテンシャルがあると感じている。ただしこれはどの飼い主さんも思っていることなので、どんな子ですか?と聞かれたとき「猫みたいな犬です」と答えるようにしている。

柴犬と言えば忠実とか警戒心が強いとかをイメージされるかもしれない。実際の柴犬はそれよりなにより我が強い。とことんマイペースで、できることなら我々は奴隷となってベッタベタに甘やかしたいところだが、そういうわけにもいかないので躾をしているのが柴犬飼いである。
我が家の柴はその我の強さに加え、テンションが低いというか冷静というかおっとりとしている。
具体例をあげればしっぽを振ってお出迎えなんかしてくれないし、ご飯も散歩も乗り気ではない。今回は散歩について語ろうと思う。

我が家の犬は散歩があまり好きではない。嫌いというほどではない。行けば行ったで楽しそうに歩く。早朝と昼過ぎの二回。暑ければ午後の散歩を夕方にずらし、雨の日は歩いてくれないので行けない。朝は家の周りで散歩をし、午後は家の近くの公園か、車で十分ほどの公園へ向かう。

おそらく彼女は出かける準備が面倒くさいのだ。「散歩いこ?」とお伺いを立てる。毎日のことなのに「またぁ?」という顔をする。悪天候を避けるため、普段と異なる時間に声をかけようもんなら狸寝入りを試みる。ハーネスを着けようとすると「へ?行きませんけども?」みたいな顔をしてビーズクッションに埋もれる。ハーネスを着けるにはおやつでおびき出す必要がある。
つけ始めてしまえば抵抗することはなく、無論散歩にテンションが上がることもない。

イタリアでは一日三回の散歩が義務図けられているらしい。我が家は一発アウトである。イタリアで柴犬を飼うのは至難の技に違いない。行きたがらなくても罰金を払うことになるのだろうか。イタリア人は我が家のようにただ面倒くさくて散歩に行き渋る犬がいるなんて夢にも思ってないのだろう。
イタリアで訴えられたら「これは猫です」で乗り切るしかない。


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