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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
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「Life gallery(人生書廊)」プレイ感想 一問一答 その1

初めに紹介~微ネタバレあり~


1 Lifegalleryってどんな内容なの


ミニゲームのたくさん入ったお話。遊ぶには300円前後のアプリを買う必要があります。西洋絵画と蛾とモツとぶちぶちした集合体が出てきます。

2 ミニゲームは難しいの


基本ノーヒントですが、時間制限も無いゲームばかりです。ただ私的には1つだけ群を抜いて難しいものがあります。

3 このゲームの魅力を教えて


作品全体を覆うほの暗い空気、単眼の少年がかわいい。これにつきます。西洋美術を知っていると、より内容が楽しめると思います。





~ここから本格ネタバレ~

※作品の核心に触れています。
※私的解釈も多分に含みます。ご注意下さい



4 「Lifegallery」に出てくる絵画と作品のストーリーって関係あるの


大いにあります。

というかざっくりでもいいので、西洋美術史を頭に入れておかないとほぼラストの展開に首をかしげるかもしれません。「Lifegallery」の感想が「グロテスクなゲームだけど単眼くんと隻腕くんがかわいい」しか残らなくなる恐れがあります。

5  ラスト展開が「両親から愛されなかった少年が、蘇ったと思いこんだ彼らを弄んで、飽きたら吊るして絞首刑扱い。その後何もなかったように両親の人形と風船を作って遊んでる」

って内容でいい? さすがにサイコすぎない?


客観的に見たらそうなります。ただ私としては

「アイリスの催眠剤を使ってまで復活したと思いこんでいたかった両親を単眼くんが写真をきっかけに、これは自分の両親そのものではなく、それを模した『自分の作品(AではなくA´)』と認める」
「彼ら個人的な思い出の品は自分だけのものとして収め、そして彼ら自体は作品として観客(私たちプレイヤー)に提示する」
「単眼くんは報われなかった愛情や思慕を創作で埋めていく(教団が続く限りは)」


だと解釈しています。終章「ダンス」では額縁らしき枠に、見物客用の柵まで手前に用意されているという演出が出るので誰かに作品を見せるというメッセージは明確にあるはずです。
なお単眼くんが両親の身体を吊るして揺れる様は、動く彫刻「モビール」の手法が使われているものと思われます。モビールの作者であるカルダーが影響を受けた作家はモンドリアンだそうで。つまり単眼くんはいきなりサイコな行為に走ったわけではなく、近代美術史の影響を受けたと私は受けとっています。本物の肉体でなく、人形でやればよかったのに。

6 まだ両親の愛にこだわる?


かなわない願いほど求めるということです。両親が隻腕くんの腕をしつこく求めたことと同じですね。ただ単眼くんの行為は依存に近いものを感じます。両親や教団以外の行き場を知らないこともあるでしょう。

7 ラストの黒い手って何? 100回くらい叩かないとエンドに行けないんだけど


普通に考えればフィッシュヘッド教団の手。ひねって考えるなら、我々プレイヤーも入ると思います。作中で単眼くんに数々の動植物の命を奪う行為を取らせたのは我々ですので。

8 タイトル画面と作中でパロディとして登場する西洋絵画のジャンルと作家の名前を教えて


知っている分だけを大まかにですが、作中に登場した順ですとマグリット「観念」、ステンドグラス、ミケランジェロ「天地創造」、マティス「ダンス」、モンドリアン「赤と青のコンポジション」、ダ・ヴィンチ「モナ・リザ」、神秘劇、ゴッホ「ひまわり」、ルドン「(期限Ⅱ)」、ゴッホ「アイリス」等々……だと思います。
特に明確なタイトルは確認が取れないものでも、肖像画や静物画のような作品もありますよね。写真は芸術に入るのか。それはさておき。
こうして書いて見ると、ラスコーのアルタミラの壁画のような黎明期の絵と宗教画(ついでに裸体画……関係無いな)を除いては西洋美術史の流れをほぼなぞっていますね。
中世の作品が親の、近代の作品が子のパートで出てくるところがまた面白い。
私的には美術史の勉強に勧めたいくらいですが、それ以上いけない
※他にもこれだと思ったものがありましたら、是非コメント欄にてご報告お願いいたします。


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