下界Part11

下界Part11

毎回とは限りませんが今作はエログロ描写や官能描写を多大に含みますので20才未満の閲覧はご遠慮してくださいね♪
なお現実と烈しく乖離した描写がめちゃくちゃ多数ありますことをお断りしておきます

「敵、宇宙戦艦の第三艦橋に秋種 加世(あきくさ かよ)13才、中学1年生を発見、3学期期末テストの結果が散々だったにも関わらず艦載のPCでエロゲーを堪能中、こちらの動きにはまだ気がついていない模様」
肩まで伸びた外に跳ねた赤髪、身長168cm自称Hカップ、性格は極めてサディスティック、能力未知数、サイバネティクスサイボーグの可能性あり。

あたしは浣腸である葉類 亜希(はるい あき)自称みならい刑事に報告をした。
「ふん、この状況でヌキゲーとはたいした余裕だね」
実は本名も年齢も不明、黒い、ストレートヘアを腰まで伸ばしている、身長は135cm、胸は残念なBカップ、小学5年生くらいにしか見えない。自称は葉類亜希、書類上は19才のみならい刑事、もちろん所持している警察手帳は偽造品の偽物だ。

「艦橋内で男をはべらせ、自身の股間の性器をメンテナンス作業させ中、あ、今ぺろぺろさせ中です」
我が艦でただ1人、透視能力を持つ文 月輪(ふみ つきわ)が報告した。身長は132cm、マリモ型の金髪爆発ヘア、と言うかほとんど縮毛、胸はあるのかないのかわからないAカップ、年齢は不詳だが3月半ば時点の今では中学1年生。近距離なら念動力攻撃も可能。

「どうします?亜希浣腸、近くにあるデブリを念動力で最大速度で機関部にぶつけてエンジンを貫通させますか?」
そう言ったのは水無 月海(みずな つきみ)14才、中学2年生胸までの黒髪ストレートヘア、細い目が鋭く見た目が怖い。
身長168cmから170cmに成長中Dカップ。

「待って加世は卑怯にも幼稚園児を300人も人質に取っているわ、答えたのは佐原 観萌(さはら みもえ)13才、中学1年生、いわゆる人間量子コンピューター、いつもは腰まで伸びたストレートの茶髪、身長は173cmだったが今では176cmに成長中、なお敵に肉体欠損を伴う攻撃を受けると身長も胸のサイズも髪の長さも色もランダムに変化する。

「じゃあどうすりゃあいいのですか?いっそのことミサイル攻撃とか」
物騒な事を言っているのは冬河 銀(とうか ぎん)13才、中学1年生、身長152cmから154cmに成長中E〜Iカップまで変化する可変バストの持ち主、最大全長25cm口径45mm以上はある巨大なチ〇〇ンを股間に忍ばせている。
以前、あたしが軽く触れただけで盛大に射出距離50cm、20ccほど〇精したことがあるので外見上〇玉が無くても生殖機能はあると思われる。
ちなみに通常の男性に金〇がある位置には謎のアナがあって少しでも中に入れようものならブラックホールのようになんでも吸い込んでしまう。

「あたしが強く望めばエンジンは爆発しないで機関停止で済むはず、月海さん、思う存分やっちゃって」
そう言ったのは可奈野 椎(かなの つち)12才、中学1年生、3月の30日にならないと13才になれないのと逆さ読みすると卑猥なネーミングになってしまう可哀想な少女。
彼女の能力はあらゆる願望を実現させてしまう点にある。
身長や体型、顔まで自由自在に変えられるが生理の数日前はデフォルトの身長123cmになってしまうもちろん胸はAカップさえない。
しかし過去にこの状態のまま複数の男にレイプされてその小さな胎に孕まされたこともあるが銀の助けにより無事に出産することもなく今に至る。(その時はほぼ面識はなく、彼女自身にも記憶はない)

「そう言っておいて、先日は艦橋ごと爆破させてイケメン30人も見殺しにしましたよね」
そう言ったのは春 香織(はる かおり)13才、中学2年生だがあと数日で14歳になるはず、黒色の髪を胸まで伸ばしていたが今はややグリーンのかかったヘアカラーで染めている。身長165cm、今は166cmに成長中、Fカップ、誰よりも強力な時間操作能力を持っている。

そしてあたし、夏乃 花奈12才、今は中学1年生だがあと数日過ぎないと13才になれない。
身長156cmだがこれ以上伸びる気配がない、胸も残念系なCカップ、あいつ椎に比べたら良い点がまるでない、それどころかあいつは何度か銀ちゃんと肉体関係を持っているのにあたしには何もない!というかそんな記憶はない。
「もうこうなったら加世の戦艦の右スタビライザーをエネルギー化するわよ!あとは膣、あんたの欲望達成能力でなんとかしなさい!」
そう、あたしの能力は狙った物質の質量をアイシュタインの方程式に則りエネルギーに変換できることにある。

「あ、バカやめろ!」
月海が叫んだがもう手遅れだ、加世の宇宙船は核爆発に匹敵するエネルギーを炸裂させて宇宙の塵に・・・
ならなかった。
あたし、花奈はすっかり忘れていたのだ。
加世の能力のひとつを、ありとあらゆるエネルギーを転移転生能力に変換できるという事を。
きっと別の座標系にまんまと逃げおおせたのだろう。

「つか、この人物紹介、本編とは関係ないでしょ」
椎に指摘された。
確かにそうかも、この話に宇宙船とか出て来ないし。
「サラッと名前逆さ読みにするし」
あたしは膣、じゃない、椎に指摘されてしまった。

「逃げられてしまいましたね」
私は掃除などで忙しくてその現場をちゃんと見ていたわけではないが違和感を感じたのは事実だよ。
「ここまで近くに接近してやっとわかりました、彼女の肉体はほとんどが人造物でできています」
『G』さんがそう言うと残念そうな表情をしてまだ完全に傷が癒えたわけじゃない観萌ちゃんの身体に優しく抱きついた。
「私、気になることがあるんです」
観萌ちゃんが小さく呟いた。
「どうやら私たちの中でただ1人だけ、彼女は未来からやってきたんじゃないのかって気がするんです」
それは薄々、あたし、花奈も感じていたことだった。
他の6人に関してはあたしは過去に接触した記憶、ううん、正しくは将来接触するだろうと言う予知夢があって実際ほぼその通りに接触する事実が発生していた。
しかし香代に関してはそれがまったくないんだよね、
今回は幼い時、まだあたしが小学5、6年生だった頃の話をしようと思う。
あたしの家はそれほど裕福な方じゃなかったので平屋の四軒並んだアパートに住んでいた。
玄関を開けると自転車が3台ほど縦並びに停められる長細い土間があってその右側、壁の方には下駄箱やちょっとしたものが置ける棚があった。
そしてその向こうには裏庭に通じる裏口があった。
とはいえさして広くはないのだが洗濯竿が2、3本はかけられるスペースはあったと思う。
その土間の左には手前に四畳半が横にふた部屋、奥には、押し入れがあったと記憶していた。
いわゆる仏間や床の間は存在しておらず家具自体が少なかったと記憶している。
そして土間の奥には横に長いキッチン兼リビングていうかダイニングみたいなのがあってそもさらに左奥には手前に洗面台と洗濯機そして小さいながらも洗い場付きの浴室、もちろん足なんて伸ばせない。
そしてその奥、庭の方にはこれまたこじんまりとしたトイレがあった。一応は水洗式だったけれどいわゆる和式、この際贅沢は言えない。
まあ、親子4人で住むには広いとは言い難かったが決して狭いとも言えないと思う。
その頃父はまだ30台後半で、母も30になったばかりの頃だったと思う。
2人はいわゆるできちゃった婚というやつで兄は母が15才になったばかりの頃産んだらしい、ということは今考えると私の兄は母がまだ14才になってそれほど経たないうちに仕込まれたことになるわけで実際にはもっと早くからふたりは大人のエッチな事をしていたことになる。
父と母は奥の部屋に寝て私と兄は手前の部屋に土間の方を頭にしてシングルサイズの布団をふたつ並べて寝ていた。
その頃の私は小学5年生半ばにして十分に成長していて身長も150cmは超えていて胸だって結構膨らんできていたと思う。
それどころかあたしは10才の秋に初潮を迎えていた。
それを兄のせいにする気はまったくない。
まだ夏休みの前の寝苦しい夜にこっちを向いてあたしの寝顔を覗き込みながらパジャマの中にティッシュを仕込んであたしのむねを横から覗き込んで息を荒げながら薄地のタオルケットとパジャマ越しにあたしの股間にあるものを妄想しながら鼻を突く匂いのあるものを出していたなんて想像だにしていなかった。
しかし今考えるとその匂いがあたしの二次性徴ホルモンを刺激して女性性器の発育を促して初潮と胸の成長を促したのは確かなようだ。
母は赤飯を炊いて喜んでくれたが当のあたしにはあまり嬉しくはなかった。
いっそのこと母と一緒に寝たいとお願いしたこともあったが父と母はまだそんな頃はお盛んな頃で許してはもらえなかった。

初潮を迎えてから2、3回目の生理の始まったばかりの夜だっただろうか?
あたしは悪夢にうなされていた。
いつものように母と父はせっせと夜の行いに励んでいた。
あたしもいい加減に慣れてきたのでさっさと自分の布団と兄の布団を敷いて眠りにつき始めていた。
突然にあたしの体にのしかかってきた重い体重と荒い鼻息、声を出そうとしていたあたしは自分の口に大きめのフェイスタオルが咥えられていて後頭部で縛られていることに気がついた。
両手首も背中で縛られ、両足首も同様に縛られていた。
パジャマの上着が一つ一つ丁寧に外されると決して小さくはない乳房が顕になり、その片方をもみしだきながらもう片方の乳首を執拗にしゃぶっている男が自分の兄だということに気がついたのはその時だった、自分の息も荒々しくなり叫び声も出して声にして父や母に助けを求めようとしたけど声にならずフガフガ言っているだけだった。
やがて兄はあたしのパジャマを一気に足首まで引き摺り下ろすと足首を一気に腰の辺りまで押し上げて結局あたしの股間は無防備に開かれてしまった。
兄がニヤニヤといやらしい笑みを浮かべながらあたしのパンツの股間部をずらして二本の硬くて太い指をあらわになった窪みの中に滑り込ませるとあたしは全神経が暴走したような錯覚に襲われて熱い息を大量に吐き出しては大きく吸い込む動作を激しく繰り返しながら身をよじらせていた。
兄はやがて自分のパジャマズボンの前開きから見たこともない太くて大きなものをあたしのずらされたパンツからあらわになった谷間の中の生々しい肉の穴に突っ込んできた。
お腹の中が押し広げられるような痛みと快感が同時にあたしを襲いあたしの呼吸はさらに荒々しく熱くなるが声はフェイスタオルに吸収されたのか出ない。
兄は最初のうちはゆっくりと腰を振っていたがやがてあたしの吐息きが最高潮達するポイントをつかまえると急に腰の動きを激しくし始めてあたしは自分の下腹部から聞こえる『クチュクチュ』という音を聞きながら意識を失いかけるが突然に兄の太い棒が激しく脈打ち始めてそれに同期するようにあたしの下腹部に熱いものが流れ込み、その棒をピストンのようにあたしの穴の中で出し入れを繰り返してまるでポンプのようにその熱い液体をさらにおくへと流し込むのがわかった。
もう自分が何をしているのか、されているのかさえまったくわからない。
あたしは兄にしがみついてその熱い液体が兄の腰の振りに合わせて次々とお腹の奥に押し上げられてゆく感覚をまるで自転車の空気入れみたいにあたしのお腹が膨らんでゆくなって思いながら目を覚ましていた。

その日の朝は目覚めがとても悪かった。
まさか実の兄がそんな事をするとは思ってもいなかったし、もしかしてあたしにそんな願望があるのかも、と自身を疑った時に自分の身体が熱く火照るのを感じていた。
「やあ」
てな感じでたまにぎこちない挨拶を交わすことはあっても今までみたいに普通に話すことがなくなった。

そして翌年の小学六年生になった寝苦しい熱い夏の夜その悪夢は現実のものになってしまった。
シチュエーションは前にみた夢とほぼ同じだった。違ったのはその悪夢が1発だけじゃなくて、2発目、3発目と際限なく永遠に続くと思われたことだった。
事実、次の日の朝にはあたしの布団はおねしょをしたかのようにぐしょぐしょに濡れていた。
鼻を突く嫌な匂いに両親が気付かれてとがめられると思われたが現実は違っていた。あたしの目には何故か両親はむしろそれを歓迎しているかにさえ感じられた。
その後知ったことだけどあたしは両親の実の娘などではなかった。
戸籍上は実の娘だとばかり思っていたが実際には養子縁組の義理の妹だった。
しかも養子だったのは兄の方も同じで実際には大企業の一人息子だった。
母も父も一般人で双方の家族をバス転落事故で失っていた。
父と母は息子を引き取る事でその大企業の隠し養子として引き取られることとなっていた。
つまりは本当の娘でないあたしが義理の兄に乱暴されて犯されようが孕まされようがお構いなしということだ。
あたしは頭の中が錯乱して体調不良を理由に学校を1日休んだ。
あたしもさすがにふた晩続けて襲われることはないと思っていた。しかしその微かな望みさえ両親が深夜から出かけたと同時に断たれてしまった。
再び、いや、悪夢を含めた3度目のあたしに対する性的暴行が長時間、何度も行われてあたしは下半身を中心とする激痛で次の朝まともに起きられなかった。
その次の授業もあたしはエスケープした。
自分の下半身に染み付いた刺激臭が何度もこすり洗いをしても抜けなかった。
次の日も両親は何も言わずに学校に連絡を入れてくれた。
そのままあたしは意識を失った。
母親が入れてくれたミルクティ飲んだ直後ことだった。
薄れゆく意識の中であたしはふたりの会話をおぼろげながら耳にしていた。
「おぼちゃんにはいつまで花奈に対する生殖行為をさせる気か?」
「そりゃあもちろん、出来の悪い性欲まみれのおぼっちゃまに変わる世継ぎが生まれるまで何度でも、毎日花奈がおぼっちゃまの子供を孕むまでよ」
「ボク達が与えられた任務は前社長が男グセのわるさ故に出来てしまった有名男子アイドルとの間に出来た男児を隠匿するためのものだったが、まさかそこまで遺伝するとはなぁ」
「バラして公開すればいいんじゃないの?なぜ押しつけられた他人の娘を育てなけりゃいけないの?」
「必要なのは娘ではない、彼の世継ぎと予知夢の能力、不要なのは娘の特殊能力、それは世界の軍事バランスを圧倒的に崩壊させる」

目を覚ましてから何時間経っただろうかあたしの意識はもうろうとしていた。
おそらくはあたしが医者に行くなど中絶行為を出来なくなるためのものだったかもしれない。
それよりもあたしが兄の子を産んだ後の処遇だろう。
あたし自身が軍事兵器になるとでも言いたいのだろうか?
もしもあたしが軍部に都合が悪ければ処分される可能性が出てきた。

あたしは再び睡魔に襲われて目が覚めると研究室のような場所のベッドの上で全身を拘束されていた。
両腕には数本の点滴針が刺されている。栄養剤と他はなんなのか私の知識ではわかりかねた。
夜になると義兄が訪れて何食わぬ顔をしてあたしを何度も、何時間も犯すと満足したように出て行った。
それが何日、何回続いたのか数えるのも億劫になった頃、私がここにきてからどれほど経っただろうか?あたしに妊娠の可能性を示す兆候が現れ出した。
あれ以来ずっと来ない生理とドラマや噂によく聞く強度な悪阻の症状。
「おめでとう」
母や父に言われたが正直何がめでたいのかわからない。
決してあたしが望んでできた命などではないはずだった。
あたしのお腹は日々だんだんと目に見えて膨らみ始めていた。
しかも用がなくなったはずにもかかわらず義兄は毎晩通いつめて己の性欲だけを満足させるとあたしに対する優しい言葉のひとつもなく部屋を出ていった。
「本当は少しでもでも散歩程度は動いたほうがいいのよね」
「今日は水分の取りが少ないけど大丈夫?」
「私、はやくおおきくなってママに会いたいな」
あたしのお腹の中から聞こえるはずがない声が聞こえた。
数ヶ月後、激しく痛い陣痛があたしを襲い、大量に股間から流れ出したベッドのシーツを濡らした。
あたしは忙しそうな看護師らに囲まれてベッドごと病室から手術室に運ばれるとベッドの上のロールバーに両手を握らされて思い切りいきむように指示をされた。
でも正直言って急に『いきめ』なんて言われてのどうしたら良いかまったくりかいできなかった。
どにかかんかでそのコツがつかめ始めた時、あたしの下腹部を今まで経験したことがないほど激しい激痛が襲った。
兄と交わった時、いいや、兄に陵辱された時の数十倍の痛みを気が遠くなるほどの時間をかけて、スーッと何かが抜けたような感覚がしたすぐ後にあたしは最初の産声を聞いた。
その時にはあたしは肩で息をしていたが正直言って極度な貧血、いや出血によるショックで意識を失いかけていた。
でもこの娘、なんかこれから生きてゆくのがとても辛そうな鳴き声をしていたように感じる。
やはり正直言ってあたしはこの娘を大事に愛して育てる自信がない。
どうしても憎いあいつの顔を思い浮かべてしまうからだろう。
「後ふたりだ、まだ気を抜くなよ」
男の先生の声が聞こえた。
さらに激しい痛みが下腹部から股を裂くように走った。
今度はさらに長い時間を要した。
おまけに泣き声がまったく聞こえない。
「パシン、パシン」と医師が赤子を引っぱっ叩く音が聞こえた。
「ちょっと休ませますか?」
女医さんの声が聞こえた、正直言って天使の声に聞こえる、あたしの体力はもうすでに限界を超えていた。
しかし男性医師は無情だった。
「最後の子、長女がチアノーゼを起こし始めている一刻も履く出さないと母体も危ない」
「吸引!吸引!」
と叫ぶ声が聞こえてきた。
あたしはその声を聞きながら意識を完全に失った。

あたしのベッドの横には3人の娘はいなかった。
3人ともうまれてすぐにNICU送りとなってしまったからだと看護師のひとりに聞かされた。
3人目は特に体格も大きくて吸引だの会陰切開なども最初は検討されていたらしいが最終的には帝王切開に踏み切らざるを得なかったようだ。
あたしのお腹には大きな縫い傷が残り、本当に傷もの娘になってしまった。
もちろん3人とも名前なんて考えている余裕なんてなかった。
大体無理やり受精させられて産まされる娘達にどうして愛着が持てようか?
看護師が気がまぎれるようにとテレビをつけてくれたがバラエティもクイズ番組もグルメリポート番組もつまらない内容ばかりだった。
それから何年過ぎただろうか?
私はいまだに病室の中に閉じ込められたままだったし、娘達との同室にしてもらえるどころかガラス越しの面会さえさせてもらっていなかった。
やはり医師達はあたしの娘たちに対するあからさまな殺意を感じ取っていたのかもしれない。
それはそれで正解だとは思う。
相変わらずテレビでは与党主要議員が勇ましい事を言って近隣諸国や軍事大国を煽りまくっていた。
防衛費を国内GDPの5%以上にするべきだとか言い出したり、近隣大国からの侵略を防ぐためには先制攻撃権を取得する必要があると声高々に宣言する与党の大物幹部を囃し立てている民衆を映していた。
その内容を無批判で流すニュース番組よりはマシだと思っていたがとうとうバラエティ番組でも同様な発言をし出す出演者が出だしたのには正直言って呆れた。
しかしそれもだんだん笑い事じゃなくなってゆく。
この国の政府は万が一の備えと称して射程距離や搭載可能な核弾頭の破壊力が何十Gトンかも明かさない長距離弾道ミサイルや独自開発の戦闘機の存在を示唆した。
その運動性能と飛行距離はF-22をゆうに10倍は楽勝で越えると宣言した。
潜水艦や大型空母などを次々と就航させて大型爆撃機のシルエットだけ公開をした。
「我が国の総理大臣は我が国に対する経済制裁を一刻も早く解除しなければ武力行使も辞さないと発言をして議会では満場一致の賛成を得て大満足のご様子」
などと政府の意向を無責任にそのまま肯定し批判などもってのほかとでも言いたげな内容の臨時テロップだった。
「あたしの予知夢だと99%の確率で日本は世界に向けて数十ギガトンクラスの核弾頭付き弾道ミサイルを各国の大都市に向けて数十発、百数十発射するよ」
どこかの白い部屋にひとりひとり隔離された娘の1人があたしの心に直接、言った。
「ついさっきそれに反対した議員が与党、野党関係なく数十人内閣調査室や公安警察の人間に破防法適用を理由に射殺されたよ」
勘だけどこの子はふたり目に産まれた娘だと直感できた。
「もうこの国は終わりね、頭の先から尻尾まで腐り切っているの、だからママ、私達をエネルギーに換えて、この島国ごと吹き飛ばして」
あたしには3人が何を言おうとしているのかさっぱり理解できなかった。
ただ3人ともものすごく辛そうな表情を浮かべていることだけはわかった。
この国の1億足らずの酷民のせいで世界中、数十億人の生命やほとんどの生態系生物も危険に晒されるらしい。
「やめて!」
あたしは叫んだ
「どの道私たちは終わりなのこの島国の消滅だけでで済むか、それともこの地球自体が終わるか?」
多分、最後の1番苦しんで生んだ娘、どうしてそんなに辛そうな顔をしているのか?
バカなあたしにも一瞬にして理解できた。
この娘達と同じ、新しい世代が次々と世界中で誕生しているんだ、きっと。
「あたし達のような娘は世界中ではもう珍しくなくなっている、あたらしいせだいの男の子だって次から次へと産まれ始めている、自分達の国の人間だけでなく世界中、地球上のありとあらゆる生き物を自分のことのように考えられる世代が、」
その時、大型拳銃を持った憲兵が彼女達のいるそれぞれの部屋に乱入して来た。
そのひとりが引き金を引くと重い衝撃音と共に最初に生んだ娘の頭が吹っ飛んだ。
続けて胸部に穴が開くどころか細かな肉片になるまで何発も、何発も彼女の体に弾丸は打ち込まれた。
「あたし達の国だけなの自分の国の正当性を主張して他国を貶める子供しか育てられていないのは」
「軍力になると踏んで産ませて高い費用をかけて手間をかけて育てたはずなのに、この国賊どもめが」
あたしの部屋にもその憲兵達が数人乱入して来た。
「もう終わらせて、この国はもう遠い過去にご先祖達が希望を込めて生み出した国とはまったく違ったもの、あたしたちは産まれてくるのが遅過ぎた」
ふたり目に生んだ娘も頭蓋骨ごと壁に叩きつけられていた。
あとはひとり目の娘に対して行ったことと同じ繰り返し。
「やめて!」
あたしは叫んだ。
脅しのつもりだったかもしれない、憲兵の1人が構えていた大型拳銃のひとつが破裂した。ほんの数mg、いやもっと少ない量の質量をエネルギーに変換しただけかもしれない。
「どこでそんな危険な思想を植え付けられた」
憲兵が最後に、1番最後に産んだあたしの1番大事な娘、長女にそのやたらと大きな銃口を向けて言った。
「あたしの長女に手を出したら許さないんだから」
あたしも負けずに叫び返す。
「こいつ何言ってやがる、最後に生まれたんだから末っ子に決まっているだろう」
憲兵の1人が嘲笑するように言った。
「私たちは生まれた時から国境や言葉の壁を越えてつながり合っているの痛みを共有して神様なんてどこにもいないことも知っている、かつて神と呼ばれた人たちが単なる道標だったことも、この国の神様はどこか狂っている、戦場で戦って人をたくさん殺して死んだ者を神として祭り上げる神社があるって?外国の友達に聞いた、q自分達が笑い物にされていることに気が・・・」

言い終わる前にあたしの大事な長女の首から上がなくなっていた。
「ねえおじさん達、この国では双子、三つ子のうち最後に生まれた子供をどうして長女とか長男と呼ぶか知っている?」
あたしは両腕に刺された数本の点滴の針を全て引き抜いて言った。
もはやどれもあたしには必要のない投薬だ。
「最後にお腹の中の後始末をして出てくるから1番上の子、って考えが昔からこの国にはあるの、もうまともな日本人じゃなくなったあんた達にわかるわけないよね」
あたしがそう言った時憲兵の数人があたしの頭に狙いを定めて大型拳銃の弾丸を撃ち放っていた。
「ごめんね、まだ幼くてロクでもない母親で」
あたしは3人の娘に対して詫びながら言った。
『だからせめてあたしの最後のわがままを受け入れて、それがどんな結果を招くかなんてあたしにはもうどうでもいいから』
もう数発の弾丸があたしのすぐ目の前に迫っていた。
私は憲兵達や目に入ったものを全てエネルギーに還した。
日本という地理的には小さな島国が巨大な火球に包まれてその火球ごと天に召され消滅した。

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あたしは長い期間の夢をほんのわずかな短い時間の間にみていたのかもしれなかった・・・

気がつくと私はいつも自分の兄が寝ている布団の上で裸のままふたりの少女に挟まれ、抱かれて眠っていた。

いや、私の前にいる娘は少女ではないかもしれない。
いつも私の兄が太くて硬いものをねじ込んでくる穴に似たようなものをそのときのあたしの同じ場所に差し込んでいたから、でもその人は少なくとも私よりは立派で大きな形のいい乳をふた山も持っていた。
そこから甘く優しい匂いがしていてあたしはその先端についた乳首の一つに吸い付いていた。あたしのあなにはいりこんだぼうも柔らかく、中から包み込んでくれるようで心地良かった。
後ろから抱きついている少女があたしの耳元で囁いた。
「あなたのお腹の中の三つ子ちゃん、〇〇ちゃんが預かったからね安心して」
そう言って甘くて熱い息を耳たぶの裏に吹きかけられた時あたしは一時的に気を失い、しばらくのあいだ菅美奈夢の世界を彷徨っていた。
ざわつく人々の声で目を覚ました時、あたしは見知らぬ部屋のベッドの上でピンク色のシマシマパジャマを着せられた状態で寝かされていた。
手元にテレビのリモコンらしき物があったので電源を入れるとニュースが流れていた。
どうやら四軒連なったアパートの一室で刃物にでメッタ刺しにされた11歳の少女の遺体が発見されたらしい。
4人家族で両親と歳の離れた兄に大事に育てられた可愛い娘が惨殺されて嗚咽する3人の姿が少しだけ映された。
なぜかとても白々しく感じられた。
「あ、もう起きて大丈夫?」
ふたりの中学生が部屋のドアを開けて入って来た。
どこかで見た記憶がある少女、でも思い出せない。
「おふたりさんとも中学生ですよね?どうしてあたしを」
言いかけたあたしの口を遮ってもう1人の少女が言った。
「私の名前は冬河銀、こう見えてあなたと同じ小学6年生よ」
そう言った彼女は右目に自分の右手を重ねて似合わない横ピースサイン。
あたしは思わず大声を出して笑ってしまった。
何年振りだろうか?こんなに気持ちよく笑ったのは?
でも彼女が履いているスカートに妙な違和感が、まるで大人の男の人についているようなアレが窓の外から差し込む夕日の光に透けて見えた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

「あらあら花奈ちゃんったらまたパンツ丸出しで眠っている」
香織さんが耳元で囁く声が聞こえた。
「目から涙を流して、また悲しい未来の夢でも見たのかしら」
銀ちゃんがあたしの顔を覗き込んで言った。
「違うの、今日は甘くて切ない過去の夢」
そう言ってからあたしは自分の両目から溢れ出していた涙を両手で拭いながら言った。
「ところで香織さんがあの時預かっておくと言っていた三つ子は今どうしているの?」
その途端に銀ちゃんの顔が真っ赤に染まってあたしから視線を背けた。
「その娘達なら銀ちゃんのお腹の中でゆっくりだけど順調に育っている最中よ?すごく時間をかけてゆっくりとだけどね」
香織さんが銀ちゃんの代弁をした。
「あの子達が言うには花奈がちゃんと自立して『あたし達の面倒を見られる余裕が出来るまでゆっくりと育つのを待つ』って言ってる、生意気なガキ達ですね」
銀ちゃんはあたしに背中を向けたまま言った。
あたしはソファベッドから起き上がってそんな彼女の背中に抱きついた。そして言う、
「ありがとう」と。
「いやそれを言うのは私たちの方よ、あなたはもう忘れてしまっているかもだけど」そう言って急に香織さんはあたしの背中にしがみついて来た。

下界part11 終わり

part12に続く。

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