アダルト版カレンダーガール2〜刑事みならい?

アダルト版カレンダーガール2〜刑事みならい?

過激な描写やエログロい表現をかなり含みますので20歳未満の方の閲覧はご遠慮してください。

(もちろんフィクションだお、夢からの丸パクリだお、だからもう既におんなじ話先に描いちゃっている人、ゴメンだぉ)

「そのカレンダーに写っている娘達、実は、今はほとんどいないんだ」
「え?」っと驚く有希、なぜ本人が一番驚く?
「いや、あたし、机の上で尻餅をついた時以前の記憶が全くないから」
そうあわてて釈明する。
「まああなた達、今のカレンダーガールに関する現状は大方私は把握しているんだけど」
亜希はそう言って立ち上がると有希に急接近をして彼女の唇と自分の唇を重ねた。
「確かに今のあなたは私と同類、おそらくみんなそうでしょうね?」
語尾の疑問形が少し気になったがここで彼女、葉類亜希は事件のほとんどの全容がわかったと宣言した。
「まずは最初に言っておかなければならないのは事の始まりはカレンダー落下事件じゃないって事」
せっかく断言してくれたけど。
「うん、知っていた」
と何故かボク。
「では君はなぜそんなことを知っているのかな?」
突然ボクは亜希さんに首を締め上げられて言われた。
「全ての始まりは『カレンダーガール失踪事件』にあるのかもしれない」
うーん、やっぱりこの人って見かけ通りチョーおバカな人か。
このカレンダーに写っている女の子達の失踪事件なんて聞いたことがない。
疑問符を付けなかったのは疑いようがなかったから。
「結論から言っちゃうとこの事件はカレンダーガール全員犯人であり、犠牲者なんだよね」
亜希は自分の机の中から何枚かの写真を取り出した。
、ひいふうみい、数えてみたら全部で13枚の違う少女の写真があった。
「これは現時点ではまだ憶測の域を出ていないから眉に唾をつけて聞いてね」
亜希は部屋の隅に掛けてある縦横1メートル以上はありそうな大きさのホワイトボードにその写真を一枚一枚、貼り付けた。
写真の大きさは縦15センチ、横10センチくらいだろうか?
それを横に四列、縦に三行、一定の間隔を開けて亜希が食べかけていたコンビニ弁当のご飯粒を裏にねりつけて貼った。
「なぜご飯粒かって?それはここの部屋には糊もセロテープもないからよ」
亜希って女刑事は誰も聞いていないことをペラペラと喋るタイプなのか?とボクは思ったがあえて声に出して指摘するのはやめることにした。
どうせ例のドヤ顔でバカにされるだけだ。
しかしふと亜希はあることに気がつく、彼女の手にはもう一枚写真が残っていた。

「君、これ持っていてくれないか?」
そう言われて手渡された写真は例の希かなえのものだった。
「この写真の入手元は聞くなよ、これは私の友人である楓凛というカメラマンがこの件で依頼された時に内緒で隠し持っていた奴だからね」
また誰にも訊かれていないことをペラペラと喋り始めた。
この刑事さんには守秘義務という概念が無いらしい。
どれも例のカレンダーに写っている少女達をカレンダーを広げたものとほぼ同じ状態で撮影したものばかりだった。
しかし気になる点が一つ。誰一人としてあのカレンダーで彼女らが両手にぶら下げていたはずの文字だけのカレンダーが写っていなかった。
「やっぱりこれは撮影後なんらかの方法で合成したってことかな?みんな何かをぶら下げていたり持っているかのようなポーズをとっているし」
とボク。
「うん、一見バカそうな君でもそこは気がついたか?でもそれはなぜかわかるかな?」
亜希は意地悪くいうと微かに微笑んだ。
「その時は誰に何月のページに使うか、担当させるか決めていなかったんじゃないのか?」
とボク。
「ボウフラなみの君にしてみればなかなかの推理だね」
どんな上司の下で働けばこんなにもひねくれた性格になるのだろうか?
とは思ったがあえて口にはしなかった。
「あんた達、ここでひとつ気が付かない?」
何やらドヤ顔で亜希は言う、やはりボクはこいつが苦手だ。
「じゃあ聞くけどなんで写真が13枚あるのかな?13人のアイドル候補を用意してまで」
「頭の悪いボクにはよくわかりませんが1枚は表紙兼前年度12月に使う気だったとか?」
ボクがそういうと亜希はバカにしたように大声で笑い出した。
「君はやはりボウフラ程度の知能のようだね、なぜならこのカレンダーには表紙というものは存在しない、最初の1ページから一月だからだ」
「ところであなたはなぜそんなにも性格が悪い、じゃなかった機嫌が悪いのですか?」
ボクは恐る恐る尋ねてみた。
「知れたことよ、この私が貴様如きに主役の座を奪われるなんて・・・、屈辱よ」
なんて器量の狭い女だとは思ったが言わないことにした。
嫌味を一つ投げただけでロケット砲撃ち返されたらたまったものじゃ無い。

「まあそれはいいわ、許してあげる、私寛大だし」
そう言うと亜希はボクの手から希かなえの写真を奪い返して言った。
「このプロジェクトは最初から最低でも一人は脱落するようになっていたの、アイドルになりたい女の子の競争心を煽るためにね」
そして誰一人として自分がカレンダーガールに選ばれたかどうかなんて本当は知らされていないはずだと言う。
「有希さんだっけ、あなたの本名は?カレンダーガールに選ばれていたの知っていた?」
亜希は唐突に有希に対して尋ねた。
「何を言っているんだ?君たちはもとももとの知り合い同士じゃ?」
混乱した頭で僕は訊き返した。
「もちろん知り合い同士よ」
亜希はあっけらかんと言う。

「でも私が彼女と知り合えたのはもうすでに彼女が命を落としてしまった後、ある晩に私のアパートの前を漂ってきた彼女は生前の記憶をとうの昔に無くしていたの」

何を言っているんだ、このバカ女は、と正直僕は思った。
「この事件の関係者で私が直接会えたのは彼女、有希さんと希かなえさんともうふたり、誰だっけ?の二人だけね」
なぜ既に死んでいる人間と会う事が出来るんだ?やっぱりこの亜希と名乗る女刑事はかなり頭がおかしいのかもしれない。

「明日のアイドルを発掘するプロジェクト、って楓凛も言っていた、彼女も知らされていたのはそこまでだったみたいだけど、とにかく容姿もプロポーションも抜群の女の子、まあ彼にとっちゃ少女じゃなくて立派な恋愛対象の女の子らしいのだけど、ね、十分楓凛の欲望の対象になりうる女の子達ばかりだったのだから」
そう言った亜希に対して楓凛という女は百合なのか?レズピアンなのか?と突っ込みたかった、だがやめにした。
僕の妄想の中では楓凛という女はボディービルダーなみのムキムキマッチョ女というイメージが定着しつつあった。
「まあコレが楓凛の写真なんだけど」
そう言われて見せられた楓凛の写真はボクの予想を大きく裏切ったどこぞのグラビアモデルかAV女優かって感じの美女だった。
「言っておくけど彼女まだJKよ」
そう言われた時ボクは正直言って200tハンマーで殴られたような気がした。
「話が完全に逸れたけど彼女に託された依頼はこの13人のあらゆるシチュエーションの写真をとることだったってこと、その中には人に言えないポーズのヘアヌード写真も含まれていたらしいけどそれだけは断ったって言っていた」
「よくそんな危ない話に楓凛さんだっけ?よく乗ったね」
とボク。
「まあ報酬五百万円だって言われたら年中ビンボーな彼女だからね、仕事以外の普段着は100均で揃えているし、見た目だけ女だし」
呆れたように亜希は言うがボクはもっと呆れている。
よく100均であんな胸と腰のサイズの服や下着を揃えられたものだと感心するくらいだ。
「まあだから彼女は普段から引きこもりさんなんだけどね、普段着で外出しようものならわいせつ関連で即刻逮捕されそうだし」
なるほど女体として貧弱だとそんな余計な心配をしなくてもいいんだなとボクは不思議に納得した。
「で、問題なんだけどどうして奴らはそんな際どい写真を楓凛に撮らせようとしたと思う?」
亜希にそんなこと訊かれてもボクは考え込んででしまう。
でももしかしたら、
「共犯者として巻き込もうとした」
亜希は長い時間、3分ほど黙り込んでボクの顔を睨みつけてから言った。
「正解!」
ってクイズ番組じゃ無いから!

「そして彼女、楓凛と私はもう一度彼女らに会いたくなってその、『あしたのアイドルを発掘するプロジェクト』なる事務所を尋ねたんだけど」
「もぬけのカラだってことですか?」
ボクは口を挟んでしまい思いっきり後悔をした。

プロファイリングの分厚いフォルダーの角で頭をどつかれるかと思った。
「それならまだ納得がいくんだけど全く別の大手芸能プロダクションが入っていたのよ」
「そして、そこの人たちは、明日のアイドルを発掘する云々なんて全く知らない、それどころかそこの大手芸能事務所は十年以上前から存在しているって」
「ちょっと待って、ボクもこんがらってきた、楓凛さんは契約時にその事務所を訪れずに別の場所か電話やメールでやりとりしていたってこと?」
「それは私も気になって何度も問いただしたんだけど、二、三回はそのビルのその階のその場所に行っているって言い張って」
「記憶違いってことは」
ボクは嫌われることを承知の上で再度確認をし直した。
下手に動くとやばいパターンかな?
その名前の事務所はボクの知る限りじゃ業界最大の芸能事務所だ。
本店でこそ無いが支店では地域的な仕事も入れているという噂も聞いたことあたった。
それでも下手に動けば業界最大級と言われている私設法務局がボクらを抹消しにかかって来る可能性は高い。
あくまでも噂に過ぎないけど背後には日本最大級の反社会性力が控えているという話も聞いた。
それではさすがに命がいくつあっても足りないし、今の僕にはこんな葉類亜希なるクズ刑事を雇っている警察ほど当てにならない存在はなかった。
諦めてその場を離れようとしたボクの腕を有希の手が掴んでいた。
なぜかものすごい不安に囚われているのか顔が青ざめていて身体全体が震えていた。
「何か思い出したのかも知れないね」
亜希が言いながら僕の額に手のひらで触れた時、目眩のような感覚に囚われてボクは気を失っていた。

気がつくと僕はラブホの回転するベッドのようものの上に全裸で寝かされて腹上のイカつい男に抱きついていた。
顔ははっきりとは見えないがその面影はどこかでみた記憶があった。
ボクが通っている中学校のエロ教師だ。
「どういうこと?」
ボクは心の中で呟いた。

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昔々とある国にテレビアイドルを夢見て、努力しても叶わぬ女の子たちが溢れていた。
アイドルを夢見る子達は星の数ほどいる。
でもそんな夢を叶えられるのはほんの一握り、ほとんどの女の子たちが夢破れて現実に引き戻されて田舎に帰った。
でもそれはそれで良い。

だってそれがあるべき姿なのだから、実際華やかな芸能アイドルになったところでロクなことがない。
それでも夢を捨てきれずアイドルを目指す女の子たちに魔の手が伸びた。
「明日のアイドルを発掘するプロジェクト」、いかにももっともらしいプロジェクトに多くの女の子たちが集結した。
そして一見まともなオーディションで300人の女の子たちが選ばれた。
しかしその選考基準は歌やダンスの才能ではなく、見た目の可愛さやプロポーション、あまり大きい声では言えないけど乳房の大きさや腰から太ももに至る形状、つまり男性の性的な欲望をそそるかだった。
そして彼女達の芸能アイドルに対する執着度であり、そのためならなんでもするという根性だ。

一部の頭の良い女の子たちはその不自然なカラクリに気づき多くの少女達が辞退を申し出ました。
しかしそれでもプロジェクトに戻ってきた子たちが数十人いたのはバックに業界最大手の芸能事務所が控えていることを各自一人一人に個別に明かされたからです。
実はチンケな地方アイドルではなく、最終的に数人のメジャーデビューの可能性が示唆されました。
そうしてプロジェクトには13人の女の子たちが残されました。
何百枚もの写真撮影やステレオカメラによる動画収録が終了した後に一人一人各自個別に明かされました。
「この中で生き残れるのは12人までだと、そして必ず一人は落とされる、そのボーダーラインにいるのは君だ」
もちろんみんなが一緒に話し合う時間が与えられる事なく最後の個人面談と称して別々にひとりずつ同時に個人面談が行われて各々の夢や希望を語っているうちにそれが罠であったと気づく事なく眠らされていました。

ボクは亜希の説明を聞きながらひとつ疑問を投げかけた。
「でもそれって亜希さんの根拠が無い憶測ですよね?」
「うん、憶測だよね、でも今、私の目の前にそんな体験をした少女が少なくとも1人はいるって言ったら信じるかな?」
亜希はボクの目を真っ直ぐに見つめて言った。
何をバカなことを言い出したんだ、っと正直僕は思ったが敢えて口にはしなかった。
「もちろんこの話は今回の事件とは違うよ?でもよく言うじゃない?歴史は繰り返されるって」
まあそうかも知れない、だからと言って。
「私の友人は妙なところで気の回る奴っていうか、手が早い奴でさ」
亜希は一冊のメモ帳をボクの目の前に差し出した。
「13人の個人情報をそれとなく聞き出しちゃうって楓凛はやっぱり根っからのプレイボーイ、じゃないプレイガールだよね」
そう言って亜希がひらいたメモ帳には13人の個人情報、生年月日から本名、戸籍、住所、連絡先まで明細に記入されていた。
「よくもそんな得体の知れない女にペラペラと」
とボクの個人的感想。
「まあアイツは女にだけはモテるやつだからね、日頃から女にしか興味ないって言い切っているし」
グラマスでセクシーな、それでいて女にしかモテない女ってのがいまいち理解できなかったけど亜希の次の一言でなんとなく理解できた気がした。
「まあアイツは男に対してはわきまえないって言うかいつも喧嘩腰だからね」」
「でそれだけ個人情報持っているならカレンダーガール達と接触するのも簡単ですよね?」
僕は訊き返した。
「うんまあ確かにそうなんだけどあの子達全員が家出少女でさ、プロジェクトの連中もその辺を把握していて『この世からいなくなってもわからない少女達』扱いにされていたみたい」
亜希はそう言ってメモ用紙のうちの1ページを開いた。
決して上手だとは言えないイラストはそれでも有希を描いたものだとすぐに理解できた。
そこには本名や生年月日住所なども記載されている。

「ここからは少し残酷な話になるけど有希にはここにいてもらったほうがいいかな?」
「何も有希の前で言わなくて楓凛とか言うカメラマンに聞けば」
ボクは亜希を嗜めるように言った。
「実は楓凛はもう事件の裏取りに出ていて今すぐには会えないし彼女は事件の実体験をしていない、やはり有希に確認を取るしかないの」
そう言って亜希は自分の唇を噛み締めた。
「それに有希はもう既に私の一部だし、訳あって今は生体を切り離しているけど」
ますます訳がわからないことを言い出したと思った。
「覚悟はできているつもり、それはあの希かなえが合わされた惨状から見るにあたし自身もどんなな事をされたか気になる」
それを聞いた亜希は有希の体をギュッと強く抱きしめた。
「プロフィール画像の後に楓凛は幾つかの調査結果を記入している、まず彼女の実家、両親には『加藤麻子の小学生時代のネット友人としてたまたま会いにきた』と云う設定で会った、案の定『娘は外出中だから』と言われたところをみると家出ということは公にはしていなかったみたいね」
そして有希の反応を見たが特に変化はなかった。
「そして『いつ帰ってきますか?』の問いには『気ままな一人旅だからなんとも』という返事だけが帰ってきた」
「そうだったんだ」
ボクの問いに有希は「あたし、一人旅の旅行なんてしたことがない」とだけ呟いた。
「ただ楓凛は念の為に役場を訪れたんだけどその時に妙な噂話を聞いたと記載されている」
亜希はいったんメモに目を落として断言した。
「加藤麻子は自殺していてこの世にはいない、と、さらにこう付け加えられている、彼女の遺体は尋常でなかったほど損傷が激しかったにもかかわらず『事件性はない』の一言で警察に片づけられたと」
そこまで亜希が言った時点で有希の顔がみるみる青ざめてゆくのが目に見えてわかった。
「何か思い出したの?」
と亜希。
「そう、あたしは加藤麻子、富山の田舎からアイドルを夢見て家出をしてきた有紀はあくまでもプロジェクト内での芸名」
彼女の目から大粒の涙がこぼれ落ちる。
「激しいレッスンと高い月謝代、それでも夢を叶えるために必死になって頑張れたと思う、希かなえもその一人だった」
「そして最終選考までに残ったのは彼女とあなたを含めた13人だったということね」
亜希は有希に確認した。
「残ったと言うのは正しくないの、正確には残されたと言ったほうが正しい、それはその13人でデスゲームをさせるために、敢えてその犯行現場、いいえ、殺戮現場を映像に残した」
その有希の声に少し重なるようにアパートの部屋のドアが開きハスキーな女性の声が聞こえた。
「お待たせ、有希、いや加藤麻子さんかな?」
ショートカットの癖毛に、デニムのブラとデニムのショートパンツの浅黒い肌をし背中に大きなバッグを背負ったグラマスな美女、楓凛が有希に声をかけるように話しかけてきた。
そんな彼女に泣きながら飛びつく有希、カメラマンとモデルというよりは恋人関係に見える。
「ごめんよ、俺がもう少し君たちの様子が変だったことに気づいていればあんな惨事は起きなかったかも知れない」
楓凛はそう言うと背中の大きなバッグを降ろして中からビデオカメラを取り出した。
「まあ中に映っている娘達はそこのホワイトボードに貼り付けられている娘達なんだけど少し編集をしてカレンダー撮影時とその合間、のプライベート撮影、そして公にはできないんだけど隠し撮りをしたものがそれぞれ13人分並べて編集しておいたよ。
ボクにはよくわからないけど彼女達、カレンダー写真撮影の表情は当たり前なんだけどカレンダーに写っている彼女達そのままなんだけど。
「プライベートな時と仕事上の撮影時の表情の落差が人によって激しかったし、特に隠し撮りの時なんかは特定多数の相手に憎悪の表情を見せている娘もいたし・・・」
ボクはそこまで言いかけてふと気になり有希の表情をみてしまった。
しかしなぜボクはそんなことを知っているのか?
ふと疑問が湧いたけど深く考えないことにした。

相変わらず有希は大粒の涙は流していたけどその表情は悲しみというよりは映像の中の特定な誰かに向けられた明らかな憎悪だった。
「あたしはアイツとアイツだけ許せない」
絞り出すように言ったっその対象はボーイッシュなショートヘアなスレンダーな美少女と肩まで栗色の髪を伸ばした楓凛と競り合えるほどのグラマスでセクシーなボディの持ち主の美女だった。
「ねえ、この子達本当に中学生以下の年齢なの?」
亜希が突然口を挟んだ、そして自分の身体の、特に胸に触れてその体型を比べている。
「絶対あのホルスタイン、年齢詐称よね、どう見たって二十歳以上」
そう言いかけた亜希の口は楓凛の手のひらに封じ込まれた。
「こら、人様の体型と自分の幼児体型を一緒にするんじゃない」
「そんなことない、私のボディは愛に比べたら」
亜希はそう言いかけて今度は楓凛の強烈なデコピンを喰らった。
「ここでは関係ないっ」
そこで楓凛は一息をつくと再び喋り始めた。
「まあ亜希が不審に思うのも無理はない、事実彼女らのほとんどが家出娘で、家とも連絡が取れず、履歴書だって出鱈目の一言だったんだから」
そして再び有紀を見つめて喋り始めた。
「たとえば君、有希も本名を明かしてくれるまで数日かかった、他の子に至ってはいまだに本名さえわからなかった娘もいる」
「よくそんなので本当の住所や両親を調べられましたね」
とボク。
「直接聞かなくてもわかることはいくらでもあるよ、言葉の訛りや、行動に時々現れる癖、とかね、企業秘密だからあまり言えないけど」
そう言いながら楓凛は白いボード上の写真の下に一人ずつ名前と生年月日を書き始めた。
「まず最初は問題の有希が毛嫌いをしていたどこからどう見てもグラマスな美女、残念だけどこの子は年齢詐称はしていたけれど実年齢は12歳、撮影当時は小学生だったよ、本名は本間咲、住所は沖縄、この娘に関してはプロジェクト参加前にも米軍関係で悲惨な性的被害を受けた形跡があったので有希にはその辺は許してやってほしいと思う」
そして楓凛はその写真の上に赤マジックでバッテンを書き込んだ。
「もういないってこと?」
亜希はきく。
「そうだね、なぜかこの娘さんは昨年の11月ごろに関東の首都圏にある踏切での無謀横断で死亡ということになっている、閉じた遮断棒をくぐり抜けて特急電車にはねられて死亡とのことだけど目撃者がいない」
「運転士さんもなのか?」
ボクは訊いてみた。
「残念ながら運転士はその時信号機異常に気を取られていて踏切上の彼女に気が付かなかったそうだ、警察も色々調べたらしいけれど事件性はなく遺書らしきものがあったとのことで自殺と片づけられた、そして発見された時の彼女の髪の毛は青色っぽいショートの黒髪だっと聞く」
「あり得ない!」
そう叫んだのは意外にも有希だった。
「彼女はどんな卑怯な手を使って出し抜いてでもあの競争を生き抜こうとした卑怯な奴、自殺なんてするはずがない、それになんでショートカットなの?」
そして有希は両手の拳を床に叩きつけた。

「まあそれは後回しにするとして次は金髪のツインテールの娘、大阪出身の彼女は両親も身寄りもない、元々が親族の反対を押し切って駆け落ちしたらしいんだけど経営していた飲食店が経営不審で倒産、両親と娘共々首を吊って自殺したらしい」
「らしい、とは?」
今度は亜希が口を挟んだ。
「表向きは経営不審ということになっているけど実際には従業員か誰かの売上金持ち逃げが経営を破綻に導いたらしいんだけどこれも警察はなぜか『事件性はない』として単なる紛失で処理したそうだ」
そう言って楓凛は3人目の記入に取り掛かり始めた。
「ちょっと待って、あたしはその娘によく似た顔の娘は知っているわ、でも彼女ツインテールなんかじゃなかったはず、かなり上の方で縛り上げたポニーテールだった、さっきの飛び込み事故の子にしたところでショートカットなんかじゃない栗色の肩まで髪を伸ばしていたはず」
有希は混乱したかのように自分の髪の毛をかきむしり始めた。
「でも有希は私が写真をホワイトボードに貼り付けていた時は何も言わなかったよ、その時は違和感は感じなかったの?」
改めて亜希は有希に確認した。
「ごめん、その時は頭がぼんやりとしていて・・・」
そこから先は声が出ない様子だった。
「じゃあ確認のために聞いておくけどこれは誰かな?」
楓凛はそう言うと上から二段目、一番左の海辺で白いワンピースを着て腰まで伸びた長いストレートの黒髪を風に靡かせている少女の写真を指差した。
誰がどうみてもまごうことなき有希こと加藤麻子さんなのだが、ボクは少し違和感を感じはじめていた。
「今思い出した、君は確か加藤麻子、それがどうして?」
「それは芸名で本名じゃなかったからだよ、そして彼女の真の姿は赤みがかったショートカットヘアのスレンダーな体型の美少女、実は彼女は撮影の際に長い黒髪のウィッグとブラジャーの下に豊胸に見せるためのパッドを仕込んでいたんだよ」
そして楓凛は一言付け加え
「ごめん、君たちはもっと自分達の仲間同士の事を分かり合えていたとばかり思っていたよ」
「ちょっと待って、それじゃぁあのカレンダーに写っている女の子達って?」
ボクは口を挟んだ。
「そうだね、今まであげたアイドルの娘達は誰も別の人物、そして自殺でもなければ事故死でもない、誰かに殺害された可能性が高い」
しばらく楓凛は考え込んだ後に口を開いた。
「そして今、生き残っているのはおそらく彼女、希かなえただ一人だと思う」
楓凛はホワイトボードに貼られた少女達の写真全てに、いや、希かなえを除いた全員の写真に赤マジックで大きくバッテンを書いた。
「少し待ってくれ、デスゲームってなんだよ?なぜ殺し合いをさせる必要がある?」
ボクは混乱し始めていた。
希かなえ以外が全員殺されていると言うのならなぜ彼女はだれかにあのよう仕打ちを受けなければならないのだろうか?
殺された誰かの知り合いの報復とでもいうのだろうか?
「全てはさっきの希かなえが関わったと思われているあの輪姦事件による事故死から始まる、と私は思っている」
亜希はそう言うと先程の忌々しい動画をスマホで再び再生し始めた。
「もう一度よく見て?希かなえを含めた彼女達カレンダーガール3人の様子をちゃんと確認してね」
そう言われてボクはもう一度ちゃんと食い入るようにして見つめたが特に変わった点は・・・
それでも、この映像を信じる限り希かなえは他のカレンダーガール候補二人と結託してライバルの少女を陥れて輪姦という犯罪に巻き込んだことになる。
事故とはいえ殺された娘は自分が希かなえを含む3人に対して憎悪を向けながら命を落とした。
もちろん彼女を陵辱した3人の男に対しても同じくらいの憎悪は向けられるだろう。
「襲われた女の子に心当たりはあるかい?」
楓凛は有希に耳元で囁くとペロリと彼女の耳たぶ裏を舐めた。
ここの人達はそういった性癖の持ち主なのか?
ボクは身構えて二、三歩後退りをした。
それでもボクが本当に後退りした理由はそれだけじゃなかった。
彼女は、有希の左手人差し指の先ははっきりとボク自身を指差していたからだ。
『え?どうして?」
ボクは頭の中が真っ白になった

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直径が3メートル近くありそうな丸く大きな回転ベッドの上でテレビで見覚えのある大手芸能事務所の若い社長がボクの横に寝転がっていた。
「すまないね、君を食事に誘ったのに、あんなにお酒に弱いと知っていたらフリだけとはいえワインの乾杯でさえ勧めなかったよ」
彼はそう言うとボクの頭を左手でそっと撫でた。
本当は嬉しくない、虫唾が走るくらいの嫌悪感が全身を駆け抜けたが身動きが取れなかった。
彼とは彼自身が経営をしている。
芸能プロダクションと今後の契約について話し合うためだけに名の通ったホテルのレストランで会うだけの約束だったはずだった。

ボクは最終メンバー13人の発表後、ボク1人にだけ個人的メッセージを受け取っていた。
つもりだった。
社長いわく、あのプロジェクトは実はダミーで真の目的はたった1人のスターを発掘するのが目的だったというのだ。
「では他の娘たちは?」
ボクはすぐに返信をした。
「かわいそうだけどカレンダーを発行したら解散だよ」
それにしても何故ボクが?という疑念はあった。
しかし大手事務所からアイドルとしてデビューできるという誘惑にも捨て難かった。
しかし・・・。
食事はありふれた、とはいえ多分ボクには一生縁のないフレンチのフルコース。
「ここの料金のことなら気にしないでくれたまえ、これは君の秀でた才能に対する前投資と思ってもらえれば幸いだよ」
目の前に並んだスープとサラダ、そして両側に並んだフォークやナイフ、スプーン類、緊張するなというのが無理だ。

ボクは乾杯をするためだからと自分に言い聞かせて彼のワイングラと自分のワイングラスを軽く接触させた。
それからひとくち、ワイングラスの中の液体に自分の唇を浸した。
「なんたって君はまだ14歳の未成年だからね・・・・」
大手芸能事務所社長の声がボクの耳からだんだんと遠ざかってゆくのを感じながらボクの頭部はテーブルの上に平伏していた。
皮膚から浸透する薬物が唇から浸透したのだと気がついた時は既に手遅れだった。
「おやすみ、由紀ちゃん、次に君が食べる料理は私のフランクフルトだよ」
社長が言っている意味はボクにもすぐに理解できたし、正直『ふざけるなよ』と怒鳴りたかったが生憎と全身の力が抜けて指先ひとつ、動かせず、声を出すことも叶わなかった。
そして自分が意識を取り戻したときは巨大な回転ベッドの上で社長のすぐ横に寝転がっていたと言うわけだ。

ーざけんなよー

声に出して叫んだつもりだったが声帯は動かずボクの口からは虚しく喘ぐような息が漏れるだけだった。
目の前を小さな妖精が覗き込んだ。
女児用人形の大きさ身長はおそらく20〜25cmくらいであることを除けばおそらくはボクぐらいの年頃の女の子だろう。
しかしその顔はどこかで見覚えがあった。
その時は思い出せなかったけど、後々彼女はボクの部屋に飾られていたカレンダー女の子の1人だったと知ることになる。
そんな娘がボクの額に左手中指を突き立てたかと思ったら爪が急に伸びてボクの額の皮膚に突き刺さった。
そこから少量の液体が注入されたかと思うとボクの意識は再び混濁すると同時に下半身を中心に体全体が異様に熱く火照り出した。
「あなたもボスのために頑張ってね」
妖精はそう呟くと社長のワイシャツの懐に潜り込んだ。
ボクは妖精の姿を求めて社長のワイシャツの前ボタンをすべてはずしたが出てきたのは彼のスリムな見た目を大きく裏切る立派な厚みのある逞しい胸だった。
あとから考えればその時社長がワイシャツの下に下着を着ていなかった事を不審に思うべきだったが生憎とその時のボクはそこまで考える頭が回らなかった。
ボクはボクで熱くなった自分の体を冷やすために上着を脱ぎ捨てて、シミーズも脱いで、それからつけていたブラも外した。
するといきなり社長はボクの右乳首に吸い付いてきたと同時に右手で左の乳房を強く揉み始めた。
「いやぁ!」
大声で叫んだつもりだったが口から漏れたのは大量の熱い吐息だけだった。
社長はボクのスカートを捲り上げて左手をパンティの中に忍び込ませるとまだ生えかけている毛が少ないピンク色の割れ目に指先を入れた。
再びボクの口から大量の熱い吐息が漏れた。
その後激しく息を吸い込みまた咳き込むように吐き出してまた大きく吸い込んだ、その繰り返しだ。

気がついた時にはボクは全裸になっていた、と思う。

ボクはなぜか社長のズボンのチャックを降ろしてその中のパンツから太くて立派なものを取り出していた。
なぜそんなことをしようとしたかはボク自身今でも理解気ない。
そしてそれの頭を両手で包み込むようにしてさするとそれはさらに長く、太く、反り返るように硬くなり亀の頭のような形状の先っぽからヌルヌルとした液体が染み出した。
ボクはもう一つの手で割れ目の中の小さな突起と穴を刺激して更に自分の身体が火照っていくのを感じていた。
自分の意志でやっているわけじゃない、何者かに自分の身体を乗っ取られて操られているかのような気分だ。

「ほうら、君も私のフランクが欲しくなっただろう」

社長はニヤニヤ笑いながら言ったがボクとしてはそんなのは願い下げだ。
だが悲しいかなボクの体は主人の言うことを全く聞こうとしてくれない。
それどころか社長の太くて固くえびぞるようにして長いそのフランクフルトを掴んで熱いサラサラとした液体に浸された自分の割れ目に誘い込むとその中の穴にその固くて太く熱いものを差し込んだ。
と同時に社長は腰を押し込んできてその固くて太く熱いものが一気に穴の中に深く入ってきた。

その時の気分を一言で言えば自分の体の中に熱くて硬いものが捩じ込まれているような気分だ、いや、実際にねじ込まれているのだが社長は両腕をボクの背中に回して強く抱きしめながら激しく腰を八の字に振り始めた。

ボクがその時に正気なら声を大にして叫んでいただろう、『もっと静かに動いて』と。
熱い吐息と冷えた呼吸がボクを錯乱させた。
その時のボクは異常に身体が火照っていた上に意識が朦朧としていたのでされるがままになるしかなかった。
よくAV女優が本番シーンなどでシーツを鷲掴みにして首を左右に激しく振り苦しげに呼吸を荒げて喘ぐシーンがあるそうけどたぶんその時のボクもそんな感じだったっかもしれない。

ゆっくりと男性性器を挿れられただけでもお腹の中が2倍、いや、3倍以上に押し広げられ、さらに奥に捩じ込まれたような感覚だったのにさらにその固い男性性器を自分の中で八の字に捻り込まれたらもう説明ができないほどの拷問と言っていい。

下半身麻酔をした上で刃物を穴の中に突っ込まれてぐりぐり回転させながらさらに上下左右に捻られたような感じ、それでなくとも最初のうちの社長の激しいピストン運動だけでも十分拷問だ。

そしてさらにこたえるのが中に熱いドロっとした激流。

精液を膣(ちつ)の中に射出される行為、男にとってはただ解放感がある気持ちがいい行為かもしれないけど、女だって何遍もやっていれば気持ち良くなるなんてよく聞くけど、やっぱり初めての経験だったボクには激しく痛かった。
お腹の中で何かが破裂したような感覚。
よく幼児相手のレイプ事件で子宮が破裂して死亡すると言う悲惨な事件を耳にした事がある。
だが未発達の小さな子宮に少年期を含む大人の男が放出する大量な精液をぶち込めばその膣という穴がパンパンにふくて上がった肉棒で隙間なく押し広げられて逃げ道のない大量の精液は全て子宮内に怒涛のように流れ込み、その圧力に対応できるほど広がることが出来ずに小さな水風船のように破裂するのは目に見えている。
ボクだってまだ13才の子供だ。
少なくとも成熟した女性であるはずがない。
子宮が破裂するところまでも行かなくとも生殖器関連に致命的な損傷を受けていたっておかしくないはず。
よく漫画などで「優しくしてね」ってセリフがあるけどそれを身をもって体験した感じだ。本当に優しくしてもらわなきゃたまったものではない。

そんな行為を何度か繰り返したかさえ覚えていない。
激痛と共にボクは意識を失い、また意識が戻り、それを繰り返した挙句、現実のボクが意識を取り戻していた。

ーーーーーーーーーーーーー

「思い出した?」
有希がボクの顔を心配げに覗き込んで言った。
「ああ、ボクもあのプロジェクトの一員だったんだ」
でもなぜ今頃になって。
「思い出したかって?」
亜希がボクの疑問を言い当てた。
「それは由紀、あなたが一度死んでいるからよ」
そう言って亜希は有希と顔を見合わせた。
いやいや、またまたそんなご冗談を、現にボクは毎日寝起きして家族と喋って、学校に行って、遅刻して廊下に立たされて。
「まあその話は後でいいんじゃないかな」
突然楓凛は話に割って入ってきた。
「まあ今は思い出せなくてもいいけど君はその時にあるデマを吹き込まれたはずなんだ」
楓凛はそう言ったがボクにはなぜか思い出せなかった。
「その大手芸能プロダクションの社長は由紀と同様に他の12人、希かなえを含めた12人をそれぞれ個別自社経営のホテルでコース料理に誘いワインに見せかけた経皮吸引性の薬で泥酔状態にしてホテル内のラブホ仕様プライベートルームに引き込み淫交に及んだ、それは由紀も今は納得したよね?」
確かにそうかもしれない、しかし他の12人も同じ事をされていたとは?
そこで新たな疑問が生じた。

ー いったいなんのために? ー

「答えは簡単、君たちを憎しみ合わせるためじゃないのかな?」
あっさりと楓凛は言ってのけた。
「私は社長に由紀がメンバーの何人かを暴漢に襲わせて再起不能にして社長の一押しのアイドルの座を狙っているって聞いたわ」
と有希。
「そんな馬鹿な、ボクはそんな悪巧みは考えたこともないし出来れば有希に大手事務所に入ってもらいたいとさえ思っていたよ」
返すボク、嘘を言ったつもりはなかった。
事実ボクはテレビに出るよりもローカルな地方での老人や子供達を相手に喜んでもらえるのが楽しかったくらいだ。
「嘘つかないで!」
希かなえの金切り声がアパートの窓ガラスを震わせた。

「だって現に社長は由紀、あなたが卑怯な手段を使って他の12人を暴行やスキャンダルなどの罠に嵌めてメジャーデビューする気だって言っていた」

「でも現実には希かなえ、君が・・・」

あれ?嵌められて事故死したのは誰だっけ?
ヒステリックに叫ぶ希かなえを正面から楓凛はそっとだきしめてささやいた。
「どうやら亜希のヒーリングは身体的には効果があったみたいだね、ただ記憶の方が、由紀くんの前じゃ興奮してうまく話せないだろうからカーテンの向こうで話そか?」
楓凛はさりげなく希かなえをエスコートするとカーテンの向こうのベッドの上に彼女を座らせた。

「まあ彼女は楓凛に任せるとして由紀さんはどうなの?」
いきなり亜希が尋ねてきた。
「どう言う意味?」
とボク。
「構えないで答えて、決して由紀さんのことを疑っているわけじゃないから」
と亜希は言うが、ほら見ろ、呼び捨てから『さん』付けに変わったのがボクを疑っている何よりの証拠だ。
被害者から容疑者への転落と言って良い。
「あたしにも憎んでいる人はいたよ?」
唐突に有希は口を開いた。狼狽えるボクを見かねてだろうか?
「それも2人もね、でもあたし、さっきの由紀の話をきかされていて思い出したことがあるんだ、あたしもやっぱりあの社長に言葉巧みに騙されて食事に誘われてワインを口に触れた途端に意識が混濁して気がついたらあいつとヤっちゃっていた」
そう言われてもあまり驚かなかった。
カレンダーの中の彼女はいかにも良い家柄のお嬢さんって雰囲気だったけど実体化した彼女、有希はお尻も頭も軽そうな奴だったし。

「そんで君もあの社長にヒイヒイ言わされていたのか?」
意地悪く聞いてみた、有希も身体と心に相当な深傷を負っているはずなのになんてボクはひどい奴だ。

「まああたしも最初はヒイヒイ言わされていたんだけどさ体の中をグシャグシャに壊される感?」
正直言ってこいつは何を言っているんだと思った。
「七回目の中出しの時にさ、あいつ私の耳元で囁いてていたのを思い出したんだよ」
タフなのにも限度があるだろ、などと考えながら聞き流してしまっていた。
まさか自分の処女があんなやつに奪われていて、あろうことか孕まされていたなんて。

『え“?』

そんな記憶、どこから湧いて来たんだろうか?なぜそんな大事なことを今まで忘れていたんだ。
「プロジェクトメンバーの中に社長を誘惑して彼の大手事務所からのメジャーデビューを果たそうとしているのは2人いるって、その時はあたしも頭の中がボーっとしていたのもあってあの2人が全員の命を狙っているって言ってた気がする、、、まあその2人があたしが憎んでいた2人だったんだけど」
有希はそこまでいうと少し考え込んだ。
「じゃあ、あたしが希かなえと組んで男達に襲わせて再起不能にするつもりだったのは誰?」
いや、突然にそんなこと言われても。
再起不能にされるどころか不慮の事故とはいえ命を落としたのは1人だったし。

「そう、あの場であたしは希かなえと組んで2人を罠にかけてダブル不貞の現場を写真に収めて社長に見せるだけで良かったはず、それがどうして」

「答えを言おうか?」

カーテンの向こうから楓凛の声がした。
「今、希かなえの話を聞いて納得がいったよ」
カーテンを開けると希かなえがやはりボクの顔を睨みつけていた。
ボクとしては君にそんなに憎まれるような事をした覚えはないんだけどなぁ。
しかしそれよりも気になったのはその憎しみの矛先は有希にも驚きの表情をこめて向けられていたことだ。
「どうしてあなた達は2人いるの?」
さすがにその一言には絶句するしかない。
いやいや誰がどうみたって別人でしょ?
「楓山由紀と有希、つまり楓山ゆうきは同一人物だったんだよ」
楓凛は見かねて口を挟んだ。
だってボクはどうしようもないくらい貧乳で色気もへったくれもないショートカットだよ?、それがなんで女子の誰もが憧れるナイスバディでキューティクルサラサラの黒髪のストレートロングヘアの女の子と一緒になるんだよ?

「確かに有希は撮影の時はストレート黒髪のウィッグをつけて大きめサイズのブラにパッドを仕込んで胸のサイズを大きく見せていた、だけどここに今いる有希はカレンダーの被写体の有希のイメージが実体化したものと思っていい、だから2人の見た目がまったく異なるのは当然のことなんだよ」

わかったようなわからないような妙な気分にさせる説明だったけどそれなら2人の名前が似ている説明がつくがすぐ横を見たら有希がいない、どこに消えたんだ。

「何キョロキョロしてるの?あたしならここよ」
かなり下の方から有希の声が聞こえた。
気のせいか1オクターブ高い声のような気がした。
有希は最初に見た梨華ちゃん人形サイズに戻ってしまっていた。
「そうよ、時間切れ、あの体の大きさを維持するはものすごく疲れるの!」
有希は言う、あの大きさを維持するにはエネルギーが必要らしい。

「正体を表したわね、この化け物達、あんた達があのメカゴジラ、じゃない、機械みたいな身体に改造した先生たちを操って私を殺そうとしたんでしょ」

希かなえはボクと有希を見比べながら信じ難いことを言い出した。

「ちょっと落ち着いてむしろボクたちは君を助けようと」

「嘘おっしゃい、あんたたち自分を罠に嵌めて男たちに襲わせて挙句に殺された恨みをはらすために化けて出てきたんでしょ」

そう言いいながらまず枕をなげてきた。
次に飛んできたのは電気スタンド、そして目覚まし時計、それからなんでそこにあったのか知らないけど木こりが使うような立派な斧!オー!ノー!だ。
回転しながら飛んできてボクの頬をかすめてすぐ後ろの壁に深々と突き刺さった。
「ちょっと、なんでボクが殺されかけなきゃならないの?」
ボクは次々と飛んで来る包丁やナイフ、ハサミや金槌を必死にかわしながら抗議を続けた。
「それにしてもあんなものこの部屋には無いはずなのにどこから出て来るのかしら?」
呑気に部屋主の亜希は呟きながら不思議がる。
「いや、包丁ならどこの家にもあるでしょ?」
今度は30cmの鉄フライパンをかわしながらボク。
「ありえないんだけど、私料理しないし」
次はかなり大きな寸胴鍋だ。夫婦喧嘩じゃないっつうの。
「普段何食べてるんですか?」
「コンビニ弁当とかカップ麺とかコーンフレークとか」
「わかりましたよ、、亜希さんが普段ろくな食生活をしていないのは」
ボクが言ったとき有希が小さな声で『あ“』と叫んだ。
「あのちっちゃいのが色々と希かなえに手渡している」
確かに見ると梨華ちゃん人形サイズの女の子が色々やばいモノを次々と希かなえに手渡していた。
「ちょ、リッターバイクって」
それは突然梨華ちゃんサイズの女の子の頭上に出現してそれを両手で希かなえにパスすると彼女はあろうことかそれを左腕だけで軽々とぶん投げてきた。
ボクはそれをかろうじて避けたが後ろの壁をいとも簡単にぶち破り隣の部屋のランニング姿でカップ麺を食べていた少し太めな男を直撃した。
「そんなもの希かなえはもちろんのこと、梨華ちゃん人形サイズの女の子が持ち上げられるわけないじゃん」
ボクは大声で叫んでいた。
「由紀、順序逆、普通のサイズの女の子が投げられないようなものを身長たったの22cmの女の子が持ち上げられるわけないじゃん」
その時有希から的確な指摘を受けたと思っていたけど楓凛の一言で我に返った。

「てかこのにいちゃん、バイクの下でぺっしゃんこになって大量出血だよ?殺人案件じゃない?」

確かにそうだ、ここは本職の亜希さんに任せようと彼女を見たら、顔面蒼白で突っ立ていた。

希かなえが踏ん張った顔をして両腕で持ち上げていた絵本か教科書か何かで見覚えのあるそれは・・・・

「広島型原子爆弾‼︎」

ちょっと、流石にやばいよ。
僕たちだけじゃなくてこの辺一体が。
「はぁ疲れる、ほんとはやりたくないけど」
亜希がため息をついて言うとウインクをしてボクと有希、そして亜希自身を除いた全てのものが動かなくなった。
時間止められる?なんて便利な不思議設定。
亜希は希かなえに近づき彼女が持ち上げている原爆のようなものを左手のこぶしで『コンコン』とノックすると少し安心したようにボクに言った。
「だいじょうぶ!これ、信管も起爆剤も入っているけど肝心のウランが入っていないから!」
え”ー!それって核爆発しないってだけで普通に爆弾じゃ。
そう思った時は既に亜希は希かなえの両腕からその原子爆弾もどきを奪い取り左手で天井目掛けてぶん投げていた。

そしてゴソゴソと希かなえと小人を縄と何かで拘束した。
「厄介な二人はシバいたからもう動いていいよ」
って亜希。

そして数秒後に易々とアパートの天井と屋根をぶち抜き飛んでいった広島型原子爆弾モドキは遥か上空で爆発して派手な爆発音が鳴り響いた。
ボクは再び動き出していた楓凛に呟く。
「ねえ、ここってまともな人間がひとりもいない世界なの?」
そして暫くしてどこかで見覚えのある幼女ロボット型フィギュアが黒焦げになって落ちてきた。
これはもしかして・・・・・。
「憂羅ちゃんかな?」
一同絶句した。
「良かったじゃない、あの馬鹿チビ人形のとんだ思い違いでここら一帯の命は守られたよ?」
と亜希の勝ち誇ったかのような台詞
って楓凛さんボクら『ウラン違い』で命助かったんですか?
どうやらチビ人形の勘違いで核物質のウランではなく、アニメのキャラクターフィギュアが入っていたようだ。

「ま、とにかくお隣のお兄さんをバイクの下から助け出して回復術をかけないとね」
亜希はそう言うと楓凛に隣の青年に乗っかったリッターバイクをどかしてもらい彼に対する回復術をしかけ始めた。
「本当はこんなことはしたくはないけどね」
と亜希は言う。
回復術とは言っても治癒行為には見えない。
ただ単にエッチ、性的行為をするだけだそうだ。
彼にとっては今回の件は災いだったのかものすごいラッキーだったのか微妙なところかな?と思った。

「さあてと、そこのお人形さん、いろいろ聞きたいこと、あるけどさ」
亜希は全身をぐるぐる巻きに縛られた人形サイズの女の子を睨みつけながら言った。
しかし何故に干瓢で縛る?
「そこにコンビニで買った長巻寿司がたくさんあったからよ!」
と亜希。
いや、問題はそこじゃなくて。
「私、干瓢大っ嫌いなの!悪い?」
いや、そんな問題じゃなくて、それならなんでそんなに買い込んだのかと。
「店にはそれしかなかった、と言うかそこの店長が大量誤発注した、それだけよ」

わけがわからない・・・・・

「そこの幼女、あたしをこんな目に合わせてただで済む気でいるの?」
「済むわよ、それよりも身長22cmのあなたに幼女なんて言われたくないね」

亜希は真っ直ぐに見返して言い返した。

「何故あなたはあの社長に嵌められた犠牲者の1人にも関わらずあいつの見方をするの?」

亜希のいう通り、それはボクにとっても疑問だった。
彼女もカレンダーガールの1人、彼女も社長の犠牲者、社長を恨みこそすれ彼に協力する理由はない。
「じゃあ拷問タイムでも始めますかな?」
亜希はそう云うと彼女のほっぺに真っ赤な紅生姜を押し付けた。
「ほーら、ヒリヒリするでしょ、顔が赤く染まるわよ、なんたって人口着色料使いまくりの安物だから!嫌なら名前とか社長に協力した理由を言いなさい」
なんて下劣な、低レベルな拷問、いや、嫌がらせなんだろうか?
「あたしは社長に協力した気なんて1ミリもない、ただあたしの娘かなえ、希をスターにするからって云うから手伝っただけよ」
ボクはなるほどと納得した、さっきのコンビネーションは実に見事だった。
母娘だったんだね・・・。
「え“!」
そこにいた全員が思わず叫んでしまった。
どう見ても同じくらいの年代だし、同じ年のカレンダーに掲載されているし。
彼女はボク達のリアクションに気づかずに話を続けた。
「かなえはあの大手芸能事務所社長の隠し子だけど、何か?」
あ、なるほどね、やっぱり。
「そりゃ正妻の子供じゃないって事になるからね」
と楓凛、って突っ込むところそこ?
「まあだからそんなのが十何人もいたらどうなると思う?」
と小さいの、いや、いちいち、、、、、小さいのとか小人とかめんどくさいから。
「名前教えてくれる?」
とボク。
小人はしばらく考え込んでから口を開いた。
「言ってなかった?わたしは『玉枝佳苗』、いえ、正確に言うと日本での本名は『佳苗玉枝』と言って実は『希かなえ』の母親です」
「はあ、はい、そうですか」
思わずそう口にしてしまった。
どこからどう突っ込むべきかわからない。
「そうですね、彼は一見とても若く見えますが実はもう50代のいいお年なんですよ」
小人、いや玉枝はうっとりとした表情でいい、ぽっかり開いた天井を見上げた。
「わたしと彼の出会いは、そう、彼がプロヂュースしていたバラエティ番組に欠員ができた時に出演したわたしと彼はバッタリとトイレで出会いました」
ちょっと彼って男だよね。
と言うことは男子トイレだよね?
そこに女の玉枝さんがどうして入るの?
「その日の女子トイレは壊れていた便器が多数あり非常に混んでいました、なので我慢が出来なくなったわたしは慌てて男子トイレの個室に思わず飛び込んでしまったのです」
まあモラル的にはどうかとは思うけど仕方がないっちゃ仕方がない。
「わたしは慌てていましたので個室のドアを開けた時はすでに自分のパンツを下ろしてスカートを捲り上げていました」
はあそうなんですね。
よほど切羽詰まっていたんですね。
でも呆れて物も言えなかった。
「しかしそこには先客がいたのです、既に用を足して、お尻を拭いて暇つぶしにエロ本片手にアレを固く勃起させた大手芸能事務所の社長が、彼は運良く?ドアのロックを忘れていたのです」
なんとなく先は見えてきた。
「わたしは勢い余って彼の膝の上に乗っかって見事に」
「合体してしまったと言うわけだね」
楓凛は呆れたように言った。
どこの世界にそんな僧侶枠のアニメでもなさそうな事態が発生すると言うのだ。
「まだ20代で若かった彼はそのままわたしの中に出してしまい、わたしは希を孕んでしまいました」
って希のほうが名前だったんですか?
はっきり言って突っ込みたかったが彼女はそれが社長の、手口だったと知る。
「他にも同様なやり方で孕まされた若い女性がいたんですね」
かなり呆れた顔をして亜希が聞いた。
「はい、確かわたしも含めて10人いたかと」
・・・・・・、全員絶句するしかなかった。某アニメのマコトくんでもそんなことはしていなかっただろう。
「それで彼はどうしたんですか?まさか責任を取って結婚するとは言わないよね」
楓凛が苦虫を潰したような表情で言う。
「はい、当時彼にはもう既に 1人の正妻と三つ子の着床したばかりの娘さんが正妻のお腹の中にいました」
って着床したばかりなのにどうしてそれが三つ子だなんてわかったんだろうか?それはともかく。
なるほど、彼女らがすくすく育っていれば間違いなく希かなえとほぼおなじくらいのお年頃。
「彼は財産と土地だけはたくさん持っていたので私たちに高層マンションと数人の使用人を与えて面倒を見てくれることになりました」
「それならさほど問題はないのでは?」
亜希はそう言うと自分だけスカートのポケットからチョコレートを取り出し食べ始めた。
「使用人は男1人、若い高校生くらいの少女が2人でした、しかしある日、1人の女性の使用人が娘を幼稚園に送ってくれていた最中、男の使用人がもう1人の若い女性の使用人に手を出そうとしたのです」
「それを止めようとしたのか?」
楓凛にそれを責める気はなかっただろう、しかし。
「彼、いや奴は卑怯にもその前に2人に入れてくれた紅茶に薬物を入れていました、わたしは彼女を守ることもできず」
うん、ちょっとトイレで合体して娘が胎に出来ちゃった人の言うセリフじゃないよね、と思いつつボクは聞いていた。
まあトイレの時は双方納得の上と言えないこともないって事もあり問題はないとしてもその件に関しては明らかににドラッグレイプだよね?
「それで彼女はどうなったの?」
有希が重い口を開いた。突然軽いノリになったり、今みたいに暗くなったりボクにはよくわからないし、希かなえが言うようなボクと有希が同一人物だとは思えなかった。
「奴は『俺と一緒になろう』なんて言っていたけどあり得なかった、そんな人間が薬物に頼るはずなんてないし」
佳苗はそう言うと唇を噛み締めた、一筋の赤い血が彼女の顎をつたわる。
「わたしが動けるようになっていた時は時すでに遅く彼女は自ら自分の舌を噛み切っていました」
セリフはリアルなんだけど22cmの身長で言われてもとは思う、しかし。
真っ赤に腫れて血と白濁液が混じったものが流れ出ている彼女のあそこを見た途端わたしのリミッターはぶっ飛んでいました」
玉枝は自分のすぐ横に転がるビール瓶を見ると激しく震え出した。
「すぐそばにあったビール瓶で奴の頭をかち割ろうとした、でも奴はとんでもない物を持っていた」
奴が持っていたそれから打ち出された大きな弾丸はわたしの口から入り白い歯を全て破壊して後頭部をダイナマイトで爆破したみたいに吹っ飛ばした」
「即死なのによくそんな状況がわかるな」
と楓凛。
「いや、その時彼女はすでにこの世に在らざるものに変化していたんじゃない?」
と亜希。
いや、よくわからんし。
「それから佳苗さん、あなたがあの社長を恨む気持ちはわかったとしてよ、なんであなたが奴の悪事を手伝うのか理解できないんだけど」
亜希は言う、確かに奴の野望に手を貸してどうする気だろうか?
「いや、佳苗さんは最終的には社長の夢を砕くつもりだったと思うよ、ただ彼の方が一枚、それどころか2枚も3枚も上手だったということなんだ」
楓凛はそういうとホワイトボードの前に立った。
「では彼の野望とは一体なんだったのだろう?」
そう言うと楓凛は自分のカバンの中からもう13枚の写真を取り出した。
「それは?」
亜希が問いかける。
「彼が、大手芸能事務所社長に事故っぽく見せる工作でやむなく飛び込んだトイレで嵌められて孕まされた女性たちだ、そしてその時できた娘たちは今回のプロジェクト参加メンバーだったんだ」
真顔で言う楓凛に対して全員がドン引きする表情を浮かべた。
「あのさ、それもちろんジョークだよね?それとも昔流行った少年漫画みたいに全員で『な、なんだってー!』とかさけばなきゃならないわけ?」
さすがの亜希も呆れてしまったように見える、ボクだってどんな反応をしたら良いのかわからない。
「そもそも飛び込んだ先の男子トイレ個室でいきなり鉢合わせしたからって普通合体するどころか性交渉にまで発展すること自体が不自然よね」
急に背後から聞き覚えのない声がした。
「あ、気にしないでね私、通りすがりの国会議員だから」
「何しに来たの?秋子」
と不機嫌そうに亜希、二人の仲はそれほどは良くないらしい。
「ちょっとあんたが持っている資料を貰いにね、でもその社長さん魅力的じゃない、彼なら私のバストをGカップくらいにはしてくれそうかしら?」
そう言いながら秋子と呼ばれた自称国会議員は亜希の机の上や引き出しを勝手に漁っていた。
「だから何しに来たの!」
イライラを隠しきれずに亜希。
「やだな、そんな怖い顔しないで、ついさっき気になる噂を聞いちゃってね、妙な裏ムービーがネットで流れているって聴いたんだけど亜希なら何か知っているのかな?って」
『妙な裏ムービー』というのはちょっと気になったけどあえてボクは彼女の顔を知った上で訊いた。
「そのムービーというのは国会議員たちがテロに巻き込まれて次々と惨殺されるものですか?」
その一言で秋子と呼ばれていた自称国会議員はピタリと机の引き出しの中を漁る手を止めた。
「あなた、面白いわね、この私を女子高生衆議院議員、山﨑秋子と知っていてきいているのかな?」

「裏ムービー?何の話?」
本当に知らないのか亜希は真顔で自称女子高生衆議院議員である山崎秋子に対して訊いた。
どうやら刑事のくせして本当にあの裏ムービーに関する噂を知らないらしい。
「ボク達中学生の中では都市伝説級に有名な話なんですけど、もしかして楓凛さんや亜希さんも知らないんですか?実際には特定の国会議員が女子中学生達に残虐行為を働くムービーですけど」
2人に念のために訊いてみた。
どうしてって?
何故ならボク達中学生の間では知らないものは本当にほとんどいないからだ。
亜希はあっさりと『知らない』と言った。
楓凛も首を横に振っている。
本当に知らないらしい。
「いや、本当に知らない、もしかして希かなえさんと佳苗玉枝さんは知っているのかな?」
希かなえは首を縦に振った、しかし佳苗玉枝は、首を横に振った。
「ボクも詳しくは知らないんだけど有名なネット動画サイトのゲストに対して、まあ無料で視聴しているユーザーが本動画の前に半強制的に視聴させられる広告みたいな動画なんだけど」
「みたいじゃなくて露骨に広告、しかも強制的に数十秒視聴させられるやつ」
不愉快そうに希かなえが口を挟んだ。
「あれって確か無料でも一応ユーザー登録して生年月日も記入する項目があったよな?」
楓凛が確認してきた。
「つまり広告とはいえあくまでも中学生くらいの世代に対してのみその裏ムービーは配信されていたってことだね?」
楓凛は言いながら少し考え込んで言った。
「君たちの中の一人でもその内容を覚えているものはいるかな?」
と、しかしボクもその内容ははっきりとは覚えてはいない。
それは一度見たら目を背けたくなる程までに惨たらしい光景だったのだけど、それでも僕たちはそれを止めることも目を背けることも叶わなかった。
アプリはシャットダウン出来なくなり、PCだろうがスマホだろうがタブレットでも全てシステムごとシャットダウンする事がそのムービーが終了するまで出来なくなった。
にもかかわらず何故その内容をハッキリと覚えていないかというとその裏ムービーは再生されるたびに全く別の内容に変わってしまうからだ。
被害に遭う女子中学生達も全く別人に変わる。
「そんな馬鹿な?制作コスト的にあり得ない」
楓凛は言うが事実だから仕方がない。
『アレは高精度のポリゴンモデルをリアルタイムでレイトレーシング描写をしているのではないか?」
とか
「そもそも実際に行われていた犯行現場をライブ配信していたのでは?」
などと言った見解が多く占めていた。

「その一例だけでも、思いついただけでも話せないかな?」
そう切り出したのは山﨑秋子だった。
「別にいいけど、気分のいいものじゃないよ、タイトルが『確か与党若手女さん議員ら謀反!許していいのか!この暴行!』だったっけ」
「ちょ、何その女さん、って妙な言い回し」
秋子が驚いたように訊く。
「なんか変な特権を持った女性達のことを言っているらしいんだけどほぼキ印扱いだよね」
とボク。
「どーゆう意味?」
と楓凛、マスコミ関係に身を置いている人でも知らないことはあるのか?
「まあ、例を挙げるならさ、『浮気をしていたカミさんがその相手との子供孕んじゃって正夫に対して浮気したのはあんただからこの子の養育費を払ってよと迫ったり、異常に好き勝手して男を困らせてもいいって感じの特権を振り回す女の人のことらしいんだけど、私らに言わせりゃあ迷惑なんだけどね、その範疇に私ら女子中学生や女子高校生もいるって噂ばら撒かれているから」
不満げに希かなえが憤慨している。
「なるほど、そのことね」
楓凛は深いため息をついて言った。
「そもそも子供に関しちゃDNA検査すれば大方バレてしまうし、そんな横柄な女がいないとは言わないけどよほどの美人じゃないと相手にされないしデマもいいところなんだけどそれがなんで与党若手女性議員と関係があるんだ?」
「それが最近、一見マトモな議員活動をしている若手女性議員達が裏ではとんでもない暴力行為を働いているかのような現場を収めたムービーとメッセージと一緒にそれを煽るサイトに誘導するリンクが流れているんだよね」
と希かなえ、ちょっとイラついたかのようにいう。
「まあそれならたいして問題にならないんじゃないのかな?強制的に流れると言ってもたかが数十秒なんでしょ?昔の大手自動車会社みたいな姓の議員がいる秘書に対する暴行事件で辞めさせられた例もあるし」
と秋子が言う。
彼女は確かボクの乏しい知識でも最近の選挙法改正で立候補できるようになってしまった15才以上の国会議員だったはずだ。
山﨑秋子は一応名目上は野党と言われている威神の怪からの出馬、じゃない立候補だけど世間では与党の別働隊とも言われている。
「でもそれが、私、先日もマトモな野党議員に関するデマを流していた先輩殴っちゃったし」
あっけらかんと秋子は言った。
「でもそれってすごくまずいんじゃないですか?」
とボク。
秋子はしばらく考え込んでいたけど『まあいいか』と呟き『それがどうしたって?』と訊き返してきた。
気にも止めていないと言うことか?
「倶名尚愛さん、って与党の女子高生衆議院議員も知っていますよね」
一応前もって確認しておく、さほど有名ではないのか一応ムービーには顔出し映像と一緒に名前と所属政党名も出ていたんだけど念のために確認を取る。
「ああ、アンニャロか、あいつなら体格コンプレックスがスゴいから自分よりも可愛くてプロポーションの良い女子中学生の頭蓋骨を左手アイアンクローで潰しても不思議はないね」
平然と言ってきた。
「もしかしてお二人の仲は良くないのですか?」
とボク
「そう思えるんならあなたの大脳のほうが下垂体と仲が悪いんじゃないの?」
いきなりそこまでディスらなくてもとは思ったが。
「問題なのは被害者が全員ボク達カレンダーガールと同じ年頃の女子中学生だということなんですよ」
そう、同じ党の国会議員同士ならまだしも相手は一般人、しかも年はもいかない無抵抗な女子中学生となると話は別だ。
「それは流石にやばいな、下手をすれば離党程度じゃ済まない、相手の被害にもよるけど殺人未遂だって逮捕もあり得る」
さすがに馬鹿ヅラそうな秋子議員でもようやくことの重大さに気づいてくれたようだ。
「で、その相手の被害状態が分かりそうなムービーか?」
と真顔で言う。
「隠し撮りで多分倶名尚愛さんの方の映像だったと記憶しているんですが相手の、女子中学生の顔面を左手でいきなり鷲掴みにしてそのまま壁に叩きつけて気を失ったところをサバイバルナイフで心臓をひと突きに・・・・・」
有希でもそこから先をまともに説明することが出来なかった。
ムービーそのものはモノクロ映像だったが一部着色加工がなされていてサバイバルナイフを一気に引き抜かれた女子中学生の胸部から大量の真っ赤な鮮血が流れ出したところで終了して通常通りの検索した映像が流れ出したからだ。
髪型も肌色も違っていたがアレは間違いなくボクらと一緒にカレンダーガールをしていた娘の一人だった。
秋子さんを見るとそれにはさすがに大きなショックを受けてしまったようですっかり青ざめていた。
「まさかそんな・・・」
彼女の息遣いが弱々しくなる。
「つ、次は私の番ね、私彼女のチョコモナカビッグを無断で食べちゃったから、確かにあいつならやりかねない、いいえ、心臓ひと突きで済むはずがないわ、きっと滅多刺しよ!素っ裸にされた上に内臓の抉られて秋子盛りとか言って衆議院議長の机の上に晒されるわ」
いやそんな妄想を長々と語られても、と思ったが秋子さんの目はマヂものの怯えようだった。
倶名尚愛と言う女子高校生衆議院議員、そこまで外道なのか?
そこまで考えてふと我に帰る。
いや流石にそれはない、いくら国会議員に不逮捕権があったとしても流石に殺人は、逮捕されるでしょ。
それが事実ならいくらあの党のアイドルと言われている彼女でもとっくの昔に逮捕されている。
「他にはないのか?」
と楓凛、少し怪訝な表情をしている。
「他にはあるのかい?」
2人の友人の楓凛さんには申し訳ないがまだいっぱいある。
次もやはり犠牲者はカレンダーガールのうちの一人だった。
やはりモノクロではあるけど恐怖に顔を引き攣らせたポニーテールの女子中学生がトイレの個室に逃げ込むところからムービーは始まった。
そんな彼女を追い詰めているのは背中姿ではあるがどう見ても山崎秋子にしか見えない背中。
開く側ドアの隙間に鉄鋼用の細い板状の長さが1メートルほどの長さの刃物を隙間に差し込むと一気に下に引き下ろした。
続けてドアの蝶番側の方の隙間にも差し込み今度は上から下まで一気に引き下げると同時にドア本体を右脚で蹴り込む。なきさけぶポニーテール、秋子らしき人物はそんな彼女のスカートに手を入れてパンツを引き摺り下ろした。
そしてプラスチックの少し太めなスポイトを自分のスカートから取り出すと彼女の大事な部分にある穴に注入した。
ポニーテールの娘の目は虚になり秋子の腕の中に倒れた。
続いて明子と思われる人物は今度はスカートの中からかなり大きくて太い大人のバイブレーターマッサージを取り出してそれを彼女の大事な穴につっこんだ。
それはまともなものではなくシルバーメタリックの金属製で周囲に無数の尖った棘が無数に並べられていた。
秋子と思われる女子高生はなんの躊躇もなくそれのスイッチを入れて激しく回転させると容赦なく女子中学生の大事な穴に突っ込んだ。
激しい苦痛に暴れるようにのたうち喘ぐうポニーテール、そんな彼女の股間から大量に流れる真っ赤な鮮血を見て微笑む秋子さん。
「そんな感じのムービーでしたよ」
説明を終えたボクを山崎秋子さんの青ざめた目で見ている。
そりゃあショックだろう、それにしても自分で内容の大半を忘れたとか言っておいて、ボクながら案外よく覚えていたものだと思う。
「それは確かにひどいわ」
流石にショックだったのだろう、これ以上言葉も出ないか?
「だってツッコミどころ満載ですもん」
はい?
「だよな」
と楓凛。
「だって私ならこんな面倒なことしなくても指先一つで陥落出来ちゃうから」
「男も女も潮吹かせまくり、喘ぎまくらせだしな」
と楓凛。
「いや、そんな問題ですか?やっぱりこの国にはマトモな人間が・・・」
考えるだけ無駄なような気がしてきた。
もしかしたらボクの記憶の方が間違いかもしれなかったかもしれない。
半分睡魔に襲われた状態で観たムービーだったから。
「うん、一応愛にも確認の電話入れておこうか」
亜希は言いながらスマホを操作して倶名尚愛なる女子高生衆議院議員に電話をかけた。
「愛、あんたサバイバルナイフで人差し殺したって?」
どストレートに質問をしていた。
『さあ、そんな記憶はないけど、もしそうだとしても何の問題もないんじゃない?だって国会が開いている時は国会議員が何をしても逮捕できない特権があるってネトウヨのお兄ちゃんも言っていたし』
完全に他人事のような反応だ。こんな奴に国政を任せて良いものだろうか?
「あんたにサバイバルナイフで心臓ひと突きにされて胸から大量の真っ赤な血をドバドバ流している女子中学生のムービーが拡散されているらしいんだけど本当に大丈夫なの?」
と多少心配したように亜希さん。
『もうあたしこれからネットゲームやろうとしていたんだけど、そんなどうでもいいようなことで電話かけないでくれる?』
なんか不謹慎な返事が返ってきた。
こんなのが衆議院議員ってやっぱりこの国本当にやばいんじゃ?
『もうこれから中央新幹線の改札入らなきゃいけないから、ちょー長い階段死ぬほど降りなきゃなんだけど、改札通ってホームに入ってからその時に』
とか言って勝手に電話は切られてしまった。

「まあ愛が本当に女子中学生の胸に刃物を突き立てるとは思えないからまあデマゴーグムービーなんだろうけど」
亜希はそういうと電話を切ってボソッと呟いた。
「まあ可愛い女子中学生が相手なら殺し文句の二つや三つは言いかねないけどね」
そう言う人なのか?
「でも私が横取りしちゃうからね!」
亜希と秋子の間では何故か先程の強制的に流されていた惨殺ムービーの存在は忘れられつつある。
「とはいえそんなムービーを女子中学生対象にだけ流しても意味がないんじゃないのか?」
と割とまともな答えをしたのは楓凛。
確かにそんな気がしないでもない。
「いやそれはそうとも言い切れないんじゃないの?登録されたプロフィールや顔写真はちゃんと確認しているのかな?」
秋子はそう言うとアカウント名、ハンドルネームと年齢が書かれた紙を差し出した。
「これ、私のSNSにやたらと絡んでくる奴がいたんで国会議員権限で開示させたらこんなのが出てきたの」
確かにその写真は見た目どう見ても10代前半の美少女でアカウント名、ハンドルネーム、年齢もそれぞれ萌え系女子を思わせるもので年齢も13才くらいだった。
「でも実際に開示されたのはこっちだったのよ」
そう言って彼女が差し出したもう一枚の紙には。
どう見ても痩せた50代のおっさんの写真と女性とは言い難い本名、そして56歳という実年齢だった。
「あ、あーこれ完全にアウトだね、もしかしてこれはエンコウ目的なのかな?」
「そういうのはあるかも」
突然に口を挟んできた佳苗玉枝はいうと彼女の娘である希かなえのポケットからスマホを取り出して全員に見えるようにして、メーリングリストを見せた。
「この娘さんたちみんなかなえのファンを名乗っているけど探偵雇って調べたらおっさんばかりだったわ、結構裕福で金蔓(金づる)になっていいけど」
あまりにも淡々と言っている佳苗玉枝のセリフを聞いていたら
こいつマヂで何かのドラマの毒親みたいに自分の娘を売春に出しそうな気がしてきた。
「つまり意味がなさそうに見えて実際にはアダルトサイト以上の宣伝効果はあるってことだな」
と楓凛。
彼女ら女子高校生衆議院議員に対する印象を悪くして落選をさせるのが目的なら確かに効果はあるのかもしれない。
でもそんなことより。
彼女たちは本当にその場所で殺されているのか?という疑問の方が大事かもしれない。
「実は殺されたように見えたのは演技によるので実際には殺されてはいないと、それで根拠は?」
ボクの疑問に気がついたのか楓凛は質問をなげつけてきた。
ボク自身はそっち方向の知識が豊富とは言い難いけど確かにいくつかの疑問点はある。
「何故、血液だけは真っ赤な鮮血で表現をしておきながら他は全てモノクロ画像なのか?」
衣服や床に飛び散った鮮血をよりリアルに見せるためなのか、それとも全てをフルカラーにするとかえって偽物感が出てしまうためか?
ー『そもそも流血のみを最初からCGを使って表現する気だった線も考えられる』ー
楓凛の言葉がボクの物思いの中に割り込んできた。
「それを言い出したら登場人物全てが生身の人間である必然性さえ無くなる」
亜希が妙に的を射た事を言った。
偶然だと思うけど。
「それならばムービーが流れるたびに毎度動きや構図が変わる理由の説明がつくか」
楓凛と亜希はそれで納得がいったように見えたが秋子だけは神妙な顔をしている。
「でもこんなのを流して誰得なんだろうか?」
そりゃあ選挙での対立候補とか?
「選挙は先月に終わったばかりだよ?、それに遺体のない殺人事件の犯人なんて逮捕出来てしまうようものなら亜希みたいな脳みそ空っぽでも刑事務まるし」
秋子のマトをぶち抜いた意見にぶちぎれた表情をした亜希。
「じゃあ目的はなんなのよ、無能な警察に対する嫌がらせ?」
顔を真っ赤にして怒っている。
「市民、特に女子中学生に対して恐怖心を煽るため?」
「それはないと思う」
有希と希かなえ。
「まあ単純に恐怖を煽る為だとしたらわざわざ一部分だけカラーにするはずはないし」
また行き詰まってしまった。
「俺は確かに君たちの色々なポーズの写真、や動画レオタード姿の動画や写真をステレオカメラで撮ったけど、もしかしてポリゴンデーター作成のためだったとしたら?」
楓凛はそういうとカバンから一枚の写真を取り出した。
女の子が身体中の至る場所に沢山の電線を引っ付けているやつだ。
「あ、これならボクも知っている、ゲームなどでキャラクターの振り付けをつけるための道具、動きをコンピューターに取り込んでくれるんだよね?」
正しいその名前は知らなかったけど目的は記憶の片隅にあった。
「使わされた覚えはある?」
楓凛にそう言われたが記憶には無かった。
希かなえも同様に聞かれたが覚えがないようだった。
佳苗玉枝に至ってはまず知らないだろう。
しかし彼女は少し驚いた表情を浮かべていた。
「これ、うちのかなえじゃなかったけど社長のお手伝いをしている時に彼の娘さんたち3人がつけていた記憶があります、ただし電線は見なかった、ワイヤレスっていうんですかね?」
「なるほど、一旦データーができて仕舞えば動かすのは他の誰でも良いと」
楓凛は呟いたけど何か一つ納得がいかないみたいだ。
「佳苗玉枝さんその三姉妹ですがいまはどちらに」
「どちらも何もそれらの動きをいくパターンも取らせた後にわたしに始末を命じられましたよ?」
あっけらかんと佳苗玉枝は言った。始末って一体どういう事だよ?自分の大事な娘さんじゃないのか?
「彼女たちの最後の仕事はこの国の大物政治家、とは言っても与党の方ではなく野党の方にですけどね、陵辱されてサイレンサー付きの拳銃で頭部や胸を撃ち抜かれる役でした」
ちょっとまって『役』って一体なんだよ。
「一時『40代の私が十代前半の少女と性的交渉を前提としたお付き合いを』なんて本音を吐露して大問題になった議員さんがいらしたでしょ?その人の女子中学生に対する暴行と殺人を表現したCGムービーを制作していたんですよ」
あっけらかんというがその議員のデーターはどうする気だったんだ?
ボクの疑問はここに居合わせた全員が感じてはいたようだ。
「それはちょっと」
と『佳苗玉枝』は口を濁(にご)らせた。

「その議員さんのモーションを取る役を社長がやることになったのですがこれには流石に三姉妹も拒絶しまして、わたしに薬物の使用を命じました」
再び静寂が訪れた。
「ま、まさかとは思うけどワイヤレスモーションキャプチャーつけたまま自分の実娘3人とやっちゃたわけ?」
「それって実写で録画した方が早かったんじゃ?」
亜希が口を挟んだが社長の意図は明白だった。
『さすがに実娘を実写で裏ムービーで流すのはまずい』と気がついたのだろうか? 
それに今までのものとは整合性が取れなくなる。
「その時の娘さんはどうだった?」
ボクは佳苗玉枝さんに尋ねた。
最初はぼんやりとはしていましたが記憶を取り戻していくにつれて青ざめてゆき、1人は自分の胸に台所にあった出刃包丁を突き刺し、もう1人は父親、社長の引き出しに隠してあった大型拳銃を自分の口に突っ込み、自ら引き金を引きました」
再び長い静寂が訪れた。
「最後の1人はどうなった?」
重々しく問いかける楓凛。
「後から来た男たち3人に窓ガラスを突き破って15階下のラウンジの屋根の上に突き落とされました」
何故そこまで?
「彼女だけは最初の1人だったので最初に薬が切れ始めてうっすらとでしたが自分の父親が自分の他の姉妹に何をしたのかを見ていましたから社長に対して果物ナイフで襲い掛かったのです」
「ちょっと待って、あの議員は自分がそんな若い少女と恋愛関係になった場合どうなるのかの例えで実際にするとは言っていなかったはず?」
楓凛は納得がいかないのか抗議をした。
「いえ、その野党議員は法を守る気もモラルも持たない野蛮人というイメージを作るためにドラッグレイプに近い形で収録したかったようです」
「じゃあなんであんたはそんなクズに加担したんだよ!」
拳を机に振り落として激昂したのは意外と希かなえだった。
「私にとってあの社長も彼の娘3人も復習の対象だったからよ」
佳苗玉枝は淡々と答えた。
「あの子たちもあなたと同じ目に合わせたかった」
「ふざけんといて!あたしはあの子たちにはなんの恨みもない!そりゃあ扱いの違いで不満はあったよ、でもあの子たちだって犠牲者なんだよ、あたしはあの世でどんな顔をしてあの娘たちと会えばいいんだよ」
希かなえは母親の襟首を二本の指でつまむともう一本の手で強烈なデコピンをかました。
「それにあいつは最初から人間じゃない、この国の中枢に巣食って国民を喰い物にしてきたモンスターなのよ」
希かなえの言葉を聞いた時、ボクの中の全ての記憶は解錠された。
ボク、は奴の餌食にされたんだ。

あの夜、たった2人で密会して食事に誘われ薬物に酔わされ社長に陵辱されて全てに絶望したボクは家に帰るなり引きこもってしまった。
ボクの部屋の勉強机のすぐ右側にある壁にはもう1人のボク、『有希』と名乗るアイドルの卵が長い黒髪を風になびかせて微笑んでいた。
カレンダーの試し刷りポスターだった。
ボクはあのプロジェクトに応募してなんとか13人の枠に残れた。
そんな頃はまだボクと希かなえの関係は良好だった。
少なくとも毎日仕事が終わるたびに甘味屋に行って奢り合う程度までは。
しかしある日彼女は豹変した。
いや、豹変したのは彼女ではなく、むしろボクのほうだったのかもしれない。
ボクたちの仕事は、アイドルを目指すとはいえそう言った方向からは程遠かった。
町内の催し物の手伝いや準備、後片付けなども含まれていた。
大方が雑用みたいなものだった。
それでも頑張れたのは13人でアイドルになろうという目標があったからだ。
そんなある日不穏な噂が流れた。
最初は13人のうちに1人だけが脱落するというものだった。
1人は悲しい目に遭うがマネージャー的な役割が与えられるという内容だったのでほぼ全員が納得していた。
しかし、本当の情報が事務所の人間の一部から漏れるようになってしまった。
それは事務所の従業員数人から聞かされた不穏な噂だった。
「僕たちはしばらくしたら人員整理で大勢の社員が解雇されるかもしれない」
というものだった。
「経営が苦しいのかな?」とか
「仕事が減ってきたから事業を縮小するのかな?」
そんな噂がボク達プロジェクトのメンバーにも流れ出した頃
ボク達は大手芸能事務所の社長から勧誘を受けてそれぞれ個別に自分だけの引き抜き話を聞かされ、今所属している事務所がプロジェクトごと解散させられる事実を知らされた。
しかし僕たちは一人一人他のメンバーに相談できない秘密を彼、大手芸能事務所の社長に握られていた。
誘惑されたとはいえ彼と一夜を共にしてしまったという事実と、それを証明する動かぬ証明動画が各自の不採用通知のメッセージとともにスマホのメールボックスに直に送られていた。
そんな頃、僕たちの事務所がプロジェクトもろとも正式に解散することが告げられて、最後の事業として次の年のカレンダーが所属している12人のタレントで制作されることが発表された。
まあ運が良ければどこかが拾ってくれるだろうとの話だったがボク達12人が見捨てられたのは明白だった。
残る1人だけは大手芸能事務所に引き抜かれるという噂がまたしても事務所の人間から漏れ始めていた。
つまり大手芸能事務所の社長に抱かれた娘達のうちたった1人だけが採用されて他の娘達は捨てられたということだ。
そしてその残された娘達には表沙汰にできない証拠動画と共に誤った記憶が植え付けられていた。
『自分が他の誰かに薬物などで嵌められて社長を誘惑してその不遜を買い選考対象から外されてしまった』ということを、その時ボク達は最終的に誰が残されたのかは知らされていなかった。
そして互いに社長から吹き込まれた『自分達を嵌めた犯人が選考に残った』という強い思い込みだけが残った。

「ここまでの話でおおよその謎は解けた」
亜希は重い口を開くと『佳苗玉枝』を見た。
「あなたのトイレで社長と合体というのは偽りの記憶です」
「え”!」
一同驚いた。
「そしてあなたと希かなえさんが母娘だというのも偽りの記憶です、なぜならあなた達は2人とも『明日のアイドルをなんちゃらプロジェクト、だっけ?」
亜希って刑事みならいさんは突然自分の記憶に対する自信をなくす、そんな感じの人だと思った。
「そのメンバーの1人ね」
彼女はそういうと分析を始めた。
「まずは本間咲さんですが結論から言うと彼女は加藤麻子と同じ頃に始末されている」
これで2人消えた。
「そして『佳苗玉枝』さんですが、彼女は希かなえさんの母親ではないです、ん、まあ普通に考えたらすぐにわかる事なんだけどトイレの件も含めて記憶をすり替えられてますね」
これで3人目と言うことか?
「そして今生きている希かなえさんですが彼女も用済みということで消されていますね」
これで4人目。
「残るは楓山有希さんですがこの方も実在していましたが始末されていました、ちなみに有希さんは加藤麻子さんじゃ無いと思われます、本名は不明でしたが『自分は加藤麻子』という誤った記憶を植え付けられていました」
そして由紀さんも同様始末させられていました、時系列的には由紀さんの方が一番後にお亡くなりになっているのですが彼女を罠に嵌めてスキャンダルネタで失脚させようとして事故死させたのは希かなえさんですがかなえさんはもう1人いました」
それはどういうこと?
「名前は明かせないけれどおそらくあの『希かなえ』さんに罠に嵌められて事故死したのが有希さんですが彼女は厳密には死にませんでした、由紀さんとして彼女に憑依する形で生き残ってしまいます」
さっきまでボクと有希は同一人物だと言っておきながら何を言い出すのかとおもった。

本間咲→データーを取られた後で殺害

加藤麻子→データーを取られた後で殺害

佳苗玉枝(仮名)→データーを取られた後で殺害→今現在小人として生存者

希かなえ→データーを取られた後でデスゲームにて死亡→早く殺し過ぎたと後悔

少女A(希かなえに有希を罠に嵌めた少女)→希かなえと同じ

少女B (希かなえに有希を罠に嵌めた少女)→希かなえと同じ

楓山有希→3人と3人(男役)に嵌められて事故死

エロ教師(→データーを取られた後で→(有希と希かなえ(実は『かなえ』)を暴行→殺害しようとする

保健担当医→大手芸能事務所社長→当然♂

教頭(実は由紀)→データーを取られた後で→(有希に対して暴行)→殺害、しかし有希と共存して生きていた(昼←由紀、夜←有希)

社長の娘A→データーを取られた後で→プロパガンダ映像作成時に死亡

社長の娘B→社長の娘Aと同じ

社長の娘C→社長の娘Aと同じ

かなえ→データーを取られた後で→希かなえとして利用、しかし社長に対して裏切り→制裁を受ける

亜希はそれらをリストアップした。

「私の胎内での捜査は終了しました」
亜希は高らかに宣言したが彼女が自信満々な時ほど不安になるのはなぜだろうか?

アダルト版カレンダーガール2〜刑事みならい

終わり

アダルト版カレンダーガール2〜刑事みならい

に続く

#ハタチ未満閲覧注意
#SFっぽく
#政治色濃く
#過激な性暴力描写あり
#20才未満の方の閲覧はご遠慮ください
#ハルサメとナッツシリーズ
#小説

有料特典おまけあります。


あとがき

ここから先は

706字
有料部分を時々追加、更新します、円盤特典みたいなものと思ってください。

壁にかけてあったアイドルの女の子が突然にミニチュアサイズの女の子に実体化 軽いエッチあり、重たい性描写あり、身体のムフフな場所に寄生する異…

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