下界(パラレル)14日本列島生物化計画8

下界(パラレル)14日本列島生物化計画8

毎回とは限りませんが今作はエログロ描写や官能描写を多大に含みますので20才未満の閲覧はご遠慮してくださいね♪
なお現実と烈しく乖離している部分が多いですよ

「それよりもこの3人の手当の方が優先というわけですね」
「うん、火山帯のマグマ溜まり同士の結合と脈動は気になるけど今はこの3人を死の淵から引き戻すことが先決ね、念のために聞いておくけど富士市を出るまではまだちゃんと動けて喋れていたんだったよね?」
いたんだよね?ってあんた観萌としてその場にいたんじゃないのかよ?と私はツッコミたかったがどうやら観萌とさとみは別人格と見るべきかもしれない。
「そして日本の火山帯のマグマ溜まりの脈動化と各火山のマグマ溜まりの結束化は残った最悪のケースのひとつかもしれないですね」
「あ、香織さん、そろそろ私と運転代わりましょうか?私ならノーライトでも運転できますから」そう言ったさとみはいつの間にかいつもの観萌に口調が戻っていた。

「う、さすがにキツなってきたけどそれよりも3人の妊婦さんの手当の方が優先じゃなくないですか?」
花奈が口を挟んだ。
「それが私にもどうにもならないの」
「これが銃弾に撃たれた傷とか感染症ならいざ知らず根本的な問題は彼女達の胎の中に抱え込んだ3,000万人を超える人達にあるの」
珍しく観萌が苦悩する表情を隠そうともしない。解決できる方法に未だに辿り着けていないのか?
「中のひとりひとりがとっくの昔に数時間の致死量の放射線を浴びてしまっている、それにその元凶となる放射性物質を肺などの内臓に大量に取り込んでしまっている、3人が彼らを胎の中に取り込んだとしても彼らは数週間で絶命をしてしまう、それを防ぐにはどうしたらよいか?」
月海は観萌のセリフを聞きながら考えていた。
「彼らの体内からそれをすべて取り除いて自分の胎の外、身体中の血管の中に循環させるしか方法はない、しかも外に漏らさないように、そんなことは可能なのか?」
月海の言葉に観萌は首を縦に振った。しかしその顔色はますます曇ってゆく。
「可能ではあるのですが血管を通して体内を循環している放射性物質が彼女達の内臓や脳髄、筋肉や骨を被曝させ続けることになります、余命は想定不可能ですが長くは生きられないかと」
「でもそれって数ある分岐のうちの3人でしょ?大して問題にはならないのでは」
月輪が言ったが観萌は首を横に振った。
「私たちは様々な並行世界を渡り歩いて今現在に至っています、もしも彼女達がほぼ始祖に近い存在だった場合、私達も存在しなかったことになってしまう可能性だってあるわけですよ」
「まあ深く考えても仕方がないね、今はこのマグマ溜まり同士の繋がりと脈動をどうするは考えよう」
私が言っても他の全員はうつむいたままだった。
あの小田井署附属病院襲撃事件の時、あの老人が言っていたセリフが気になって仕方がないからだ。
その記憶は私の孫の代までも引き継がれていたようだ。

『待って!あなた達は何者なの?』
私の声にならない声が老人を呼び止めた。
『それはワシらに対する問いかけかな?それとも自分自身に対する問いかけかな?』
老人は振り返ることなく言った。
もちろん私だって自分が何者か知らない。
でも確かにここにいる。
『本当にここにいると言えるのかな?ワシはこの世界の時空を何十回と見続けてきたがお前はこの一年くらい前は存在しない、いわば幻のようなものではないのかな』
そう言われると自分の左腕が透き通ってくるかのように見えた、半年も経つというのに私は自分の過去を取り戻せていない。

ーあたしは車の中で風間しのさんが銃殺される画像をみたときに思わず『生きて欲しい』と強く念じてしまった、するとそれが彼女自身の願いに、時と場所を超えてシンクロしてあなたを過去の現実世界に生み出してしまったー
愛の思念だろうか?それが私の心を激しく動かした。

老人は振り返るとニヤリと笑った。
『なるほど、ならば我々にとっては脅威ではないですな、やはりあなたは幻想のようなもの、いずれは消えて無くなるでしょう』
不安が私をさらに掻き立てる、左腕どころか両足、胴体まで透けて見えるようになってきた。

「結局はすべて幻だ、そんな結論に達する気がしてきましたね」
月輪も心なしか衰弱した中年女性のように見えてきた。

「あたし、ある晩にとても恐ろしい夢を見たんです、全員が何者かに操られて殺し合いをしている夢を・・・」

一同が発言の主、夏乃花奈を見ていた。
彼女は予知夢の能力も持っている。
そしてそれに対してなんの対策も施さなければほぼ100%の確率で的中してしまうことも事実だった。
「策はあるの?」
銀は聞いた。
巨乳だが同時に下半身には女性のそれと一緒にAV男優も真っ青になるくらい立派なモノを持っているのが特徴だ。
「あたしはこの夢は数えきれないほどの数をそれぞれ別のパターンで見てきました」
悲しげな表情で言った花奈の顔は溢れ出している涙で濡れていた。
「その全てが全員死亡という救いのない結末です」

彼女の話を聞いているうちにわかってきたことだけど誰が暴走したとしてもこの地球は愚か銀河系さえも破滅するらしい。

「取り敢えずは3人の生命力に希望を望むしかないですね」
沈痛な表情で観萌が言った時にただひとり3人を見つめて信じられない事を言ったものがいた。

「この方達はどこの時間線、並行世界からやってきたんでしょうかね?もしもその世界での問題点を解決できたら・・・」わたしの後ろから声を掛けてきたのはハルだった。
「でもどうやってその時間線、並行世界を割り出すの?手がかりを聞き出そうにも本人達はこんな状態だよ?」
半泣き状態で花奈が言った。
確かに目の前で苦しみ、のたうち回っている3人はとてもじゃないが喋れるような状態じゃない。
「でも少なくともこのバスに乗り込んで来た時はまだ元気そうだったんでしょ?」
ハルが確認するように訊いた。
「確かに、みんなから見てどうだった?」
私は特にかなえとあつこを見て言った。
「いや、特に、変わったような・・・」
そう言いかけたかなえにあつこはハッとしたような表情をうかべた。
「黄色い車に追い回されてから、ぐったりし始めた気がして」
「それはあまり関係がない気がします」
ハルがそれを否定した。
何故?、とみんな。
しかしハルはそれに対して全く答えようとしなかった。

このシビリアンに乗り込んでからの私もかなり体調が悪いのかもしれない
あまり気分の良くない睡魔に私は引き込まれつつあった。

「わかった、全ての謎とは言えないけど、私たちの始祖が一体誰だったのか?」

突然に誰かの夢の中に割り込んでいるような気がした。
「あ、ごめん、私よ、私、葉類亜希、わかるでしょ?」

自分でもわからないけど私は数人いる彼女達にそう語りかけていた。
ーあの、私椎奈というアンドロイドですがあなたは一体何者ですか?ー
そんな返事が返ってきた。
「あ、愛のマネージャーの椎奈ね、でそこに愛はあるんかい」
我ながら意味不明な返しをしてしまっていた。

ーはあ?あんた誰よお?葉類亜希?そんなやつ知らんわー

いきなり私は倶名尚愛によって存在を全否定されてしまった。

「9月に起きた小田井署附属病院襲撃事件を覚えている?」
確認してみた、私が知っている愛ならその事は知っている筈だった。

ー9月に起きた小田井署附属病院襲撃事件?そんなもん知らないよ、あたしはまだクソ暑い8月にいたはずなのに気がついたら翌年の4月って聞かされてこっちがびっくりだよー

いやいや、こっちの方がびっくりだよ、私は誰と喋っているのだろうか?

「一体そこには誰と誰がいるのよ」
念の為にそう問いかけてみた。

ーまず私アンドロイドの椎奈です、よろしく今年いっぱいというか12月まではみならい実習で他の議員さんのマネージャーをやらせてもらうことになってます。そして今隣の運転席に移ったのが佐原観萌さんー
私は思わず驚かざるを得なかった。
「何でそこにも観萌がいるのよ!こっちにもひとりいるんだけど?」

ー彼女も去年の8月から飛ばされて来たみたいであなたの事は知らないと思いますよ?ー
アンドロイド椎奈がそういうと彼方の観萌がハッと気がついたように言った。
ーあ、もしかして私と月海が退学になりかけた時に校長との仲裁に入ってくれて2人の仲も認めてくれた小田井署のクソガキ婦警さんですね?ー
あまりにも率直すぎる意見には愕然としたが私はブチギレていた。「あの時の核爆弾でも殺せそうもないカラフルな超ロン毛ロンまつ毛とロン眉毛、トドメが凶器のような鋭く尖った爪を持った不良少女だったわね、今思い返せば、」
ーいらないお世話です、ところで今の私もそこにいるんですか?ー
いや、それはこっちのセリフなんですが?
「今のアンタなら寄生体を裸にして干瓢で縛り上げて大事なところに赤しょうがの汁を垂らしてヒイヒイ言わせてサディスティックに微笑んでいるわよ」
と思わず本当の事を伝えてしまっていた。
ー私はそんな趣味の悪い事はしません、それに寄生体って一体なんですか?寄生虫の大きいヤツですか?ー
まあそうだろうな、とは思った。だからこう返した。
「あ、半年以上前のアンタが知るわけないか、ところでアンタのセフレ、じゃない相棒はどうしたのよ?確か月見うどんとかいう名前の気が短いヤツ」
ー水無月海です、わざと間違がえないでください!それが一緒にウインドウショッピングしていた筈なのにこの時代に飛ばされたのは私ひとりだけ、どうしてこうなったのかわからないですー
こちらの観萌も考え込んでいるように見えた。

「まず大事なことだけ伝えておくね、志乃ちゃん、あなたを襲った3人組はまだこの世界では生きている、そして今もあなたをつけねらっている」
私は自分でさえ理解できない事を口走っているとは思ってはいた。

「観萌、愛、彼女を守れるのはあなた達だけよ、あいつらは自分達のホームグラウンドにあなた達を招待しようとしている」
彼方の様子は全く伝わってこないが私はこれだけ入っておく必要があると思っていた。
「急いで、奴らは・・・・」
そこで私は目を覚ましてしまい通信が途絶えてしまっていた。
「なんかすごく嫌な予感がする」
私がそう呟くと
「気になるなら私たちが向かいます」
そう言って『かなえ』と『あつこ』が名乗りをあげてくれた。
戦闘能力的にはそれほどではないがふたりとも時間線移動、並行世界移動、時空間移動などの能力を持ち合わせていた。彼女達ほどの適任はいないかもしれない。
「気をつけて、もしも本当にあいつらなら私達が束になってかかっても勝てるかどうかわからない相手よ」
私は2人に念を押しておいた。
ふたりの姿は瞬時に消えて彼方の世界に行けた事を伝えては来たがにわかには信じられないような内容だった。

原発事故でもあったかのような凄まじい放射線の嵐が渦巻いていると。それだけの報告だったが。

しばらくして2人は帰ってきた。
そして2人が私に伝えた報告内容は信じ難い、というか私が夢の中で見た事を補完するような内容だったとも言える。

ひとりの少女が3人の男と戦っていました。
少女の年齢は中学生の半ばくらい、しか戦力の差は一方的すぎるほどでした。
もはや戦うどころか2人の男に強姦、レイプされる寸前にまで追い込まれていました。
他の男はともかくあのムキムキマンにウオターガンが通用すると思思えなかった、それどころか下手をすれば私たちもレイプされることは確実だった、そこに少女が提案をしてきた、「私の目的はサラリーマン風の男が抱き抱えている幼女の奪還だけだ」と。
彼女の指示通りに私達は時間操作能力をフルに使いその隙に彼女はサラリーマンの腕の中から幼女を奪還した。置き土産に以前に組織から渡されていた自決用の爆弾をばら撒いたら奴らは撤収していった。
それでその幼女を彼女達に返せたと油断していたら奴らは今度こそとどめを刺しに舞い戻ってきた。
奴らは観萌さんと愛の能力を完全に封じ込めてその上で4人とも、いえ、本当は私たちと志乃さん、この場合は中学生の志乃さんも含むまだ3歳児だった志乃ちゃんまでもを皆殺しにする計画だったようです。
その時に椎奈さんが彼らの想定以上、いやそれさえはるかに超える戦闘力で戦ってくれなければ私達はここにはいなかったはずです。
男達は1,000,000度を超える熱で焼かれて消えました。

そして彼ら、いえ、奴らが3歳児の志乃ちゃんと拉致した時にその場にいた観萌さんによる奴等の戦力分析結果です。

「絶望的になる戦力差よ」
それが彼女、観萌さんの分析結果でした。
まず彼女は左手の人差し指を立てて言った。
「あの弱そうに見えるサラリーマンでさえアンドロイド椎奈の人工筋肉の10倍の力がある、ムキムキマンに関してはその3倍以上、いえさらに10倍はあると見るべきはあると見るべき」
そして中指を立てて続けて言う。
「ピストン運動の速度もだけど一回の射精における圧力と精液の量がハンパじゃない、2トン以上の圧力で一回に10リットル以上最大恐らくは30リットルは放出できる」
そしてくすり指を立てて言う。
「肉体の再生能力が私の3倍以上の速さで行われている」
そして小指さえ立てて言った。
「時間操作能力、彼らは自分自身の身体の時間は当然のこと、相手の体の一部分の時間を好きな時点まで巻き戻せる能力がある、私たちの身体が何度も破裂させられる前に引き戻されるのはそのため、しかも脳などの時間ははもちろん子宮以外の肉体は戻されないため、記憶上は何度もレイプされた事実は残る」
そして5本目の指、親指を立てた。
「これはあまり考えたくない事実だけど彼らのうちの1人、あるいは最悪全員が私達の能力を封印出來る能力を持っている可能性がある」
そう言ってから観萌は続けて言った。
「誰でもいい、自分達の下着と、その辺りの匂いを確認して、私はあの男の出した精液の匂いを感じているわ、つまり愛の能力は完全に封印されていたのよ」
つまりあの殺人的な性的暴行は現実に行なわれていたと言う事だ。
そしてそれは観萌に肉体再生能力も永久に無効化されていた事を意味していた。何故なら彼女の体の中には心臓や肺が破れた時に血液を通じて呪われた体液も脳に送り込まれた可能性があると観萌自身危惧をしていた。口にして言わなかっただけでそれは彼女自身に大きなダメージを与えたことに変わりがないはず。

「一応時間操作能力を使ってハイエース車内と彼女達の着ていた衣服はクリーニングしておきましたよ」
かなえがゲンナリとした表情で言った。
「どんなやられ方されたか知らねぇけど、ハイエースの室内はあの娘達が飛び散らされた内臓や奴らが注入した精液でゴミ屋敷状態になっていてたまったものじゃなかったよ、もちろん彼女達の着ていた衣服の乱れよう、汚れようも相当なものでした、多分全員それに気づかないほど精神的なダメージが大きかったんじゃないのかな」
あつこはそう言うとその時の現状を思い出したのかゴミ袋に嘔吐した。
「もう一つ大切な話が」
かなえはそう言うと私にそっと耳打ちをした。
『車内に飛び散っていた男達の精液の混じった彼女達の内臓や血液は信じられないほどの放射性物質で汚染されていました、それは観萌も愛も同じでしたが冴子さんに関しても脳を流れていた血液が放射性物質が混じっていて汚染されていたと言う事です』
「それはつまり、・・・・」
私は言いかけて口をつぐんだ。
「はい志乃ちゃんも含めてあのあと全員死亡した確率が高いです。
「ねえ、そんな難しそうな話はやめにして飯にでも食いに寄らないかい?」
突然に観萌が大きな声で運転しながら叫んでいた。
やれやれ、別世界、いや過去の自分が死んでいるかもしれないのに呑気なものだ。
「聞こえていないわけないじゃないですか?私の地獄耳を知りませんか?」
急にそんなとってつけたような急ごしらえの設定を言われても、と困惑する私。
「いやクソ地獄耳どころじゃねえぞ、こいつのふたつ名は『サイレンサースナイパー』と言って600メートル先で囁かれた自分に対する悪口も聞き逃さない」
「アグ!」
観萌のすぐそばに立ってそう言った月海の頭上には鉄拳が下されていた。
「その時の記憶は残っているのか?」
私は観萌に問いただした。
「いや、あんまりろくでもない出来事だったんでほぼ覚えていないんだけど上郷サービスエリアに行けば何か思い出せるんじゃあないかと」
あまりにも楽天的に言う観萌に私は思わずツッコミを入れてみた。
「お気楽かい」
「いやぁ、急に上郷サービスエリア下り側の半熟卵入りカレーパンを食べたくなってさ」
そう言われてみれば私も『さぬきがわ学園事件』の時に帰りに食べればいいと思っていたら結局食べ忘れていた事実を思い出していた。
「仕方がないか、じゃあ寄ってくれる?ただし、お金は各自自分もちでね」
そう言えば観萌も諦めてくれると思っていた。しかし彼女はズボンのポケットから財布を取り出すと「好きに使っていいですよ」と言った。
私が直っ取り出してみた限りじゃ福沢諭吉さんが少なくとも5人はいた気がする。
「ちょとぉ、そんなにあったら富士市でトンテキフルコースみんなで食べれたじゃないですかぁ」
突然に文句をいいだしたのはそれまではスナック菓子で我慢をしていた冬河銀だった。

「だってこれ私のお金よ?」
観萌は言うが中学生のの彼女がどうやって得た金なのか気になった。
「そりゃぁ、裏の家業とか色々あるでしょ」
すかさず口を濁したがいろいろとやばいこともやっていそうな気がした。
シビリアンが上郷サービスエリア下り側の駐車場に停まった時に下車してから観萌は私にこっそり耳打ちをした。
「亜希さん、その件に関しては愛にとっても冴子さんにとっても一生記憶から消し去りたかった忌まわしき出来事です、そう簡単に忘れてはいません、でも反撃の手がかりはつかめそうです」
観萌はそう言ってから曇り空を見上げた。
「あのガラクタの山の中に答えはありました、あれが、私たちはもちろんのこと、椎奈さんも救いました」

下界(パラレル)14日本列島生物化計画8
終わり

下界(パラレル)15日本列島生物化計画9

に続く

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