アダルト版ハルサメとナッツとナッツ3

ハルサメとナッツ3 ひと時の夢
2023/08/08校正更新

毎回とは限りませんが今作はエログロ描写や官能描写を多大に含みますので20才未満の閲覧はご遠慮してくださいね♪
なお現実と烈しく乖離している部分が多いですよ

登場人物、今回まではふたりのみ

ナッツ 同級生の中学生1年生である、本名は夏野明美、ごくごく普通の名前の女の子だが彼女のあだ名が『ナッツ』になったことには理由がある、なんと彼女、主食がナッツ類である。
彼女に関してはスペック詐欺と言っても過言じゃないと思う。
蒼髪か黒髪のロングストレートヘアには違いがないのだがその長さは胸元あたりから腰まで自由自在に変えられる。
顔はどこかおっとりとした母性を感じさせるおっとり美少女だが時折り妖艶な美女に変わり、男を誘惑の眼差しで見つめる。
身長はデフォルトで165cmであるものの実際には145~175cmまで自在に変えられるらしい。戸籍上は12才の現時点では中学1年生ということになっているが脱ぐとやばいタイプで私はてっきりDカップ程度と予想していたが実際にはHカップ以上はあるらしくて、くびれたウエスト以上にピンク色に完熟したとても柔らかいマンゴーとさっき言った通り時折見せる妖艶な美貌、それらは12才とは思えない大人の色香を遺憾なく発揮してそれを見た男どもを性欲のアリ地獄に引きずり込むだろう。

ハルサメ 本名は波瑠沙芽(はる さとみ )

私の正体は淫魔です。
男の前には淫らな美女に化けて誘惑をして精液とそれを射精するときの快楽を半分ほど分けてもらい、女の前では精力溢れる逞しい男に化けて彼に犯される絶頂感と愛液を程よく頂く種族である。
もちろん私は家族である義父の聡さんや義弟の健太にそんな事はしていないしもちろんそんなことを要求した覚えもない。それに義母である幸恵さんに対してそんな失礼な事など出来る筈がないだろう。
もちろん私だって一応まだ未成熟とはいえ性欲をふんだんに持つ女性である、義父や義弟とそんな行為をしたい欲求を持ったことがないといえば嘘になる。
ちなみに私の人間形態での見た目は一応戸籍上は中学1年生12才でありながら身長140cm未満Bカップというお子ちゃま体質である。
肩にかかる程度の春雨のような透き通った白髪が特徴でこれも私のニックネーム『春雨』の由来になっている。

では本編に入るよ〜。

ナッツはコンビニで買ったナッツ類の缶詰めを、私はおにぎりを3個食べてそれから元来た道を戻ると大きな体育館のような建物から少し離れた場所に車を停め、降りると私に一言警告した。
「いい事?これからあたし達は透明人間、本来なら彼等からは見えないし、感じられない存在なの、だから話をかけちゃダメだし、声を出すのは御法度、もちろん触れることも禁止、それだけは覚えておいてね」
私はそれだけ、釘に刺されるとナッツと一緒に体育館の中に入った。
入口はもちろんのこと窓という窓が全開で天井の換気扇が3基フル稼働をしていた。
体育館全体に隙間なくブルーシートが敷き詰められて老若男女の被爆者が無造作に寝転がされているのが分かった。
彼等からは想像を絶する腐臭が立ち込めていてそれを少しでも逃すために窓や扉を全開にして天井の換気扇をフル稼働させているのだ。
「酷い」
思わず呟いた私の声に5〜6才くらいの少年が反応を示してぼんやりと周囲を見回した。
顔から首、手足など見える部分は赤紫、や青色に焼けただれていて見るに耐えられに状態だ。
『入る時に言ったでしょ?あたし達は見えない存在なの、声を出さないで、心の中だけで呟いて』
ナッツは私に対して真顔で怒りの思念を送ってきた。
『何人いるの?みんな浜辺にいた若い男の人たちと同じ症状に見えるけど』
『若い男の人達と同じに見えるんじゃない、彼らと同じ症状そのものなの、みんな持ってあと数時間かな?』
クールにナッツは思念を返して来た。
『どうしてこんな事に』
私の問いに対するナッツの答えは明確だった。
『私達が生まれる前に東北を大きな地震が襲った、その時に津波でディーゼルエンジンが浸水、加えて送電線の倒壊、その原発の原子炉は何よりも大事な二次電源を失った』
目の前を数人の防御服を着た職員らしき人間が一人一人見回っていた。
そしてある人の手首を掴んで首を横に振って担ぎあげると外に連れ出した。代わりに別の防御服を着た作業員がひとりの少女を肩に抱えて入って来た。
「酷い!あれが人間に対する扱いなの⁈」
私は思わず大声で叫んでしまっていた。
ナッツが慌てて私の口を両手で塞いでいなかったらその声は体育館中に響き渡っていた事だろう。
『あたし達は見えない存在だからってあれ程』
そう言われても私の両目から涙が溢れるのを抑える事ができなかった。
『あんたの気持ちはわからない、でもないけどもうここであたし達がしてやれることなんて何もないの』
私なんかよりもナッツの方が悔しそうな顔をしていた。
『制御室にいた人たちみたいになんとか助けてやることはできないの?』
私の問いにナッツは即答した。
『あの制御室はかなりのレベルの放射線量まで防げるシールドを壁などに設置してあった、だからちょっとだけ放射線量を吸収するだけで回復が可能だった、でもあんたも今の娘を見たでしょ?浜辺で最初に会った若い男の人と一緒だよ!DNAもRNAもズタズタに引きちぎられて癌患者よりも酷い状態だよ、今更あたしが放射線を吸い取って取り除いたところで手遅れなんだよ!』
。心を荒げてナッツが叫びをぶちまけている間に今度は若い青年が運び出されていった。
代わりに若い妊婦さんと2〜3歳くらいの幼い子供、そして年老いた老婆が運ばれて来た。
『ひとついいことを教えてあげようか?』
ナッツが切り出した。
『そのあたしが生まれる前の原発事故の時に当時の政府のお偉いさんはこう言ったそうだよ、健康に直ちに影響を及ぼすことはない、慌てずに避難してくれと、のちにその政権はめちゃめちゃ叩かれた』
『そりゃあ実際には健康に害を及ぼすような被害が出たからじゃない?』
私は返したがすぐに後悔をした。今回の事故なんかとは健康に及ぼしている被害、危険度のレベルが桁違いなんだ。
『あたしは炉の中を見てすぐに確信したよ?今回の事故は非常停止がかかる間も無く燃料棒同士が激しくぶつかり合って折れてしまい半数以上落下してあっという間に住民達が避難する時間さえ与えられる事もなくメルトダウンに至った、なぜそうなったのか?それは断層のずれによる急激で激しい想像を遥かに超えた横方向にかかった凄まじいまでの加速度を伴う大きな横揺れが原因だったよね』
それは私も実際に体験させられていた。何度めの余震かさえわからなかったがその時1250kg以上あったはずの私の身体は建屋の壁と原子炉の壁面に何度も繰り返して叩きつけられていた。
頭蓋骨も尾てい骨も肋骨も砕かれて揺れが治まった頃には私は血まみれになって倒れていた。人間なら即死ものだろう。
起き上がり気が付けば胸に金属製のパイプが突き刺さっていた気がする。
『でも非常停止装置は?、それさえ働けば停止していたはずじゃ』
『ここ最近の季節はずれの暑さで原子炉がフル稼働していたのね、制御棒はほぼ上限近くまで引き上げられていた、それで完全停止が可能な位置まで制御棒が降りる時間を必要とした、そしてこれが1番大事なことなんだけど、その間に制御棒と燃料棒の揺れの周期にズレが生じてしまっていた、結果、制御棒は燃料棒を横から激しく叩いてへし折ってしまった』
ナッツの言いたいことはまだ良く理解できていないんだけどひとつだけわかったのは。
『事故の原因が過去のそれとは大きく違うってことね、過去の事故は津波などによる二次電源の喪失であって非常停止は間に合っていた、しかし今回はいきなりの想像を絶する激しい横Gによって制御棒と燃料棒同士が激しくぶつかり合って燃料棒がへし折られてしまい緊急停止も間に合わずメルトダウンに突入してしまったと』
『まあそんなところね、そしてその結果、住民たちの健康に直ちに影響を及ぼすどころか直ちに死に直面しているような状況になってしまっているわけだけど』
そう心の中で呟いていたナッツは唇を強く噛み締めていた。
『自分がもっと早くここに辿り着いていたらほとんどの人が助かっていたかも、なんて考えていない?』
私は彼女がなぜここに来たか理由を知りたかった、まさか救えない現実をわざわざ確認しに来たとは思えなかったからだ。
『本当は二次電源の喪失なんて原発事故としては序の口も
いいところだったのよ』
そう心の中で呟いていたナッツに対して私はわざと声に出していった。
「それできみたちはわたしになにをしてほしいのかな?」
もちろんそこにいたほぼ全員がその声を聞いてまだ動けるものは私の方を見た。動けないものは意識のみをわたしにむけていた。

実は私はもう事故発生から約28時間後、この辺りの集落に住んでいたほとんどが建物や人同士や樹木に叩きつけられて命を落としていると思っていた。しかしほぼ全員に当たる900人近い住民がさほどひどい負傷を負う事なくここ避難所に運ばれて来ていた。
しかし重度の被曝症によって命を落とすのはほぼ確実だろう。他の集落も入れれば3倍に膨れ上がりそうだ。
理由は事故が住民に対して伏せられていたこと、至る場所で活断層のズレなどで道路が寸断をして避難用の道が封鎖されてしまい、早急に避難しようがなかったことなどがある。
規制委員会や国、そして自治体が用意していた避難誘導計画は全く役に立たなかった、そればかりか甘い見立てが住民の避難の足を引っ張りまくっていた。
遺体がどのようにして処分されたかは私達2人が知るとことじゃない。
『原子炉直下で強大な活断層が発生して岩盤を激しく揺さぶり原子炉を直接破壊したとしか言いようがないね』
『でも確か規制委員会の地質調査じゃ』
『そうだね、今、あたしが覗いた防護服を着て作業している人たちの頭の中のもそんな情報はない、数100年は安定して安全で強固な岩盤の上に立っていたはず、と多くの作業者が首を傾げているわよ』
『じゃあなんでこんな事に』
私は混乱していた。
『ただし、人は欲という煩悩に取り憑かれると重大な判断ミスを起こす生き物なの、それが私たちにとっては最大のご馳走なんだけどね』
『私バカだからそんなこと言われてもわかんないよ、一体どんな判断ミスがあったの?』
そう言った時に地面がまた激しく揺れた。しかしながらそれは私たちが原子力発電所で感じたそれよりは桁違いに弱く感じた。
『ハルサメちゃん、あんたの今の遠隔透視能力ならさっきの揺れで原子炉の建屋がどうなったか、見えるでしょ?』
いろいろなものが途中にいっぱいあって直接みるのは不可能だけどそれらを透かしてみればみれないこともなかった。
『ウソ!筒状の建屋がふたつとも半分近く破れて中の原子炉が飛び出して転がっている、なんで!』
『使用済み燃料棒も使用前燃料棒も含めて全部太陽のど真ん中に転送しておいて正解だったみたいね、もし、それらが中に残っていたらかつての事故なんかが全ておままごとと言えるような大事故になっていたでしょうね』
私は驚いたけどナッツにとってはそれらはすべて想定内だったようだ。
『あいつら、規制委員会は一刻も早く再稼働をしたい欲望に駆られて肝心な事を見落としていたのよ、強固なはずだった岩盤の下がどうなっているのかって事にね』
『はい?私はナッツが何を言っているのかさっぱりわかりませんが』
『その強固な岩盤の下にさらにそれをも大きく上回るレベルの活断層の元が今にも引き裂かれる寸前の状態で存在していたのよ、その規模は長さ数キロメートル、深さ数百メートルに達するほどのね、最新の測定技術を駆使して時間をかけて調査していたら見つかったかもしれなかったけれど、いち早く再稼働させたかった人達がそんな事するかしら?』

目の前で今度は中年の主婦が運び出されて行った。
また1人の幼女が運び込まれて来た。
まだまだ外で待機させられている犠牲者は大勢存在するように感じた。

『ところで少し過去に熊本でも大きな地震があったのは知っている?』
『唐突にきかれて驚いたけど、もしかして熊本城の石垣が崩れたという地震の話なら』
あたしがそう答えるとナッツは話を進めた。
『その時に幾つかの不可解な報道があって、鹿児島の震度は放送されたけど今回事故が起きた原発の所在地の震度の数値は何故かテレビの画面には表示されなかった、隠す意図があったのか単に軽くみられていたのか今となっては不明なんだけど、明らかにおかしいよね?』
そして更に続けた。
『あたしの記憶が正しければだけど当時最低1基は稼働していた、でもニュースで流れたのは無事停止しましたの一言だけ、おかしくない?どう停止したのか一切触れられなかったらしいよ』
いやいや、ナッツちゃんそんなに熱く語らなくても、私は思ったが突然にその時流れていた未確認情報を思い出していた。
『確かに停止したことは停止したけど停止直前に制御棒が燃料棒に接触したとか』
私の言葉を受けてナッツはさらに続けた。
『実は接触したのは燃料棒同士じゃなかったのか?という疑惑もあるのよ』
『つまり原子力発電所の下を支えていた強固な岩盤の下にある活断層が産声をあげる遥か手前の足蹴りメッセージだったとしたら?』 

「ところで淫魔ハルサメちゃんよ、みんなにどんな淫らな夢を見せてあの世に送ったんだい」
いきなり失礼なことをナッツのやつが言い出した。
言っておくけど淫らな夢ではない、好きな人と気持ちの良い事をする少々エッチな夢だ
私のような微妙な微少女、しかも12歳のガキに欲情する人間などいるはずがなかろう。
「何もしていないよ」
私は言った。事実何もしてやれることなんて何もなかった。外の皮膚からも、内の肺や胃腸はもちろんのこと強烈なエネルギーで全身を貫通したあらゆる種類の放射線はむらなく彼等の細胞を痛めつけてDNAやRNAの螺旋を寸断してまともな肉体の回復を不可能にしていた。

難しい話はよくわからない、要するに今までの話は私が防護服着ていたもの同士の会話を盗み聞きして適当に解釈したに過ぎないんだ。

まあぶっちゃあけて言えば夢の中でこんな私にさえ女を求めて来てくれた若い男の人も、中高齢の男性もいなっかったとえば嘘になる。
何も言葉を交わさずに相手が望むがままに行為をこなす事は自分で言うのもなんだけどとっても楽な事なんだ。
コミュニケーションなんてめんどくさいものは一切必要としない、ただ相手の夢の中で相手が望む快楽を与える事が私本来するべき事だ、男の前ではうら若き少女の姿になり精液をすいあげ、女性の前ではチョットイカした男の姿になってその吸い上げた精液を彼女の胎内に注入する、それが本来私の姿だ、だから交わす言葉なんていらない。
でもそれでも多少は楽な気持ちになって逝ってくれたのなら私はそれだけでも嬉しい、もちろん中学生の女子が夢を通してとは言えやって良い行為だなんて思っちゃいない。
だけど私はこの世の中でいえば最下層の悪魔だ、だからそれでも良いと思っている。

私が若い男の夢の中で彼の中の(空想上の)精液を吸い尽くしてお互いに満足していたところに後ろからチョンチョンと指で突っつかれた。
振り返るとまだ私とほとんど歳の変わらない、言っちゃ悪いけどとても男子にモテそうもない地味めな女の子が立っていた。
仕方がないここは大サービスをしてイケメンになって彼女の夢の中で抱いてやって、そしてさっきの若い男から頂いた精液でも分け与えてやるとしよう。
そう思ったとき私は彼女の口から信じられない言葉を聞いた。
「綺麗なお姉さん」
私は思わず自分を指差してしまっていた。
確か私は今若い男に擬態しているはずだった。
「お姉さん、って私のこと?」
他に誰もいないからきっとそうだろう。もしかしたら彼女はいま流行りの百合ってやつかな?そう思って声をかけてみた。
「お姉さんとエッチなことをしたいの?」
すると彼女は首を横に振って一枚の何も描かれていない白紙を私に預けてくれた。
彼女も一枚同じ大きさの白い紙を持っていた。
そしてそれを青い床の上に置くと三十色はありそうな色鉛筆の箱をを取り出して中から茶色の色鉛筆を取り出した。
「これはね、私の好きな川の近くにある公園なの」
彼女はそう言いながら色鉛筆の色を変えながら近くをゆったりと流れる川が見える公園の絵をほぼ完成させた。
「誰もいないのは寂しいなぁ」
と彼女はいい、唐突に私の顔をみてきいてきいた。
「お姉さんならどんな人にこの公園を歩かせたい?」
返答に困っていると彼女は私に言った。じゃあお姉さんがここを歩いて欲しい人を描いて、と
私は思わずさっき防護服の男に連れて行かれた若い男をまだ被害にあっていない、健康だった頃の彼を想像しながら彼女の描いた絵の中のベンチに座っているところを書きはじめながら彼女に聞いた。
「君、幾つなの?」
答えなんて期待してなかった。どの道あの世に逝ってしまう子だ。
「もうすぐ7歳だよ、私もひとり描くね」
はるかに年下だった。
そう言いながら彼女はベンチの隣の少し離れた場所にベビーカーを押している妊婦さんとベビーカーの中の赤ちゃんを描いた。
「あ、明美ちゃん、ズルい僕にも描かせろよ」
後ろから男の子の声が聞こえた。
私と少女しかいなかったはずの空間にもうひとり少年が加わっていた。明美ちゃんと呼ばれた少女は少年に白い紙と一緒に色鉛筆のセットを渡した。
彼も同様に絵を描き始めていた。
「あーふたりだけズルい、あたしも入れなさいよ」
別の少女の声がした。
「お姉さん、はどんな絵を描いて欲しい」
あまりにも素直な満面の笑顔できかれたので私は思わず「駄菓子屋があってそこに子供達が集まる風景」と答えてしまった。
「中学生っぽい俺たちと変わらない見た目のくせにおばさんくさいこと言う女だな」
髪の毛がボサボサの男の子に言われてしまった。見た目は小3くらいだろうか?明美ちゃんと呼ばれていた少女は少年にも白紙と色鉛筆のセットを渡した。
もうその頃には既に明美ちゃんと呼ばれた少女は5枚めの絵に取り掛かっていた。
見渡すと最初はふたりだけだった空間には男女合わせて25人くらいの子供たちが絵を描いていた。
そしてそれらの絵の中にはついさっきまでナッツと見ていた記憶のある風景とブルーシートの上でのたうちまって苦しんでいた人達が、おそらくは事故の被害にあう前の姿が描かれていた。
「あなたは誰?」
私は思わず取り乱して彼女を問い詰めてしまっていた。
すると彼女はにっこりと微笑んで私に言った。
「この世ならざるもの、でもね、それはあなたもそのひとりじゃない」
何を言っているのかわからない。
「私は歴史に新たなる分岐をもたらすもの」
『ウソよ、この集落は原発事故の放射線によって死滅した、今更絵に描いたところで蘇るわけじゃない』
「そうかしら?外を見てみたら、いつもと変わらない日々が続いているのよ、お姉さん」
彼女はそう言って体育館の大きく開かれた扉の外を指差すと確かにさっきまでブルーシートの上で苦しんでのたうち回っていた人達が何事もなかったかのように温厚な顔をして歩いていた。
体育館の中は床がワックスでピカピカに磨かれていて、その上にバスケットボールとバレーボールがひとつずつ転がっていていた。
それを拾い上げた中学生くらいの女の子がゴールポストのネットに見事なジャンプシュートを決めて私をみながらゴールポスト下まで走り抜けると満身笑顔で落ちて来たボールを受け止めて今度は余裕のダンクシュートを決めていた。
体育館の外では男子野球部員達がキャッチボールをしている。
「これが現実なの?」
私が振り返ると私が明美ちゃんと言っていた少女は苦しげな表情をして口から大量の吐血をして倒れた。そして全身が紫色に変わってゆく。
「みんな、ごめんね、これが私がしてあげられる精一杯、限界なの」
そう言って息を引き取った彼女の元に防護服を着た男達が駆け寄って来た。
「無茶しやがって、動くなとあれほど言っておいたのに」
その言葉を聞いて私の怒りは頂点に達した。
「無茶ですって?無茶して再稼働させたのはどこの誰よ!」
私は目の前の防護服を着た男の腕を掴んで体育館の壁に投げつけた。壁に叩きつけられた男は全身打撲で即死だろう。
「あれほど国民が反対したのに押し切ってろくな調査も行わずに無責任にゴーサインを出して、ちゃんとした避難方法や安全対策も立てなかったのは誰よ!」
私がふたり目の防護服を着込んだ男の胸に手刀を差しみ、心臓を肋骨の隙間を突いて破裂させようとした時に血まみれの体で抱きしめて制止したのは他ならぬ明美ちゃんだった。
もう死んでいたはず。
そう思った時、目の前にナッツが立っていた。
「今の彼女はアストラルボディ、はやい話が霊体みたいなものなんよ」
ナッツが言うと明美ちゃんは背後から右手を差し出すとナッツと握手を交わして私越しに強く抱擁して耳元でささやいた。
「おふたりさん、素敵な時間をありがとう、みんなと過ごせたお絵描きの時間はとても楽しかった」
それだけを言い残すと彼女は陽炎のように消え去った。
「ナッツ、今まであんたは何をしていたのよ」私が問いただすと彼女は息苦しそうに言った。
「少々だけど乱暴な手段を使ってパラレルワールドを作成して来た」
少々だけど乱暴な手段?なんか確かめるのがむっちゃ怖い気がするんだけど!
「大したことないよ、さっき東京で地獄に送ったのは今回の事故でここで命を落とした人の数よりは二桁くらい少ないからね」
もしかしたらナッツのやつは本当に悪魔かもしれない。まあ淫魔の私が言えた義理じゃないが。
「ねえ、ナッツ、あの娘、明美ちゃん、そっちの世界では幸せに暮られるかな?」
私はナッツにきいた。
「大丈夫じゃない?原発は完全撤廃の方向に歴史を変えて来たし」
そして振り返り様にこっと微笑んで言った。
「だって私と同じでとってもいい娘だもの」
それをみて私は思わず『ドキッ』と少しだけときめいてしまった。
美人度は全然異なるけれどちょっとだけナッツの顔が明美ちゃんに似ている気がした。
確かに明美ちゃんは全然、美少女などではないがどことなく雰囲気は似ていた。
「知っている?」
不意にナッツは意味深に言った。
「あたしも春雨も、そして夢魔だった明美ちゃんも元々は本当は人間だったんだよ?」
言っている意味が全く理解出来なかった。
「でもね辛くて苦しい人生を何度も何度も何度も体験させられていくうちにあたしたちみたいな存在になるんだ」
うん、辛いけど仕方がないよね。
そう思った瞬間、ナッツはおちゃらけた表情になって言った。
「な〜んてね」

ハルサメとナッツ3 ひと時の夢

終わり

ここから先は

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まだまだ更新中ですが頑張ってみます。

新米淫魔ハルサメと熟練悪なナッツの愛とえろすの物語 20才以上推奨ですが、、特に、、、、過剰な期待はしないでください(笑)

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