再会8

闘いの再開8

過激な性行為描写を含みますので20才未満の閲覧はご遠慮してくださいね♪


『ヤバイ』と内心は思ったが私の部屋の姿見には超ドヤ顔でイキっている私の顔が写っていた。

「亜希ー!き・さ・ま、殺す」

その後完全に私が敦子嬢に完全なまでにボコられたのは言うまでもない。

「おい、ところで着床の件はどうなった?」
今更のように楓凛は訊いてきた。
でも今の私はそれどころじゃない、だからごめんね、楓凛と敦子。
健康で頑丈なエイリアンの赤ちゃんを産んで育ててね。
私は心の中で呟いた。
「なに、大したことないっすよ、みんなお腹の中の赤子に内臓から食べられて最終的にはお腹を突き破って出てきた赤子に頭の先から爪先まで食べられちゃうだけですから」
あれ?私、今とんでもないことを口走ってしまったような気がするんだけど。
「何だ、私てっきり未婚のまま母親にされちゃうのかと思った」
敦子はにっこり微笑んでからいきなり我に帰ったようにハッとした顔をして私を押し倒して馬乗りになった。
「おんどれぇ、なおさら悪いわ!何で私らが食べられなきゃなんないのよ、『こじろう学園』の連中は『VHS星人』か?」
いやアレのことを言っているのなら襲われた時点で骨まで『ボリボリ』と食べられているし。
「困りましたね、ここは留守番中に何があったか確認する必要がありますね」
私の口を使って『B』が言うと続けて別の奴がやはり私の口を勝手に乗っ取って喋り始めた。
「気持ち良く眠っていたらさ、急に顔を数発殴られたんで膝蹴りを喰らわそうとしたら素早く飛び退きやがったんで『C』がくないを5、6本奴の体を狙って投げたんだけど逃げられちまった」
「うん、よくわかららないけれど撃退には成功したのね?ところであんたは誰?」
私は自問した。
というかそいつを問いただした。
「おいら?おいらは『D』ですよ?」
「じゃあなんできっちり後を追ってとどめを刺さなかったのよ」
と敦子。
「いや、自分ら眠かったんで、ちなみに自分は『E』ですよ?」
馬乗りになった敦子に私の首を締め付けられながらそいつは言った。
「だってぇ、その方が面白そうじゃなぁい?2人とも身体の造りが尋常じゃないしぃ」
「もうこれ以上敦子の神経を逆撫でするようなことを言うのは山手線」
これは断じて私のセリフではない、だれかはわからないが12人のうちの誰か達だ。
それにいつの親父の駄洒落ですか?しかも1文字しか合っていないし。
てかその時、私は敦子の体の変化に気がつくべきだったかもしれない。
私のズボンとパンツは知らない間にひきずりおろされて股を開かされていた。
そして敦子ならぬ『あつし』のご立派な肉棒が私の割れ目ちゃんを押し広げて深々と突き刺さっていた。
息を荒げて腰を振る『あつし』と同じく悶えながら首を左右に振る私、突然に『あつし』のご立派な肉棒は激しく脈打ちながら熱い液体を何度も何度も私の胎内に解き放っていた。
「え?確か形だけだったはずじゃ?」
そう考える私を無視するかのように私の両腕は『あつし』の腰をがっしりと掴み2人とも床の上に横倒しになった。
当然だけど私の穴には強い負荷がかかりそれが『あつし』の欲情に火をつけた。
私は私で『あつし』の豊満な乳房の他の間に顔を埋めてやがて来る次の大きな津波に身を構えた。
怒涛のように私の膣を通り胎内に流れ込む熱い液体、思わず『あつし』に抱きついてしまう。
それでもなお『あつし』の肉棒は更に大きく太く硬くなってゆく。
そろそろ終わりにしてもらわないと私の身が持ちそうにもないのだがそれでも2人はそれを止めることができなかった。
5発目の射精?が終わった頃かようやく『あつし』のご立派な肉棒は萎んでゆき、それは普通の女の子の割れ目ちゃんに戻っていた。
「敦子、さすがに今のは酷いよ、プライバシー暴露の件は謝るけどさ」
私はそう言うと素早く彼女の唇を奪って熱い唾液をその口の中に流し込んでやった。
「これで敦子の妊娠もなくなったんだよね、『B』さん」
私は自分の中の『B』に再確認をした。
「はい、彼女の召喚された陰茎の中の尿道を彼女自身の膣穴に接続して子宮内の精液と一緒に受精卵も排出させました」
これは多分『B』のセリフ、私の口を通じて喋っているのだけれど。
おいおいそれってその受精卵は今は私の胎内にいるってことなのか?ひょっとして私の胎内に着床しちゃうってことか?」
まあ、これは私のセリフだよね。
「それは大丈夫です、胎内に入ったと同時に捻り潰しましたから、それとも産んでみたかったですか?」
私の中の『B』は尋ねてきたが多分それは
「無理なんでしょ?たとえ着床したとしても臍の緒とか私の体じゃ用意できないし」
私がそう言うとしばらくして『B』の意外な返事が私の口から飛び出した。
「今回の件はヤケクソな行き当たりばったりな行動に見えますが『着床』による母体のコントロールを試みていたと考えるべきかもしれません、特に、敦子さんが生まれ育った世界での実験結果を反映させて新たなる条件を加えた、というか更にパターンを増やして試しているのかもしれませんね、あの場で捻り潰しておかなかったら亜希の胎内から臍の緒を引き出していた可能性だってあるわ」
『B』は私の口を借りて言うと楓凛を指差した。
「こっちの楓凛さんも同様に堕胎と修復処置をしてあげないとね」
サラリと『B』は私に言わせたが敦子とやったことをまたやれと言うのか?
大体、楓凛には敦子のようなご立派様はないのだが。
「そんなことなら問題はないわ、楓凛の体も弄ってご立派様をつけておいたから、頑張ってね、あ・き・さ・ん」
意地悪げに敦子は微笑みながら言った。
「昨晩に楓凛にやったようにはいかなのか?」
私は『B』に訊いてみた。
直感がそれではもう手遅れになるということは判っていたんだけど。
「そうですね、亜希さんにはもうひと頑張りしてもらうとして、それが済んだら再び敦子さんの内面と過去を探ってみる必要がありそうですね」
私に『B』がそれを言わせた途端、敦子の顔が獣人の形相に変わった。

ーーーーーーーーーーーーーー


私が必死になって楓凛の相手をしている間に『G』は敦子の過去を捜索していた。

記憶の検索は敦子がこの世界に来てしばらく経ってから始めていた。

今日で敦子がこの世界に来てからひと月過ぎたことになる。
中年夫婦との生活に慣れて来た敦子は身元というか、彼らの一人息子である『草彅あつし』ではないことがすでにバレてしまっていたのだけど何故か彼らの好意でここにいることを許してもらっていた。
それでもまだ母親は敦子が男の娘であり、『あつし』の生まれ変わりだと信じて疑わない様子だったけど・・・
何故『草彅あつし』が命を落としたのか、敦子はそれを根掘り葉掘りしてまで夫婦からは聞きたくはないと思っていた。
敦子だって『かなえ』をはじめとする『家政婦』たちを惨殺してからここに来たということは一言も喋ってはいない。
ちなみに『家政婦』という言葉は彼女たちと敦子たち六人の姉妹の間のみしか通用しないであろう定義だと思われる。
この世界でのそれとはかなり異なるようだ。
実際には敦子を含めた6人姉妹の育ての親であり教師でもあったのだけど・・・


敦子(ニナ)は5人の姉妹とまだ出産を終えていない妊婦と4人の家政婦以外の人間を普段は見なかった。
ある日壁の一部にドアが開き(台車付きベッドに乗せられた)1人の女性が運び出された。
それから次の日に残りのもう1人も同様にして運び出された。
それから数週間後、2人の幼き赤子が別々のベッドに乗せられた状態で白い部屋に運び込まれてきた。
敦子(ニナ)が疑問に思ったのは2人の赤子についてきた2人の女性があのお腹が大きかった女性ではないという点だ。
敦子(ニナ)は『かなえ』に尋ねた。
「前に出て行った若いお腹の大きな女の人はどうしたの?」
返ってきた答えは明確に聞こえたが私や『B』と『G』にはとても不自然に感じた。
「しばらくは出産後の休養中ですよ」
もちろん彼女達2人が姿を見せることは2度となかった。
それどころか敦子(ニナ)を産んだ産みの親達も含む他の4人も姿を見せることはなかった。
それ以外には一部、ごく時々にしか現れない『男の人』と『家政婦』たちが言っていた数人の人間しか見たことがなかった。

敦子(ニナ)たちは全てがオープンであるこの部屋の中で暮らしていた。
『家政婦』と言っても特に何をしてくれるというわけでもない。
食べる物の出し方や体の洗い方、排泄の仕方を教えてくれたり、話し相手になってくれたりする程度のことだった。
もっともその会話の中で敦子(ニナ)たち姉妹は知らず知らずのうちに様々な教育や学習を受けていたことをこの世界に来てから知ることになったのだけど。
敦子(ニナ)たちは今思えば『家政婦』も含めて裸で生活をしていた。
その時は敦子(ニナ)もそれが当たり前だと思っていた。
それに服という概念さえ敦子たちは知らなかった。
白い部屋の中は寒すぎたり暑すぎたりすることもなくいつも快適そのものだった。
そんなわけで体温調整をする必要もなく、しかも毎日の生活様式を誰かに見られる心配もなかったので敦子(ニナ)たち姉妹はもちろんのこと家政婦たちも『布きれひとつ纒わぬ姿』で暮らしていた。
(もっとも実際には監視カメラがそこら中にあり、これがあの事件の発端になるとは誰一人思ってもいなかった)

ただ『家政婦』たちがこの白い部屋の外ではパジャマなるものを着ていたことを知っていたのはただ一人『かなえ』の部屋への出入りを許されていた敦子(ニナ)ただ一人だったはずだ。
他の姉妹は気がついていたかどうかは知らないけど敦子(ニナ)たち姉妹六人は多少の違いこそあれ身長や体型、そして顔がほとんど見分けがつかない。
それと比べて『家政婦』達はみんなそれぞれ身長や体型、顔つきが異なっていた。
ふっくらとしたある意味安心感を感じる人、かなり細めで敦子(ニナ)たち姉妹とそんなに体型の違いはなく胸の膨らみも少ない人、そんな中にあって『かなえ』は敦子(ニナ)にとって特別な存在だった。
実は敦子(ニナ)たち一人ひとりには宅に名前はつけられてないない。
強いていうなら記号のようなひらがなが1文字ずつ付けられていたというとこか。
一番上から『い』、次は『ろ』、そして『は』『に』『ほ』『へ』という感じだ。
敦子(ニナ)は上から4番目なので『に』ということになるが敦子(ニナ)たちは自分たちで勝手にあだ名をつけて呼び合っていた。
上から『イカロス』『ローズ』『ハルヒ』『ニナ』『ホームズ』『へナ』だったかと記憶している。

ただ家政婦の中ではただ一人『かなえ』だけは私のことを『あっちゃん』と呼んでいた。

「やはり『ニナ』がいいな」と私
そんな時に彼女は自分の唇に人差し指を垂直に立てて少し考えるフリをした。
「じゃあ『ニコル』なんてどうかな?」
クスクスと笑いながら『かなえ』は言う、嘘だ、絶対、何も考えていないに決まっている。
「それって男の人の名前じゃないですか?」
確信はないが直感ではなんとなく『黒髪の礼服を着た紳士』と言うイメージがあった。
「今日のご予定は?」
『かなえ』は敦子『ニナ』のすぐ右隣にしゃがみ込んで顔を覗き込んでくる。
少し照れているのか頰が赤い。敦子『ニナ』もそんな彼女を意識してか思わず赤面してしまった。
「特にすることないし、この部屋の外のことを少しでも教えてくれたら嬉しいかなぁってことくらい、・・・かな?」
白い部屋の外を見ようとすれば『3Dホログラム』で見せてもらうことも可能だけど実際に触れることもできなければ感じることもできない、そんな代物だ、敦子『ニナ』としては『自然にある川の冷たい水』や森林の中の小鳥のさえずりをこの耳で感じたかった。
でもそれを口にすると『かなえ』だけでなく他の『家政婦』たちも悲しげな表情に変わる。
「ごめんね、それだけはできない約束になっているの」
そういうと涙を流して敦子『ニナ』の体を抱きしめた。
「作り物で申し訳ないけど・・・」
そういうと彼女たち、家政婦たちは何もない白い部屋に森林とその合間を流れる小川を『3Dホノグラム』で表示した。
もちろんそれらは本物とは程遠いだろう、でもそんな中でみんなと食べる『かなえ』のお手製弁当はとても美味しかったし、楽しかった。

敦子『ニナ』達が8歳の誕生日を迎え始める少し前の頃だろうか?
1人の家政婦が敦子『ニナ』達、姉妹に関する話題を口にした。
「でもあんたたちおもしろいね、みんな一つの受精卵から分かれた個体なのにこんなにも優劣の差が生じるなんて」
いつも無神経な口をきき敦子『ニナ』たちの空気を悪くする元凶の家政婦が彼女だった。
それに反応するかのように一人の妹が大粒の涙を流して泣き始めた。
一番末っ子の『ヘナ』だ。
この子だけはいつも周りの様子を伺うようにしているだけで自分から行動を起こそうとはしない。
敦子『ニナ』はいっそのことその元凶である家政婦を睨みつけてやろうかと思ったけど後々面倒なことになりそうな気がしたのでやめた。
その代わりに・・・
「『ヘナ』を生んでくれたお母さんはいつも優しい目をしていたね、私はそれを知っているから」
敦子『ニナ』が耳元で囁くと彼女はしがみついてきた。
熱い涙が敦子の決して深くはない胸の谷間を伝いお腹を濡らすけど決して気持ちが悪いとかそんなことはない。
むしろ肩を抱き寄せたい衝動に駆られる。
だってそんな少し驚いた表情で自分なんかを見つめなくても。
「・・・『ニナ』さんはどうして私を生んだママのことを知っているのですか?」

そう問いかけられて敦子『ニナ』は言葉に詰まってしまった。

最後に彼女の母親を見たのが敦子『ニナ』が人工保育機から出てわずか数日後のこと。
そんな頃、敦子『ニナ』の歳といえば生後たったのひと月未満。
『そんな頃からの記憶がありまーす』
などと宣言をして見たところで一体誰が信用するだろうか?
「うん知っているよ、本当は組織の人たちに逆らって『君』が生まれる前から名前を用意していたこともね」
偶然でもなんでもなく彼女の生みの親が用意していた名前は本当に『ニナ』だった。
まあ彼女が驚いているのは当然のことかもしれない、いやむしろ敦子『ニナ』を驚かせたのは・・・
話の輪にいきなり飛び込んできた『かなえ』のセリフだった。
「本当に『あっちゃん』の記憶って何歳の頃からあるの?」
えーと、そんなこと急に言われても、はっきりとは、でもしっかりと記憶に残っているのは・・・

敦子『ニナ』は『まっかせなさーい!』といって右手で自分の胸を『ドーン!』と叩きしゃがみ込み咽せてみせた。

『かなえ』はしばらく黙り込み敦子『ニナ』を見つめたまま固まっていたが突然に吹き出し笑いだした。
「やっぱりあんたって面白い!」
そういった『かなえ』の右手には手のひらくらいの大きさの写真がのせられていた。
その写真には人工保育機の中でだれかの人差し指を両手で掴みそれをしゃぶっている小さな赤ちゃんの姿が写っていた。
「これ誰かわかるかな?」
ここには私たち六姉妹の他にはこんな小さい子はいない、まさかこれは・・・
「『かなえ』が赤ちゃんの頃の写真?」
敦子『ニナ』の胸にツッコミの平手が入った。
「な訳ないでしょ、これは『あっちゃん』、あなた」
彼女はそういって微笑みながら敦子に抱きついてきた。
「あっちゃんはやっぱりすごいね、生まれて間もない頃の記憶まであるなんてね」
「私はママが私に歌ってくれた歌だって覚えている」
敦子『ニナ』は自分が仮胎の母の中にいる間に何度も聞かされた歌を歌った。
「それは行方不明になった姉が好きでよく歌っていた歌」
『かなえ』は驚きの表情で敦子『ニナ』を見た。
「私の姉は『あつこ』というんだ、それでここで働いていたらしいけど」
そして彼女は涙ぐんだ。

ー「ちょっと待って、ここの時間線の子供の労働環境はどうなっているの?確かさっきの記憶スキャンでは『かなえ』さんの年齢は10代前半だったはず、中学生はバイトもできないはず、なのにこんな環境に閉じ込められて、確かにここの施設の男に孕まされた時は20才を過ぎていただろうけど」ー
私は気になって楓凛とのエッチに集中できなくなっていた。
ー「お忘れですか?亜希さん、ここの世界は既にクーデターにより国民の人権はほぼ完全に剥奪されています、10才前の少年少女でさえ例外じゃないんですよ」ー
確かにそう言われたらそうだ、と私は思い出していた。


「ところで『かなえ』さんとお姉さんはいくつ年が離れていたんですか?」
敦子『ニナ』は気になったのか『かなえ』に尋ねていた。
『かなえ』はそれに対して『フフフ』と笑いながら答えた。
「私と姉は年子だったの、でも姉が12才の誕生日を迎えた頃に召集令状がうちにとどいてね、軍隊の人たちに連れて行かれちゃった」
敦子『ニナ』の目には『かなえ』がどんな表情をしていたか読み取ることができなかった。

ー「敦子さんの記憶にある『かなえ』さんの姿の記憶を解析したところかなり悔しそうな顔をして泣いていたと思います」ー
『G』が解説を入れてきた。

「私ね、あつこ姉さんがここに送り込まれてきたのを知った時、もしも自分にも招集令状が来た時はここに来ると決めていたんだ、実際に行く先は私たち自身で勝手に決められないんだけどね」
敦子『ニナ』は自分の左手が『かなえ』の右手に強く握られていたのを感じていた。

召集令状は予定よりも1年も早く来た。
国が勝手に成人年齢を12才から11才に引き下げたせいだ
姉の『あつこ』がここに送り込まれてからたったの10ヶ月で妹も姉と同じここに送り込まれてきたのだ。


いろいろあったが敦子『ニナ』たち姉妹と『かなえ』をはじめとする『家政婦』たちの関係はわりと良好だった。

あの悪夢のような嵐の一夜が訪れるまでは・・・

気がつくと私、亜希と楓凛は同じベッドの上で並んで寝ていた。
敦子が床の上で直に膝を抱えてしゃがんでいるのが見えた。
どうやら私と楓凛のパジャマと下着は彼女が股間の清掃を済ませた後で着替えさせてくれたらしい。
私は起き上がりベッドから降りると敦子と向かい合い彼女と同様に膝を抱えて床の上に直にしゃがみ込んだ。
しばらくは気まずい沈黙が続いたが最初に口を開いたのは敦子の方だった。

「笑っちゃうくらい嫌なやつだったでしょ?私」
と敦子。
少し間を置いて「そんなことないと思う」
と私。

「無理しなくたっていいのよ!どうでもいい理由で癇癪起こして、どうでもいい嫉妬で大事な人殺して、まだ幼い子達を怯えさせて、あげくに・・・」
目を真っ赤にはらしながら言う彼女の口を私の唇が塞いだ。
それを両手で振り払った敦子のほおは涙で濡れていた。

「ねえ、敦子さ」
「なによ!」
投げやりな返事が返ってきた。
「どの時点で自分を産んだ親が『かなえ』さんのお姉さんだって気がついた?」
1番聞きたかった質問を先にしてみた。
また少し長い沈黙が訪れた。
「私に『かなえ』が歌ってくれたのがお腹の中で繰り返し聞かせてもらえた歌と同じだったから」
そうなんだ、でも。
「同じ人だとは思わなかった?」
普通はそう思うだろう、もちろんお腹の中で聞かされた歌も声も覚えていてそれから1ヶ月もしないうちに聞かされた歌と同じだと判別できる知能も半端じゃないが。
「そりゃぁわかるわよ、『かなえ』ったら信じられないくらい音痴だったんだから」
鼻水を啜りながら敦子は言う。
きちゃないなあ。
「それでも、いいや、だからこそ『かなえ』が一番下の妹を突き飛ばしたのは許せなかった」
敦子の悔しさは私にも理解できた。
自分の場合でも、もしも最初から私たちが志乃さんの中にいたら彼女は撃ち殺されずに済んだのかもしれない。
それと同じだ。
「あんたに何がわかる?結局私の存在が、私たち実験体がいたせいで『かなえ』は私に頭を斧でカチ割られて、その姉の、私を産んでくれた産みの親の『あつこ』さんは用済みとみなされて処分されていた、私たち実験体が疫病神なんだよ」
敦子は私の両肩を両手で掴みうつむいた。
そんな彼女を私は両腕で強く抱きしめる。
そして呟いた。
「私たちも実験体だったんだよ?」
案の定、敦子は信じられないと言いたげな目をして私を見た。

それから私は始祖である魔女の話から始めた。
異星人と思われる教師に強引に何度もタネ付けをさせられた挙句、実験は失敗、それから何度も繰り返された少女達の人権も尊厳も完全に無視をして繰り返された人体実験の数々、その中に『A』からL』までの12人いた第1世代、それにさえなれず『こじろう学園』の男子生徒に散々おもちゃにされて惨殺された0.5世代の話をした。
そして奴らは別のルートで第2世代と呼ばれる『い』から『へ』までのコードネームを持つ6人の話をした。
そしてその中の『に』、こと『ニナ』が敦子であろうことも話した。
そしてその失敗世代である別の世界の敦子の存在も。

「そこまで知っていてまだ他に聞くことなんてある?」
敦子は不機嫌そうに言った。
どうやら今言ったことの中には間違いもなければ記憶を失っていたこともないようだった。
「特にないよ?でも2人が本当に姉妹だったと言うのは後で施設の端末でも確認したんだよね?」
「うん」
敦子はそう言いながら自分の体の匂いをとても気にしているようだった。
彼女は端末で色々なファイルを検索していたようだったが自分を産んでくれた乳母がその後どうなったとか、『かなえ』達の扱いについてのみしか関心がなかったためか?それとも無意識のうちに目を逸らせてしまっていたのか?

「敦子、あなたはその時端末で数千ページに及ぶ資料を見ていた」
私がそう言うと敦子は首を傾げていた。
「それが今回の件と関係があるの?」
敦子は訊いてきたが実は大ありだった。
「敦子はあの世界で嵐の夜に『かなえ』さんの部屋で彼女と施設の男がエッチをしている現場を目撃しちゃったんだよね?」
私は訊いてみた。
「みた」
素直な返事が返ってきた。
「それからしばらくして彼女に変化が生じた」
「そうよ、私たちを放置してうっとりとして自分のお腹をさするようになった」
そう、それも計画の一つだ、現実の妊婦さんでも割とよくあることらしいけど仕事を放置してまで、ましてや育児もとなると考えにくい部分もある。
「ところで一番下の子の身体を突き飛ばしちゃったんだって?彼女、でも他にもいろいろやっていたことは知っている?」
私がそう言うと彼女は少々驚いた顔をした、心当たりがあるのだろうか?
「確かに妙なところにアザを作っている子もいた、骨にヒビが入っている子も」
そう言って敦子は驚いた顔をした。
「じゃあこれから私が言うことを聞けばさらに驚くかもしれないね」
私はそう言ってから敦子が施設の端末にアクセスした時の深層記憶と見た記憶を解析しながら説明をし始めた。

あなた、敦子『ニナ』さんは施設の研究員と遭遇してしまった。
研究員はたまたま来た訳ではなく、ここ数日にその白い実験室で起きた事象を動画の一部で見て改めて自分の目で確認をとりに来ていたんです。
そこで恐らくは敦子『ニナ』が『かなえ』をはじめとする家政婦らを殺害している現場を目撃したのでしょう。

ーーーーー

「君は何故会ったこともない貸し腹の主に思い入れがあるんだね」

その男が言った一言がさらに敦子『ニナ』を暴走させたと言えなくもない。

彼女は一旦腰を深くととして男の人よりも高くジャンプすると自分の身の丈に似合わない大きな斧を振り下ろしていた。
そして彼の首はあっさりと落とされて妹のすぐ目の前に転がった。
倒れた彼のスーツ上着の内ポケットからペンタブレットを取り出すと捜査を始める、『なんで私はこんなことができるんだろうか』という疑問はあったがここは深く考えないことにした。
案の定、私『ニナ』の母は私を産んだすぐ後に殺処分されていた。

ーーーーーーーー

「ここで自分の乳母だけでなく他の姉妹達の乳母も殺処分されていたことを知りましたね」
私の確認に敦子は黙って首を縦に振りうなづいた。
「そして『かなえ』たち、6人の家政婦の殺処分予定もそこで知りましたね?」
今度は敦子の反応はなかった。
「この文字列に見覚えがありませんか?」
私は敦子に紙に書いた文字列を見せた。
「 家政婦達の胎内に6種類の精液を射精して受精させ着床した胎芽が母体にどのような影響を与えるかを実験をする 」

しばらくの間沈黙が続いたが私の方から切り出した。

「その結果はどれもがネグレクトになる傾向が現れました、ただそのやり方というか傾向に大きな違いが見られたようです」

6人の行動が全て天井に仕掛けられていた6台のカメラによって録画、記録されていた。
そのうち6台は各家政婦達の行動を1人ずつ、一部始終記録していた。
それとは別に6台のカメラが各女児から視線の画像も保存されれていた。
しかし問題はそのカメラ視線にある、一体どこから、どこに仕掛けられたカメラ映像なのかを考えた時に

「あんた達の両目ってもしかして義眼だったって自分でも気がついていた?」
私は少し気まずい思いを思いを抱えながら敦子に訊いた。
「妙だとはおもっていた」
素直な気持ちだろうけれど、自分の眼には違和感を持っていたものの、まさか人工物だとは思ってはいなかったようだ。
いや、それどころか実は耳も怪しいのではないのか?と私は疑い始めている。
だけど今はそこが問題じゃない。
「ひとり空気を悪くする家政婦がいたって話があったよね、それは最初からそんな性格の女性だった?」
聞きたいことはまだいくつもある。
「他の姉妹と比べてあなたは『ダメだ』とか言い出した家政婦はいなかった?かと思えば体罰を『教育だ』と言って押し付ける人とか?」
今度も返事がなかった。
それどころか彼女は身動きひとつ取っていない。
「あったかもしれない」
ここから先が実に言いにくいことだった。
とてもじゃないが本当に言い難いことだった。
「言わなくてもいい」
敦子は私の両膝の間に顔を埋めて言った。
「どうもおかしいとは思っていたんだ」
敦子は私に背を向けるようにして立ち上がり、『シャワー浴びてくる』と言って部屋を出て行こうとした。
「待って」
呼び止めようと声をかけたが敦子は立ち止まって言った。
「亜希が処理してくれたのは昨夜の奴で、あちらの世界でやられた奴はまだ私の胎の中にいるんだよね」
敦子はあちらの世界での出来事の一部でも思い出したのかもしれない。
敦子は自分のお腹を、臍の下あたりを両腕で強く握り潰そうとするような動きをしようとしたが諦めてだらりと下に垂らした。
「どおりで私ってすごくキレやすかったんだ」
ひと呼吸置いてから続けた
「それ、楓凛にバラしたらマジで亜希を殺すから」
敦子は振り返って私を睨みつけると再び前の床を見て出ていった。

「ふわぁ〜、よく寝た」
振り返ると私のベッドの上でいつのまにか目を覚ましたのか楓凛が起き上がっていた。
「なあ、亜希、敦子のやつ急に出ていったけど何かあったのか?」
そう訊かれてもさっき敦子に『バラしたら殺す』と言われたばかりだから返答のしようがなかった。

話は敦子がまだ向こうの世界にいて『かなえ』さんに育ててもらい9才の誕生日を迎えてからの嵐の日、彼女が極度の不安と寂しさからこっそりと白い大きな部屋を抜け出して『かなえ』さんに会いに行こうとした日に話が戻る。
そこで敦子『ニナ』の記憶の上では『かなえ』と『研究所の男』との情事を目撃して怖くなって逃げ出した事になっていたが事実は違っていた。
もっとも『かなえ』と男が行っていた行為も情事などと言えたものではなく『レイプ』そのものだったかもしれない。
恐怖で逃げようとした敦子、当時の名前は『ニナ』だったが音で男に気がつかれて部屋の中に強引に引き摺り込まれて何度も何度も犯されて子宮破裂で瀕死の状態になった。
そこから『ニナ』が白い大きな部屋で膝を抱えてうずくまっていたまでの彼女自身の記憶がない。
だから私には彼女がどうやってその状態から持ち直したかなんて推測レベルでしか語れない。
自己修復したのかもしれないし、それとも何か別の力が働いたのかもしれない。
彼女が調べていたペンタブレット端末の記録によると『子宮破裂』の事実は無かったことになっていた。
ただその後の記録に『着床成功』とだけ記載されていた。
当時の敦子はそれを見落としていただけのことだ。

「なるほどなぁ、それでか、敦子は9歳にして身籠ってしまったわけだ」
楓凛がそう言った途端に私の頭に鉄拳が振り下ろされていた。
めっちゃ痛かった。
「おう、敦子、その年で妊婦さんとは大変だな」
そう言って楓凛は部屋の入り口を見上げた。
案の定、敦子がすごい形相で私をみおろしていた。
「だから口が軽い女は嫌なんだよ」
敦子は大声で叫んでいた。
「おかしいなあ?私、敦子の過去を頭の中で考察していただけで暴露なんてしていないよね?」
と私。
「うんにゃ、声高々に、寮中に響き渡るような大声で解説していたぜ」
にやにや笑いながら言う楓凛と私を見下して敦子は鬼のような形相で言った。
「やっぱり、コ・ロ・ス・!」
それから私と楓凛のふたりはみなゴロシと言えるほどボコられたのは確かだ。
「それに亜希も楓凛も変に誤解を招くような噂を拡げないでよ」
両手を『パンパン』と払いながら敦子が言った。
「亜希ちゃんもとんだ早とちりね」
まさかの私の口から指摘されるとは思わなかった。
『B』さんが口を挟んできたからだ。
「敦子さんがその世界で辱めを受けてからふた月以上、こっちの世界に来てから最低でも1年は過ぎています、それでこのスリムなお腹の大きさはあり得ないです」
「じゃあ着床していないと言うことか?」
と楓凛。
「着床しているのは確かよ」
敦子がいう。
「ただほとんど育っていないっというか成長していないというだけの話です」
『B』はそう言うと付け加えた。
「正確に言えば成長速度が極端に遅いということですわ」


えーと今回も私、ボコられちゃって話を続けられなくなってしまったので・・・

9にちゅぢゅく!


闘いの再開8 終わり。


あとがき

亜希「えーと、成長速度が遅いってどういうこと?よくマンガやアニメとかの設定じゃ逆にたったの数週間でご出産みたいな話はよく聞くんだけど」

愛「この国の政府みたいに面倒な事は後回し的なやつじゃないの?」

愛は平然と言ってのけた。

敦子「ちょっと、他人事だと思っていい加減なこと言わないで」

敦子「お腹が大きくなる頃に私が50才とか超えていたらどうする気よ?超高齢者出産よ!誰が生むと思っているのよ!何ヶ月、いいえ何年臨月が続くのよ」

まあ確かに言われてみたらそうかもしれない

しかし敦子の異能の能力は本当にその子が原因なんだろうか?

B「それは断言できないわ、ところでもしかしたら亜希さんは実際には出産している可能性もあるかもしれない」
そう言われた私の頭の上にはいくつもの『?』マークが大繁殖を起こしていた。

B「もしかして一晩寝ただけなのに何ヶ月も寝過ごしてしまった、そんな朝を迎えた日は無かったかしら?」

仕事熱心な私はそんなことをした記憶などなかったが、私は『あ』とちいさなこえでさけんだ。

確か妊娠判定薬で陽性反応が出で何故かみんなが喜んだ挙句に私に何故か「胎芽が胎児に育って落ち着くまでSEX禁止令なるものが発令された」

愛「それでどうしたのよ」

亜希「当分の間のやり納めだと意識がなくなるまで先輩とやりまくりました」

皆んなが眉をヒクヒクさせているのがわかった。

亜希「ハイハイそうですよ、胎芽が流れたのは私が悪いんですよ、でも先輩だって悪いんですからね、一発だけで良かったのに私の身体を離さずに何発も何発も出しまくるから」

私は頬を真っ赤にして抗議した。

「それも変な話ですね」とbが口を挟んだ。

B「確かあなたは風間刑事の前に出現して以来ずっと生理というものがなかったはず、しかも現在、排卵を示す兆候も見せた事がない」

じゃあ私は子供を産めないからだという事なのか?

快楽としての性行為は出来ても生殖行為としてのセックスはできないって事?

葉類智恵警部兼院長「いや、排卵はあったと思うよ、卵子もどきは確認している、ただそれにより子宮内膜が厚くなることはない、それにただどんなに強い精子を持ってしても彼女の卵子の膜を破れない、ただそれだけのことだよ」

全員「え“!」

葉類智恵警部兼院長「そのあと、うちの風間が行為をした後のその卵子もどきの動きがおもしろくてな、全弾発射し尽くした風間のチ〇〇の中に吸い込まれていったよ」

全員「何ですと」

葉類智恵警部兼院長「まあその内にお腹が大きくなった風間刑事の勇姿が見られるかもな」

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基本全話無料です、お代はもしお気に入って頂けたらで良いのでm(._.)m

私は誰5の続編です。 亜希の始祖とは? 並行世界での異種族の干渉とは?

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