アダルト版カレンダーガール12 枯れ尽くされた原発ムラ

アダルト版カレンダーガール12 枯れ尽くされた原発ムラ
2024/04/25追記

#20才未満閲覧注意
#SFっぽく
#ハタチ未満はご遠慮ください
#ハルサメとナッツシリーズ
#過激な描写あります
#エログロ注意
#波瑠沙芽とナッツ

この話はストーリーの都合上過激な性描写や暴力描写、及びグロテスク、パクリな表現を多く含みます。
20才未満の方の閲覧はご遠慮ください。

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@原子炉の緊急停止装置は急ブレーキじゃなかった

しかしなんで今朝早くの地震ですぐに止めなかった。止まらなかった?
「なんでかって?その地震で既に原子炉の制御機能と冷却装置が破壊されていてもう既に暴走状態だったのかも」
サニークーペというレトロな車の後部席真ん中に座っている見た目には女子中学生にしか見えない女の子、ボソリと言う、いや、多分女子中学生なんだろうけれど。
彼女の名前は「冴子」と言うらしい。
しかし彼女の知識は並の中学生とは思えない部分もあった。
多分知識が思いっきり偏った(かたよった)変態ちゃんなんだろう。
そして今あたしらボランティア少女たちの人造生命体がお世話になっている仮想子宮のヌシは葉類亜希と言う名の自称みならい刑事らしい。
刑事とは言っても年齢不詳の見た目は小学生、頭脳も小学生と言うパクリ防止のために無茶苦茶な設定になっている。
しかし安心してほしい、当作品はなんせ作者自体のIQが80という低知能なために間違ってもIQ400とか夜間撮影用フィルムみたいな数値の超天才は絶対に出てこない。
書類上は18才ということになっているが誰がどう見ても小学生のためにスーツを着ていても交番や巡回中のお巡りさんからしょっちゅう職質を受けるらしい、納得だ。
特技は野球のボールの投球、軽く投げただけで時速300キロメートルは軽く超えてしまうらしい。そんな彼女が甲子園のバックスクリーンからその速度で投げても軽くキャッチャーのミットにノーバウンドで収まってし合うらしい、もちろんほとんどのキャッチャーが受けt目られずに手首を痛めるそうだ。
よって亜希の投げる球はあまりにも危険すぎるために日本野球連盟から出禁を食らっている。
まあ亜希は銃が扱えない。
銃撃の腕がダメダメなのもあるが硝煙の臭いに酔ってラリってしまうのが原因らしい。知らんけど。
彼女の中には本来なら異世界から無理やり連れて来られたロリババアのリナとあたし、楓山有希と楓山由紀そしてその他大勢の被災者たちで満員状態になっていた。
しかしこのにいるほとんど全員がフルサイボーグ夏乃花奈かフルサイボーグ秋草加世の人造生命体らしい。
かくいうあたしもフルサイボーグ花奈の人造生命体であるボランティア少女のひとりで東京から集団で季節外れの私立女子中学校中学旅行の行きに地震にあって4台のバスごと全員が死んだはずだった。
あたし花蓮と友人の香澄、そして面倒を見る人がいないというだけの理由でこっそり連れてきたあたしの妹の梨花は特にすることがなかったので被災者の面倒をいていたらそのロリババアのリナと有希と由紀の3人に『しばらくの間だけでも良いから代理をやってくれ』と言われて今に至る。
亜希の中には他にも色々とヤバそうな奴らが住んでいたがとりあえず今は見なかったことにしておこう。

さて後部席の左側居座っているおっさんは亜希の先輩上司であり、なおかつ愛人関係にあるらしい。
もう毎日のようにこの中年男と見た目小学生女児は性行為をしまくっているらしいのだからコンプライアンス上にも問題だらけじゃないの?よし、インスタでバラしてやろう、と思ったらあたしスマホ持ってないよ!ボランティア少女なのに持たせてもらえないなんて不条理だ。
抗議していたら目の前にiPhone 6が出現していたわ。
しかし今日日6なんて古くね?と思っていたら着信があった。
「あのね、オレ、5なの、贅沢言うなよ」
この声は今運転席に座っている楓凛の声だ、多分。
彼、じゃない彼女はフリーのルポライター、年齢は18才を名乗っているらしいが不詳だ、身長は160センチ近く、体重は60キロ近くだろうか?
なにしろボンキュッボンのダイナマイトボディのくせに筋肉質っぽい。性格イケメンで正直言ってあたしにとっては抱かれたい女性No.ONEだろう。
「実は原子炉の非常停止装置は急には止まらない仕様なんだよ」
彼女はそう言うと助手席の方で『ゴーン!』と言う大きな音が鳴り響いた。
どうやら助手席のムキムキマンが目を覚まして両手ほっほいっぱいに上げて思い切り背伸びをしてくれたようだ。
まあ当然彼の両手の拳はサニークーペの天井を直撃してルーフに大きな凸をふたつ作ってくれているだろう。
そして彼はこの車内の異常な熱さに気がついたのかもしれない。

「俺たちが恐れていた事が起きてしまったか?」
助手席の男は呟いた。
さっきの少女もこの男も地震の後に移動していた最中、土砂崩れの下敷きになっていたクソでかいアメ車の中から楓凛と亜希と風間達也さんの3人で助け出してこの車に乗せることとなった2人ということだ偽由紀こと香澄もあたし、こと偽有希こと花蓮はもちろん、ここにいる人たちの人間関係なんてほとんど知らない。
ましてや偽ロリババアを演じさせられている梨花なんて何が何だかわからない状態だろう。
しかしながらたった一つだけわかることがある。
誰の視線か知らないけど眼下に広がる燃盛る5つの原子力発電所。
「あ、真ん中のがまた爆発した、今度は東端だ、次は西かな?」
呑気そうに梨花。きっと何もわかっちゃいないだろう。
ちょ、待ってそんなとこに近づいていいのか?強力な放射線嵐の影響は?
あたしの言葉は亜希の胎を通して彼女の口から発せられた、それに対して楓凛と風間達也さんはそろって口を揃えて言った。
「大丈夫!ここにはまともな人間1人もいないから!」
そういう問題か?
【確かに、そういう症状を発症させた方が良いかもなんだぉ】
間の抜けた思考が割り込んできた、わたしたちのボスらしい。
異世界というか外来生物の変異種に改造が施されて見るからに色々なオプションがてんこ盛りな亜希はともかくいくら屈強そうに見えても楓凛と達也さんはごく普通の地球人そうだし、途中で拾った男女2人だって多分ごく普通の地球人だろう。

「さっきのあまりにも急な火山発生もメルトダウンにより溶け落ちた大量の燃料棒が地下深くまで沈み込んでマントル層を刺激した結果かもしれないし」
冴子がボソリと言った。
この娘どう見てもあたしよりは年下の中学生だよね?
実はよくアニメとかで有りそうなロリババアとかリナみたいな精神生命体じゃないよね?
隣を見たら何故か香澄が満面の笑顔で笑っていた。
ああ、これは多分考える事を完全に放棄した顔だ。
であたしの妹の梨花を見たらなんだか真剣に考え込んでいた。
「これはまずいですね」
ほらごらん、4才の妹の梨花が見たってやばいことくらいわかるんだから!
そりゃそうだろう、東北から北と四国中国から西を除いたほとんどの人間が放射線にやられて全滅だよ。
また亜希の胎の中が大変なことになるよ。
「感染列島か?」
助手席の男がボソリと言った。
「あ、この声、聞いた事がある」
唐突に香澄、急に何を言い出したかと思った。
「アイドルのコラボバックでたまにギターで参加する人だよね」
「おおーよく気がついたな、そんなにかっこいいか?俺に惚れちゃダメだぞ俺にはもう既に彼女がいてだな」
言っておくがあたしと香澄と梨花の3人は亜希の胎の中にいて直接外の人と話はできない、だから亜希の口と耳と眼を借りてコミニケーションするわけだが相手は当然と亜希としゃべっているつもりでいる。
「あたしはその手の番組は見ないんだけど、この冴子って女の子を力づくで犯したどっかの少女アイドルグループプロデューサーみたいな悪い男だってことはわかる」
あたしが言っただけで全員が突然凍てついたのがわかった。
「コラ、人の口を借りて失礼なことを言うもんじゃない」
と亜希。
「いやだって本当のことだし、この冴子って女の子の身体からは少なくともあなたを含めて3人の野蛮な男の精液の臭いがする、こっちがドン引きよ」
とあたし。
「だから人には黒歴史ってものがあるからそんなとこえぐるのはダメだろ、ってこら!か、じゃない有希が非処女のヤリマンだと思われたら迷惑でしょが」
と香澄。
「花蓮姉ちゃん、1番迷惑なのは冴子さんだよ、真っ青な顔しているよ」
おいおい、梨花よ、それこそ『とどめを刺す』というんだよ。
「黒歴史ってものじゃ、犯罪でしょ!ひとりは義理の兄でサラリーマン、もうひとりは弁護士、そしてあなた」
あ、この冴子ちゃん、自分でカミングアウトしたよ。
しかしその間にボソリと冴子ちゃんがつぶやいた言葉に車内の人間全員が凍てついた。
「それで済めばまだいいよ、最悪は地球崩壊ね」
なんでそうなる?
と思った。
「まずは富士山のカルデラ噴火、それに釣られて伊豆火山帯の火山が次々と大噴火、そして本格的な南海トラフ地震と阿蘇山と鹿児島湾でのカルデラ噴火、いえ日本中の火山という火山が大噴火」
『そ、それはさすがに考えすぎじゃ』とあたしは考えた。
『みーんな改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)のフルMOX燃料だからね、1、2号機なんてごっそり原子炉ごと総入れ替えだから両方とも300万キロワットよ、他の3号機と4号機も5号機も改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)に改造してそれぞれ400万キロワットだから、柏崎刈羽原子力発電所の合計出力は821万2千キロワットを軽く超えちゃって1800万キロワットのなっちゃたのよ」
とりんか。
お、おい、いもうとよ、とつぜんなんをわけのわからないことをいいだしたんだ?
あたしはしょうげきのあまりしこうがひらがなになってしまっていることにきがつかなかった。
「今のは異世界リナか?何を根拠に言っているんだい?」
そう、楓凛はむやみに幼女をおだてあげるような変な性癖は持ち合わせていないようだ。
あたしはてっきり異世界リナがあたしの妹の梨花にテレパシーでカンニングさせたと思い納得することにした。
「ところで今回も過去の巨大地震のように人工地震説が流れているみたいだけど」
と亜希さん。
「ああ、あの時も人工地震説が流れていたな、真相は闇ん中だが、それがどうした?」
中出し刑事風間達也、絶対はみだし〇〇とは1ナノも関係ないだろう。
「確か、って言うか私が一度殺される前の記憶だからあまり定かじゃないけど」
『だったら言うな』と心の中であたし、が外に漏れてしまったようだ。
「ガキは黙ってて」
と速攻で言い返される。
「おっと今はそんな話じゃ、あの時はただ緊急停止したと言うだけでどのタイミングで止まったかなんてニュース流れたかな?」
「いや、娘よ、そんな話は聞いていないぞ、それがどうした?」
「P波で止まったかS波で止まったかなんて報道したっけ?」
「いや、しなかったな、何故それを気にする?」
「確かあの時は川内では震度3、本震で緊急停止してもさほど問題はなかった筈、その時もしももっと激しい揺れだったら?」
なんかめんどくさい話になって来た。
「だからガキは黙って、そもそも緊急停止信号がかかってから数秒で制御棒は挿入可能なの?」
「まあ確かにその時にブレて擦りあったと言う説もあったが政府と規制委員会によって完全に否定されたけどな」
めんどくさそうに答える達也、イカ臭い。
「どこが、このバカ親父、おだてると図に乗るからやめなさいよ、それはそうとS波、本震でやっと緊急停止に入ったって可能性だってあるよね?」
うーんもう親娘喧嘩に口挟むのやめようかな?
「それ以前に今の政権の政治家や護衛隊のトップはそう言う原子炉に関する知識を持っていると思うか?」
突然、楓凛が口を挟んできた。
うん確かに、今や総理大臣はIQ60でもなれる!とさえ言われている。
「そんな事も知らなきゃ人工地震を起こす情報だって流さないでしょ、『どんな地震でも安全に停止します』って原発推進派の言い分を疑うことなく信じちゃうような無知な連中なら、それに直下型なら自然発生の地震でもP波とS波の間隔はほとんどないでしょ?」
と亜希さん。
まあ確かにそうだ、それも憶測に過ぎないのだけれど事実なのは地震直後原子炉は冷却手段を失い制御棒が動かせない状態のまま核分裂を抑えられなくなって暴走しているところに火山弾が降り注いで火砕流も流れ込んでいると言う今の事態だ。
【梨花が見たところみんなNo.1花奈と有希にまんまと騙されているみたいね、花蓮姉ちゃんの遠足のお付き合いなんて退屈だと思っていたけど、これはこれで面白くなってきたわ】
え?今のまさかと思うけど梨花のあたしだけに対する最重要機密鍵付きテレパシー?
「原子炉の外の使用前、使用済み燃料棒も過熱し過ぎて地面に溶けこんいるわねぇ、あれだけ大量の燃料棒だとプレート突き抜けてマントル層に達するのも時間の問題かしら?」
他人事のように言う異世界リナ。
もちろんあたしの妹の梨花が成りすましている。
おーい、いくら毎日晩御飯を参鶏湯にしたからってそれはあたしへの当てこすりか?悪かったよ!明日から毎晩白がゆにするから許してください。
「マントル嬢?それは素晴らしい!」
意味不明な事を言い出してしまった風間達也さん、亜希はさすがにちょっと引いてしまったようだ。
「黙れ!このエロオヤジ!」
『パーン!』という平手打ちの音と共にその怒鳴り声が胎中に響いた。
「そうよ、おじさん、今はトルコ嬢という言葉はNGワードなんだから使ったらダメなんですよ」
キツく偽リナ梨花にたしなめられた風間達也は更にムキになって言った。
「じゃあ今はなんていうか教えろや、クソガキ」
さすがにこれには偽リナ梨花も答えられないと思った。
「バカね、ラブホマッサージ嬢に決まっているじゃない、それともおじさんは貧乏だからボロアパートマッサージ嬢か過激ダンサーの方がお似合いかしら?」
妹よ、あたしはひょっとしてお前の育て方を間違えてしまったのか?
「それよりも、もう静岡だけの問題じゃないから、どっかのバカ達が『静岡の知事だけが駄々っ子ね、』って言って南アルプストンネルの工事を強行して中央新幹線の運行を始めた結果なんだから!もうすぐ日本中がやばいことになるわよ!」
亜希の胎の中で突然偽リナが大声で暴れ出していた。
もちろん姉のあたしは知っている、こういう時の梨花は間違いなく演技だ。
しかし確かにリニアと原発がセットだというのもこの国を仕切っている政治家たちはもちろんの事国民の大半も忘れているよね。きっと、
【それだけじゃない、原発が生み出す大量のトリチウムは超伝導コイルの冷却に欠かせないヘリウムの原料となるから不可欠ね、ただしそれはこの地球から水という貴重な資源を奪い去る愚策とも言えるし人間や動物の脳神経に多大な悪影響をあたえる事実を忘れちゃいけないの】
そして我が妹は何食わぬ顔でオープン会話にして続けた。
「楓凛は緊急停止装置と言うとどんな物を想像するかしら?」
「また異世界リナか?まあ車で言えば四輪アンチスキッドブレーキかな?」
うんうん、すっかり楓凛さんもすっかりあたしのバカ妹梨花に騙されちゃっているよね。
「そう、確かにそれは安全に確実に止まれるイメージがある、でもそれによって制動距離が大幅に伸びたり、時と場合によっては停止することさえ困難になることも知っているわよね」
我が妹は急に何を言い出したかと思った。
「原子炉の非常停止装置にもそれと同じ事が言えるの、わかる?」
「まさかオレがさっき言った周期のズレと関係してくるのか?」
楓凛は驚いたように亜希を振り返って言った。
「そうだったな、リナもこのサニークーペのリストアとグレードアップに関わっていたな」
と付け加えた。
「当然だが原子炉の制御棒は炉心に仕掛けられた震度計、正確には加速度計が感知した加速度の大きさによって作動する、当然だがその加速度がやたらと大きい場合は燃料棒と制御棒の太さや長さ、そして硬さから揺れの周期がずれてくる、そんな時に最大速度で制御棒を挿入したらどうなるか?ということだろ?」
「え?何を急に言い出したの?リナ?」
亜希さんの狼狽える様子が伝わってきた。
「間違いなく燃料棒のほうが破損して炉心の底に落下するわね」
と冴子ちゃん。
「そう、だから最近の原子炉には500度の熱にも耐える光学センサーが四方八方から数十個も取り付けられていてそれでコンピューター解析をして制御棒を挿入して良いかどうか判断をしているわけ」
梨花、いや、もう偽リナと言っていいだろう。我が妹はさらに続けた。
「実はわたしは福一の時、本当に非常停止装置が働いたかどうか疑問に思っている、あてだけ大きな横振幅で強制的に密集した制御棒の群れの中に同じく密集した燃料棒の群れの中に急速に挿入したらそれらは激しくぶつかり合って、恐らくは燃料棒の方が折れてしまっていたでしょうね」
「つまり、制御用のAIが判断に迷い原子炉は止まらなかった可能性があると言うことか?」
と楓凛。
「それもあるわね、でも1番重要なのはそこじゃないの」
梨花は言ってイメージを全員に送った。
【すごいんだぉ、この子はもう人造生命体を完全に自分自身として使いこなしているんだぉ〜】
なんかイラッと来る口調の最重要鍵付きテレパシーがあたしの心に送られてきた。
「でも確かあれは津波でディーゼル発電機が停止して冷却手段を失ったことが原因だろう?」
風間達也さんが反論を試みたようだった。
「あれは生贄、Sacrificeよ、津波による電源喪失ということにしておけば今後その対策さえ取っておけば完全な安全対策は立てられると信じ込ませやすいからよ」
と梨花は言って続けた。
「原子炉の制御棒はブレーキというよりはハードディスクの磁気ヘッドの付いたアームに近いわ」

「はい?」

「ハードディスクは激しい振動に弱いの、だから記憶領域外にヘッドを移動する退避機能というものがあるんだけどそれに近いものがあると思う」
梨花が言うと冴子ちゃんも少し驚いた顔をしたが少し納得した表情になった。
「つまりは直接原子炉の核燃料が核反応を止めるための制御棒ではなくて正しくは正常に動作している条件でのみ作動するコントローラーということかしら」
「そうね、1番近いイメージは中央新幹線のリニアモーターの制御によく似ている、通常時なら非常停止は何の問題もなく実行できるけど激しい揺れの巨大地震という最悪な条件下ではかえって危険な状況を招く可能性もあるってこと」
ハラハラしながら梨花のおバカな高説を聞いていたら急に風間達也が笑い出して言った。
「まるでフロッピーディスクブレーキだな」
「何ですか?そのへんちくりんな名前のブレーキは?」
あたし、花蓮は思わず聞き返してしまっていた。
本物の有希さんなら理解できたのだろうか?
「さっき、異世界リナとかいうハードディスクみたいにある程度厚みがあって固い円盤状磁気記憶媒体に対して昔、『IBM』というコンピューターメーカーが開発した気軽に交換が可能な記憶媒体で『フロッピーディスク』というのがあったんだ、ハードディスクと違い薄い円盤状のフィルム磁気記憶媒体なんだがその物はフニャフニャに柔らかいのでフニャフニャディスクと呼ばれていたんだ」

「それでは使い物にならないので正方形の紙やプラスチックの回転させる円筒で挟むための穴と、磁気記憶を読み書きするための長細い穴があったのだがとにかく単価が安くて気軽に交換できて、記録するフォーマットさえ決めておけば違うコンピューター同士でもデーターのやり取りが可能だった為に爆発的に普及した媒体だったんだ」
風間達也は言ったがあたしの頭はUSBメモリとかSDメモリカードしか浮かばないので理解できなかった。
「話は変わるが自転車にもディスクブレーキが搭載されるのがブームになった時期がオレの親たちがガキの頃にあったんだ、もちろん自動車のような分厚いディスク、特にベンチレーターディスクや大きなブレーキパッドなんて明らかにオーバースペックだし重たくなるだけだから本当に薄いディスクと小さくて貧弱なブレーキパッドしか着かなかったんだ、それでも結構な重量増になるし効果も薄かったからロードバイクではほとんど使われなかった、まあバカな日本の自転車メーカーがバカな子供を騙して(だまして)売る為に何でも自動車にあるものをつけて売っちまえ、って時代だったからな、フラッシャーウインカーとかフォグライトとかストップランプとかスピードメーターとか、その為に重たい電池ケースを搭載したり、挙げ句の果てには油圧式ブレーキときたもんだ、当然だがその代償は無意味に重くて高価になる代物だった、まあその時に思いついたジョークが『自転車のディスクブレーキのディスクもフロッピーぢスク並みにペラペラにすれば軽くなるんじゃね?って奴だけど、あれ?誰も笑わねえな」
達也は自嘲気味に笑いながら言ったが正直言って馬鹿馬鹿しすぎて笑えなかった。
それにすぐにディスクが破れて安全に止まるどころじゃないだろう。
「それで値段が5割増になったのだけどそれでもテレビなどで宣伝すれば日本じゃバカみたいに売れたらしい、変速機のレバーも何故かハンドルではなく、フレームの上面、ハンドルとサドルの中間に設けられたんだ、とにかく何でも自動車のマネをすれば『カッコイイ』と思われる変な時代だった、信じられるかい?変速機を操作するたびに片手運転になるんだぜ」
何となく日本人というものは流行やマスコミのアオリに弱い人種だと云うイメージは理解出来てきた。
こんな国でマスコミなどが『原子力は未来の明るいエネルギー』とかアオればカンタンに信じてしまうだろう。
現に福島第一原子力発電所であんな大きな事故があってもいまだに『原発に反対する奴は電気を使うな』とか『江戸時代の生活にレベルを下げる覚悟はあるのか⁉︎」と叫んでいるテレビタレントや識者に達也の親の世代が多いように感じるのは気のせいだろうか?
いや、今の若い世代での一定数海外でさえ存在するのは人間のサガかもしれない。
「それで話は原子炉の非常停止装置に戻るのだけどアレはあくまでも通常時における核反応が暴走を始めた時のためのものであって『激しい揺れの巨大地震などの過酷状況を想定してのものじゃない、はっきり言って車でもそうだが時速300キロメートルで走る走るF-1カーでも震度6以上の揺れの中で安全に止まれるかと言うと『NO!』としか言いようがない、しかし両者の間には大きな違いがある」
と楓凛。
「それがメルトダウンや臨海爆発による過酷事故につながると云うことね」
と唐突(とうとつ)になりすまし由紀、香澄が口をはさんできた。
「そうねあなたたち、地球人のくせして割と冴えているじゃない?」
と冴子ちゃん。
ちょっとぉいくらあんたの名前が冴子だからって他人を小馬鹿にしすぎじゃないの?
と激昂(げきこう)モードに入ったあたしだったが今何か引っかかるワードを耳にした気がした?
「え?『地球人のくせして?』、それどう云う意味よあなたは高尚な宇宙人様だとでも言いたいわけ?」
「確かに原発の事故が起きる確率はかなり低いとしても小規模な事故を含めると結構起こしている、しかし電力会社や規制委員会の想定事故はどれも新規制基準に基づく重大事故対策が『奏功した』ことを前提にしたケースばかり、しかし福一の時のようにうまくいかなかったケースもある、これでさえ実はうまくいったケースということになっていた、電力会社や規制委員会はその時の事態を矮小化する為にあえて原因を津波による非情電源の喪失によって冷却が出来なくなった事にした、それはさっき言ったと思うけど、もしも本当に電源喪失だけが事故の原因じゃなかったとしたら?あの安倍総理さんや甘利さんでも再稼働を言い出すことは出来なかった筈よ、電力会社はあえて再稼働させる可能性を残す為に『津波でディーゼル発電機が使えなくなった事に責任を押し付けたのよ」
我が妹よ、ハッタリもその辺にしといたほうがいいぞ、とあたしは思った。
「つまり津波による電源喪失さえなければ冷却はうまくいっていたはず、外に12時間の間に漏れると想定される放射性物質(Cs-137)が、福島第一原発事故の100分の1程度である「100TBq(100兆ベクレル)」相当になるのも納得がいくわ、つまりこれは電源が確保できて非常停止装置が正常に作動した場合の上であの快感の破断による冷却水の水蒸気漏れだけを問題にした数値ね」
と得意げに偽リナこと我がバカ妹の梨花。
「そうね、あなたたち本当に地球人にしておくのが惜しいほど賢いわ」
と冴子ちゃん。
もうイイ加減にしてよ、某国営放送局の千コちゃんみたいに鼻持ちならない天災幼女のなったらどう責任を取ってくれるんだ。
「そう、そして屋内退避した場合の被ばく線量は『窓や壁が破損していない』と云う原発が事故を起こすほどの烈震ではあり得ない条件を前提としている、そんな考えられないくらい恵まれた環境でさえ木造家屋で25パーセントの低減、コンクリート建屋で50パーセントの被曝低減を主張しているわ」
そしてアホ梨花の後を冴子ちゃんが続ける。
「セシウム137はカリウムとよく似た化学的性質を持ち、体内に入ると全身に分布するの、ところで気になるのはセシウム137が放出する放射線は主にガンマ線と言って通常10ピコメートル以下の超弩級に高周波な電磁波を指すんだけど、同時にベータ線と云う実に測りにくいものも出すわけよ、この低減率はどちらを指すかしらね?規制委員会の無責任体質これに極まると言いたいわ」
あ“〜!もうダメだ、冴子ちゃんはブレーキ役にもなってくてない、まるでアクセラレーターだ。
「例えば騒音とかで50パーセント低減とか言ってもデシベル表記じゃ例えば120デシベルの騒音を50%カットしたと言っても実際には114デシベルまでしか下がっていないわけ、どっちも耐えられない騒音には変わらないのよ、50パーセントオフってスーパの特売なら大歓迎だけど被曝の低減率ははっきり言って90パーセントでも大した効果とは言えない、それに放射性ヨウ素や粒子状放射性物質なんかは建物を完全に密封しない限り風の乗って運ばれて建物の中に侵入してくる、建物ごと完全密封する?すぐに窒息死よ!もし仮に原子炉からの放射性物質セシウム137が福島第一原発の10分の1でも予想被曝量の5倍、それもセシウム137限定、ストロンチウム、放射性カリウムなどは含まれない、もちろん破断した配管から噴き出す水蒸気には考えられない量のトリチウムが含まれているの、福一の処理水や世界中の原発が煙突から出しているトリチウムとは比較にならないくらいのね!あと中国とか出しているトリチウムの量、あれデタラメだから!どうやって測ったつもりになっているか知らないけど原子炉の熱出力から割り出した適当なものだから!事故起こして原子炉の中の燃料棒に直接触れた冷却水の水蒸気漏れ起こさない限りあり得ない数値だから!あれも日本と同じで冷やして復水した状態でタンクに保存だから、いいわよね、土地が広い国は」
とめどなく続く偽リナ梨花と冴子ちゃんの会話を聞いている地にあたしは思わず怒鳴ってしまっていた。
「ねえ!なんかもっと楽しくなるような話をしてよ!」

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@モンスター秋子爆誕!

「ふぇ、フィックショーン」
倶名尚愛は盛大にくしゃみをしてその反動で後ろに倒れて尻もちをついてしまった。
誰かがあたしの悪口を言っているのだろう。
まあとびきりの美少女なあたしは女子高校生でありながら自分勝手な『願望達成能力』で選挙法を捻じ(ねじ)曲げてしまい15才で自民党から衆議院議員として立候補して当選してしまうと云う自民党にありがちな悪い政治家だった。
あたしは中央新幹線の始発タキオン1号で品川を30分遅れで出発した途中、南アルプストンネル内を走行中、東海・東南海・南海連動型地震と遭遇した。
震度7を超える揺れとトンネル内に突然に生じた南北十数メートルにも及ぶ大きな活断層のずれによって列車は脱線した上にほぼ時速500キロメートル近い速度で断層の壁に激突して完全に停止した車両は予備の電源バッテリーの電力も使い果たしていた。
瀕死の負傷を負いながらも何の気まぐれか自分の幸せを最大優先とする自民党議員の鑑(かがみ)とも言える愛らしくもなく人助けをしようと本音を隠して偽善者の顔を晒して先頭車両に向かった。
前から4両目あたりから先が正面衝突の衝撃か車両の歪がひどくなっていた。
しかも冷媒ガスであるヘリウムが噴き出して気温は氷点下30度以下まで下がっていたがマネージャーの椎名の忠告も聞かず『あたし好みのショコタン美少年がいる』と言い張って救助した。
しかし常に見返りを求めるのが自民党議員の掟(おきて)、愛は同時に少年に『願望達成能力』をかけて下半身の男根にAV男優並みの超勃起機能と濃厚な精液の製造機能と強力な射精機能を彼に与えて童貞を奪い彼の精液をタップリと子宮に撃ち込んでもらい列車から3人で脱走を図ろうとした。
その時に後方から超音速で飛んできた巨大なコバルト製の睾丸に本来の席に座っていたら列車もろともつらぬかれ死ぬ運命にだったことを知りあたしは『やはり自分の欲望は最優先にすべき』との理念を再認識した。
そして避難用の斜坑出口を出たあたしは再び今度は椎名と共にショコタン美少年を〇〇して・・・

「こらぁ現実とかけ離れたナレーションを入れるな!椎奈!」
あたしは大声で椎奈に怒鳴った。
「ひどい、ボクの童貞はおふたりさんに奪われたんだね、お姉ちゃんの誘惑にも負けず守ってきた竿なのにこんな外道に筆おろしされるなんて」

そんなことがあったかどうかなんて知らないがとにかくあたし、倶名尚愛は尻餅をついていた。
しかし柔かな砂利だな、まるで少し硬めのソファーのような感触だ。
長いところ歩いたり、走ったり、ジャンンプしたり、階段駆け登ったり、ほふく前進したり、滝のような雨に打たれて疲れ切ったんだろう、その割にはほとんどあたしの身体は濡れてはいなかったがあたしと椎奈は間に挟んだ少年にもたれかかるようにして眠りについていた。
しかし今日はとんでもなく忙しい1日だった。
まさか日本ご自慢の超電磁、じゃない超伝導リニアモーターカーのタキオンが事故るとは思わなかったし、先頭車両から2〜3両目あたりまでが何かに正面衝突してしまったかのように車体が変形してしまうとは予想もつかなかった。
しかも車両後方から大砲のような砲撃を受けて数両分車体が繰り抜かれて灼熱の炎に焼かれてしまうとは、まあそれに抱かれて死ぬつもりは無いんだけれど。まさかあれがレールガンなるものが打ち出した砲弾だったとは椎奈の解説を聞くまでは信じられなかった。
数回あたし達3人の身体が揺れた。しかし地震などの余震などでは無さそうだった。
「なんかきゅうてんかいで、ここにもたいりょうのあまみずがながれこんできそうよ」
聞き覚えのある幼そうな声で偉そうな口調。
だれだっけ?・・・・・。
ああ、あの天才幼女、前田リナだ。
しかしなんでこんなところにいるんだろうか?
確か彼女は今、両親から解放されて名古屋駅の高級ホテルで自由を桜花(おうか)している筈。
しかもこのエンジンの振動、覚えがある、魔改造されたディーゼルパジェロだ。ディーゼルエンジンに高出力発電機、そして大容量バッテリーとインバーター、そして高トルクモーターを組み合わせたシリーズハイブリッド。しかし最高速度は時速160キロメートルほどしか出せないものの床下に左右に分割された仕込まれた前後に移動可能な2基の大容量バッテリーを移動させることにより40度近い坂の昇り降りが安全に行えるというウソみたいな魔改造モンスターオフロードだ。
後ろのハッチドアが『バン!』と閉じられる音、そしてパジェロはゆっくりと、じゃない!全速で走り出した。
「な、なんでぇ!」
思わず叫んでしまう、舗装された道ではない、乾いた河川の砂利の上をガタガタ揺れながら全速力で走っています感。
「ちょっともっとゆっくり走ってよパリ・ダカールラリーじゃないんだからさあ」
あたしは大声で怒鳴った。
「なんでって、そりゃうしろからだくりゅうが、ぜんそくりょくでおいかけてくるからよ」
とリナ。
どうして水源が枯れているのにそうなるのよ」
再びあたしは大声で叫んだ。
「どうやらさっきの強い余震でトンネルの山梨県側の出口が大規模な土砂崩れで塞がって、行き場を失った大量の泥水がわたしたちが登ってきた非常用の斜坑出口から溢れ出して大井川になだれ込んでいるようです」
何でもないようにあたしのマネージャーをしているアンドロイド椎奈は言ったが確か自身たっぷりに「この川が洪水になることはあり得ません!」と断言していなかったか?
でもちょっと待ってほしい、さっきの大地震、南海トラフの太平洋、海洋が震源地なら海の方から川沿いに大きな津波が押し寄せてきている筈、なんかおかしい、今回の地震。
「あ、ずっこい!」
リナが大声で叫ぶ。
「能力使って空飛んでる」
訳のわからないことを言い出した、と思い目を見開き前を見ると見覚えのある旧車が宙を浮いていた。
「なんじゃそりゃあ」
あたしは思わず跳ね起きて助手席と運転席の間からフロントウインドウ越しに見えたその旧車を改めてマジマジと観察した。
「うん、確かに楓凛の愛車、サニークーペだ」
いやいや、そんなことよりあたしが驚くべきポイントはそこじゃない。
なぜあたしと椎奈と中央新幹線タキオンの車両内で拾ったしょこたん美少年の3人がいつの間にか天災幼女リナの愛車パジェロロング改に乗っているか?だった。
「あなたのはためいわくな、のうりょくのせいで、まきこまれちゃたじゃない」
迷惑そうなリナの声、彼女は運転席に立ってハンドルとマスコンを必死に操作している。
「ここは、一体?」
あたしの自問にリナは丁寧に答えてくれた。
「だからさっきいったでしょ?あなたのはためいわくなのうりょくのせい、わたしはくつろいでいた、ばーがーやから、このぱじぇろはちかちゅうしゃじょうから、なぜかこんなどいなかの、ひからびたかわのどまんなかにとばされたって」
【こっちのリナは異世界リナじゃない】
最重要機密鍵付きテレパシーで誰かがあたしに伝えてきた。
「まさかとは思うけど今の最重要機密鍵付きテレパシーはこのくそがき?」
あたしは用心という言葉を知らない女子高生だった。
【違うよ、でも良い線は行っている、あ間違っても振り返ってあたしたちふたりの姉妹を見ちゃダメなんだぉ】
また再び最重要機密鍵付きテレパシーが飛んできた。
「聞いていないよ、それより目の前でさっきから黒煙と火を吹いている川をさえぎるあのすこし大きい山はなに?」
あたしは完全にパニックに陥りながら自分も何言っているかわからなくなっていた。

椎奈がムックリと起き上がってその火を吹いている1Kmほど先にある微妙な大きさの山を見つめた。
「推測、いえ、憶測ですがほとんどの童貞を飛ばして言えば超電磁リニアモーターカー関連の開発が日本を終末に招く事になってしまった様です」
『いや、今のアクセントおかしくないか?』
あたしは思ったがここで突っ込むべきポイントはそこじゃないと気がついた
「ハーレムなら大歓迎だ」
むくっと起き上がった少年が右手の親指を立てて言った。
こいつ一体どんな家庭環境で育ったんだ?
やっぱり椎奈が言った通り、タキオン車両内に置き去りにして来ればよかったかもしれない
「それよりあの山、ってか火山だよね?いつの間にできた?」
まあ噴煙は少なくって、火を吹いているっていっても溶鉱炉程度だし、100メートル以上はあるかな?
「もしかしたらあれがこの辺一帯の火災原因になっているのかもですね」
確かにその令和新山とゆうべき火山は大井川を完全に上流と下流に分断をして東と西の平野に大量の火砕流(かさいりゅう)を流し込んでいた。
「あの山、根性がたりねぇな!火山噴火っていったら『カルデラ噴火』しかないだろう!」
と少年、こらぁ!
挑発するなあ!
本当にそうなったらどうする?
思う間も無くその山の上半分が大爆発と共にふっとんでいた。
「な、何か俺は変な悪夢でも見ているのか?」
助手席に座っていた見知らぬおっさんが驚いた声を上げる。
「どうしてあんなところに火山が?」
あたしはリナを問いただした。
「あんなところ?ばかいうんじゃないわよ、りにあえんせん、かながわけんからやまなしにわたってはっせいしているきょうでんじりょくせんによる、ふじいずかざんたいがしげきされてマグマだまりが、つぎつぎとはっせいしているって、じょうほうがかざんがくしゃのあいだに、もれはじめていて、こうあんけいさつと、こうあんけんさつが、じょうほうとうせいに、うごきだしているってはなしよ」
とリナは言っているがそんな事は既に体験済みだ。
きっと黒いスーツを着てマグナム44を両手に持った男たちがその火山科学者たちの身体を粉砕してまわっているのだろう。
あたし自身がリニア車両ごと超電磁砲の砲弾で撃ち抜かれかけたんだけれどあたしはそんなに自分が所属する政権の邪魔になるような事はした覚えはない。
「ちょとしゃれになんないことになっているんだそうよ」
リナが巧みにステアリングとマスコンを河原をパジェロで走破させながら叫んでいる、再びおおきな砂利の山に乗り上げ、2メートル位ジャンプをした。
いつもなら『爽快!』と言いたいところだけれど今日はとてもじゃないけれどそんな気にはなれない。
「あきの、こうはんいすきゃんのうりょくによると、いまのだいばくはつでたいりょうにそらたかくふきだしたふんえんにまじって、かぞえきれないほどのかざんだんが、すうせんめーとるいじょうのたかさまでうちあげられて、このへんいったいに多大な被害をだして、すこしはなれたひなんじょのやねをぶちぬいたって」
「あ、有り得ないだろう」
助手席の中年男性が頭を抱えて取り乱している、いや、そんな事よりその火山弾があたし達が乗るパジェロや目の前を十数メートルの高さで飛んでいるサニークーペに命中しない方が信じられないけど。
「やばいかも」
リナは呟いた。そりゃそうだろう、後ろからはなんでかは知らないけれど2メートル近い高さの濁流が追いかけてくるし、前の火山からは真っ赤な火砕流がこれまたすごい勢いで乾いた河川を駆け登ってきている。まもなく挟み撃ちだよ?
「しゃあない、はらくくって」
リナはそう言うなりステアリングを思いっきり右に切ってマスコンを全開位置に引いた。
パジェロは左の大きく傾きながら土手を軽快に駆け上ってゆく。
駆け登った勢いで数メートルジャンプすると既に火砕流が流れ込んでいて街並みだったはずの火の海が見えた。
「ちょ、あそこに着地する気なの?バカなの?死ぬの?」
あたしが大声で叫んだことなんてお構いなしにリナは言った」
「何言ってるの?こんな時こそ愛自慢の『願望達成能力」を発揮する時じゃない!」
「いやいや、こんな状況じゃ死ねんが集中できなくてどんな『願望達成能力』を暴発させちゃか判ったものじゃない!』
火砕流の海の中にパジェロが墜ちた、と思った瞬間に車窓の外は真っ暗な宇宙空間になり目の前に鶏卵みたいな形をした巨大な宇宙船が迫ってきていた。そしてそのさらに向こうにはあの巨大な惑星サタン、じゃないジュピターが・・・何故じゃぁ⁉︎
それは最初は2、300メートルくらいの大きさ、と思っていたら近づくにつれて月よりも遥かに(はるかに)デカい物だとわかってきた。
【あ“〜!ここで遭遇しちゃうのは想定外だったんだぉ】
マヌケな最重要機密鍵付きテレパシーが飛び込んできた。
『ちょ、なんかあの馬鹿でかい奴の側面から青白い極太光線が数えきれないくらいの本数で飛んで来るんですけど』
間違いなくその1本だけでもこのパジェロロング改ごとき蒸発させられてしまうと思った。
しかしその実態はレーザー光線や粒子ビームなどの破壊兵器じゃなかった。
「いや、い、い、いやぁ〜いやぁぁ〜‼︎裂けそう!」
愛がリナが、3列目シートの女の子たちが、泣き叫びながら身を捩らせて(よじらせて)喘ぎ始めていた。
【実体なき次世代獣鬼『獣神』の輪姦射精だぉ】
女の子たちだけじゃなく、助手席の高齢おぢさんもショコタン美少年も激しく喘ぎ始めていた。
「あ“〜!あ“〜!あ“〜!あ“〜!あつ〜いいた〜い!裂けそう」
何故かアンドロイドの椎名も輪姦射精攻撃の対象にされていた。
「いやぁ!いやぁぁ〜‼︎いた〜い!裂けそう!」次々と全員が体内に放出された大量の精液で破裂させられて、また強制的に元の姿に戻された。
「あ“〜!あ“〜!あ“〜!あ“〜!あ“〜!あ“〜!」
パジェロの中が『獣神』が解き放った精液で満たされた時に愛の『願望達成能力』は発動した。
パジェロロング改は信じられないGalで加速を始めると鶏卵型の宇宙船の先頭の小さな穴から侵入して全てをエネルギーに還した。
おそらくは中に残っていた一部の『地神』や『獣鬼』と『獣神』そして数えきれないほどの『獣鬼』に犯されて『獣姫(じゅうき)』化した元イブたちも全滅だろう。

愛も含めて小学生3人を除く全員が自分は死んだと認識していた。
しかし彼らは再び地球の地上に出現していた。
精液と肉片で充満していたはずのパジェロロング改の中は何事もなかったかのようにきれいな状態に戻されていた。
割れ目だらけの道の上に愛たちの乗ったパジェロロング改は着地していた。
しかしパジェロロング改はそのまま走り続けてはいる。
時速100キロメートル以上のかなりなスピードだ。
「ちょ、前、人、人ブレーキかけて!」
叫んだ愛の反応などお構い無しにリナはステアリングをフルに右に回してマスコンを少し前方向に押した。
パジェロはスピンしてかろうじてその人の1メートル近く手前、というかテールから離れた場所で止まった。
「ごめん、そのまま轢き(ひき)殺しても良かったわ」
愛はリナに謝った。
尻もちついた若い女性というかショートカットの少女がこっちを睨みつけている。
「あなた、私を殺す気満々だったでしょ?」
すごい怨念の波動を撒き散らしながら少女は言う。
「えーと、証拠が残らないように始末を、って超弩級に巨大な宇宙船というか鶏卵はどこに行った?なんで秋子がここにいる!ここは一体どこ?」
愛は完全にパニックに陥りながらも3列目シートで眠っている幼い女の子2人を覗き込んだ。
この娘達はいつの間に乗り込んだんだ?
ふとそんな疑問も湧いたが助手席の高齢おぢさんもそうだ、いつ乗ってきたのだろうか?
いや、いや、そもそも愛たち3人もどうやってこのパジェロに乗り込んだか記憶にないし、この幼い2人の女の子もおじさんも誰だかわかんないし、ただ一言言えるのは。
「生きているって、素晴らしい!」
それだけだった。
よくわからないけれど3列目シートの3点式のシートベルトは首にかかってはいたが彼女らの首を絞めるようなこともなく、ってしっかりくびののどのぶぶんにあざをつけ2点シートとして彼女達を守ってくれていたようだった。
「ふーん、愛に隠し旦那と隠し娘と隠し子がいたとは思わなかったわ」
秋子は棘(とげ)のある言い方をした。
あたしの所属する党とはライバル政党の女子高校生衆議院議員でありあたしの憎っくき宿敵でもある山崎秋子とは彼女のことだ。
「南アルプスのトンネルの中でタキオンの車両もろともレールガンで撃ち抜かれて火葬までしてもらえたんじゃなかったの?」
つくづく失礼なやつだ。
まあ何故それを知っているかの方が問題なんだけれど、愛だってききたいことは山ほどある、だけど取り敢えず
「ここはどこ?」
そう聞いたら奴は小馬鹿にしたようにあたしを見つめていった。
「お、だ、わ、ら」
愛の頭の中が真っ白になったのは言うまでもない。

【まあ取り敢えずは宇宙のチリになるよりはマシでしょ?】
誰かからの『最重要機密鍵付きテレパシー』が届いたような気がした。

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@世界遺産は誰のもの?

「ねえ、自称優秀な弁護士さん」
私、山﨑秋子はリーゼント頭の男に問いかけた。
私は倶名尚愛とは腐れ縁の共に美少女女子高生でありながら衆議院議員をやっていると云う威神の戒の通称JK国会議員だ。
(注:あくまでも美少女は自己評価です)
「うん、何だ、男喰い魔女」
うん、すごく失礼な反応だ。
「あの西に見える妙に高い独特な形状の真っ赤に燃えて噴煙を撒き散らしている山から噴煙が出てるんだけど、あれってもしかして・・・」
私はなだらかに裾が広がっていたはずのもっこりした山を指差して言った。
「貴様は脳にうじ虫でも湧いたか?あれはどう見ても富士山という日本が世界に誇る世界遺産だ」
「なんか私の記憶にあるそれと随分色と大きさと形が違う気がするんだけど」
「細えことは気にするな、誰が見ても富士の山だろうが」
『そうか、じゃあ私が感じた違和感は多分気のせいかもしれない』
私はそう思うながらも続けて
「じゃあその左の、やっぱり大量に真っ黒い噴煙を出している山の群は?」
「やっぱりお前はアホだな、どう見ても箱根の山々だろうが、そばにいる愛人に聞けよ」
そう言って奴は事もあろうに山﨑秋子の宿敵である倶名尚愛を指差した。
まあその指先が奴の右乳首あたりに『ずぶり!』と喰い込むのはお約束である。
「す、すまん、お腹あたりの辺を指差したつもりだったのだが貴様が想像以上に背がちっこかったのでな」
ああ、そういう言い訳はそいつにしないほうがいいと思うよ。
「しかしまさかカップレスとは・・・」
言い切る前に奴の体は後方に吹っ飛んでいた。
「いやぁ、見事な殺人、じゃない右ストレートですな」
私は感嘆したように言ったが奴に言い過ぎは禁物だってことくらいは知っている。

「でもどーするのよ、あの箱根山みたいなのも富士山みたいなのも炸裂寸前だけど、あんた、ここの体育館の人たち守った気になっているかもだけど、火砕流がこっちに流れ込んできたらここらあたりの人みんな即、火葬にしてくれるわよ」
愛はそう言って二つの火山を見比べているけど多分彼女の眼、いや、どすけべ眼には山の中のマグマ溜まりの状態まで見えているのだろう。
なんせ私が必死になって支えている体育館の骨組みを繋ぐ金具が折れていることも見抜いた。
「あんた、あの二つの火山の爆発、何とか封じ込めないの?」
と愛、簡単そうに言うな。
「そんなことしたら私は干からびて死んでしまうわ、あんたこそ『願望達成能力』で何とかならないの」
私は聞いた。
「やっても良いけど『200億円』くらいもらえなきゃやる気にもならない」
と愛、『さすが悪友、あのスイミャクどころか2FL幹事長さえ超えたな!』
と秋子は思った。
「じゃあここにいる男たち全員の精液を吸い取ったら?」
まじか?愛はそんな下ネタギャグを言う奴ではないと思っていたのだが。
「冗談よ、あたしの前ではあんたにはそんなことさせない、だって」
いやなぜそこで口を閉じる?それはモテまくる私に対する嫉妬か?
「いい?現状をまとめるよ?」
愛はそう言うと気だるそうに座り込んでいるエリート商社マンを指差した。
「この一見上品そうで実は得体の知れないスパイみたいな奴、つまり愛人2号「ベレッタARX160」さんね」
地面で伸びている奴を指差して落ちていた木の枝で奴の股間をぐりぐりして。
「そしてこれがあんたの愛人3号「無限波動砲君」ね」
言い方!表現!
何?その何発でも無限に巨大宇宙戦艦さえ粉砕しそうに強力な射精をしまくれるみたいな表現は?
「そして今大井川付近に亜希たちと一緒に
いるムキムキギタリスト、正しくは某国のスパイがあんたの愛人1号「太陽さえつらぬく神の巨根」なのね?」
それってどんなにすごい性欲の塊を指すような表現だ。
「あんたと付き合えるくらいの男だから当然まともな精力じゃ即刻死んでしまうもんね」
愛はそう言うと
「秋子はまず駅裏のラブホで1号さんとバッコンバッコンやりまくった、そしてその1号さんは命の危険を感じて途中で逃亡した」
「いやそれ逆だから、バッコンバッコンヤられてホテル代とA5ランク黒毛和牛ステーキ2人前代踏み倒されて逃げられたの私だから」
「そこで秋子は2号さんに電話をかけて縄張りにしている某ファミレスでガガガガガガと機銃射精やらないかと誘いホテルに停まっていたゾンダに乗っていたホテルの従業員を助手席に蹴り倒してジャックして某ファミレスにバーンアウト的な暴走をしてたまたま2号さんと一緒にいたいたいけな少女を拉致して3号さんと共に彼が経営するファッション風俗ホテルに連れ込み2号さんといたいけな少女を監禁をした」
「だから全然違うって、その娘は愛が言うところの2号さんと一緒にいたのは確かだけど呼び出されたのは私の方だし、ゾンダだってホテルの従業員に金払ってまで死ぬ思いをするほどの暴走で某ファミレスの駐車場で嘔吐したの私だから、それに風俗ホテルに行ったのはその娘さんが性的暴行を受けてまともに喋れない状態だったから、落ち着いて喋れる場所に連れてってと奴(3号)に頼んだら勝手にその店に連れ込んだだけだから!」
『必死に抗議をしたが奴(愛)の耳にグラムロックだ』
「織田麻里奈!そこで2号さんといたいけな少女を監禁しといて自分は別室で愛人3号に自分の子宮内にエネルギー充填580パーセント射精を何回も繰り返させながらバッコンバッコンやりまくっていた、ところがその間にいたいけな少女を何者かに拉致された」
「いや拉致されたのはホントだけどバッコンバッコンしたのは私の方じゃなくて奴(3号)の方だから」
「あたしの心眼はゴマ化されないよ、それでいたいけな少女の安否を心配するフリをして店の防犯カメラを視聴して他のアベック客がコスプレ衣装で腰振っているのをのぞいてこともあろうにあんた(秋子)は2号さんとガガガガガガとやり始めた、その最中に巨大地震が襲いかかってシャンデリアが落ちてきてあんた(秋子)の背中を直撃した」
『おや?なぜか話が合って来たような気がする』
「しかしそれは本当は地震のせいなどではなかった、秋子の腰振りがあまりにも激しかったためにその振動でシャンデリアが堕ちただけだった」
「いや、その脳内変換おかしくないか?』
「証拠隠滅にあんた(秋子)は自分の体に溜め込んだ野獣どもの精液を発火させながら部屋中に炎を撒き散らし放火した、そして自分だけ助かろうと部屋の壁をバズーガ砲でぶち抜きそこから逃げ出した」
いや、よくもまあそんなねじれた解釈ができるものだ。
そこで急に愛は突飛な行動を取り始めた。
地面の上で力無くしゃがみ込んでいる君、2号さんの襟首をいきなり掴み上げて激しく怒鳴りつけた、
「テメェ、その娘は妹なんかじゃねええだろ!」
いや、それは私もさすがに薄々気がついていたし。
「てめえが指示してその娘を大勢の男どもに輪姦させて何が目的だった」
君(2号)は愛から目を逸らして黙り込んでいたがやがて少しずつ口を開いた。
「兄妹というのは事実だ」と。
「ただし腹違いではある」
それを聞いた時の愛の表情はあからさまにこわばった、掴んだ首をさらに締め上げた。
「まさかあの娘も忌まわしき実験対象の1人なのか?」
「そうだがアレはただの餌だ、本当のターゲットはそこにいる彼女、君たちは山﨑秋子と呼んでいるらしいな」
まさかこいつにまで身割れしているとは秋子は思わなかった。
しかしどこまで知っているのだろうか?
「特殊な能力で取り込んだ男の精液を相当なエネルギーに変換して身体の中に蓄積できる、そのエネルギーは通常の男性の一回分の精液なら50万KWに相当する、人間原子炉だ」
ふーん、と愛は鼻の先で笑った。
「それで、3号さんと2号さん、そして1号さんかな?3人は1回での射精で何リットル放出するのかな?」
とんでもないことを愛が言い出したと思った。
その量をまともな人間の女性の胎内に放出しようものなら子宮破裂どころの騒ぎじゃない。
「10リットルは下らないいはずだ」
もう人外の話をしているとしか思えない。
「その量はどこから?」
「多次元、ここよりも複雑な多次元から流れ込んでくるエネルギーをここで言う精液に変換している、だがボク達はどう制御しても一回の射出と勢いを10リットル/毎秒より抑えることができない」
私はとんでもない殺人兵器とセックスをしていた。
「それは君たちには大したメリットがあるとは思えないね、本当の目的はなんなの?」
「君は秋子とやらの友人だそうだが君は彼女がここ一年の間に何回生まれ変わったか、いや胎に子を宿して何回その子供に胎の中から喰い尽くされて来たか知っているか?」
君は、いやそいつは気色悪い薄笑いを浮かべながら言った。
そいつはもう秋子が知っている君ではなかった。
「さっき倉庫で何回もやっただろう、その最後の時にボクはしっかり手応えを感じたんだ、やっと種子づけに成功したってね」
もう何を言っているのか訳がわからなかった。
たださっきから秋子は自分の腹が異常に重くて苦しいと感じていた。

「みんな、あきこからはなれて!ぜんいんくわれるわ」

突然パジェロのドアが開きリナが叫ぶ声が聞こえた。
私の口から、鼻から、耳から、そして下の穴から、至る穴から『ピュッ、ピュッ、』とどろどろとした赤い液体が噴き出して私の身体はその都度、激しく痙攣を起こした。
「一体何が起こったの?助けてよ」
一生懸命秋子は愛や奴に助けを求めたが2人とも身動きが取れずに怯えた目をして見つめているだけだった。
「えっ?うそ」
そういている間に秋子の腹を食い破って出てきたそいつは愛の右足をいきなり喰いちぎって倒れた彼女の腸を喰らい始めた。
そいつは愛の内臓を喰らいながらみるみる大きくなりあっという間に愛の全身を骨ごと食い尽くしていた。

「だからにげてって」

リナが叫ぶと同時にパジェロはすごい勢いで後退を始めるとスピンターンをして全力で逃げ去っていった。
目の前がだんだん暗くなり奴が私の腹から飛び出した化け物、いや私によく似た、私に奴(愛人3号)の肉体が食い尽くされるのを黙って見ていることしか出来なかった。
そして激しい地震と共に爆発音。
「ふ、富士山が下の方から吹っ飛んだ」
誰かの声、と同時に叫び声、君(愛人2号)の悲鳴に近い声。
それは奴も私から飛び出した、あれに喰われはじめているんだろう。
男たちは何のために私にこんな厄介な種子を植えつけたのか?
まあどの道ここにいる全員が火砕流に飲み込まれて焼け死ぬんだ。もうどうでも良くなった。

「私って一体何をしてきたんだろうか?」
呟く秋子の目の前に無数の胎芽が浮かんでいた。
どうやら私たちは広い海の中を浮かんでいるように感じた。
「間に合ったか?『G』?」
遠くからいかにも雑そうな性格の少女の声が聞こえた。
海の中の液体がやさしく揺れた。
「うん、『L』さん、私も中の子たちも大丈夫、『B』さんが忠告してくれたおかげだよ」
甘い、とっても甘い少女の声が優しい波と一緒に押し寄せた。
「まあ、小田原周辺の人たちは回収できたみたいだけどよく見よう見まねで亜希みたいなことが出来たね」
「元々が亜希と私は同じものから生まれたからできて当然だよ、『B』さん」
ちょっと待って君たちは一体何者なんだ?
私は精一杯の声をあげて問いかけた、だが返事はなかった
「私は何もしていない、いつも黙り込んでいた『アイノカケラ』が急に騒ぎ出したから彼女本体の身に何かが起きたと思っただけよ、『G』さん『L』くん?」
「秋子さんから飛び出して今は暴れているモンスター秋子はどうしている?」
これはさっき『L』と呼ばれていた少女の声だ。
「うーん、どうやっても死なないみたいね、いろいろ攻撃仕掛けてみたけどどれも通用しない」
こっちは『B』の声か?
「だいじょうぶ、あたしが、あたしの『願望達成能力』を持った人造生命体がなんとかてなづけるから」
聞き覚えのある声によく似た声。
また海がやさしく揺れた。
「あ、やっと『アイノカケラ』さんが口を開いてくれた」
すごく嬉しそうな、多分『G』の声か?
私は繰り返される優しい揺れの中、やっと穏やかで深い眠りについた。
『本当は私、ここ数日の間でものすごく疲れていた』
そんな事にやっと気がついた。
『少しすれば自分に与えられた人造生命体にきっと慣れてくるよ』
誰かの声が聞こえたような気がした。

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@人造生命体『G』の場合

志乃殺害事件よりも前、
私達チームがまだ一つの肉体の中に収まっておらず、あろうことか実験成功の後に廃棄処分されかけていた、私達の母親と言ってもいい『女児N』と身体ごと魂まで融合するはるか前の出来事だった。

ある日の訓練が終わって寮に帰る道のりの途中だった。
「最近『G』、ってお腹の膨らみやばくね?」
唐突に『L』に面と向かって訊かれた。

私、『G』は特殊任務に関わる工作員12姉妹の1人で主に要人の暗殺や洗脳、要注意テロリストの始末を請け負うために結成された組織の1グループだ。
ちなみに私たちは姉妹とはいっても基礎DNAはほぼ同じなのだそうだ。
元となる受精卵を12個複製してそれぞれ別の少女の胎内に植え込むという借り腹による出産らしい。
その理由は私たちの父親となるべき存在、と言っても人類以外の何かに憑依したそれらがこの星に人類である女性たちと普通に生殖行為を行なっても受精する確率が極めて低い事によるらしい。
確率的には200万回行ったとしても1個の受精卵を得られれば上等らしくて彼ら的には相性の良さそうな少女を数百人拉致して強制性交を何度も繰り返してたまたま出来た受精卵をコピーすれば良いと言う結論に達したらしい。
なるほど、女性の人権など考えている余裕もないということか?
そしてそのコピーした受精卵を胎盤として相性の良さそうな少女の子宮内に植え込み育てさせて出産させると言う事らしい。
当初は人工培養器を使いそこで育てる計画もあったらしい。
だが全てのケースで胎芽が暴走的な成長を始め培養器に収まりきらない程まで巨大化して培養器を破壊、または胎児自体が圧死してしまうらしい。
そこへたまたまモラルのかけらもない、いや彼らのほとんどがモラルなんてものを持ち合わせてはいないのだけど・・・。

たまたま自分の欲望のまま生殖行為の対象である少女に行為をして受精失敗が確定したひと月後、ヤケクソで何百とある冷凍保存されていた複製受精卵の一つを解凍して子宮内に植え込んでみたところ普通に着床して、育ち出産したとのことでその時から人工培養器は計画から外されて少女達を仮胎に使う方針に切り替えられたらしい。
ちなみに彼らに強制性交の対象にさせられたり、仮胎として利用される少女達に人権という言葉は存在しなかった。
何故なら彼女達は若くして殺人や政治的テロリストとして凶悪な犯罪者として事実上逮捕されていた。
国会議員の過半数賛成により改正された大日本帝国的な憲法の下によって創られた法律により死刑を執行された事になっていたから。
要塞のような収容所に入れられた彼女達は実験動物以下であり彼らの快楽欲望を満たすための性奴隷でもあったらしい。
らしいと言うのは彼女達がそうであったように私達も自殺防止を含む反逆防止のための洗脳を施されていたためそんな情報を分析する思考が出来ない上になんの感情も動かさなかったからかもしれない。

そんな理由もあって私たちは人を殺めたり、調査対象を捕獲して拷問にかけて秘密を白状させた後洗脳してしまうような今考えると恐ろしいことさえ平気に行なっていた時期があった。

私達の施設には1チーム12人のチームが少なくとも8チームあったと後で知った。
別の世界線の始祖Nが私達12人を含む8チームにいた私達姉妹全員を惨殺した後に廃墟となった施設で見つけた資料により知る事になった。

私、こと『G』はチームの中ではいつも成績は最悪で要領も悪かったらしい。
らしいと言うのはあくまでも私を除くチーム内全員の評価で私自身はそうは思っていなかった。
ただ、みんなに言わせると私は美味しいものを食べる時だけはすごく幸せそうな表情をしていたらしい。
私たちには特に正式なチーム名も個人の名前も与えられはいなかったけれどチーム名は単純に結成された順番で『チームA』から『チームH』と決められていた。
組織は私達個人に特に名前をつけようとはしなかった。
ただ数あるチームの中で一番成績の悪かった私達が『チームゴキブリ』と言われていたこともあってその流れか、成績の悪い
私が自然とコードネームに『G(ゴキブリ)』と決められてしまったような気がした。
もちろんそれは背が高い順、とか成績順だったと思いたい気持ちはあったけれど。
それは関係ないことはすぐに自分でもわかってしまった。
『A』も『B』、そして『L』も背が高くて成績も優秀だったからだ。
そう、つまり私達は同じ受精卵から育ったはずなのに、育った胎内環境によりこうも違いが生じてしまったのが彼らの興味を惹いたようだったがここでは関係ない。
どちらにせよ私がこのチームで一番の落ちこぼれだったのは否定しようがない事実だったから。

「お腹の膨らみヤバくね?」
そう『L』に指摘された時は正直いってショックだった。
特にここのところ食べ過ぎに気をつけて成績の悪いなりにもちゃんと訓練は受けている、太る要素とかはなかったんだけれど。
「あら、『G』さんの体重はかなり増加しているのは確かですよ」
横から急に『B』さんが言った。
彼女は成績も美貌もずば抜けて良くそのくせ高く止まったところがない、私にとっては一番頼りになるお姉さん的存在だ。
「ちょっと、お腹の中覗かせて?」
そう言うと『B』さんは私のブルマの股間からシャツのおへそ辺りまでをまじまじと見つめた。
実は彼女の能力の一つに望遠鏡レベルから顕微鏡レベルで物の中や外を見通せる能力もある。透視能力を拡張したようなものらしい。
「まさかとは思うけど『H』みたいに奴らにタネ仕込まされたか?」
唐突に『L』が露骨な表現で言った。
「あらあら、『L』ちゃんはなんでも知っているのね」
少し見下したように言う『B』さん、温厚な『B』さんでも『L』とは相性が悪いようだ。
「でもそれは確かすぐに摘出されてそのコピーが12人の女の子の子宮の中に植え付けられたって話よ?だからお腹はこんなにも膨らまなかったし」
何度も『B』さんは舐め尽くすように私のお腹を観察してから言った。
「精子とか受精卵とか胎芽、胎児は存在しないけれど・・・・まあそんなに気にしなくていいんじゃない?」
『B』さんにしては珍しく少々顔を引き攣らせ(ひきつらせ)ながら言ったのが気になってしまった。
まるで真昼に幽霊(ゆうれい)を見てしまった表情だ。
「そんな顔してそんな事言われたら、私、すごく気になります!」
恥もなく私は何かのパクリなセリフを言ってしまった。

寮(りょう)に戻り私は4人部屋の二段ベッドの上で横になり自分のお腹をさすりながら『B』さんが言っていた言葉を思い出していた。
他の3人はすっかり眠りについたようだったが私はそれが気になって眠れない。

「うーん、ある意味妊娠とかよりもショックな出来事なんだけど」
そう言って『B』さんはその後言葉を濁(にご)した。
「急に胎、子宮の中の胎児を包む袋、羊膜(ようまく)が張っていてその中の羊水を3人の小さな子供が泳いでるって言っても信じてもらえるかどうか?」
言っている意味がその時は全くわからなかった。
『B』さんはそれ以降口をつぐんでしまっていた。
だけどみんなが寝静まって物音がしなくなった今ならわかる。
お腹を空かして泣き叫ぶ元気さえ無くした5歳と3歳、そして生後それほど経っていない合わせて3人の女の子達。
サイズは以上に小さいけれどそれを除けば普通に小さくて可愛い女の子達だ。
それが今、何故、殺人鬼でもある私の胎内にいるのか?
他の娘達姉妹とは違い私はあまり多くの人の命を奪ってはいない方かもしれない、だけれどそれでも肉体を破壊して殺して来た人の数は両手を使っても数えきれないほどいる。
それにしても生まれる前ならへその緒を通して酸素や栄養を供給できる。
でもこの子達はもう既に一度産まれているのか私とは臍(へそ)の緒(お)では繋(つな)がってはいない。
だからその娘たちとは私との間にはつながりはまったくない。
私の胎の中の羊膜の中を満たしているのは果たして羊水といえるような代物だろうか?
だけど現に私の胎(子宮)の中の3人の女の子は溺れることもなく、その広い海の中を泳いでいた。必死に何か大切な存在を追い求めるかのように。
『この子達はほかっておくと死んじゃうのかな?』
そう思った時に悲しくなって自分も彼女達と同様に泣いていた。
『肺に取り込んでも大丈夫な、そんな特殊な液体だろうか?』
ふと、そんな疑問がわいた。
それなら良いのだけれど、私は私の身体のことがいちばん解らない。
そもその何故、突然にその娘達が私の胎の中に出現したのかさえ。
上の年齢の子2人には何か食べやすい物を与えた方がいいだろうか?下の生後それほど経っていない赤ちゃんに流石に離乳食は早すぎるだろう。
「どうして泣いているのですか?」
ベッドの下の段から声がした。『B』さんの声だ。
すっかり眠ってしまっていたものだと思っていたから自分が泣いていた事を知られたと思った時に急に恥ずかしくなった。
これこそ『殺人鬼の目にも涙』ってやつかもしれない。
「先輩、やっぱりこれって何かの罰ゲームでしょうか?」
私は思わず本音を漏らし(もらし)てしまったのかもしれない。
「そうかもね、でもあなたはまだ罰(ばつ)を受けられる分だけでも幸せなのかもしれないわ」
『B』さんは下のベッドから這い(はい)出して立ち上がると優しく私の膨らんだ(ふくらんだ)お腹をさすってくれた。
同時に子宮の中をスキャンしてくれていたようにも感じた。
「やっぱり『G』さんの身体って面白い造りになっているわね」
『B』さんは感心したように言ったけど今の私が一番気になるのは。
「何なんですか?その罰を受けらてない人って?」
しかし彼女の耳に私の声は届いていないのか。
「スポンジケーキ、面白いわね、最初は柔らかな固形で1番大きな子の口に、あなたの胎(はら)の中の羊水に似た液体の水分を吸っていくうちに柔らかくなって、離乳食みたいになって2番目のこの口に、最終的には完全に乳液状になって3番目のこの口に、あなたって本当に自分で考えてそれをやっているのかしら?」
そう訊かれ(きかれ)て私は激しく首を横に振った。
「そんな事まで考えられるわけないじゃないですか、それよりその罰を受けられない人って一体誰ですか?」
私の問いには何故かいつもはぐらかせて答えれない『B』さん、今回も少し考え込んだフリをしてにっこり微笑んだ。
「それは今はやめておこうかしら、この子達も聞いているしね」
私は半ばまともな答えは返ってはこないだろうなどと諦め(あきらめ)ながらその言葉の意味を探りなが自分のお腹を軽く左手で触っていた。
「あ、上の子が大きなうんちをした」
私はそう言っておきながら自分が自分で可笑しくなってつい、笑ってしまった。
「なんなの?あの出目金魚、突然上の子のお尻近くにあらわれたと思ったらその子が出したうんちを食べちゃた」
私が言ったその一言を聞いて『B』さんも急に吹き出したように笑い出した。
「あれれ、今度は真ん中の子が勢いよくおしっこをしたよ、それでそれも出目金魚ちゃんが勢いよく飲み尽くしているう、まるで下の子が誤飲しちゃわないように」
「なるほどね」
突然『B』さんがつぶやいた。
突然に真ん中の子がしたのこの手を握って微笑み出した。
それを上の子が暖かな眼差しで見つめている。
そして3人とも同じ方向を見つめて至高の笑顔を浮かべて消えた。
「あれ?いなくなっちゃったよ」
私は思わず大きな声で言ってしまった。
不思議な事にあれほど膨らんでいた私のお腹は元のサイズに戻っていた。
「うっさいなあ」
「静かにしてください」
と隣のベッドの2人も起こしてしまった。
取り敢えず「ごめんなさい」とでも謝っておこう。
「でも罰を受けられないって誰のことなんだろう?」
と私。
「まあ刑罰は受けるだろうけど本当の罰とは言えないわね」
『B』さんはそう言うと私のスリムになったお腹をさすり続けていた。
「だけど救われたかもしれないね、彼女」
私はもちろん、他のふたりも顔を見合わせて首を傾げた。
「あらあら、『G』さんには見えていなかったのね、3人の子供を両手で顔を覆い隠しながら大粒の涙を流して泣いていた、白いワンピースの女性の姿が」
私は首を横に振ったけど何故か妙に嬉しくなって大粒の涙を流しながら笑ってしまっていた。
「あの子達はどこに行ったのかな」
私の問いに『B』さんは「さぁ?」
と言ってしばらくしてから続けた。
「今度はあの母さんと一緒に仲良く楽しく生きられる誰しもが幸せになれる素敵な世界に生まれ変われると良いね」
【誰も好き好んで死ぬかというくらい痛い思いまでして産んだ子供の命を奪う母親なんて存在しない、環境が彼女を苦しめて、狂わせたのね】
私にしか聞こえない誰かの声がお腹の中で響いた。
気休めかもしれないけど彼女たちの人造生命体が今も私の別胎(仮想子宮)の中に住んでいる気がする。

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@椎名の胎の中に

ところで話は変わるが、むかーし、むかーし、とあるヨーロッパの偉いアイザック・アシモフさんという偉い先生が私たちアンドロイドを含むロボットという人工的に作られたドレイさんたちのために三つの法律をつくってくれたそうな。
アシモフロボット工学三原則
第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。
なぜかはよくわからないがこれを守らないと真っ赤に熱しられた溶鉱炉の中に自ら入らなければいけないと昔観た映画に出ていたムキムキマッチョな大先輩が言っていたような気がする。"I'll be back”
なんでも私たちがこれを守らないと人類とアンドロイドやロボットが大戦争をすることになっているらしい。
私も言ってみたいものだ「"I'll be back”」
学校の焼却炉の中に入って言うとシマらないかもしれないが私も愛先生の書斎に無造作に置かれていたDVDで見た時は目から大量の愛液を流して泣いたものだ。
現在に話を戻そう。
三列シートロングボディパジェロ改の2列目左側に座っていた私の目の前で愛先生の政治仲間である山崎秋子大先生の様子がおかしくなった時に私はすぐに行動を起こすべきだったと後悔をしている。
後悔は男性の〇〇と同じで前には勃って(たって)も後ろには勃たないようだ。
秋子大先生のお腹が急に大きく膨らみ始めたと観測された直後彼女の口や鼻、そして股間の穴から大量のどろどろとした赤い液体が噴き出した時、私の体はフリーズを起こしていた。
それを見て歓喜に震えるサラリー風の若い男と恐怖に怯え微動だにできなくなったベンゴシ男と愛先生、彼らの目の前で秋子大先生の腹は突然に裂けて飛び出してきたものは生後1才児くらいの素っ裸の女の子だった。
その子が身動きの取れない愛先生の右足太ももに食らいつき両手で彼女の腹と膝を押さえつけてガツガツと着ている服ごと喰らい始めた。
恐怖で体が震えて声も出せない愛先生の両足は鋭い牙で立ち所に骨ごと食い尽くされて続いて彼女の両腕を押さえつけてはらわたを喰らい始めた。
それは既に12歳くらいの大きさの女の子になっていた。
もう既に愛先生は息をしておらず彼女の体は頭部と両腕を残すのみとなっていた時既にそれの身長は3メートルをゆうに超えていたかのようの見えた。
愛先生の頭部を一口で口に入れたそいつはボキボキとその頭蓋骨を噛み砕いていたがその背中を数発の銃弾が襲う、見事に命中したかに見えたがそこにそれの姿はもうなく、次の瞬間にはやさぐれ弁護士の腹の上に馬乗りになっていた。
そして両腕に掴んだ愛先生の2本の腕の骨をベンゴシ男の胸部と腹部の両方に突き刺して大地に固定するとその男の頭部ごと首から食いちぎり・・・・・続いてサラリー風の若い男を・・・
「あの、ぐろてすくなびょうしゃは、もういらないんで、それよりもぜんりょくでおっかけてくる、あきこのかおをした、ぜんらのばけものを、なんとかたいじしてくれる、あんどろいどのくせにべんりどうぐのひとつでもだせないの?」
パジェロロング改の運転席シートの上に立ってステアリングとマスコンを必死になって操作をしている4〜5歳の幼女リナが追ってくる身長5メートルくらいの秋子が全裸でわれめさんをむき出しにして走って追いかけてくる様を時々ルームミラーで確認しながらリナは言うが
「私が出せるのは両ひじから打ち出せるロケット弾2発しかないのですがアレを倒せるとお思いですか?」
それしか返せる言葉が見つからなかった。
あと十メートル近くまで迫られた時に巨大全裸の秋子の右膝に何か黒いものが命中して奴はツンのめるようにして倒れた。
ホッとする隙もなく跳ね返ってきたその黒い塊がパジェロのリアウインドウめがけて飛んでくる。
「ちっ!」と言いリナはステアリングを一瞬だけ右に切りすぐ戻す。
私が座るセカンドシートのサイドウインドウのすぐ外を拳大の鉄球が追い抜いていくかに見えたが突然パジェロのボンネット左側にこちら向きに着地した薄い白色の服を着たショートカットの少女がそれを左手で難なく受け取った。
続いて薄い白色の服を着たボブヘアの少女がボンネット右側に、胸まで金髪を伸ばした同じく薄い白色の服を着た少女がボンネット中央にこちら向きに着地した。
「ちょ、まえがみえないよ」
抗議するリナの声は無視され3人はそのままボンネットの上に居座った。
「このまま地上を逃げ続けてもいずれはアイツともろとも火砕流に飲み込まれてしまうから『L』と『G』さん、このガラクタを空に飛ばして、2人なら出来るわよね?」
真ん中の少女が言った。
なんか3人の中では一番頼りになりそうなお姉さんではある。
それに比べたら両端の2人は・・・、やめておいてあげよう、私にも情けはある。
「それで『B』さんはどうするんですか。」
ついさっき黒い鉄球を見事にキャッチした迷彩色の少女が言った。
3人とも同じ顔をしてはいるのだけれど、やめておこう、私にも情けというものがある、とても彼女が一番頼りなさそうなんて事実はとてもじゃないが口に出来ない。
「今、高度2000メートル超えたわね、『L』は飛行制御に集中、『G』さんは飛んでくる火山弾とかに注意して必要なら撃ち落としてね、私はあのでかい裸人形と一戦交えてくるわ」
そう言うやいなや『B』と呼ばれた少女はパジェロのルーフを飛び越えるようにして飛び降りあっという間に小さく、見えなくなった。
「おい、そこのデクのボー機械人形、ここにいる『ゴキブリ』、じゃない、『G』は見せかけこそ頼りないが戦闘能力はオレッチたちん中じゃピカイチなんだぜ」
なぜか勝ち誇って自慢する『L』、私は正直こう言う奴は嫌いです。
「右斜め上から直径3メートルほどの火山弾が接近、撃ち落とします」
そう言うと『G』はさっきの鉄球を左手で全力で投げた。
すごい速度で迫ってきていた火山岩はあと数十メートル手前で砕け散り、四散するとしばらくして跳ね返ってきた鉄球を難なく右手で受け取った。
「お、おまえ、・・・、そんなものうけとってよく火傷(やけど)しないな?」
呆れたように『L』は言ったが『G』と言われた少女はなんか微妙な顔をして「慣れの問題だと思いますが?」
とだけ言った。
「最悪です、今度のは右下から、迎撃不可能です」
とサバサバと言う『G』、元々こう言う淡白な性格なのか?
「ここは愛様の第一秘書、椎奈にお任せください」
そう言って私はパワーウインドウを下ろして右手のを出して下を向けて手首を折り曲げると開いた穴から銀色の対空ミサイルが飛び出した。目も眩むような閃光が煌めいたかと思った瞬間私達は巨きな火球に包まれてそれに流されるように高度1万メートルほどの高さまで飛ばされていた。
「おい、てめえ、今何を撃った?」
『L』がキレ気味に言った。
「なんのことはありません、ただのリチウム爆弾です」
「アホか?どこの終末SF小説だよ」
やはり信じてはくれないようだ。
某前総理大臣が言っていた『使っても憲法違反にならない超小型核爆弾』と言ったほうが良かったかもしれない。
「一種の魔法弾ですね?物質をエネルギーに変換する術式を組み込んだ護符が刻み込められていたとみました」
サラリと『G』がネタバラシをした。
確かに一見ぬぼーっとはしているように見えるけれど本当は頭が切れるやつかもしれない、今後の言動には注意が必要、かも。
下手をすればさっきあの化け物をふっとばせた可能性も指摘されそうだ。
もっとも地上では使いたくなかった事情もあったのだけど。
「あー困った、今張ったシールドでお腹が・・・・・、パンケーキ20枚は食べたい」
グダグダ言い出した彼女をみて私は思った。
『やっぱりこいつはとんでもなくバカでトロいんじゃないのか?』って。
「最初からシールドで火山弾とかふせげばよかったんじゃないですか?」
私自身も率直な意見を述べた。
「あ、それだけは勘弁、こいつのシールドは3分あたり50,000Kcalの大喰らいなんだから、エサ代がとんでもないことになるよ」
と『L』は呆れたように言ったがそれがパンケーキ何十枚分に値するのか正直言って考えたくもなかった。
「少なくとも80枚分以上は楽勝じゃないの?知らんけど!」
『L』は呆れたように言ったがそれがおふざけでなさそうなのは良く伝わった。
そこへボンネットの中央に『B』が着地をして戻って来た。
そして深くため息をつく。
「どーだった?」と『L』
すると『B』は首を横に振って両手を掌を上に向けた。
「ブラスター系は火砕流の中を泳ぐようにして歩いている時点で無意味、爆裂系もダメ、砲弾系とかもあっという間に皮膚温度で溶かしちゃうからダメ、本当にお手上げ」
既に火砕流は鎌倉市を飲み込み横浜市さえも寸前に迫ってに迫ってた。
その時になって私はとても大事なことを思い出した。
結局私は愛先生を守る事が出来なかったのだ。
気がつくとボンネットの上の3人の姿は消えて『B』は運転席でリナを膝の上に座らせて、『L』はセカンドシート右側に、『G』は私のすぐ隣に少年を抱き抱えて座っていたけれど。
「お願い」
と言って『G』は少年を『L』のお腹の上に渡すと私のみぎ手のひらを自分のお腹に押し付けた。
「あれ?あなた妊娠している?」
思わず口にしてしまった。
何故か8ヶ月目くらいの大きさをしている。
「秋子さんも愛さんもこの中にいますよ」
甘い声で『G』は私に囁いた。
私は思わず驚いて彼女の瞳を覗き込んでしまった。
その瞳に映るべきだった私の顔はそこにはなく愛先生が秋子大先生が肩を並べて微笑みかけてくれていた。
秋子大先生が何か言おうとしているのか唇が動いているが何を言っているのかさっぱりわからない。
ただ、今にも泣きそうな表情だと言うことだけはわかった。
「ごめんね、私のせいで大勢の人が死んだ、あなたの大事な愛までも私のせいで」
こえがきこえた。ただその声は『G』の口から発せられたものだった。
「ホント、椎名はポンコツだぞ、でもポンコツだからみんなを守れた」
『G』はそう言いながら私の頭をゆっくりと軽く撫でてくれた。
彼女の吐息が私の中開きになった口の中に吹き込まれそうなほど顔が近い。
私は吸い込まれるように自分の唇を彼女のそれと重ね合わせてしまっていた。
何故か自分の両目から熱い液体があふれている。
これは涙じゃない、私の目が以上加熱したために流出した液体金属ナトリウムだ、そうに違いない。
ただ私の意志に反し自分の唇が彼女の唇に強く押し付けられ少し激しくなったその呼吸を胸の酸素と二酸化炭素の交換器に思う存分吸い込んで甘い気体と液体を同時に吐き出していた。
彼女はそれを飲み込み少し興奮したのか私の腰に回した両手で強く抱きしめて胸の膨らみ同士とそして、彼女の膨らんだお腹と私のスリムなおなか同士が擦り合わせられる快感を、私が初期起動して以来はじめて覚えた。
「レインボーカラーの髪を腰まで伸ばした背の高い美少女」
私がつぶやくとショートカットの少女は小声でささやいた。
「その女はあなたの人造生命体のひとつ」
ショートカットの少女はそういうと私の口の中にとろりととろけるような甘い液体を流し込んできて私は反射的にそれを飲み込んだ。
あの3人の娘たちとバカな母親のあたしに人造生命体を与えてくれてありがとうございます」と言いながらショートカットの少女は私の右ほほに自分の左ここを強く押しつけながら甘い気体を吐きかけてきた。
前の席のリナがボソリとつぶやいた。
「ゆりごっこもほどほどに」と。
もうその時はすでに中央リニア列車の事故で完全に削り落ちていたはずの私の背中と肉は完全に修復されていた。
そしてその柔肌をショートカットの少女に触れられた事によって椎奈に機能がまたひとつ追加された事に気が付かなかった。

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@【秋子は今どうしているのか?】と誰かの声。

「いつ小田原での秋子の異常に気がついたんだ」
『L』は私に問いかけてきた。
でも私は特にこんな事態になるような予感がしていたわけじゃない。
実は『B』さんがこっそりとかなり前から忠告してくれていた。
「もうすぐ小田原でコントロールを失った超人が暴れ出して大勢の人が命を落とす」と。
でもいつだったか昔の記憶に残っている『ユーキ』と『由紀』の時のような一種の不安に駆られて1人実体化して小田原に飛んだのも気がかりだったのも確かだ。

だけど、どこに彼女らがいるのか見当もつかないまま、 「あ〜!ただただ」と商店街を爆速で食べ歩きしていただけだった。ただしお金を払った記憶はない。

寄り道が過ぎた気がしないでもないがこの世ならざるものたちがいる場所はすぐに特定出来た。
少し商店街を離れた場所にその緊急避難所はあった。
築50年ほど経ってるだろうか?
今朝の強烈な揺れからところどころ鉄骨をつなぐボルトやジョイント金具が壊れている箇所があって、いつ潰れるかわからないくらい・・・まあ何と言えば良いか。
とにかく崩壊寸前だった。
しかしその後何度も強い余震があったはずなんだけどそれでも潰れないと言うことは誰かがなんらかの能力を行使して弱った箇所に掛かる力を分散しているとしか思えなかった。
だとしたら今すぐにこの避難所である体育館から避難させる必要はないと思っていた。
ところがその体育館が突然、大きな軋む音を立てて崩れ始めた。
嫌な予感がして外に出るとそこは異様な空気に包まれていた。数人の身動きが取れないまま硬直している人たち、その中心にいる少女が白目を剥いて口や鼻、耳などの至る穴からドロドロとした赤い液体を噴き出して立ち尽くしていた、そしてそのまま仰向けに倒れると彼女の腹を突き破って出てきた美少女が近くにいた少女の足に喰らい付いていた。
そこからは修羅場としか表現しようがない。だが私は同様な経験を何度か体験した記憶がある。
しかも相手は私たちの母、強さは母ほどではない、問題なのはこの少女の腹を破って飛び出して出てきた化け物がすっかり理性を失った野獣と化していた事だった。
しかし理性を失ったとはいえそれはプログラム通りに動いていた。
誰かの人造生命体?
しかし何故そのようなものが?何の目的のために
その目的は2人の女子高校生衆議院議員の抹殺、他のみんなは単なる巻き添えに過ぎなかった。
その2人の衆議院議員の名前は亜希から聞かされていた。
私は一時的に実体化を解除してパジェロの上に跳んだ。
だってそうした方が瞬間移動できたから。

体育館がゆっくりと崩壊を始めて中にいた人たちが逃げ惑う姿が見えた。
なんとか助けてやりたいが外に無事に出られたとしても肉食獣と化した美少女に喰われるだけだ。
中には巨大化した全裸の美少女に食べられる事に喜びを見出せる変態オヤジもいるかもしれないけれど大半はそんなのはゴメン被ると思うに違いない。
『B』さんや『L』がいれば瞬間移動で安全な場所に転送できるかもしれないけど私にはそんなスキルはない。
大変申し訳ないんだけどその重たい屋根の下敷きになってもらうしかない。巨大な火山弾が天井をつらぬいてとんでもないエネルギーをぶちまけ、体育館そのものを吹っ飛ばした瞬間、中にいた人々の姿が一瞬に消えていた。
『B』さん達が来てくれている!
そう確信できた時、私の意識は空高く飛んでいた。
巨乳の巨大な裸の美少女がパジェロを追いかけているのが見えた、と言うか感じた。
しかし実体化してそれに鉄球を投げつけても大した効果が期待できるとは思えなかった。
なので私はその巨大な美少女の数メートル手前で実体化してそいつのひざに鉄球を投げつけてやる、私が実体化した時は移動速度ゼロで出現するので奴との相対速度は奴が走ってくる速度でもあった。

「時速にして100Km/h以上はあったかしらね、あなたが全力で投げれば300Km/hを超える事だってあるからがひざにあたれば結構な威力が期待できたんじゃないかしら」
化け物の退治を諦めパジェロの車内に戻ってきていて運転席でリナを抱きかかえていた『B』さんが私の思考の中に口をはさんでいた?
「その直後に奴の胸にぶつかって弾力で弾き返されたのには思わず笑ってしまったけどな」
『L』も何故か口を挟んできた。
なんで2人とも急に私の物思いに割り込んできたのかしら?
もしかして新たにテレパスのスキルを身につけたとか?
「はい、私もそこは少し驚きました、まさか秋子大大先生のひざに命中して跳ね返ってきた鉄球よりも早く戻ってきたのは正直言ってビックリでした」
とうとうポンコツアンドロイドまで話に参加してきた。
しかしそんなところまで見えていたのだろうか?
「私には約一年ほどの両眼カメラに写った画像を保存できるので後からゆっくりと再視聴できる上に他人の脳波とリンクしてシェア出来るんですよ」
とポンコツ。
「なぜ物思いに耽っているのにそれに応えてくるように話しかけてくるといいたげね」
『B』さんはクスクス笑いながら言う。
彼女のひざの上のリナはぐっすりと眠りについているようだ。
「わかんねえのかお前、さっきから声に出してモノローグのように語っていたぜ」
まだ幼げな少年を抱き抱えて『L』が言った。
はぁ?わたしそんなことしていませんが?
「していますよ、最初から、実はさっきからみんなでネタにしていたんですよ?今日のあなたはもの凄く大胆だってね」
「そうそう、隣の椎名と大胆なラブシーンを見せつけてくれるしな」
大胆って、少年の股間にあるものをズボン越しに擦っている『L』には言われたくないんですけど。
「かつて愛先生に教わった事があるんですが、秋子大先生は月に一回の割合で脱皮するそうなんです」
さらっと椎奈とか言うポンコツアンドロイドは言ったがさすがに一同が硬直した。
「あのですね、彼女が殿方と性行為を繰り返してある程度ゲージが貯まると自分の胎の中にコピーを造るそうなんですよ」
それはどう言う事なんだろうか?彼女達はそれを最初から知っていたってことなの?
「いえ、愛先生の話によると秋子大先生はその脱皮の間の出来事をまったく覚えてていないそうで、でも、自身の母体を食べ尽くす事で元の14〜5歳の身体と知性を取り戻せるそうなんですが」
「今回に限ってそうならずに彼女は暴走を始めたってところね」
『B』さんはそう言うと自分の胸ポケットから封の空いたタバコを一本取り出して口に咥えた。
「それがあの愛先生の言っていた愛人2号さんが秋子大先生の胎内に大量放出した精液によるものか、なんらかのアクシデントによるものか断定は出来ませんが、あの時の愛先生の怯えようはとにかく異常でした」
「そうですか?大抵の人間はあんな光景を目の当たりに見たら恐怖で身がすくむと思うのですが」
私はそうあってほしいと願い始めていた。
「あ、でもあの光景は実は愛先生も何度か目撃しているはずなんですが、付き合い始めて数ヶ月程度の愛人達が恐怖に怯えるのはわかるとして」
ポンコツ椎名はそう言うとやっぱり私の方を見てきzた。
「愛先生と秋子大先生の付き合いは数年以上はあるはずなんです、あんなに怯えるのはおかしいかと」
「椎名さんは愛さんから秋子さんの脱皮の状態をどう聞かされていますの?」
『B』さんはポンコツ椎奈に対して詳しい情報を求めるように言った。
「とにかく秋子大先生は精力の強い男性と激しいセックスを行った後によく愛先生を呼び出すんだそうです」
と椎名はうっとりとしたように言った。
『激しいセックスとはどんなセックスなんだろうか?』
私はいつか見た『B』と『L』の凄まじいまでの求愛行動を思い出していた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、さあこれからが本番よ」
『B』はそういうと一瞬で服を脱ぎ捨てて全裸になった、彼女のわれめちゃんから白く細かく泡立つ液体が大量に1メートル近く噴き出していた。
『オレっちもいつだっていけるぜ』
そう言って全裸のなった『L』のわれめちゃんからクリーム色の荒い泡状の液体が2メートルほど吹き出していた。
その次の瞬間に『L』と『B』はお互いの大きな乳房が潰れるほど2人とも強く抱きしめ合い、激しく腰を振り合い互いのわれめちゃんから吹き出している。
ふたりはお互いに開いた唇を押しつけその中を秒速10000回のスピードで互いの舌を出し入れしあって喉の粘膜を刺激しあっていた。
『あ!あ!あ!あ!あ!あ!あ!あ!あ!あ!あ!あ“〜!あ“〜!あ!あ!あ!あ!あ!あ!』
その間お互いの唾液を相手の口の中に吹きつけ吸い込み、吹きつけ吸い込み、吹きつけ吸い込み、吹きつけ吸い込みの繰り返しを毎秒20回のすごいスピードで繰り返していた。
下半身はお互いが出し合う泡でほとんど見えなかったが私の、『G』の目は誤魔化せない、『B』のわれめちゃんからグリーンアスパラガスちゃんが飛び出して伸びると『L』のわれめちゃんから茶色の大きな亀頭部を持つ白い本しめじが伸びて互いにバロムクロスをしながらお互いの相手のわれめちゃんの中に潜り込みちつちゃんの中に差し込んで『B』のアスパラガスちゃんは『L』のちつちゃんのなかに、細かく泡立つ白い液体を噴き出しながら深く潜り込んでゆき、『L』の本しめじは『B』のわれめちゃんの中のちつちゃんのなかに荒く泡立つクリーム色の液体を吹き付けながら深く潜り込んでゆき、共に互いの子宮の中で待ち構えていた美少女に抱きつかれていた。

「ウソはやめてください!」
「ば、ばかやろうー俺たちがそんなはしたない真似をするわけねーだろ」
私は『B』と『L』のふたりに頭を同時にどつかれていた。
「それじゃあまるで私たちの中に寄生体が棲んでいるみたいに聞こえるじゃない」
『B』が顔を真っ赤にして抗議してきた。

しかし彼女たちは知らないけれど私たち12人の少女工作部隊全員があの会議室で12体の悪魔のような生き物に犯されていたんだ。

【そうあの時に君たちの前に現れた悪魔のような生き物のしっぽで君たちの膣(ちつ)はげしく12ピコセカンドという一瞬とも言えない短い時間の中で13回も犯されて種子を植え付けられているんだよ、本当はあの場所に悪魔のような生き物は13体いたんだ、彼ら、ううん、彼女たちの正体は獣神に犯されて獣鬼化したイブたち『獣姫』だったんだ、その中のひとりが私の乳親でもある夏野明美だったんだけどね、君たちにフルサイボーグ夏乃花奈から与えられた人造生命体には生前の身体の状態を再現できる機能があるんさ、そのせいであたしは呪われているのさ、あの憎い秋草加世のせいでね!】
私は一瞬だけ夢を見ていた気がした。

「脱皮する時の状態を監視してくれ、ってことかしら?」
『B』さんの推理が鋭くなってきたようだ。  
「愛先生から聞いた話では秋子大先生の中の子が秋子大先生自身の身体を食べ尽くすまで見ていてほしいと」
「脱皮中の記憶はないんじゃなかったのか?」
『L』が口を挟む。
「実は秋子大先生は性行為の最中に時々幻想を見る事があったそうです」
いや、そういった経験、あまりした事がないから私には理解しにくいんだけど、麻薬か何かでラリったみたいになるんだろうか?
「自分の身体を貪り喰らっている幻覚だそうです」
椎名はそう言うが確かにそれは堪え難い幻覚かもしれない。
「そしてその後、近くにいる人間をてあたりしだい襲いかかって喰いまくり巨大化する幻覚か?確かにそれは悪夢のような幻覚だね」
『L』はそう言うとなぜか私の顔をじっと見つめた。
「なんか大きな誤解があるみたいだけれど」
何故か私の意志とは関係無く、私の口は勝手に開いて喋り始めた。
「秋子は今まであたしが見てきた限り一度も自分以外の身体を食べた事がないんよ」
な、何をいっているんだ、私はあまりにもショックな事が続き過ぎて自分自身の頭がおかしくなったのか?コレが世間では『あたおか』と言う状態なのか?
「あ、ゴキちゃん、深く考えないでね、足りない頭で考えてもロクな事にはならないから」
一体、私は何を言っているのだろうか?しかも自分自身を『足りない頭』とは。
「だから深く考えないでって言ってる」
「はい?普通に考えてますけど」
「あたし、倶名尚愛はあなたの胎の中にいてそれじゃ他の人と意思疎通出来ないからこうしてあんたの口を借りているだけだから」
私の口は勝手にそんな事を言い出したが、ますます混乱してきただけである。
どうしてそんな事になってしまったのかよくわからなかったが取り敢えず彼女の言葉に耳を傾けてみようかと思う。
喋っているのは私自身なんだけど。
「まず、あいつ、秋子自身は自分自身の肉体を食べている間に少しずつ自分自身の意志は胎を喰い破って出てきた身体にある程度の知能を保ちながら移行するから間違っても他人を襲って、食べちゃうことはないから」
と愛さん。
「そ、そうなんだ。でもそうなら見張っていなくても問題ないよね?」
と私。
「何言ってるの?ゴキちゃんは?当然お腹を破って出てきて急成長するんだからスッポンポンの丸裸だよね?いくら理性はあるとはいってもしばらくはボーとしているから、そんなのが徘徊して人目に触れたらどうなると思う?」
と愛さん。
「あ、そうか、だから着せるものを用意して羽織らせる人間が必要なんだ」
一応私は答えては観たがこんがらってきた。
「だからね、あたしが焦ってパニくって恐怖に震えたのはなんでだと思う?」
愛さん、それが普通なのでは?
「そんな事私に言われも、私も焦っていたし」
「それはこっちのセリフよ?秋子の意識はだんだん薄くなって秋子の意識が移ってちゃんとコントロールされる筈だったあいつは、暴走を始めちゃうし」
「えーと、それってもしかして私が?」
「そ、あんたがあいつに第三者を襲わせてその肉を食らわせた原因」
愛さん、急に何を?
「な、だってそれ私が意識してっやっていたわけじゃないし」
焦る私。
「あんたの胎の中ん来てやっと理解したわよ、消えていたはずの秋子が先にここに来ていたから、おまけにあたしも含めて2人ともスッポンポンで」
愛さんは言うけどそれはよくある霊体設定で・・・
「えーと、あー、えー!そうなるとアレが暴れ出したのひょっとして私のせいなの⁈」
と私、嫌な予感しかしない。
「うるさいなぁせっかく人が気持ちよく、でもないか?変な夢見てうなされていたし」
「え?秋子さん起きちゃいましたか?」
ますます焦る私。
「起きちゃいましたかじゃないわよ、本当に最低な夢だったんだから素っ裸で人肉は食べる自分がいるは、素っ裸なまま巨大化してツルツル陰毛なしの時々ひらいちゃうわれめちゃんのなかから見えるおまん子さんを剥き出しにしてパジェロを追っかける自分を見ている夢を見るは」
どうやら覚えてはいるみたい。
「え?やっぱりそれは全部私が悪かったの?私のせいなの?」
そう言いながら私の左手は私の両頬っぺたを何度も何度も往復ビンタを喰らわせていた。
「ひどいよ〜」
激しい痛みを感じながら私。
「そう言いたいのはこっちよ!乙女の大事なものを公衆の面前に晒(さら)されて」
後々聞いた話ではあの辺の男性死者のうちの大半が後々襲ってきた火砕流による焼死ではなく鼻からの大量出血による失血死だったらしい。
中には興奮しすぎて頸動脈(けいどうみゃく)が破裂した若い男もいたとかいないとか?
それを幸福な死に方、といって良いかどうかなんて私にはわからないけど。
「下からも勃起した〇〇から白濁色の液を大出液してひからびていたりな」
やっぱり『L』はいつも一言多いと感じていた。
「そういえば愛人3号と2号どうしたっけ?」
「あの2人なら若い女性たちと一緒の胎の中に入れるのは精力、つうか性欲が物騒すぎるからオレッチの胎の中に隔離しといたけどな、残りは『B』の胎ん中だ、安心しな」
そう言うと『L』は大きなあくびをして眠り始めた。

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@りなのにっき2

「とーきょーには、なんどもいきましたね」
じょしゅせきでは、いかにも60さいはすぎていると、おもわれるごこうれいのだんせいが、おおごえでうたっている、どうでもよいことだが、うるさくてしかたがない。
「なんかとても蒸し暑いです」
せかんどしーと、ひだりがわでは『椎奈』という、ぽんこつあんどろいろが、さっきから、ぐちばっかりこぼして、いてうるさくてかなわない。
そもそも、あんどろいどは、あついとかさむいとか、なんて感じないだろう?
そうだ、わたしたちがのっている、ろんぐぼでぃのぱじぇろかいは、せかんどしーと、まんなかにすわっている『じー』と、そのとなりみぎがわに、すわっている『える』の、のうりょくでこうどを、せんめーとるいじょうに、たもちながらとんでいる、けれどしたのちじょうは、あついかさいりゅうに、のみこまれていて、ほとんど、ようがんの、うみにしかみえず、いまどこをとんでいるかさえ、さっぱりわからないのが、げんじょうだった。
そして、いちばんうしろの、さーどしーとには、どこからかさらってきたかのような、じょししょうがくせいがふたり、かたをよせあって、きもちよさそうにねむっている。
「よー、『G』よ、あの化け物にくわれた愛と秋子って奴はおめーの胎のなかで何している?」
とーとつに『L』が『G』にたずねた。
「いまのところふたりともよく寝ている、それより愛人2号さんと3号さんはどうしていますか?」
『G』は『L』にたずねかえした。
「いや、あまり言葉では言いたくはないのだが・・・・」
『L』はいったんことばをくぎって、まよったひょうじょうを浮かべながらつづけた。

「あきれたことに、男同士で、後ろの穴を掘り合っている」
とつづけた。(注あなるのこと)
たしかにそうぞうはしたくないこうけいかもしれない。
「じゃあ『びー』よ、おめーの胎の中にいる一般国民はどれくらい入っているんだ」
そう言われた『びー』はおおきくなったおなかをさすりながら3000万人程、順調に、現実逃避しているわ」
とこたえた。
「順調に、現実逃避って、一体どういう意味だよ」
そういいながらも『L』はすぐまえの『B』のヘッドレストに顔を埋めてようやく察した様だった。
「なるほど、南海トラフもなくって、浜岡原発の爆発もなく、富士山だってその雄大な姿のままの世界を信じてそれまでの平和で穏やかな暮らしを続けているという訳だな」
「そうね、ある人は恋人とデートをしていたり、小学校で友人たちと遊んでいるわ」
ろんぐぼでぃぱじぇろから、みえるとうきょうとは、まっかにもえている。
おおきな、こうそうびるも、なかのてっきんが、こうねつでとけて、ぼろぼろと、くずれおちてゆくの、がみえた。
それをみているうちに、わたしは、悲しくなり、思わず、呟いてしまった。
「たった今、わたしのママはマグマの海の中に落ちてしまった」
自分の頭の中に突然、漢字が蘇ってきた。
わたしの母親である与党の衆議院議員である前田愛理に分け与えていた自分がその器を失い、わたしの中に戻ってきてしまったようだ。
それは私の母親である前田愛理の死を意味していた。
「南海トラフ大震災による浜岡原子力発電所の原子炉爆発、中央新幹線の何箇所にも及ぶ脱線、そして富士山と箱根山の連続カルデラ噴火、それによって富士山と箱根山から流れ出している火砕流による広範囲にわたる火災、そしてその火砕流に巻き込まれた川崎市麻生区王禅寺地区にある2基の研究用原子炉が爆発炎上した事故、それらによる東京都の被害を最小限に抑えるために都庁に出庁していた」
わたしは力無くつぶやく。
直径が10メートル以上ある火山弾が3個ほど都庁のビル中層階を直撃して、そのうちの一発は母のいた高層フロアを貫通してその衝撃で片側のタワーをいとも容易く突き抜けてしまった。
もちろん、一緒の部屋で会談をしていた都知事もろともその火山弾に押し潰されてビルの反対側から突き抜けた2人を含む大勢の職員たちも下の溶岩の海の中に落ちたのは言うまでもない。
続いて左右のタワー、それぞれの中階層ど真ん中を二発の火山弾が命中してビルの中に止まりその全エネルギーを爆発という形で炸裂させた。
もちろんその高熱はビル全体に伝わって近くの鉄筋を全て溶かしてしばらく間を置いてかつての9・11ニューヨークの貿易センタービルのようにあっけなく都庁ビルは崩れるように崩壊した。
余談ではあるけれど、今の東京都知事は長年にわたる公約ゼロ、という盛大な公約違反に加えて経歴詐称の罪に問われて失脚して今は90歳過ぎの高齢な別の女性が臨時選挙で選ばれている。

もちろんこんな世界にありがちな設定ではあるが見た目は小学生女子のように幼く肌もツヤツヤな童顔美少女であり、身長も140センチもないのだが上からB 125W70H95のモンスター都知事であった。
男性の性欲を煽るようなエロい選挙ポスターが一部の人たちから叩かれまくっていたのが今では懐かしい。
いやあ惜しい人材を、と言いたいところだが彼女もまたその体型のままミクロ化して『G』の胎内にいる。
「北海道に向かう前に常陽ナトリウム冷却高速増殖炉と東海第二原子力発電所と福島第二原子力発電所と女川原子力発電所に寄るわよ」
私には母の死を悲しんでいる暇はなかった。
これらの未曾有の大災害は偶然に連携して連続発生したものではないのは確かだと思う。
あまりにも出来すぎていたからだ。
「この件、かならず仕掛人がいる」
私はそう言うと私の幼い体を抱き抱えている椎奈の隣に座っている『G』の少し膨らんだお腹をさすっていた。
案の定、もうすでに、都知事とJK衆議院議員である山崎秋子と同じくJK衆議院議員の倶名尚愛と前田愛理の四者による(見た目も)裸の対談が始まっていた。
周りの男性職員たちがその光景を鼻の下伸ばしてニタニタ見つめている光景は流石に引いてしまったのか、早速女子職員たちも鉄拳のツッコミを入れていたが彼女たちだってスッポンポンの丸裸である。
「いやあ、良いものですなぁ、裸同士の付き合いってのは」
呑気に言っているのは山崎秋子だった。
だがお前、地上で怪獣みたいに巨大化して素っ裸で巨大な乳房の乳首とひらいちゃったわれめちゃんから外陰部、特にちつちゃんを剥き出しにして暴れまくっているお前自身の本体のことすっかり忘れていないか?
「いや、もうみんな死んじゃって誰も観ている人なんていないから問題ないでしょ」
あっけらかんと秋子は言うが気がついているんか?お前は?
さっきから数十機飛び回っている取材用のオスプレイの勇姿を・・・・・、さっきからあんたの風俗ダンス嬢並みのサービスをしている全裸を世界中のテレビ局がドアップで生中継しているんだぞ?

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@パパ活がしたい!

というタイトルで初めて見たものの本当にここ『G』の胎の中には本当に男がいない、筈だった。
悪友の倶名尚愛と私、そしてリアルリナの実母である前田愛理の3人がいるだけだ。
パパ活なんて出来ようもない。

職員達とは透き通った壁で相手が見えるものの触れることさえ叶わなかったからもある、女子職員の監視が厳しいせいもあった。
それでも亜希や『B』、『G』の仮想子宮の中にいる
いや隅っこの方でこっそり不倫を謳歌しているアベック国会議員もいるにはいたが。
タイトルを「いとしのママ活日記」に変えるべきかマヂで考える。
「そーいえば最近は草薙敦子の名前聞かないけど、今どうしているんだ?」
突然に思い出したかのように愛が言った。
草薙敦子とは私たちの悪友であり昔の小学女児による同級生殺人事件で一躍有名になった某ジャーナリストとは1ミリも関係がない。
「さあ、あの事件以来名前を聞かなくなったけどどっかの田舎の高校で男装して内閣調査室のお仕事でもしているんじゃないかしら?」
リアルリナの母親の前田愛理が私と同じ『G』の胎の中で言う。
くどいって?一応何回かタイプして変換しないと私の脳内のポンコツかな漢字変換AIがすっかり忘れてしまって『麻枝亜衣里』とか変換しかねなくなるからね。
私といえばたった今、世界配信されている『溶岩の海の中で暴れまくっている全裸で乳房と乳首、そして外陰部とちつちゃんを剥き出し丸見えにして映し出している自分の動画を見て固まっていた。
地上のありとあらゆる動物の精液をそこから吸い込んでいるようだが・・・私はつぶやいた。
「アルファ線126テラベクレル、ベーター線75ペタベクレル、ガンマ線178ペタベクレル、地上の森林に火がついて燃え出していて動物も全滅、なんでそうなるの ?まさか東日本の原子炉がすべて臨界暴走始めちゃった?、これじゃあ、取り込める精液がゼロでわれめちゃんを全開にしても無理なのに何でヌードダンサーみたいな真似を」
私は絶望のどん底に突き落としていた。
きっと世界中のニュースで流れているタイトルはこうだ。
「日本が世界に唯一誇れる文化、性産業だ!」
「気持ちはわかるけど、あきらめよう、むしろ秋子の美貌を全世界の人間に見てもらえて良かったじゃない」
同じ腹の中にいる倶名尚愛は慰めてくれていたつもりだったようだがぜんぜん慰めになっていない事に彼女は気がつくべきだ。
こうなったのも私の党のトップが悪い、私は思わず叫んだ。
「威神の怪物の、ば、ば、バカやろー!」
ちなみに私たちが今住んでいる『G』の胎の中はすごく充実した環境だ。
欲しいと思ったものは『G』の許可さえ降りれば何でも手に入る居心地の良い世界だといえた。私はでかいパッドをかぶりついている
なんのことはない、沖縄風のおにぎらずなのだが羊水に濡らされることなく美味しく食べられるのはありがたい
ってか私全然凹んでいないな。

「あいつはどこに向かっているんだ」
『G』の胎を通して『L』の声が響いてくる。
「東北方面かしら?茨城か栃木あたりでしょうね?」
『B』が運転席のサイドウインドウ越しに暴走中の秋子の化け物を見下ろしながら呟いた。
(意地でも私の分身とは認めたくない)
「何を求めて移動しているのでしょうか?」
ポンコツアンドロイド椎奈は訊いてくるがそんなことは私が知ったことではない。
やれるものならテラトンクラスの水爆を使ってでも消滅させて欲しいくらいだとさえ考えている。
「無理ですよ」
君がつぶやいた、いや、これだけ周囲に人が多すぎることを考えるともはやちゃんと名前を聞いておくべきか?
「取り敢えず2号さん?君の正しい名前を教えてくれないか?」
自分のお腹をさすりながら『L』は胎の中にいるエリート商社マン風の男に訊いた。
「名前は、ない」
「オレ様もだ」
愛人2号と愛人3号が続けて答えた。
別に私がそう呼んでいたわけじゃない、そこにいる悪友の倶名尚愛が勝手に命名しただけの事だ。
ちなみに私は彼らのことを彼とか、君とか、奴などと呼び分けている。
例えばここにはいないが愛人1号、「彼」と呼んでいる。
愛人2号は「君」とか愛人3号は「奴」となる。
別に彼らに対して直接そう言っているわけではなくただ単に私の中でそう呼び分けているに過ぎない。
いろいろと訊きたいことはあるけれど取り敢えず3人の関係だろうzr

「3人とも同じ星から来たんか?」
『L』が訊いた。
「オレ様だけは人類より先に住んでいた原住民だ」
と愛人3号
2人の声は『L』の口を通じてロングボディパジェロに乗っている全員に伝えられた。
「ウソをつけ、僕とミュージシャン志望の青年がこの星の原住民だ」
う、君が昨日私が暴走する前に言っていたのと話が違う!
「そうだな、先住人が10リットル射精とか不自然過ぎる設定だろ」
ドスの利いた声で『L』が言った。
「どっちもどっちですね」
呟いたのは運転席に座る『B』だ。
「もしかしたら私たちと同じで実験失敗作かも」
ボソリと私たちの胎の母、『G』がつぶやいた。
「さあな、どっちにしろこいつらが本当のことを言わなければあいつの対処のしようがない」
『L』はそう言うと自分のお腹をさすりながらボソリと付け足した。
「これから十数える間に本当のことを言わないと、お前らのいる場所を濃硫酸の海に変えてもいいんだけどな」
そう言うと『L』は低い声で、
「ひとーつ、ふたーつ、みーつ」
と数え始めていた。
「わ、わかった、本当のことを言う、僕たち全員あの女、を覚醒させるために改造されたごく普通の地球人だった男たちだ」
慌てて2号さんが喚き出した。
その時の『L』のカウントはまだ止まってはいない。
「むーつ、ななーつ、やーつ」
「間違いない、凶暴化させたのは想定外だったが奴、貴様たちが『秋子』と呼んでいるメスガキが胎に取り込んだ精液の量だけ身体が強化されるのが判っていた、だからもうカウントを止めてくれ」
今度は奴、3号も騒ぎ出した。
「とーう」
そう言うと『L』は「プシュー」と言ってから悪戯っぽく微笑んだ。

「あとあちらの車に乗っている可愛いお嬢さん、『冴子』ちゃんだっけ、あの子も実験体なのかしら?それともあなたたちは実の妹にさえ手を出すようなゲスな男たちかしら?」
運転席から微笑みながら『B』が後ろの席の『L』のお腹に左手を回してさすり始めた。
『L』の口から叫び声とも悲鳴とも取れる大きな声が漏れ出して、私の脳裏には羊水の水圧で押しつぶされ始めている2人のイメージが浮かび上がった。
「や、やめろー、あいつは関係ねぇ」
「あらぁ、じゃあどうして10年以上もの長い間彼女を性奴隷として扱ってきたのかしらぁ」
『B』は微笑みながら続ける、本当に恐ろしいのは彼女かもしれない。
「あいつは、あいつはああやって精神を壊さないと本当のことを思い出してしまうからだ」
「あらぁ、本当のことって何かしらぁ、興味があるわ」
「風間志乃、まだ奴は4〜5歳くらいの幼女だった、そいつが彼女にいらぬことを教えてくれた」
「だから僕たちは彼女を、志乃を別の道に進むように誘導した、彼女に手を出そうとすればあの小娘、冴子が再び暴れ出してしまうから」
どんな手を出そうとしたと言うのだろうか?
その辺がすごく気になる。
「オレ達が何十年もかけて実行してきた人類絶滅計画、それに志乃は気がつき始めていたんだ、冴子が読んだ本によって、だがまさか冴子が読んで本からそのような結論に辿り着いたのは想定外だ、だからその晩にあの子を、冴子をめちゃくちゃに壊し、記憶ごと肉体を粉砕をして、そして志乃には別の道を科学や研究とは別の道を歩むように誘導した、意外と相性が良かったのか思惑通りに事が運んだよ、日本を代表する女子中学生ピッチャーとしてな」
「僕達が手を取り足を取り丁寧に教え込んだよ、彼女の基礎的な体質もあったが彼女があそこまで見事なコントロールとスピードのある投球を身に付けたのは志乃が元々持っていた頭脳の人外的に高い情報処理能力によるものだった、それで僕たちはこれで一安心をしたんだ、志乃の才能を失うことなく計画を伏せて置けるとね」

「だが奴は1人の男と出会うことにより思い出してしまったんだ、いや、男というよりは彼女と言うべきか?あれはまさに男装をした冴子そのものだった」

「僕たちが数時間かけて壊した彼女の肉体も心も。いつの間にか復活をしていた」

「僕たちにとってそれは想定外だった、胎内に噴射した大量の精液によって吹っ飛んでバラバラの肉片となり朽ち果てていたはずの冴子がいつのまにか当時の容姿で、高校の卒業を迎えようとしていた志乃に男装してまで出会うとは予想もしていなかった」

「奴、志乃に会いたいという一心が肉体を再生したばかりか記憶まで蘇らせてしまうとは俺たちの想定外もいいところだった」

「それどころか彼女、志乃は思い出してしまったんだよ幼少期に冴子に読んでもらった本の内容を、そして彼、いや冴子と共に人工地震やプレート移動のコントロールに関する研究を始めてしまった」

「だから俺たちのボスは行動に移した、志乃を凶悪犯に銃殺させて、それから冴子もまた十数年前と同様、俺たち3人を含む男たち数十人に蹂躙させて同様に精神ごと吹っ飛ばして三度と復活できないように某国の地下水爆実験を利用させてもらった、これであの子は分子よりも細かな素粒子となり蘇ることはないはずだった」

「しかもあの子が蘇った原動力となった奴、風間志乃はもういない、僕たちは安心して計画を遂行していれば良かったはずっだった、ところがある日、僕たちに緊急集令が上司からかかった、あの風間志乃がまだ生きている可能性が高いと」

それまでの会話を黙って聴いていた『G』が急に笑い出した。
「ひょっとしてあなた達が言っている『ボス』って杖をついていなければ歩けそうもない、それでいて鬼強なおじいさんのことかしら?」
そう『G』が言ったおじいさんに私にも心当たりがあった。
あの小田井署(正確には付属病院)が謎の集団達に襲撃された晩、私たちを不可思議な能力で身動きを取れなくして所内全体に仕掛けた時限爆弾で関係者全員を皆殺にしようとした張本人。
しかし亜希と愛の決死の反撃により逆に殺された哀れなおじいさんだ。
「確かに志乃さんはまだ、ある意味まだ生きいている、あなたたちの調査員たちも決して無能じゃない、そしてそれに反応して三たび冴子さんは蘇ってしまった、風間志乃さんがいない筈にも関わらず」
珍しく『G』が冷ややかに言う。
「何、だと?」
愛人3と愛人2号の焦りが手に取るようにわかった。
だから四度目?の正直で冴子ちゃんを同じ手口で殺そうとしたんだ。
しかしコイツらはモラルというものが完全に欠落しているのか?
そもそも見かけだけとしても小学生女児にも見える女子中学生に集団で強制性行為をすること自体狂っているだろ。

「ああ、それから冴子の遺体は用心に用心を重ねるためにバラバラにいくつかの原子炉の中に放り込んだ、でも今度は処理する前と同じ姿になってボクの住居の寝室に現れた、さいわいにして記憶が混乱していたようだったが、だからこそ秋子に会わせて奴、いや君の友人が言うところの愛人3号と共に様子を見ることにしたんだ」
記憶を無くしたのも彼女自身が用心しての自己防衛が働いたのしれない。
「彼女の遺体をバラバラにして放り込んだ原子炉ってもしかしてあの浜岡原子力発電所の原子炉じゃないでしょうね?」
と眉をひそめて『B』が嘆いた。
「ああ、よくわかったな3号炉だ」
よくわかったなじゃねぇよ、原子炉が止まらなかったのはお前らのせいじゃねえか?
つまりコイツらはそこであの事件を思い出してその関係者である私に接近をして今生きている志乃の所在と正体を確認するために私に近づいた。
そして向こう、サニークーペの亜希や楓凛たちにも同じ情報が伝わり愛人1号も拷問、じゃない責めたてられている筈だ。
【しかも実際には彼らは何度も志乃自身にも性的暴行を数十万年にも渡ってしかも何百回ループも行ってきたことはNo.1花奈、No.2衣良、No.3加世、そしてNo.4激辛の4チームによってバレていた。】
その最重要機密鍵付きテレパシーは誰によるものか?誰に語りかけたものかわからなかった、それにそれの意味さえわからなかった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

@2041年の壁

『L』と『G』からの報告を受けた『A』は亜希の口を通じて小田原での結果を報告していた。
「どうやら愛は肉体を失って、秋子は新しい体にスムーズに転移できないまま『G』に取り込まれちゃって秋子の新しい身体は宿主がいないまま暴走をしているみたい」
そう言ったのは『A』、まあどのみち亜希の口を通して言っているのだからの独り言にしか聞こえないんだけれど。
「あいつら、暴走中のモンスター秋子に関して何か言ってなかったか?」
サニークーペの運転席に座っているだけの楓凛が後ろを振り返り亜希に訊いていた。
亜希は目を閉じて何かに集中しているように見える。

「さっき起きてた時のこいつの話じゃ助手席のクソでかい体の持ち主がこの少女を小田原のホテル、と言っていいかどうかわからないがそこから拉致してきた犯人という事らしい」
その少女を挟んで左に座っている風間達也なる刑事が楓凛の問いに答えていた。
「いや答えにはなっていないな」
オレッチ『L』はサニークーペの室内を観察しながらパジェロの中で『B』と2人だけで会話をしていた。他の7人はぐっすりとよく眠っている。
オレッチと『B』も含めると全員で9人も乗っていることになる。
いくら三列シートとはいえ詰め込み過ぎだとは思う。
このパジェロの三列目にはサニークーペの連中が燃え始めていた豪邸から救出した小学生くらいの女子2人、そして一列目、助手席には同居していたらしき高齢者の男性が座っている。
その隣運転席にはチームメイトの『B』がリナという聞き覚えのある養女を抱き抱えていた。ステアリングを取っ払ってもやや苦しそうだがそこは『B』だ、『G』や亜希みたいに甘い奴じゃないからお気に入りの美形しか取り込まなかったからまったくスレンダーだ
腰と胸を除いてだが。
「あら、これでも数千万人は入っているわよ」
とは『B』の主張、こう見えて私すごく優しいのですと言いたいのか?ってこっちを睨む(にらむ)な、考えている事がわかるのか?
そして2列目には左から自称他称共にアンドロイドの椎奈、真ん中には実体化して尚且つ妊娠中の、じゃない自らの胎の中に秋子と愛達をを取り込んで育成中の『G』、いわゆるゴキちゃん、そしてその隣の右端にはオレッチ、がやはり小学生くらいの男児、いや少年をひざに抱き抱えている。
助手席の謎の高齢者だがさっき胸ポケットの身分証明書を無断で抜き取り確認したところ国の大きな研究所の学者様らしい。
「どうせ碌でもない軍事関係じゃないの?」
と『B』がうんざりしたよう言った。

今このパジェロの中で起きているのはオレッチと『B』の2人しかいない。
最初から眠っていたと思われる後ろの女子小学生2人とこの高齢者、そしてオレッチが抱き抱えている男児は普通に眠っている。
もしかしたらたぬき寝入りかもしれないが。
しかし特に『G』とリナは、は疲れが溜まっているのだろう、本当によく眠っている。
「結構あっちもかなりパニクっているみたいだな」とオレッチ。
「とにかく今サニークーペの中には運転席に楓凛、その後ろの席には亜希、おおい川周辺と浜岡原子力発電所周辺の犠牲者で胎がパンパンに膨れ上がって臨月状態みたい」
まあいうまでもなく『B』のセリフ。
「拉致された少女の胎の中も色々な男の体液がぶち込まれているみたいだな、特に助手席の男の精液が一番多そうだ」
「やれやれね、どうして秋子さんの周りには節操というか倫理観に欠けるクズ男しかいないのかしら」
呆れたように『B』がいう。確かに女と認識すれば相手の年齢関係なく性行為の対象にしてしまうなんてどんな性癖の持ち主だよ、と言いたい。
「秋子と愛の記憶を探ってみたところ愛人3人とも一回の射出が毎秒数リットルなんだってな、それを断続的に6秒間、あいつら物理的に女を殺すために性行為をするのか?」
「まあ彼らにとってはそれが普通の性行為なんでしょけど、この星の人類とは思えないわね、私達も他人のこと言ええないけど」
確かにとは思う、って事は輪姦されてまた拉致されてムキムキマッチョにまた強制性交を押し付けられた少女もまた。
「あの二号さんとやらの標的にされた異世界人、または異星人ということになるかしら?」
すました顔して『B』はいうがもしも秋子やその少女みたいな存在がいなかったら一体この星の女性はどんな目にあっていたんだろうか?
「もうあわされている女性は数知れないかもよ、多分だけど謎の不審死扱いね」
という事は公安警察も政府もグルだってことか?
「驚くほどのことじゃないでしょ?実際私達がいた世界もそうだったし」
そう言うと『B』は座席の間越しにリナの身体を椎奈のお腹の上に乗せた、さすがに彼女も胎がキツくなってきたらしい。
「今東京も山梨、長野も大変なことになったみたい、富士山から間欠泉みたいに噴き出したマグマが都心などに降りかかってもう灼熱地獄ね、それだけならまだしも」
『B』はそこで一旦言葉を切った。
「それだけならとは?」とオレッチ。
「神奈川県にあるはずがなかった原子力発電所がメルトダウンしたわ」
「じゃああの化け物は?」とオレッチ。
「元気に頃合い良く焼けた人肉食べているみたい」
「吐いていい?」とオレッチ。
マヂで最悪だ、と思った。しかし『B』に言わせるとそうではないという。
「実は悪魔の誘惑とか異星人の侵略とかとんでも事変が起きなくても人類なんてあっさりと絶滅しちゃうものなの、聞きたい?」
そんなこと言われてもな?とオレッチは思う。人間だってそれほど馬鹿じゃないし。
「そうね、目的地に着くまでその国の話をしましょうか?」
そう言っている間にも『B』の腹はとんでもなく膨らみ続けていた。

関東、甲州、信州までほぼ全滅と言っていいかもしれない。
「昔々ある島国では一つの憲法の一ヶ条を巡り喧々諤々の論争が繰り広げられていました。
それは大雑把に言うところの引用として

第二章 戦争の放棄
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

「それ言い出したらその日本って国は他国から攻められたら大人しく降伏してその結果、皆殺しにされても文句一つ言えないってことじゃねえのか?ひどいな」
オレッチは思わず口を挟んでしまった。

「まあそう解釈しちゃう人もいるわね、でもこれは単純に私と『L』の関係に置き換えるとたとえばあなたが持っているショコラケーキが欲しくなったとするわね、もしそれが一つしかなくってあなたもそれを失いたくはないって当然思うよね?」
「そりゃそうだ、オレッチにとってショコラケーキは何よりも大切なものだからな」
オレッチは即答した。
「それでもしも私が『素直にそのショコラケーキを渡さないと殴るわよ』とかいきなり刃物で切り付けて奪おうとしたらどうなるかしら?」
「そりゃ喧嘩になるわな」
オレッチは素直に思った通りに答えた。
「じゃあもしも『今日の晩ご飯は私は和食にしたい』と言って、でもあなたは『イタリアンにしたい、いやしてもらおう』と思った時普通どうする?」
「まあ話し合いで決めるわな」
オレッチは当たり前だろと思いながら言った。

「そうねでももしも私が『和食にしないと殴るわよ』とか言ったりあなたがいきなり包丁持って私に切り掛かって『パスタとピザを作れ』と脅したら?」
「オレッチはそんな物騒な事はしないぜ、ちゃんと話し合う」
オレッチは反論したが『B』が何を言いたいか理解できないでいた。
「まあこれが国家間で行われれば『国際紛争』でありそれを『殴るわよ』と脅したりいきなり包丁で切り掛かるような行為をする事を国家間で行えば『国際紛争を解決するために武力による威嚇や武力の行使をしたことになるわね?」
そうなるかな?いや多分そうなんだろう。
「そして②のところになるわけなんだけどこれも実に単純な話でもしもあなたと私の話がこじれた時の為に私がいつも出刃包丁を隠し持っていたりマグナム44を腰のベルトにぶら下げていたら?あなたはそんな相手とまともに話し合う気がするかしら?」
それは微妙だな、とは思う。
もしも相手がその武力をチラつかせて来たらどうなるって事になるんだけど。
「じゃあ国内の法律的にはどうなるわけ?日本じゃ明らかに銃とか大きな刃渡りの刃物を所持すれば銃刀法違反でアウトよね?ましてやそれを所持して外を出歩けば確実にアウトよね、じゃあ国際的にはどう?」
アウトだな、でも実際にはその違法行為はまかり通っている。
言っちゃ悪いが大国と呼ばれている国のいくつかは現にそうやって問題を解決しているじゃないか。
「まあいきなり刃物で切りつけられたり銃で脅されたりすれば反撃するしかないわね?でもこの行為を憲法は禁じている、やられっぱなしにしろって言っているようにも取れるわね、で、この項目に対していちゃもんつけた党があったのよ、どこだと思う?」
そりゃあ憲法第9条に拘っているあの左寄りの人間が嫌っている今の政権の元になっているあそこだろうよ。
オレッチにはお見通しだと言いたかった。
お隣の大国に攻め込まれたって黙って殺されろって言っているのだろ、まさあかあそこがいちゃもんつけないわけがない。

「そのまさかよ」
『B』の口から意外な言葉が飛び出した。
「理由は単純にこちらから攻め込むことが出来ないのは良い事っだとしながら相手が攻めてきた時に手も足も出せないのはいかがなものかと」
「でもあそこは確か自衛隊の存在そのものを否定しているんだろ?やっぱり攻め込まれたって黙って殺されろって事じゃないか」
オレッチは反論した。
「確かにそう言っているわね、でも良く考えて?自衛隊というのは最初から専守防衛の範疇を超えていたのよ」
思わずオレッチは笑ってしまったね、あの程度の軍備で、核兵器も持てねえような装備で専守防衛の範疇を超えているってあり得ないだろ。
「そうかしら?護衛隊は既に米軍と手を結んだ時点で専守防衛の範疇を超えて違憲状態になってしまっているの」
んなまさかだよ、オレッチは大声で笑わざるを得なかった。
「こら、他のみんなが起きちゃでしょ?」
『B』は唇の真ん中に左手人差し指を縦に当てて囁いた。
「行動を共にすれば米軍と護衛隊が無関係なんて誰が思ってくれるかしら?しかも軍事機密だったとは言え日本の米軍港に入港した空母や潜水艦に核兵器が搭載されていたのは事実よ、そんな米軍と蜜な関係に自衛隊があるとすれば過去に日本に侵略された国の人々はどう思うかしら?」
「別に、どおって事ないだろ?」
それが大きな問題とは思えなかったのは事実だ。
「あっきれたぁ、あなたってどこまで鈍感なの?」
突然、『B』に責められてしまった。
「米軍に要請さえすればその核兵器は近隣諸国に対して使用可能ってことよ、しかもそれは地上の麦軍基地にだって配備されている可能性があるの、でその麦米軍と敵対関係にある竹中華人民共和国からすれば日本のどこが一番警戒されている場所かなんてすぐにわかるわよね?」
なんだか『B』の奴急に興奮し出して怖いんですが。
「えーとやっぱり沖縄かな?一番近いし、基地も多いし」
そう言いながらなんで自称愛国者が沖縄から麦米軍を追い出そうとするどころかやたらと擁護するのかわけがわからなくなってきた。
「あのね、これは他の2大国にも言える事なんだけど日本は特に米国だけは敵に回せないの」
「それは軍事力の差か?だったら日本だって核兵器とか潜水艦とか戦闘機をバンバン持てばいいじゃんか?ICBMだって持てば」
「あんたやっぱり頭に蛆虫が湧いているんじゃない?」
そこまで言われちゃオレッチにもプライドがある。
「だからそのための憲法改正だろ?弾道ミサイル作って先制攻撃だって出来るようにすればいいじゃねえか」
オレッチは別に間違った事を言っているつもりはなかった、なっ、みんなもそう思うだろう?
「は〜、本当に『L』さんって、湧いていたのは蛆虫どころかサナダムシさんだったのかしら?」
いや、何もそこまで深いため息をつきながら言ってくれなくても。
「だから勢力均衡て言葉があるんだろ」
「ホントこういう時の『L』さんは『G』たんのほうが冴えているとしか思えないわ、そんな言葉に騙(だま)されるなんて、あっちの世界でも何度も思い知らされたの忘れた?」
いや、忘れた覚えはないし、そんな記憶もないし。
「隣の芝生は青く見える理論知っているかしら?その逆に隣の車が小さく見えまーすなんて絶対にあり得ないことも」
「いや、実際ロングパジェロから見たらサニークーペは小さく見えるっしょ」
オレッチの決め台詞を聞いた途端『B』は顔を両手のひらで覆い隠して言った。
「だからそういう事じゃないんだってば」

「ほぼ同じくらいの軍備を持っていてもどうしても自分達の方が貧相に感じてしまう、だから軍備拡大をして同じくらいに引き上げる、すると今度は相手から見れば均衡が崩れたように感じる、だから相手もまた軍備拡大を進める、するとこっちの方から見ればまた、というわけで軍備拡大のスパイラルに陥って永久に双方軍備拡大を止めることができなくなるわけ、だから『勢力均衡』なんてのは兵器を作る軍事産業にとっては都合のいい妄想なんですよ」
突然『G』が口を挟んできた。
それが『G』自身によるものか、それとも彼女の胎の中にいる天災愛によるものかはわからなかったけれど。
「いや、だから戦闘機が何百機で空母が何機とか数で正確に比べられるでしょ」
オレッチは諦めきれずに反論してみたが。
「じゃあどんな方法でその数を調べるの?軍事機密だから公開されることなんてないよ?もしも公開したとしても正直に正しい数を発表すると思う?控えめな数字しか出さないよ?」
「じゃあスパイを送り込んで調べさせるとか?」
とオレッチ。
「それこそあり得ないわね、簡単に潜りこめて正確な資料を手に入れられるわけないしどうしても相手を過大評価してしまう、それに」
『G』はいったん口を閉じた。口調からして喋っていたのはおそらく彼女の胎の中の愛だろうな。
「領土面積の広い大国に日本や韓国のような小国がいくら莫大な軍事力を持っていても勝てないチャンとした理由があるんですよ」
「そんなわけがないだろう少なくとも相手の数倍の戦闘力を備えれば」
オレッチは反論を試みたが『G』の胎の中の愛はそれを無視して大きなあくびをした。
「とにかく眠いんで、胎の中まで響くから、もう少し静かに怒鳴り合いをして」
そう言うと『B』は大きないびきをかきながら再び眠りについてしまった。
「あ、逃げやがった」
オレッチがそう言うと『B』は急にクスクスと笑い始めた。
「な、何がおかしいんだよ」とオレッチ。
『多分戦略的な細かいことじゃなくって陣地的な話ね』
ここから先はまたリナを起こしてしまい機嫌を損ねる可能性があるからなるべく思念で直接話し合おうと言うことらしい。
オレッチは少年を膝の上に抱いたまま前の運転席のヘッドレスト後ろに直接オレッチの額を当ててみた。
これでオレッチと『B』の間で直接に意思疎通ができるはずだ、いやあ、便利だなぁ、超能力設定。(笑)

まず、小国と大国共に同じ破壊力の核弾頭付きの長距離弾道ミサイルが100弾ずつあるとします、まあ公平を期するために同時攻撃としましょうか?

まあそれなら一方的な戦いになる事はないだろうし相手だって相当な被害を被るわけだから抑止力にはなるだろう。

しかし現実にはほんの数時間のかからずして大国の圧勝で決着がついてしまいます。

なんでや、同じ数の弾道ミサイルやで、相手だってボコボコになるだろ。

小国は数発のミサイルが領土内に被弾するだけで全土が焦土と化します。対して大国はそうはなりません。

そらそうかも知れんが小国だって迎撃用に弾道弾を飛ばせばいいだろう。

それでも数発は落としきれずに着弾しますよね、そして最初どちらも最初から全弾打ち尽くすような事はしない、これが何を意味するかわかりますか?

どっちの国もまだ大量に領土内に核弾頭付きの弾道ミサイルを基地に持っているってことだろ、条件は同じじゃねえか?

果たしてそうでしょうか国土面積の広い大国は都市をあちらこちらに分散できます、もちろん軍事基地に関しても同様です。対して小国ではどうでしょうか?どちらも狭い領地に身密集して配置せざるを得ません、つまり小国は大半の都市と軍事基地を同時に最初の一撃で失う事になるんです。

いやこっちも相手の軍事基地をピンポイントで攻撃すれば済むだろ、それに小国だって馬鹿じゃないし弾道ミサイルだって移動式の発射台に乗せてだな。いやなんでまたそこで深いため息をつく?

ピンポイントって相手の広い面積のどこをどうやって調べる気ですか?軍事衛星ですか?スパイですか?どちらもあまり当てにはできませんよね?

まあそうかもしれんでも最初の一撃で決着つくなんてあり得んだろ。

その最初の一撃が向こうから見たら密集している軍事基地の残っている核弾頭や移動中の核弾頭付き弾道ミサイルを巻き添いにしたら?10メガトンの核弾頭だってヘタ打てば十数Gトン級の破壊力を持つに等しくなるわ。

それは相手も同じだろ?軍事基地のミサイルも巻き込まれるのは?

ほんっとあなたって馬鹿みたい、私最初に言ったわよね軍事施設えを数多く広い国土に配置出来るってことは、それは一つの基地にある核ミサイルの数だって少ないことになるよね?
つまり小国は最初の一撃で多くの都市と軍事基地、そしてそこに大量に置かれている核弾頭を誘爆させて被害をさらに大きく受けるってことなの。

だからと言って小国側の軍事施設が全滅するわけじゃないだろ?外洋に出ている空母や戦艦、潜水艦だってあるし。

ほんっと『L』って救いようがない馬鹿、国民の大半が死に絶えた国が戦い続ける理由なんて有ると本気で思っている?

それを言われてもなあ、元々例え話だし。

もっと真面目に現実的に物事を考えて、例えば国内に原子炉が56基もある国の場合はどうなるの?当然それらも最初の一撃で巻き添えを受けるの、この重大さがわかる?

えーと、核爆弾みたいな圧倒的な破壊力じゃないから大したことないかなって、あは、あはは。

ちょっと、やっぱりあんたって本当に何にもわかっていない、爆風とか一瞬的な破壊力は核爆弾よりはかなり劣るけど長期的に見たら原子炉の爆発ほど恐ろしい破壊力のあるものはないの、数100年、いえ事によったら数千年以上地上を汚染し続けることになるの、その重大さ、わかるかしら?

あー、えーと分が悪くなってきたな、助手席の似非学者っぽいのでもいいから誰か起きてくれないかな?

だからもし日本が地上に残っている核弾頭付き弾道ミサイルを100弾打ち尽くし日本は全滅したとする。
たとしてもまだ大国には50以上の核弾頭付き弾道ミサイルがある
何故なら大国が50弾撃ったとして日本の迎撃ミサイルの迎撃率が90%あったとしても10%のミサイルが日本本土に着弾する。
それだけあれば日本は壊滅される。
その残り50弾を迎撃用に回せば高高度の核爆発で数発の弾道ミサイルを巻き添えにできるわね。

じゃあどうすればいいってんだよ、結局は大国の言いなりか?

そうね、実は大国の方だってデメリットがないわけじゃない、爆発した原子炉は数百年に渡って莫大な放射性物質が偏西風に乗って地球全体にばら撒かれて生物という生物を破滅の危機に陥れるし、核爆弾の衝撃が日本周辺のプレートに致命的な衝撃を与えて日本中の火山が大噴火を始めるのも想定内、そうなると大国だってただじゃ済まなくなるわね。

つまり戦争に勝者はなくただ単純に多くの人の命が失われるだけってことか?

そういう事、だから憲法は最初から紛争は武力ではなく話し合いで解決すべきだって言っているわけ、決して実は古臭くてカビが生えたようなものなんかじゃなくて核兵器や細菌、ウイルス兵器といった人類そのものを絶滅に追い込みかねない最新兵器を視野に入れた新しい時代の思想と言えるわね。

【ねえ『L』?私たちは何かとても壮大な罠(わな)にはめられている気がしない?】

突然有希に『B』はオレッチに最重要機密鍵付きテレパシーで問いかけて来た。

【何故そう思う?】
オレッチも『B』に対して最重要機密鍵付きテレパシーで返信をしていた。

【あなたは何か感じない?こんな経験を何度したかわからなくなるような既視感を】

【まっさかぁ、このあと知床のバミッテ・・・】

オレッチはげしく動揺した、たしかに一連の出来事は何度も体験した気がする。

【それも今回で終わりにするんだぉ】

「あーもう、さっきから頭の中で難しい話をごちゃごちゃと、いつになったらパンケーキ200枚食べられるんよ」
むくっと起き上がった『G』が突然騒ぎ出した。
眠っていたんじゃなかったんかい!
「私もエネルギー不足でシャットダウンしそうです」
これはポンコツアンドロイド椎奈。
「わたしだって全然幸福セットあれだけじゃ全然食べ足りないんだから」
リアルリナもむっくりと椎名の膝の上で起き上がって騒ぎ出した。
一番後ろの席ではパジェロの車内中に響くような音で腹の虫を鳴かせている女子小学生が2人いるし。
「いやあよく寝た、そろそろ高級ホテルのビュッフェ形式モーニングを食べたいな」
と、助手席の爺さんあんたもかよ。
「そろそろ私たちもお腹が空いてきたわね、そろそろ北海道上空だけどどこに降りたい?」
さっきまでの重々しい会話と打って変わってライトノベル的な展開になってきたのでオレッチも賛同する事にした。
「どうせなら佐世保バーガー食いてえな」と。
「ねえ、さっきからあんた私の話をちゃんと聞いている?」
オレッチが車内の全員にボコられたのは言うまでもない。

「そうそうあんたたちひとつ重要な事忘れているみたいだけど、地の不利、ってのもありますよ」
おお、突然『G』がガチマジモードに入った!
「なぜ人工衛星のロケットとか東に向けて飛ばすか知っている?」
「いやわからんが、要は西方向には飛ばしにくいって奴だろ?」
まあオレッチは全くその辺は疎い、うそ言われても簡単に騙されるだろう。
「じゃあ麦国はどうなんだ?それこそあっちの方が不利だろ」
オレッチは多少自慢げになって言った。
「はあ、なるほどですねゴキちゃんの言わんとしている事はわかるわ」
突然『B』が同意した。
「お隣の湿国にも麦軍基地がありましたね、そこから核弾道ミサイルを打てば、確かに瞬殺」
また蒸し返すか?ならばこっちも言おう、湿国の麦軍基地を先制攻撃すれば良いんだよ」
「まあそれが竹国と麦国の真の狙いかも、それに日本には沖縄を含めていくつ麦軍基地があるか忘れていないかな?瞬殺で本土制圧も焦土化も出来るんじゃないかしら?」
なるほどそれが歴代総理らが麦国に対して強く出られない理由か?
「それよりもパンケーキ400枚まだー!」と『G』、さっきよりも倍になっているし。

さとみん「ねえ、私の出番はいつになったら来るのよ?」

#20才未満閲覧注意
#SFっぽく
#ハタチ未満はご遠慮ください
#ハルサメとナッツシリーズ
#過激な描写あります
#エログロ注意
#波瑠沙芽とナッツ
#小説

アダルト版カレンダーガール12 枯れ尽くされた原発ムラ

終わり

アダルト版カレンダーガール13 怪奇生物(まああたしらも怪奇ですが)秋子

にちゅぢゅく!

風間達也「なんか引用多すぎじゃないか?」

愛「今回は省略ね」

咲「どうして今回は章単位で一人称とか主人公が変わるんですか」

愛「あ、いい質問だよね、当作品は本来なら日記形式でFacebookに掲載、いていたんよ」

亜希「でも尊敬していた先輩フレンドをガンで失ってからやる気無くしちゃったんだよね」

楓凛「まあ運営がその先輩に対してアカウント停止や剥奪を有り得ないレベルの細やかな書き込みに対しても行っていたしね」

敦子「そう、ツイッターからの引用にさえ暴力的とか因縁つけてきたしね」

達也「それで最近は実」

sae-Co「小田麻里!」

亜希「こっちの方はサニーもパジェロも空飛ばないかも」

愛「無責任なやつだな」

さとみ「あなたがでしょが」

花奈「次はおまちかねジェラート地獄なんだお」

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26字
有料部分を時々追加、更新します、円盤特典みたいなものと思ってください。

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