下界Part10

下界Part10

毎回とは限りませんが今作はエログロ描写や官能描写を多大に含みますので20才未満の閲覧はご遠慮してくださいね♪
なお現実と烈しく乖離した描写がめちゃくちゃ多数ありますことをお断りしておきます

「ところで何故加世は他の7人を嫌うのですか?」
可奈野椎こと椎ちゃんに「ゴキちゃんママ」などと呼ばれていた女性いや見かけはどう見てもあたし達、中学生とかわらないのだが。
加世、秋種加世に聞いた。
「みんな偽善者だから」
流石にこの答えには絶句するしかなかった。
「ちょと、アンタ、あたし達のどこをどう見たら偽善者なんて言えるわけ?」
月海さんが声を大にして言った。
「まずは佐原観萌ちゃん、万引き常習犯よ!偽善者どころか犯罪者よ」
あ、いや、そこまでは、あたし、可奈野椎も言ったかもしれないけど、本人はちゃんと返しているって言っていたし。
「可奈野椎、逆さ読みしたら猥褻罪だし、売春経験あり、のインバイ女よ」
そういうことじゃ・・・、というか、いつから売春は偽善行為になったのだろうか?
「冬河銀、女風呂にも男風呂にも入れる覗き魔よ」
いやそれ両方無理だから、他の客が狂喜して触りまくるということだろうか?
「春香織、エロ漫画設定の時間を止められる痴女よ」
えーと、彼女、あたしが知る限りじゃ殿方のアレを抜いたという話は聞かないし、禁止行為もちゃんと理解してやっていない、というかむしろ「欲望のおもむくがままに性欲を満たした方が良いという気という気だろうか?
「夏乃花奈、人間核兵器よ!」
だからそう言うことではなく、人類性悪説なのかな
「文月輪、盗撮魔よ、おまけにパツキンのチリジリパーマの陰毛娘よ!」
「葉類亜希、毎日毎晩、父親と毎晩、性的交渉している淫乱少女よ、おまけに偽刑事」
まあそれは誰でも知っていることだし。書類上は19才だし。
「まあ、この人格的にも善良なあたし、水無月海を容姿も美しいから偽善者というなら許してあげてもいいわよ」
偽善者、ってそういう意味じゃないと思うから?
「では聞くけど、奥田駅での一件はどう説明する気かしら?」
観萌さんの一件のことだろうか?むしろ巻き込まれた方でなにもしていないように感じるのだけど。
「観萌は良いことをしたつもりかもしれないけどあの少年はあの場で死ぬべきだったし、そのバックアップとして暗殺者も用意しておいたのに、助けちゃうし、暗殺者は始末しちゃうし、だからさぁ一宮インターのラブホに向かいように仕向けてそこで3人ともども死んでもらうように仕向けたんだけど」
加世はそういうと唇を噛み締めた。
「3Pを装わせて備置きの果物ナイフで互いに頚動脈をかっ裂かさせて無理心中させる気でいたんだけど」
観萌ちゃんを少年に襲わせて交尾させつつ月海さんがその隙をついて2人の頸動脈をかっ裂いて自分のその果物ナイフで自死を選ぶ様子があたし達の頭にイメージが浮かんだ。
でも実際には、部屋に入るまでもなくホテルのフロントで。
「軍隊っぽい連中に銃撃されて、命からがら逃げ出したんだけど?」
月海さんがそう言った途端に加世は『え“!』と言いたげな顔をした。
どうやら想定外、というか加世が仕組んだことではないらしい。
「それで、加世はどんな目当てで、そんなこと仕組んだわけ?男子校生を巻き添えにしてふたりを殺したかった?」
観萌ちゃんが加世に尋ねた。それに対して加世の方が『え“!』と叫んだ。
「そ、そりゃもちろん観萌が偽善者だからよ?」
「万引きがですか?それとも違法治療行為?」
あたしが再確認した。加世はとたんに顔をしかめた。
「私はあの日、駅に着くまでに老婆さんのシニアカーを押してあげたくらいですが?」
観萌ちゃんが言う。
「それが偽善なのよ、ほかっておいてもお婆ちゃんは目的地の喫茶店に行けた、その前日だってそう、荷物をたくさん両手に抱えたふたりの小さな子を持つ妊婦さん、どうして妊婦さんのプライドを奪ってまでふたりの子供の面倒を見ることにしたの?いいことをしてやったって自慢したかった?」
加世は立て続けに言った。観萌の罪を責め立てるように。
「コンビニ店で万引きをしていた青年が紙袋に忍び込ませた商品を奪い取ってレジを通し金を支払った後でその商品をその青年に返したのはなぜ?それで万引き癖がなくなるとでも思った?」
加世はそれでも言うのをやめなかった。
「いいことをして満足した?転んで足首を捻挫した女性をマッサージして治す振りをして満足した?」
それを言われた観萌は複雑そうな表情を浮かべた。
「観萌だけじゃないわ、月海なんて偽善者の見本市よ」
加世はそう言ってから月海さんを睨みつけ、続ける。
「不良に絡まれた女学生を暴力で助けたり、重たいカバンを幾つも持たされたいじめられっ子を助けたり」
とりあえず観萌ちゃんと月海さんが偽善者呼ばわりされている理由は理解できるとしよう。
では他の姉妹達はどう説明する気なんだろうか?
あたしがそこに考えが及んだとき、急に亜希がくすくすと笑い出した。
「みんな偽善者ねぇ、確かにそれは言えているかもね、まあ確かに私は偽善者どころか極悪人ですけどね」
いや、亜希のいうことはほとんどはあってはいたとしても本当の意味での偽善者は亜希だけなのかもしれない。

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「万引きの件ですが」
あたしはその真相を知っていた。
実はその時、その青年は店と警察にマークされていた。
その店での常習は別のおばさんだったのだが彼女は巧みに防犯カメラの穴を掻い潜り他の店を含めて月、20万円以上の収益を上げていた。
彼女の手口は実にシンプルだった。
生贄にする人をあらかじめ選んでおいてカメラから見てその人の死角になるように犯行を行なっていたんです。
ですから反抗がバレそうになるとその人を犯人に仕立て上げて逃げ通すという芸当もやっていたようなんです。
「あたしがそれをいうと観萌ちゃんはどうしてって顔をして見返してくるんです、そりゃそうだよね、ずっとみていればわかることだし、あたしも彼女の犠牲者の1人になるとことでしたから」
そこにいた全員、いや、加世だけはわかっていた様子だったが観萌ちゃん自身までもがまったく無自覚だったのはさすがに驚かされた。
いや、観萌ちゃんは単にとぼけていただけかもしれない。
ある日あたしはコンビニのレジに並んでいた。
その時からあたし自身誰かに見られていることに気が付いてはいたがまさかその時自分自身が万引きGメンに目をつけられていたとは思いもしなかった。
「気がついた時はあたしの後ろから観萌ちゃんに追い越されてレジで支払いを済まされていた」
あたしが驚いていると『やっぱりね』と言われて、店の外で商品を袋ごと渡された。
もちろんそれはあたしが欲しかったものなどではなくおそらくそのまま店を出ていたら身柄確保されて制服のポケットの中に知らない間に入れられていたそれを証拠に補導されて学校にも通報されていたと思う。
それから数日後にあたしは観萌ちゃんがたまたま同じ店に入るところを見かけてあとを追うようにして入店した。
商品棚の横から見ていたあたしにはその手口ちゃんと確認することはできなかった。
何故なら青年が邪魔でおばさんの手元は見えない。
正確にはそのおばさんが通路を塞いで邪魔になって先に行けないと言う感じだった。
ただ一つわかっていたことは手ぶらのおばさんとビニール手提げ袋を両手で前に持っていた学生が通った後にスマホの通信ケーブルがひとつなくなっていたということだ。
おばさんは先にレジに向かい安物のファンデーション、カップ麺をレジカゴに入れてレジを通り店の外に出た。
青年は惣菜パンコーナーで迷った挙句ウインナーソーセージロールとカレーパンを手にしてレジに向かおうとした時、彼女は青年を素早く追い越してレジの前に立つとスマホの通信ケーブルを手にして支払いを始めていた。
続けて青年が惣菜パンふたつをレジに通し支払いを済まして店を出ようとした途端に複数の男達、正しくは万引きGメンに囲まれて取調室に、いや、正確にはスタッフルームに連れ込まれたようだ。
あたしも面倒ごとは嫌なので店を出て行くと観萌ちゃんは深くため息をついていた。
そしてパンクしている軽自動車をチラ見してから振り返りあたしと入れ違いに店の中に戻って行く。
すれ違いざまに彼女は言った。
「今から面白いものを見せてあげるけどついてくる?」っと。
あたしもつられて店の中に戻っていた。
スタッフルームから大きな声が聞こえた。
「僕はやっていない」という声が。
スタッフルームの中では3人の万引きGメンが防犯カメラの画像を繰り返して同じ部分を見せていた。
まずは誰もいない、棚を斜め左上から映した映像、やがておばさんがフレームインして続いて青年が後を追うように、いや正確に言うなら後をついて来て、つっかえて先に進めなくなったと言う感じだ。
青年は向こうを向いたまま紙袋を両手に持っていて手元は映っていない
少し間を置いておばさんが三歩、四歩、前に進む。そしてすぐに止まる。
棚の掛け棒に挿し掛けてあった筈のスマホの通信ケーブルが一つなくなっているのは確かだった。
また二、三歩進んで立ち止まる。
映像はそこで止められた。
「この動画からお前がスマホ用の通信ケーブルを万引きしたのは明らかなんだがこの紙袋の中身を見せてくれないか?」
Gメンの男はそう言うとさらに付け加えて言った。
「その後でよく調べたらさらに奥のコスメ用品も数店無くなっていたんだが学校や会社や家族に連絡しても良いんだぞ」
半ば脅しのような口調だったがその理由はすぐに判った。
「君は前回も単行本を上着のポケットに隠していたよな」
どうやら再犯かもしれないと思った時、やっとGメン達はあたしと観萌ちゃんの存在に気がついたようだ。
「なんだね、君たち、ここは部外者は立ち入り禁止だぞ」
そう言って、あたし達を追い出そうとし始めていた。
「残念ですが、私は部外者じゃなくて当事者ですよ?」
観萌ちゃんはそう言うと買ったばかりの通信ケーブルと領収レシートを取り出した。
Gメンの男の1人がそれを奪い取ると棚にあった商品と照合をすると『万引きされた商品に間違いありません』と言った。
何故?と言いたげな顔をしている。
「簡単なことですよ?レジ並びを記録している防犯カメラを見てください、そのレシートの数分前の部分からお願いします」
Gメンの1人が防犯カメラの画像を切り替えて巻き戻すと確かに観萌ちゃんが青年の紙袋から何かを抜き取っている様子がほんの一コマだけ記録されていた。
そしてその後彼女は何事もなかったかのように手にしていた問題の通信ケーブルをレジのバイトの子に手渡して金を払っている様子が映し出されていた。
「やはりきさまが犯人じゃないか?」
Gメンの1人が青年の髪の毛を強く引っ張り凄んだ。
「申し上げにくいのですが私と似たようなことをした人が多分もうひとりいらっしゃいますよ?さらに数分遡って再生してください」
にっこりと彼らに微笑みながら観萌ちゃんは言ってからさらに続けた。
「お兄様のその紙袋はお付き合いしている彼女からの贈り物、でしょ?多分手縫いのマフラーとか膝掛けの類の」
Gメンのひとりが青年から紙袋を奪い取って中身を取り出すと確かに白い毛糸のマフラーが入っていた。
と同時に防犯カメラの画像を調べていたGメンが驚きの声を出した。
青年の背後に急接近をして目にも止まらぬ速さで紙袋から何かを取り出して自分のポケットに入れたその姿は青年の前をのっそりのっそり歩いていた中年のおばさんその人だった。
「くそ、逃げられたか!」
Gメンのひとりが呟いた。
すぐにその足でおばさんはレジで会計を済ましてその数分後に観萌ちゃんが青年の紙バッグから何かを、スマホの通信ケーブルを抜き出すところで映像は停められた。
「さっさと捕まえに行って欲しいのですが」
あたしはもちろんのことGメン達も青年も唖然と彼女を見上げていた。
もうこのコンビニの周辺にいるはずなどない、車を使っているとなればなおさら。
観萌ちゃんはポケットからテレビのリモコンのようなものを取り出すと「クスクス」と笑い出した。
コンビニの駐車場から大きなホーンの音が鳴り響いているのが聞こえた。
「エンジンもかからない、ドアも全てロックされて中からは開けられない、今時の自動車メーカーも粋な隠しコマンドを車載コンピューターに入れてくれるようになったのq」
(もちろんそのようなものは現実には存在しません)
「取り囲んだら言ってね、運転席のドアだけはロックを解除してあげるから」

引っ張り出されたおばさんの服のポケットや車内にはこのコンビニの商品を含めて他の店での万引き商品もかなり持ち込まれていた。

青年は観萌ちゃんに感謝していたようだったが彼女にとってそれは心底どうでも良いことのように思えた。

そこまで言って観萌ちゃんはやっと思い当たることがあったのか「あ、アレですね」とだけ言った。
「まあ、椎さんを罠に嵌めようとした人ですし、おばさんの車種とナンバーは記憶していましたから店に入る前にチョチョイと細工を」
そう言った切り彼女は少し微妙に笑うとすぐに表情を一変させて加を睨みつけた。

「それと妊婦さんの件ですが加世は大きな勘違いをしていますよ?」
また再び観萌ちゃんと加世の間に一触即発の火花が飛び散る。
「私は月海先輩から色々なことを学びました、正しくは教えてもらったと言った方が正しいと思います」
あたしと月輪ちゃんと花奈ちゃん、そして香織さんと銀ちゃんは施設の了承を得て破壊された施設の修復と清掃に取りかかり始めていた。
もっとも完全とまではいかなかったが洗面台やタイルは葉類智恵警部が支払ってくれることになったらしい。
それらがこの施設に運搬されて揃うまではまだ時間がかかりそうだったけどあたし達はなるべくそれまでに出来る事だけでも済ませておこうとは思っていた。

「私があの時ふたりのお子さんの面倒をお引き受けしたのには理由があります」
「もういいよ」
月海さんの唇が観萌ちゃんの唇を塞いだ。
「いくら説明したところで加世は理解できないと思う」
月海はそう言うと誰にともなく語り出した。
「まずその場にあたしがいるはずがないと思っていたのなら桜島の火口に飛び込んだほうがいいと思うよ」
そう、確かに月海さんと観萌ちゃんは学校内でも公認のカップルと言えた。
特にその認知度は意外にも上級生、とはいえもうすぐ卒業していってしまうのだが男女問わず関心があった。
「まずは妊婦さんはお腹の中の子でいっぱい、いっぱいだった、そんな状態で他のふたりの面倒を見ろと言うのは酷だとは思わないかい?」
そう言った月海さんはチラリと壁の修復をしている銀ちゃんを見ていた。
「あの母親にとっていちばんの負担はふたりの元気な3才と2才の娘、そのつぎに食料品の入ったカートとその他の買い物が入ったリュックサックそれだって大事だよ?でもね、そのカートの中身もリュックサックの中身は例えばひったくられようがトラックの下敷きになろうがまた頑張れば取り戻せる、でもな、ふたりの大事な命と笑顔はトラックにひき潰されたら、暴走する何者かが彼女達を襲ったら、とにかく奪われた命と笑顔は2度と取り戻せないんだよ」
「お子さんが2人いると大変なんですよね」
唐突に銀ちゃんが口を挟んだ。
「片っ方が右に、もう片方が左に全力で突っ走るから1人じゃ身が持たないんだよね」
銀ちゃん、経験者は語るってやつか?
『え“!』
あたしを含めて全員が驚いていると思っていた。
「月海がお母さんの持っている荷物をテレキネシスで軽くしてくれたから助かったと思う」
「いや、観萌の先読み演算能力がなければあの娘達の先の動きなんて予想もつかなかったけどね、あいつが本当にすごいのはそれを無意識のうちにやってのけてしまうことなだよ」
「これはあたしの予想に過ぎないんだけど」
あたしは口を挟んだ。
実は転んだ人の足首に関してはおそらくマッサージなんかじゃない、多分関節が外れていたのかもしれない。
そして老婆さんのシニアカーを押してあげた件に関しては押してあげたんじゃなくてハンドルをコントロールして小さなタイヤが溝や段差にはまったり、転倒する危険を防いだのだと思う。
「なんだかんだ言って観萌ちゃんと椎ちゃん、そして香織さんは羨ましくなるくらい仲がいいと思う」
香織さんがそう言った時に加世が舌打ちをしてその場から姿を消した。
ほんの僅かな時空の隙間を見つけてそこから脱出を図ったようだ。
「わざと逃したのですか?」
あたしは『ゴキちゃん』にたずねた。
「これ以上はあの子のメンタルを全壊にしかねませんからね」
次の瞬間にあたし達の脳裏になんとも形容し難い陰惨なイメージが流れ込んで来た。
「確かに、わたしの透視も彼女には効かない時があるんです」
月輪ちゃんが小さく呟いた。

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私はいつ生まれたのだろうか?
私は幼少期の記憶をまったく持たない。
普通に世間一般で言う小学生の記憶も、それどころか中学生の記憶もまったくない。
ましてや高校生の記憶などまったくない筈だった。
しかしかすかに高校生活を体験した記憶があるのは何故だろうか?
それどころか私は成人女性としての記憶さえ持っていた?
私は何者なのだろうか?

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私はいつものように事務処理の業務を終えるとプライベートカードを読み取り機にかざしてPCの電源を落とした。
今日の取引は防衛軍からの発注、アサルトライフル用の弾丸40,000発、ロケットランチャー用のロケット弾500発などだった。他にも色々あったが暗号化されたものもある、いや隠語というべきか?
20連発打ち上げ花火豚5000万匹
とか色々あるがまあ単純に誰でもそれが50メガトンの核弾頭付き弾道ミサイル20発であることくらいすぐにバレる。
それさえ気がつかないほどこの国の政治家や軍部の連中はおめでたい連中ばかりなのだ。
私はいつものように地下駐車場に停めておいた自分の車のドアロックをプライベートカードを使って解除すると後ろから首を締め付けられて意識を失っていた。

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気がつくと自分は裸にされて手術台の上に両手首、両足首をバンドのような物で固定されていた。
焦げ臭い匂いと同時に胸からへそのあたりにかけて私の前面にレーザーメスが入れられて私の皮膚が剥ぎ取られて心臓や肺、胃、や腸などが禍々しいものに置き換えられていった。
そして再び剥がされていた皮膚を置かれると接着剤のような溶剤をつなぎ目に縫い込まれて次の瞬間に私は視覚を失っていた。
何か布のようなものを顔にかけられたのかもしれない。
「この人造心臓と人造肺の機能はなんですか?」
と誰かの声が聞こえた。
「心臓や肺とは言い難いまったく別の代物だ、例えばこの胃と腸によく似た代物は原子炉によく似た機能を持つ」
その声は言った。
「ではその肺によく似たものは?」
別の声がした。
「脳髄をいや今回置き換えられなかった全ての細胞を今から血管を通して全身に流し込む溶剤で溶かすためのものだ、そのために今から特殊な服、スーツを着せる」
「生殖器はどうする」
「殺人兵器という道具にそのようなものは必要がなかろう」
「ではこの心臓によく似たものは?」
「とりあえずは有機溶剤を全身に送り込むためのポンプだが、その役目を終了した以降はその他の人工体を形成する工場、いやロボットといったほうが正しいか?まずは物資を輸送するためのパイプをあちらこちらに張り巡らせる工事をする血管と同様に複線で身体中に配備される、人工筋肉人工骨格人工神経それらを形成したのちに最終的に人工脳、量子コンピューターを頭部に構築する最終的にそのパイプは電源ケーブルと冷却媒体を通すために使われると言うわけだ」
「そんなこと言ってしまっていいのか?」
「いやもう吸入器を通じて有機溶剤が流し込まれ始めている、もうそろそろ意識もなくなるだろう、気がついた頃はまったくのロボットさ」
「有機溶剤が身体中に流し込まれた時に痛みとか感じないおだろうか?」
「知るか、どうせなくなる意識だ、」
「ち、これだけの上玉だ、やりまくっておけば良かったよ」
「あ?こいつは上官に何度も中出しをされているぜ、孕んでいても不思議じゃないほどにな」
「おっとバルブが閉じたままじゃねえか?開くぜ」
その直後私の体は全身が焼け尽くされたかのように熱くなり死を実感した。

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ガラスケースの中で横に寝かされていた私の目の前に1人の男が立っていた。
「君は自分が誰かわかるかな?」
そんなことわかるはずがないじゃないか?そんな私の気持ちと裏腹に私の声帯は明確に答えていた。
「秋種加世、13才」
そう言ってから私は起き上がりガラスケースを突き破り男の右手を自分の左手でつかみ引き寄せるとそいつの額に右手の指を2、3本使いコマンドをタップするとそいつはぶつぶつ言いながら壁側に向かい歩き出した。
部屋のドアが開き2、3人の男入ってきてそいつを止めようとする。
「やめろ、それが何かわかっているのか?この研究所の自爆ボタンだぞ、小型とはいえ500キロトンの核爆弾だ」
叫び声も虚しく赤いボタンは押されてこの研究所は青白い光に包まれていた。

下界part10 終わり
part11に続く

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