下界Part1

下界Part1

毎回とは限りませんが今作はエログロ描写や官能描写を多大に含みますので20才未満の閲覧はご遠慮してくださいね♪
なお現実と烈しく乖離した描写がめちゃくちゃ多数ありますことをお断りしておきます。

この世界はいつも殺伐としている。
必ずどこかで戦争は起きているし、人同士が殺し合いをしている。
そこまで行かなくても罵り合い、相手を見下したり、正直もうんざりだ。

私?私の名前は冬河 銀、とうか ぎん、と読む。
名前からして男か女か分かりにくいが戸籍上はりっぱな男だよ?
まあ同じ名前で101歳まで生きた女性がいたらしいからこのままおとこの娘の姿を押し通すのも悪くはないかなぁ?
なんておもってはいるけどね。
私は人とはあまり関わりたくはないと思っている。
だってめんどくさいんだもの、色々と軋轢が生じちゃってさ、まあどうでもいい事なんだけどね。
厄介なのは向こうから関わってくる事なんだけど。
「ぎんちゃーん、また1人で黄昏ってるぅ、たまにはともだちとしゃべりなよぉ」
黄昏ってなんかいないよ?今はひとりで鬱っていたいだけなの、わかる?
声に出して言いたいが、こいつにそれを言おうものならマシンガントークが延々と続き始める。
ちなみにこいつの名前は夏乃花奈、『なつの』が姓で『かな』が名前だ。
まあ『花澤』さんとは結婚してはいけない人、ナンバーワンだと思う。
だって絶対に迷惑でしょ?あの名声優さんと彼女のファンにとっては。
性格は『だだくさ』だしみてくれも美少女からはほと遠い。
まあ中学一年生ではあるけど3月30日にならないと13才になれない気の毒なやつだ。
「いつもぎん、たらぁ、そーやって喫茶店で注文しておいて一口も口にしないで伏せっちゃって、もう冷めちゃってますよぉ〜」
とかなんとか言いながら勝手に他人の黒髪に触るな!、それと匂いをかぐな!
と、言いたいけどもちろん言えない。
花奈の髪は肩よりも少し伸びた栗色の、毛先だけ少し内っ側にカールしたストレートヘア、まあさっきも言った通り目立たないやつだ。
胸は大して大きくはないけど形はまあまあ、すごい美人ではないけど可愛くないわけじゃない。
可愛くないのは、その羞恥心というかそう言ったものがめちゃくちゃ欠落している事だろう。
彼女の悪癖といえば所構わず横になって熟睡ができる事だ。
芝生の上だろうが公園のベンチの上だろうが所構わず惰眠を貪り始める。
最悪、道路の上でも熟睡を始めるから非常に厄介だ。
花奈が朝刊の三面記事などで『車に轢かれた少女が死亡』などと報道されてもおかしくはないと思う。
『ズズー』、と啜る音がした。
「こら、私のコーヒー勝手に飲むんじゃない」
私は飛び起きてコーヒーカップを奪い返そうとしたけど花奈は既に私のコーヒーをほとんど喉に流し込んだ後だった。
「アレは一口飲んでみたら少し熱かったんでわざと冷ましておいたんだよ?どうして泥棒猫みたいな真似ができるかなぁ」
私が抗議してもこの娘には全く効かない。それどころか・・・
「じゃあ間接キッスだよね、あたしは麦芽豆乳カフェ注文しちゃうから口移しで飲ませてあげようか?」
さっきの地味で目立たない娘発言撤回、確かに見た目はとても地味なんだけど彼女の行動はおおよそ『地味』のひと言からはほど遠い。
さっきのどこでも熟睡を始める件もそうだが花奈には貞操を守る概念というものが1ミリも存在するとはとても思えない。
彼女と私が通っている中学校の制服であるセーラー服を着ている時はまだ良い、問題は休日や夕方以降の私服を着用している時だ。
花奈はいつも好んで裾が膝よりも上の短いスカートを好んで履くことが多い。
ひどい時は膝上よりも股下からの長さの方が短いんじゃないかというスカートをよく履いている。しかもタイトスカートなんかじゃない、そんな子が股を全開にして熟睡しているお年頃の女の子を想像してほしい。
夏には汗で股下にピッタリ張り付いた下着だって丸見えなんだけど、そんなことお構いなしに深夜だろうが早朝だろうが関係なくなく人気のない公園のベンチや芝生の上でも平気で熟睡出来るのはある意味才能なのか?
これでは『どうぞお構いなくレイプしてください』と言っているようなものだが、どうやら被害にあったと云う話は全く聞かない。
私が代わりに何を注文しようかメニューを見ながら迷っていると突然、両耳を小さく柔らかい手で挟まれて右を向かされる、と花奈の笑顔が急接近してきて小ぶりで柔らかな唇を私のそれに押し付けられると、ぬるっとした舌と共に甘く温かな液体が流れ込んできてそれを思わず飲み込んでしまった。
その姿勢のまま花奈は私に強く抱きついてきて私が座っている椅子ごと右に向けると大胆にも向かい合わせに股を開いて膝の上に乗り、強く抱きついてきた。
店の従業員や他の客の視線などお構いなしだ。
私のスカートの下のそれが素直反応 して大きくなり花奈の股間を刺激している筈なのだが花奈は私の大きめな乳房と自分の乳房が押しつけられている感触の方を楽しんでいるように思えた。
私が今履いているブリーフも少しアレの先端から漏れている液体で濡れてはいたけど花奈の下着の中の谷間も私のスカートを広範囲で濡らすほどの液体を流していた。
私の両頬を花奈のやややや青みがかった目から流れている液体が濡らしていた。
「またなにか怖い夢でもみましたか?」
私がそう尋ねると、花奈は私の顔から離れてやっとすごく悲しそうに目から大粒の涙を流している顔を見せてくれた。
実は彼女は単に眠くて所構わず眠っているわけじゃない。
何かの力に引き込まれるかのように意識を未来に持ってかれているだけだ、生命の維持に最小限必要な機能だけを除いて。
だから傍目には所構わず熟睡をしているように見える、それだけのこと。
これだから私はあまり他人とは関わりたくなかった。
いや性格には目の前の花奈や彼女の友人たちとだが。
まあ、私が出来ることと云えば今のところそんな彼女に豊満な胸を貸すことしか出来ないのだけど。
そうそう、自己紹介をちゃんとしていなかったかもしれない。
私は13才中学1年生のおとこの娘だよ、戸籍上では男ということにはなっているけど生徒手帳上では女子生徒扱いになっている。
私の股間には下手なAV男優も裸で逃げ出すほど立派なモノが生えているのだがそれ以上に主張しているのが世間一般では巨乳と言われている大きな乳房とツヤツヤなもちっとした肌、そして自分で言うのもなんだけど黒目がちで丸目の大きな眼が自慢といえば自慢かもしれない。
だけど気持ち悪くないですか?
たわわな胸と股間の巨大なモノを同時に持つ奇怪な生物。
山羊の頭の面をかぶって背中に獣鳥の翼をつけたら『サタン』そのものにしか見えないっしょ。
だから私は学校では裾野広くてゆったりとしたヒダの多いスカートで股下のアレを隠せるセーラー服を着て女子を名乗ることにしている。
まあそんなわけで私にとっては普通の恋愛なんて縁のない存在なのだが現実には・・・
ほっぺを少し膨らませるだけで男子が擦り寄って来るのは正直気味が悪いが最近はそれになびいてこない男子に少々興味を持ち始めている。
問題なのはそんな真実を知っているのが花奈と彼女の取り巻きの友人たちなのだが、その中の文月輪(ふみつきわ)には役所や国に登録されている私に関する個人情報をいろいろと改竄してもらっているので頭が上がらない、というかシャクじゃないですか?

おっと話がそれましたね。夏乃花奈が見た悪夢の話でした。
私は自分の胸のポケットから取り出したハンカチで優しく花奈の顔を濡らしている涙を拭き取り、乾いている方でアピまだに溢れている目頭を軽く押さえてあげる。

「私なんかより頼りになる友人があなたには大勢いらっしゃるでしょうに」
取り敢えず他の人に頼るように誘導してみた。
だって私の取り柄といえば股間に生えた大きなモノの後ろにこっそりと隠れている女の子のような謎の穴だけだ。
そう、それは世間一般の女性が持つそれとは違い、子作りや出産の役には立たない。
ただそれに少しでも、体の一部でも入れようとした者(主に男性だが)は全身が瞬時に跡形もなくどこか訳のわからない場所に吸い込まれる、ただそれだけの、能力とは言い難い微妙なものだ。

「文月輪さんとは連絡が取れないの?」
一応聞いてみた。あのへっぽこ刑事みならいの葉類亜希よりは遥かに頼りになる存在だ。
「昨夜からほとんど連絡が取れないんです」
花奈はそう言うと再び両方の眼から大粒の涙を流し始めた。
「じゃあ水無月海さんは?」
私が言うと首を激しく横に振った。
「佐原観萌さんは?」
これも激しく首を横に振った。
「じゃあ可奈野椎ちゃん」
私は彼女だけは何故か『ちゃん』づけで呼んでしまう。
理由はわからない。しかしこれも首を横に振った。
「春香織さんは」
これにも花奈は激しく首を横に振った。
ほとんど誰とも連絡が取れないと言うことか?
最後にあまり出したくない人の名前を口にした。
「秋種加世さん」
それを聞いた途端に花奈の顔が急激に青ざめてゆくのがわかった。
すぐ後ろに春香織さんが立っていることに気がついた。
「なんだ、ちゃんといるじゃないですか?」
私がそう言った途端に花奈は私に強く抱きついてきた。
ただならぬ花奈の身体の震えが彼女自身が感じている恐怖心を伝えて来る。
私は急いで腰掛けていた椅子から花奈を抱き抱えたまま飛び退いた。
何故なら香織さんは左手に持った大きなナイフを振り下ろしてきたから。
『確か香織さんの能力は時間停止』
これ以上やばい状況は考えられなかた。
彼女が以前自分で可奈に説明していたらしいけれど『正確には時間を止める能力ではなく、自身の周りの時間の流れを極端に速くして相対的に相手の時間を限りなく停止に近くする能力』らしい。
私は考えながらも香織さんの刃物攻撃の回避に必死だった。
何故彼女はそれをやってこないのか不思議に思い始めていた。
私は一つの仮説を立ててみた。
その能力は相手が自分のそれと同等な能力を使用した場合に限るのでは?
だから時間を操作しないで刃物による攻撃しかしてこないのではないのか?
素でのスピード勝負には自信があった。
私は花奈を庇いつつ香織さんのナイフを叩き落とすのに成功していた。
だけど私は一つの可能性にやっと気がついた。
『誰かに操られている?』
「しかし誰に?」
思わず口にしてしまう。
その時に私の背後に残虐な気配を感じて振り返ると加世さんが私を見て微笑いながら私の額に数本の指をタップしてきた。
「時間を止める能力をあげたよ、もうあんたはそれを使いたくてたまらなくなる、香織とせいぜい殺し合いをするが良いさ」
そう言って加世は壁の向こうに消え去っていった。
私は自分がその衝動を抑えられなくなる前に花奈の身体をそっと床におろしてその場を離れた。
何故ならこの能力を行使中に触れた他の生き物がどんな惨状にあうかくらいは私にだって予想はついていた。
凍てついた薔薇の花を握るようなものだ。
しかも私の周囲に生じる時空の歪みが花奈の身体を引き裂く可能性だってある。
しまった、と思った時にはもう遅かった。
私は与えられた能力を使いたい衝動にあらがう事は出来なかった。
店の店員や他の客たちもほとんど動きを止めているように見える。
しかし問題は香織さんの動きが目を見張るほどに劇的に速くなったことだ。
香織さんに素早くナイフは拾われて彼女はそれを一振りすると私の右頬はかすってもいないのに大きくざっくりと裂けて真っ赤な血が勢いよく噴き出していた。
もう何も考えている余裕なんてなかった。
なんとかヤマカンで彼女の動きを先読みするしかない。
それほど私の動きはトロくて頭の回転も悪くなっていた。
こっちが得意なはずの右ストレートを繰り出す間に香織さんのナイフは私の左胸上部と右脇腹、そして左太腿をかすっていた。
しかもそれにもかかわらず深く抉られたかのように大量出血。
対して私の自慢の右ストレートはあっさりと回避されてしまっていた。もう出血がひどくて動けなくなった時、なぜか花奈のセリフを突然に思い出していた。
『今までの例だと身体の一部に特殊な反重力か何かを発生させる何かが見えたと月輪に聞いた』
もしもそれがあるとすれどこだ?
それはきっと身体の中心近くに違いない。
今度は右太腿をやられた。
もう身動きひとつ取れない、立っているのが精一杯だった。
もうヤケクソだった、相手にやられるか?
自分からやられに行くか?
私は後者を選んだ。
向かって来るナイフを掴む、香織さんの腕を両手で掴み胃の窪んだあたり、心臓よりも少し下に誘導した。
香織さんが一瞬驚いたような表情をしたかに見えたが私の中のそれはガラスが砕けるような音がして消え去った。
私は薄れゆく意識の中、香織さんの腹に右ストレートを決めて気絶させて一安心、と思っていたら大間違いだった。
店の客や店員たちが自動小銃を構えて私たちを睨みつけていた。
もはや絶体絶命ね。
でも私は大好きな花奈のためにあきらめるわけにはいかなかった。
「可奈ぁ!、這いつくばってでもこっちに来てぇ!」
聞こえたかどうかは判らないが花奈は匍匐前進のようにこっちに近づいてきているのを確認すると自分のパンツを下ろすと香織さんの右手を引きデカいチ〇チ〇の後ろにある女の子の穴にその細い指を差し込むと彼女はその穴に吸い込まれるようにして消えた。
どこに飛ばされたのかなんて私にも判らない、一種の賭けみたいなものだ。
私は急激な目眩を起こして倒れると花奈の柔らかい身体の上に乗っていた。
さっきまで立っていた高さあたりを自動小銃の弾丸が飛び交った。
しかしそれは単なる偶然。
奴らの中には、いや殆どの人達が相撃になって血と肉を飛び散らせながら倒れた。
私はスカートを思いっきり捲り上げて、たまたま私の右側から飛び出していた彼女の右手の人差し指をさっきと同様に女の子の穴に入れてやる。
一瞬にして花奈の体も吸い込まれるようにして消えた。
生き残った数人が私に自動小銃を向けていた。私も自分の女の子の穴に左手の人差し指を差し込んだ。
その時に自動小銃の銃声が頭に響いた気がした。

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私はスカートを捲り上げてすっかりしなびた〇ん〇んを晒したまま床の上に倒れていた。
「さっき香織ちゃんが出現したかと思ったら次に花奈ちゃん、それでもってトドメは血まみれのギンちゃんですかぁ」
聞き覚えのある幼い声が聞こえてきた。月輪ちゃん?
「まあ!そんな立派なモノをお出しになって、私、恥ずかしい」
その声は観萌さん?
正直言って自分がどんな状態かわからない。超失血状態で体が動かせないどころか頭も回らない
 「わ、汚いモノを見せやがって、こんなになってもボッキしているチ〇チ〇にはお仕置きだな」
そ、その喋り方は月海さん!
「お願いですから2トンの文ちんを乗せる罰だけは、お許しを」
私はマジでやりかねない月海さんに懇願していた。
「それはそうとさぁ、冬河銀さんあんた今ぐにでもヒーリングしないと命、あぶないんだけど、希望としてはどっちで扱って欲しい?女として?それとも男としてぇ?」
みならい痴女刑事、亜希が耳元で囁いた。
「それどう違うの?Fe裸恥男?それとも・・・・・」
大声で叫んでいる途中に私は深く意識を失っていた。

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目が覚めると私はなぜか囚人服に着替えさせられていた。
さっきから私の太くて立派なモノを囚人服のズボンの上から触ってにやついているみならい痴女刑事はいるし、香織さんはひたすら私に謝り続けているし。
「なんであなたたち護送車なんかに乗せられているの?」
思わず聞いてしまった。
「そりゃあ、無免許で名神高速を300km/hで走ったりしたから」
そう言った幼女の声に聞き覚えがあった。
たしかなまえは・・・
「智津野中!」
思いついた名前を叫んだ私は全員にグーで殴られてしまいました。
「逆さ読み禁止」
そう言われてやっと思い出した。
彼女の名前は可奈野椎ちゃんだった。
私は今までの出来事を、説明し出していた。
とは言っても私が喫茶店でくつろいできたところに花奈が逃げ込んで来て『怖い夢を見たから助けて欲しい』と言われた。
しかしどんな怖い夢を見たかは聞いてはいなかった。
私は自慢できるような能力なんて持っていない。
せいぜいが自己保身のためのあのブラックホールのような穴だけだ。
しかも花奈をさらに恐怖に陥れたのは『誰とも連絡が取れない』と言う非常事態だった。
それで恐らくは私に頼ってきたのかもしれない。
「私って本当に役立たず」
そう言った私に花奈が思いっきり強くしがみついてきた。
「別に悩むことじゃないでしょ、ギンちゃんは命を張って花奈ちゃんを守ってくれたし、香織さんも見捨てることなく、私たちがいる安全な場所まで運んでくれた」
亜希に言われても微妙と言う気しかしない。
でもこうして抱きつかれた花奈の暖かい体温を感じていると心の底からアイツらから守り切れてよかったと思う。
「しかしその夢の内容がものすごく気になりますね」
観萌さんが不安げに言う。
「それと香織さんがいきなり襲ってきたのも気になるな」
と月海さんが疑問を呈した。
「それともう一つ、壁抜け?なぜそのようなことが出来るのか?疑問だよね」
亜希が言うと付け加えた。
「ちょっと花奈ちゃん、寝かしつけるから、香織さん、運転交代お願い」
3人の警察官はセルフ式ガソリンスタンドのカメラの死界に入る場所に置き去りにしてきた、だから今、この車、護送車シビリアンには成人は1人も乗っていない。
もちろん全員無免許だから未成年犯罪者パラダイスだ。
「香織さん運転出来るんですか?」
椎さんちゃんが聞いた。
「一応オートマだからってなんとかなる?」
しかし気になることがひとつあって月輪に耳打ちをした。
「言いたいことはわかります、要は香織さんに打ち込まれたコマンドは解除したか?ってことでしょ」
まあ確かにそれなんだけど月輪の事だから見落としはないと思う。
「解除していませんよ」
あっさりと返されてしまった。
『ここからの会話は半径2メートル以内の限定で行います』
そう切り出した月輪に私は違和感を感じ始めていた。
これからの内容は月輪を中心とした亜希と花奈ちゃん、そして香織さんを除く5人限定のテレパスでの会話になる、まあグループチャットみたいなものと思えば良いのかもしれない。
『ここから言う内容は花奈ちゃんはもちろん亜希ちゃんや香織さんにも他言無用ですよ』

そこからの話は衝撃の連続だった。
『まず自分らの認識について考え直す必要があります』
月輪が切り出した。
『要するにフェラーリの量産車だとおもっていたらRedBull X2010だったという話なんですね』
椎が云うのを聴いてなかなかうまい例えだと思った。
F -1という規格にさえ納まらない規格外もいいところの架空のレーシングカーだ。
要するに今まで加世の限界だと思われていたことが限界でもなんでもなくてとんでもない化け物だったという事だ。
『もう既に次世代にそれは受け継がれました』
これは加世が香織さんを利用した事を意味する。
花奈ちゃんの記憶にはブロックがかけられていた。
ある一定時間の間の記憶が読み出せなかった。
それは何故か?
既に花奈に対してもコマンドを打ち込まれていた可能性は高い
理由としてはほとんど隙がない香織さんに対してコマンドを打ち込めたのに隙だらけの花奈に打ち込まないわけがない。
それに今思えば心当たりがないわけではない。
もしも私があの時、加世の名前を出していなかったら香織にナイフで首をかっ裂かれていたかもしれない。
そしてもうひとつ、今回の件でハッキリしたのは加世はコマンドを打ち込むことにより本来その能力を持っていない相手にも与えることが可能だという事
それが今回の私でいえば時間の操作系能力。
それどころか既存ではない他の能力を生み出す事だって可能かもしれない。
『そして片方をホワイトホールとするならばもう片方がブラックホールだという事、』
私は1番懸念していた事を伝えた。
もちろんホワイトホールを花奈に例えるならブラックホールは加世ということになる。
花奈の能力は予知夢ばかり目立つが物体をエネルギー化する能力の方が危険極まりなく恐ろしい。
一瞬で地球が消し飛ぶどころか他の惑星にさえ影響を与えかねない。
しかし逆に加世の能力自体の方が理解しにくいと言える。
花奈とは逆にエネルギーを物体化する、と言われても理解の範囲を超えている。
まず使い道が見当がつかないし、その実態は全く別物かもしれない。
ただ、加世は花奈を利用して何かの破壊工作をしようとしているのは確かだ。

Part1 終わり

Part2 に続く

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