下界Part6

下界Part6  

毎回とは限りませんが今作はエログロ描写や官能描写を多大に含みますので20才未満の閲覧はご遠慮してくださいね♪
なお現実と烈しく乖離した描写がめちゃくちゃ多数ありますことをお断りしておきます

突然、加世から全員にグループメッセージが入って次の日は藺牟田池県立自然公園に行けと連絡が入った。
ちなみに加世とは秋種加世(あきくさ かよ)の事であり肩まで伸びた外に跳ねた赤髪とHカップの胸を自慢にしている美人系な顔から想像もつかないようなサディストだ。
現にここにいる何人かは彼女に殺されかけているか、又は彼女にコマンドを体のどこかに打ち込まれて自由自在に操られている可能性がある。
正確にいうと彼女に直接操作されるわけじゃなく体のどこかに自立型の人格プログラムのようなものを打ち込まれてそれが本人の意思を無視して勝手に加世と交信したりその命令を実行するらしい。
さらに厄介なのは本来持てるはずがない能力を付加されたり自分自身(人格プログラム自体)を他に人間に打ち込むことも出来るらしいということだ。

ちなみに藺牟田池県立自然公園というところは東海3県からあまり外には出たことのないあたしはあまり訊いたことはないが夜叉ヶ池をデカくしたようなところらしいと認識した。
観光地としてはなかなかだと思う。
それはさておき、さすがに護送車仕様シビリアンでの寝泊まりは限界を感じ始めている。
「私たちは囚人じゃなーい!」
可奈野椎(かなの つち)が運転席でなぜか声高々に叫んだ。
そこは囚人が座れる席じゃない、むしろシートの質を考えるとVIP席だろうと突っ込みたかったが。
佐原観萌(さわら みもえ)ちゃんと水無月海(みずな つきみ)さんは両サイドに設置されたロングベンチシート右側前の方で相変わらずベタベタイチャイチャとくっついている。
冬河銀(とうか ぎん)ちゃんはそのすぐ向かいに座って後ろを向いてぼーっとして外の風景をただみている感じだ。
ちなみにあのアニメのスーパースター銀さんとは1ミリも関係ない。
ただ単に長生きできるようにとご長寿双子さんにならって両親がつけた名前だろう。
そうに違いない。
文月輪(ふみ つきわ)ちゃんと葉類亜希(はるい あき)さんは助手席とそのすぐ後ろの単座シートに座ってなにやら話し合っているらしい
春香織(はる かおり)さんとあたし、夏乃花奈(なつの かな)2人だけポツリとロングベンチシートの最後尾に向かい合うように座っていた。
正直言って香織さんとあたし、花奈、そして正確には銀ちゃんの3人は他の5人とは疎外感のようなものを感じていた。
どうやらあたしたち3人の転送組はどうやらあまり信用されていないらしい。(Part1を参照してください)
多人数の男たちに銃撃を受けた時、銀ちゃんは既に操られていた上に加世に時間を擬似的に止める能力を与えられ、それを使い香織さんに闘いを挑むコマンドを打ち込まれて、香織さんの逆さらに上をいく擬似時間停止能力が発動するように仕向けられた。
その結果銀ちゃんは瀕死の重傷を負ったが香織さんに自分の体内の時間隔離コアを破壊させることに成功して香織さんのそれを止めることに成功した。
その直後自動小銃を構えた複数の男たちに囲まれて絶体絶命となるのだけれど。
命辛々、銀ちゃんがあの(チ〇チ〇の後ろにある)秘密の穴の転送能力で自分自身も含めてあたしたちをこのシビリアン車内に命懸けで転送してくれたらしい。
最初喫茶店で香織さんに襲われていた時に既に香織さんは加世にコマンドを打ち込まれていたらしいし、さっき説明した通り銀ちゃんに至っては時間停止能力のコマンドまで打ち込まれている。
だからあたし1人だけ打ち込まれていないと考える方が不自然だろう。
あたしだって疑われている。
「それを言ったら観萌と月海だって加世にコマンドを打ち込まれている可能性だってあるし月輪だって例外じゃない」
とは亜希さんは言ってくれてはいるけど正直言って自分自身が信用できないとかあるけど、時々記憶がない時もあって正直言って怖い。
それよりも怖いのはあの時見た、夢の内容、身が凍るほど恐ろしい内容だったにも関わらず全く覚えていない。
「そういえば銀さんにはお礼もお詫びも言っていなかった気がします、ありがとうございました」
香織さんがあらたまって銀ちゃんにおじぎをして言った。
「いや、大したことはできていないし、それに私が信用されないのは別の理由もあるの」
銀ちゃんはそういうとこはいい女だと思う、でもどんな理由か気になる。
「私はあなたたちとは一緒の学校だから知っているかもだけどよく学校を休むでしょ?」
うんそう言われてみれば確か隣のクラスにそんな子がいるという噂なら訊いたことはある。
「でもそれは体調とか色々あるんでしょ」
さすが、香織さんが気をつかってフォローしてくれる。
でも急に銀さんは恥ずかしそうに言った。
「実は私、自転車通学でどんなに信号とかに停められても20分もかからない家からの距離なんだけど」
それから彼女は頭を抱えて続けて言った。
「いつの間にか知らない神社の境内に入り込んだり田んぼや畑のあぜ道を走っていて焦っているうちに気がついたら・・・複線の踏切を渡っていて、いつの間にか見知らぬ山の中の川沿いに出たと思ったら単線の駅があって」
あたしと香織さんが『ゴクリ』と生唾を飲み込んだ。
「もしかしてそれは『きさらぎ駅』の中部版じゃ?」
あたしがそういうと香織さんは急に笑い出していった。
「そんなわけあるはずないじゃない」
そう言いながらも手が震えていた。
「もう遅刻は間違いないから電話は学校にかけてみたの、そしたら『本当は来たくないから下手な言い訳をしているんだろ』って」
まあひどい先生だとは思うけれど、そんな短時間で愛知の濃尾平野からいきなり山間部に出てしまうのもさすがに妙な話じゃないのか?と思った。
どっち方向に走っても山間部に出るには1時間以上は楽にかかる。
「しかも駅名がどこにも見当たらなかったんです」
そう言った銀ちゃんは頭を抱えた。
「それって文字が文字として認識されなかっただけじゃないんですか?」
前の方で月海さんといちゃついていたと思っていた観萌ちゃんが口を挟んだ。
「銀さんの乗っている自転車って確かサドルの細いロードバイクでしたよね?」
銀ちゃんは「うん」とうなづいた。
「これは憶測でしかないけど、ごめんね、もしかしたら硬くて細いサドルから伝わった振動が銀さんの秘密の穴を刺激して能力の暴発を起こしたとは考えられないかしら?」
『あ』っと驚いた表情の銀ちゃん。
しかしそれでも納得がいかないように見えた。
「でもそれでは説明がつかないことが多すぎみたい、なぜ携帯はつながったのかとかその後ちゃんと戻れたのとか」

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結構曲がりくねった、しかしセンターラインのある道を登って行くと突然広大な青い水を貯えた、池というよりは湖に近い藺牟田池が姿を現していた。
シビリアンを人目につきにくいところに停めてあたしたちは各自めいめいにコンビニで買った弁当なり、おにぎりなり、サンドイッチなり、気に入った場所で好き好きに食べ始めていた。
もちろんここには何かの調査のために加世にここに来いと命じられていただけなのだが、あたしは風景のあまりにもな、美しさにお弁当を口に運ぶ箸の手が止まってしまった。
あたしは食べ終わるとみんなの食べた後のゴミを回収していた。
ゴミを現地に置きっぱなしにして帰るのは、はっきり言って他人にパンツを見られる行為よりも恥ずべきことだと思っている。
もっともわざわざ見せる気はない。
「ごめんなさい、夜叉ヶ池をでかくしたようトコなんていっちゃって、美しさが全然違いました」
ここなら誰も見ていないだろうと木陰の中からあたしは藺牟田池の前で土下座をしていた。
「クックックック」
と嫌な笑いが後ろから聞こえてきていた。
「丸見えでしたよね」
と銀ちゃん。
「はい、スカート短いですからね、前の縦に入ったくぼみまでバッチリ見えました」
香織さんが興味津々そうな表情で言った。
おそらく普通の人間が相手ならほんの一瞬見ただけだろうが香織さんは加世にコントロールコマンドを打ち込まれたせいで常に疑似時間停止能力が使えるようになっている。
「こりゃあ、興奮モノだよ私、女の子のパンツ、こんなにも長い時間ちゃんと見れたの初めてですよ」
銀ちゃんの声、あたしの身体に触れないことを条件にあたしの清らかなワレメちゃんのくぼみをパンツの上から心ゆくまで時間をとめて堪能していたということか?
失礼な奴らだな、頭を上げると銀ちゃんと香織さんがあたしの頭の髪をぐしぐしとかき乱したえに想定外なことを言い出した。
「地元愛ですか?、夜叉ヶ池には夜叉ヶ池の良さがありますからね、それよりも今晩はここでキャンプだそうですよ」
と香織さん。そんな話、あたしは聞いていない。
キャンプ道具なんてシビリアンには搭載されていなかったはずなんだけど。
それにお金は大丈夫なんだろうか?それと予約とか?
それにだいたいあたしはキャンプの知識なんてない。
多分この中の8人には1人もいないだろう。
不安しかないが大丈夫だろうか?

それからあたしたちは火口池の周囲を全員で散策をした。
月輪ちゃんの透視能力と観萌ちゃんの演算能力、そして念のためにあたしの予知夢能力を動員することとなった。
正確には月輪ちゃんの透視能力と連動して動かせる月輪自身の念動力には限界があり、月海さんと透視能力を共有して必要に応じて岩や土を移動させたりマグマ溜まりを意図的に刺激させるのが仕事だった。
そしてそれによる変化から今後の火山活動を観萌ちゃんに予測演算させるのが今回の作戦の目的なのだろうと観萌ちゃんは推測しているという。
「でも、なぜそんなことを?」
銀ちゃんが訊いた。
「恐らくは噴火の可能性と規模を予測するためですね」
春香織さんは自分の考えを述べただけなのだがあたしにはその意図がわからなかった。
「ここの西に原子力発電所があるでしょ?もしここが溶岩噴火したらどうなると思いますか?」
香織さんは言ったがあくまでも憶測の範囲でしか言えないことじゃないのかって思う。
「少なくとも火砕流が原子力発電所まで流れることはなさそうですね」
それが観萌ちゃんが出した答えだった。
「それにこれだけ貯水量があるといきなり溶岩性の噴火はないと思いますね、その周囲のいくつかの火山が同時に噴火という可能性の方が高そうですが、冷却されるのでやはり水蒸気噴火の方が先かと」
観萌ちゃんはそう言うとひとつだけ付け加えた。
「ただし、この池の水量が日照りとか他の原因もなく水量がいちいじるしく減った場合は要注意ですね、池を取り囲むいくつかの火山のマグマ水蒸気噴火が起きる可能性も高くなりますしマグマ噴火もあり得ます」
「じゃあカステラなんとかは?」
とあたしが言うと全員から冷ややかな目で見られてしまった。
「カルデラ噴火ですね、あり得ないとは言いませんがかなり確率は低いですね」
とかなんとか言いながら観萌ちゃんは藺牟田池の美景を思う存分に堪能しているようだった。

キャンプ場の駐車場に戻るとそこにいた観光客を含めた一同が『ギョッ』とした顔をして遠巻きに離れていった。
知らない間にあたしたちのシビリアンは鹿児島警察の護送車仕様に変わっていた。
「ちょ、みんな遠ざってここらにかなりのスペース出来ちゃっているんだけど」
よくよくシビリアンを見ると「さぬきがわ学園行き、中学生暴行傷害致死事件犯人護送中」なんて張り紙が。
そ、そりゃ、みんな距離を置くわなぁ。
一体何人殺したっていう設定になっているのだろうか?
「さあこれからは私の指示に従ってもらうからそのつもりで」
鹿児島県警察官の制服らしきものを着込んだ怪しげな女はそう言って既に準備されたキャンプ場のテントがふた張り既に準備されていて食事の用意も終わっていた。
しかし警察官なのに胸はでかいとか真っ赤なハネ毛とかショットガンが似合いそうなグラサンとかツッコミどころが満載なのは別に構わないんだけど。
「なんで少ししゃがんだだけでパンツが見えるほどミニなスカート履いているの?」
と銀ちゃん。
「なんで制服の上着もその下も胸の谷間が見えるほど深いVカットが入っているの?」
と続けて月海さん。
誰が見ても明らかに怪しい偽物婦警でしょ。
「少なくとも婦人警官にスカートはあり得ないでしょ!亜希さん、どう思いますか?」
少なくともさすがに同意はしてくれるものと信じてあたしは言ってみた。
「いや、私はスカートしか履いたことないしズボンだと先輩とチョメチョメしにくいし」
いやいや、あたしはそんな答えなど求めていないのだが。
絶対に加世の仮装でしょ?どんなもの食べさせられるかわかったものじゃない。

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結局は用意された食事などに毒が守られていた様子はなく、寝込みを襲われる事もなかった。
しかしその晩、みんなが寝静まりかえってから、その次の日の明朝にあたしは全身が凍てつくほどの悪夢に襲われていた。

藺牟田池に溜まっていた水が突然に『ゴボゴボ』と沸き始めて水蒸気噴火を始めた、周囲の山が次々と溶岩噴火を起こして溶岩を山の下に流し込んだ。
続いて乾涸びた池も爆発したかのように大量の噴石を飛ばしながら火砕流のような、マグマのようなそれは均等に広がるようには流れずに川の水を蒸発させながら加速するように勢いを増してゆきながら流れていった。
そしてそれは河口に達すると海に拡がり打ち寄せる波に押し戻されるように大量の水蒸気を発生させながら海外線に拡がり人工的に作られた防波堤に囲まれて出来た湾の中にも広がり、そこにあった海水の取り込み口をその固まりかけた溶岩で塞いでしまい冷却を困難にしてしまった。
その海辺にあった施設は冷却方法を失い熱暴走を始めて既に停止させたはずの炉の中で過剰な熱により膨張した一次冷却水の配管がその圧力に耐えられなくなって破裂した。
そしてその中の燃料棒は溶け落ち始めて・・・
気がつくとあたしは寝袋に入ったまま打ち寄せる波の中海の上を漂っていた。
寝袋が海水を吸い、重くなって行き沈んでゆくあたしの身体、息も出来ずに海水を吸い込んでしまいもうダメだと諦めた時にあたしを抱きしめて浮上するふたりの顔。
それがあたしを安心させて意識を失わせた。

気がつくとあたしは河口近くの海辺に寝袋ごと寝かされていた。
明るさからまだ早朝、あたしは今まで意識を飛ばされて長い時間意識を失ったことはあるらしいが身体ごと飛ばされたのは今回が初めてだったと思う。

寝袋のチャックは開かれていてあたしは裸にされ、2人の裸の女性、少女に抱きつかれていた。外気はまだ寒いがふたりの体は暖かく感じた。
前から抱きついているひとりは香織さんだった。
長い黒髪と巨乳、羨ましい限りだ。
しかし後ろの背中から伝わるさらに圧倒的な弾力感。そこは女性には違いない。
だけどあたしの少し開いた股の下から前に回り込んであたしのワレメちゃんを刺激してくる固く、太くて長い圧倒的な存在感!
あたしは思わずそれを強く握ってしまった。
それはあっという間に激しく脈打ちながら暖かくてどろっとした液体を吹きかけてあたしと香織さんのお腹を濡らせた。

香織さんも銀ちゃんも同時に目を覚まして何か気まずい雰囲気になりかけていた。
「やっぱり銀ちゃんは男だったんですね、いやらしい」
あたしが冷ややかな目でその御立派なものを睨みつけるとむしろ彼女、いやこの場合は彼と言うべきか?はあたしの体を凝視している視線を感じていた。
そしてあたしのこじんまりとした、乳房、と言って良いかどうかさえ慎ましいあたしの胸からもあからさまに目を釘づけにしている。
「あら私はみても平気なのかしら」
そう言った香織さんを銀ちゃんはさっきから普通に見ている。
顔はもちろんかたちの整った重力に負けていない巨乳から縦長のおへそもワレメさんも目を逸らさず固執することもなくごく普通に見ていた。
真面目な顔をして見ている。
きっと銀ちゃんは香織さんを大事に思っているのだと思う。
何故か観萌さんは不機嫌そうな顔をして銀ちゃんの顔、両頬を両手で強く挟むとあたしのワレメちゃんが目に入るように強制的に向けた。
銀ちゃんは抵抗も虚しくあたしのそれを見てしまい盛大に大量の鼻血を噴き出してその場に倒れてしまった。
「あらあら、やっぱり冬河は花奈のことを異性として大好きだったのね」
香織さんにそう言われてあたしの頭と顔は真っ赤になってカルデラ噴火を起こしてしまっていた。
ありえないでしょ、銀ちゃんにとってあたしなんてただの性欲解消の対象だと思う。

あたしと香織さんは人目につかないように海の水で下半身についたベトベトを洗い流して寝袋で身を包んだ。
もちろん真ん中は香織さんだった。
理由はもちろん、銀ちゃんの大砲がまた暴発しないように、だったのだが。

「あれほど私が前からシコシコしても銀ちゃんの大砲はなんの反応もしなかったのにね、花奈ちゃんがちょっと握っただけで暴発しちゃうなんて、なんて罪な女の子かしら」
クスクス笑いながら意地悪に言う香織さんにあたしは思わず訊いた。
「今までの過程が自分でも全く掴めていないのですが、どうしてこのような状況に・・・」

みんなが寝静まりそれから翌朝になって明るくなり始めた頃、銀ちゃんがテントの中にあたしがいないことに気がついたらしい。
それから全員で探し回ったっけどどこにも見当たらず、捜索願いを出すことさえ検討したらしい。
その時に観萌ちゃんが銀ちゃんに言ったらしい。
「花奈ちゃんを助けられるのはあなたしかいない」と。
その時は無理だと言った銀ちゃんだったが観萌ちゃんの説明を聞いているうちに香織さんは積極的に「行こう」と言い出したらしい。
それから銀ちゃんのズボンとパンツを一緒に一気に引き摺り下ろすとチ〇チ〇の後ろにある秘密の穴に手を入れて・・・・・

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そうしてしばらく経った頃だろうか、お迎えのシビリアンと仲間たちが着替えを持ってやってきた。

あたしたちは3人だけ車内に残り着替えを済ませた。
こんなこともあろうと来る途中で3人の着替えを一式、ファッションセンター〇〇むらで買い揃えてくれたらしい。

ちなみにキャンプ用具一式などは5人がシビリアン車内であのイカ臭い、じゃない、うさんくさい婦人警官が用意してくれたサンドイッチとペットボトルの飲み物を飲んでいる間にさっさと片付けられていたらしい。
誰が片付けたかなんて考えることもなくバレバレだったのだが「さぬきがわ学園行き、中学生暴行傷害致死事件犯人護送中」と言う張り紙と鹿児島県警のシールと派手なパトライトはそのままだった。
シビリアンのナビゲーションシステムの画面が地図からあのエロいセーラー服を着た加世を映し出していたのだがもう昨夜の偽婦人警官だというのはバレバレだ。
「これから鹿児島に直行してもらう気でいたけど予定変更して霧島に向かいなさい!」
のっけから命令口調だった。
「何故かな?」
亜希が疑問を挟んだ。
「どうして明らかにカルデラ噴火の可能性が高くて緊急性の高い霧島よりも藺牟田池を優先させたか、教えてもらえないかな?」
返事はなかった。すぐにマップ画面に切り替わったからだ。
「どう思う?」
あたしは自分が失踪する前の、いや失踪している最中に見た夢の内容を全員に覚えている限り伝えていた。
「つまり国や規制委員会の予測は甘いとしか言いようがない、と言いたげですね」
と香織さん。
「ナビが指示した北ルートではなく南ルートで向かって」
月輪ちゃんがルート変更を指示した。
「つまり彼らが弾き出した結果は単純に今溶岩で地表面が形成されているところまでしか溶岩や火砕流が流れてはこないと踏んでいるわけですね」
亜希さんが感想を挟んだ。
「前回に噴火した時にはなかった大きな河川が今存在したとしたら?地形の変化が著しく火砕流や溶岩流が均等に平面状に広がらずに集中的に流れ込んだら?」
と月海さん、興味を持ったみたい。
今助手席には香織さんが、その後ろの単座席には銀ちゃんが座っている。
何を話しているのかはわからないが疎外されたみたいで面白くない
「んー、川内川の事を言っているんだろうけど途中にダムあるんじゃな?」
あたしも寂しくて話に参加してみた。
「それが花奈ちゃん、ダムの数は一応二つあるんだけどいずれも藺牟田池よりも遠くにあって火砕流や溶岩流を堰き止める役目を果たさないねー」
月輪ちゃんが残念そうに言った。
「噴出量にもよるだろうけど一旦、川内川に流れ込んじゃうと鉄砲水みたいに流れる速度も到達する距離も倍増、いえもっと遠くまで、それこそ花奈さんがみた夢のように河口まで達して原子力「発電所の冷却水取り込み口を塞いじゃう可能性だってあるんですよ?」
「どうですか?月輪さん?」
観萌ちゃんが月輪ちゃんに再び藺牟田池の地下深いところを南側から透視したイメージを求めた。
そして2人は互いに見つめあって情報の共有をしている。
「残念だけど答えを出すには情報が圧倒的に不足しているみたい」
観萌ちゃんはそう言ってから深くため息をついた。
そして自分の手にしていたペットボトルのスポーツドリンクをひと口、口にすると急に笑顔になっていった。
「スッキリしない話ばかりでつまらないでしょ、ひとつ面白い話しよか?」
急な軽い展開に期待したのか皆んながそれに食らいついた。
「例の中部版きさらぎ駅の話ですか?」
と月海さんが食らいついてきた。
「あの人って時々鬱入って現実逃避モードに入ることあるよね?」
と観萌ちゃんが言った。
確かにあたしだってそう思う。
喫茶店でもオーダーしたコーヒーをほったらかしにしてそのままテーブルに伏せって考え事しているような暗いやつだし。
だから時々ちょっかいも出したくなるんだよね。

「そんな時に銀ちゃんの乗っているロードバイクの硬くて細いサドルが彼女の秘密の穴を刺激したらどうなると思いますか?」
なんでここにきて観萌ちゃんが急にひそひそ声になったのか気になった。
「まあそりゃ異世界でも、並行世界でも自転車ごと飛んでいきかねないですね」
月海さんが同意した。
「でも何故スマホ電話が通じたんでしょうね?それと何故無事に戻ってこられたかという謎が」
月海さんが言いかけて小さな声で『あ』っと叫んだ。何か思い当たる節があるみたいだ。
「急に寂しくなって誰かさんに会いたくなったんでしょうね、きっと」
観萌ちゃんが言う。
「なるほどですね、急に誰かさんに会いたくなって、だから観萌は花奈ちゃんが行方不明になった時に」
月海ちゃんは同意するかのように言った。
「あ、そうか」
あたしは全てを理解したつもりで言った。
「つまり銀ちゃんは香織さんの声が聞きたくて、て違うんですか?」
4人とも信じられない顔をしてあたしを見つめていた。
「だって銀ちゃんっていつも香織さんだけあたしと見る目が違うって言うか、それに喫茶店で襲撃された時も香織さんを先に逃したし」

自分でも何を言っているのか訳がわからなくなってきていた。「ほら銀ちゃんってあたしを見る目はゲスいっていうか、エッチな顔してあたしの大事なところ刺激してくるは、ちょっと触っただけでエッチな想像して性欲丸出しにして気持ち悪い液を出してくるわで、でも香織さんに対してはすごく紳士なんだよね」
ってみんなの顔を見ていたら驚きの表情をしていた。
「これは藺牟田池の男龍女龍伝説みたいになりそうですね」
月海さんはそういうとクスッと笑った。
「でもなんですかその男根女根伝説って?」
もちろんあたしは自分がそんなハレンチな事を口走っているつもりはなかった。
きっとただ単に今朝海辺の寝袋の中でうっかりつかんでしまった立派なものが脈打ちながら出したものの感触が頭から離れないだけの事だろう。
「んーなんだろうね、簡単に言うと藺牟田池には男の龍と女の龍が仲睦まじく棲んでいて夫婦生活を営んでいた訳」
月輪ちゃんがそう言い始めると何故か前の助手席の香織さんと銀ちゃんが急に咳払いを始めた。
「ところがねー、その男の龍が霧島山の大浪池の女神ちゃんと不倫を始めちゃって同棲するようになっちゃって、藺牟田池には帰ってこなくなったのよ」
月海さんがそう言って手にしていたコーラを一気飲みした。
「それでも彼女は健気なのよね、帰らぬ夫を数百年も待ち続けてそればかりか、彼が無事に戻ってくる事を祈りながら影膳を池のほとりに積み重ねた結果があの飯盛山だって話ですよね」
月輪ちゃんが自分に酔ったように言っている。
「修羅場だよね、ぐへへへ」
と言ったのは総合責任者の亜希。
未成年に酒呑ませるって絶対にありえないだろうとあたし。
月輪ちゃんが飲んでいたのは一見はただのコーラだったがよく見ると結構アルコールが強めなコーク・ハイだった。

「ってあなた達は何が言いたいんですか?その大浪池の女神ちゃんがあたしで香織さんから銀ちゃんを寝取っちゃったと言いたいんでしょ?いいですよぉ〜、あたしはどーせしょー悪女だしぃ〜」
もう自分でも何を言っているのかわからなくなってきた。

てか、あたしもさっきから缶ジュースの500ccの奴をガブガブ飲んでいる、しかしその缶にはしっかりと、こう明記されていた。
『グレープフルーツストロング25%、って果汁濃度じゃないよね』って思いながらも次のピーチの封を開けていた。
「お酒はハタチから、車を運転する時飲まないませないって、さっきから運転している可奈野椎が左手に持って何度も浴びるように飲んでいるのは確か薩摩いも焼酎の一升瓶じゃん!」
あたしはシビリアンの中心で大声をだして叫んでいた。
「いいのいいの、どうせ犯罪者シュー団だしぃ、しけーだしぃ〜」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

気がつくとあたしは泥酔したままシビリアンの中で何度も吐き戻していたらしい。
あたしたちは県道1号線でその問題の霧島山の大浪池の女神ちゃんの麓付近まで来ていた。
残念なことに大浪池まで行ける道はないそうだ。
なので月海さんに月輪ちゃんと観萌ちゃんの3人で一緒に大浪池のフチまで飛んでもらうことにした。
カメラ映像は送ってもらったけどとても綺麗だった。
まあ隕石が落ちて出来たクレーターじゃないのは観ればわかるけど、まああの名作アニメのワンシーンを思い出す人がいてもおかしくはない。

けど、ここにも龍神さんの伝説があったのはもしかしたら偶然かもしれない。
しかも女神様である、その正体は池に棲む竜の化身らしいけどあたしは大浪池の女神様だろうか?
それとも銀ちゃんが帰ってくるのをいつまでも待ち続ける藺牟田池に棲む女の龍さんだろうか?
いやいや、あたしは別に銀ちゃんが特に好きっていう気はないし香織さんに特別な対抗心を抱いている訳じゃない。
『でも心にポッカリ、心に穴が空いたような』
しばらくしてから3人は帰ってきた。

3人とも浮かない表情をしていた。
3人は長い沈黙の末にポツリと言った。
「確かに女神さんはいました、龍神様の化身の」
と月輪ちゃん。
「そして藺牟田池の男の龍も」
と月海さん。
「あれは比喩だったんですよ、このふたつの火山口、正確には藺牟田池の女の龍があの辺一帯の北薩火山群(ほくさつかざんぐん)とするなら大浪池の女神ちゃんが霧島山に群がる多くの火山口でありその中のひとつが大浪池というわけなんです」
観萌さんが額や顔、首筋から溢れ出す汗をハンカチで拭きながら言た。
地熱のせいか上は半端なく暑く感じたそうだ。

「となると男の龍さんは何なのですか?」
そう言ったのは銀ちゃんだった。
「さしずめ男の龍ちゃんはマグマ溜まりですね」
観萌さんがそう言った途端案の定、茶々を入れてきたのは亜希だった。
「そうそう、香織さんと花奈ちゃんのどちらが銀ちゃんをシコシコして噴火させるか?ってことなのかな?、噴火させた花奈ちゃんが大浪池をはじめとする女神ちゃん(火山群)ということかな?」
椎ちゃんが運転席を離れて話に参加してきた。
それじゃあ、あたしがまるで銀ちゃんを独り占めしたいクズ女みたいじゃない。
「そもそもあたしは銀ちゃんを独り占めしたいわけじゃないし」
思わず声に出して言ってしまった。
「その考察は逆と見るべきね」
亜希が口を挟んで来た。
「香織ちゃんと花奈ちゃんのどちらが銀ちゃんを本気にさせて潮を吹かせられたり大量に出させて逝かせられるかを競うゲームでしょ」
疑問符がないし、あたしは13歳未満なんですが、何故そのような性犯罪推奨的な比喩をするの?
「それどころか両方とも逝かせられてふたりとも能力を暴発させられる可能性もあるかしら?」
突然、シビリアンのナビゲーションシステムの電源が入って画面に花奈の姿が映し出された。
「銀にふたりを襲わせて中に突っ込ませて出しまくらせれば暴走して地球を破滅においこんでくれるかしらね」
その一言であたしはブチギレてナビの画面に向かってこれから飲もうとしていたミルクティーの缶を投げつけていた。
液晶パネルは瞬時にヒビが入りまともに映らなくなったと思ったら続いてカフェオレの缶が命中してガラス面が砕け散ってトドメにブラックコーヒーの缶が液晶パネル自体を粉砕した。
「もしかして私たち3人に打ち込んだコマンドは最初からそれが狙いだったんじゃないでしょうね」
怒りに震える声で銀ちゃんは言ったが亜希に向かって涙声で言った。
「私はこの先、香織さんと花奈ちゃんに対して男としてやってはいけない事をしてしまうかもしれない、その前に私を拘束して」
亜希はどうするか気にはなったけど結局、銀ちゃんは拘束されることはなかった。
あたしは銀ちゃんが力まかせにあたし達の性を強引に奪いにくるとは思えない。
でも加世に操られた状態ならやられても仕方がないと思う。
いやむしろそれを期待しているのかもしれない。
ただ問題なのはその時にあたしがあたし自身をコントロールしきれるかどうかだ。
「さっきのどう思う?」
亜希は観萌にさっきの加世からの通信に対して質問していた。
「銀ちゃんは溶岩溜まりの比喩じゃないでしょうか?」
観萌さんがそう言うと香織さんが近寄ってきた。
「多くの地震科学者や火山科学者の見解ではそれぞれの火山の溶岩溜まりは個々に独立していて連動することはないとされていました」
観萌ちゃんはそう言うと香織さんとあたしを抱き寄せた。
「伝説とか神話は結構マトを射ている場合が多いの」
そう言った。
「少なくとも北薩火山群と霧島火山群のマグマ溜まりは繋がっている、または繋がりやすい可能性が高いという事です」
香織さんがあたし達のところまで歩み寄って銀ちゃんとあたしに抱きついた。
「それに加えてさっきの藺牟田池の伝説の件をもう少し調べてて見つけたんだけど藺牟田池の女の龍さんが男の龍さんを探そうとして誤って住吉池に出てしまったと言うエピソードもあるの」
観萌さんはそう付け加えるといよいよ最終目的地である鹿児島の桜島をスマホのナビゲーションアプリにセットした。

下界Part6 終わり

Part7 に続く。

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