ハルサメとナッツ2日本の海、金鳥の川内

ハルサメとナッツ2日本の海、金鳥の川内

毎回とは限りませんが今作はエログロ描写や官能描写を多大に含みますので20才未満の閲覧はご遠慮してくださいね♪
なお現実と烈しく乖離している部分が多いですよ

「おーい、春雨、お前は太平洋の無人島からの帰りの事考えていなかったのかよ」
スッポンポンで太平洋の海を泳いでいるナッツが私に苦情をぶーたれていた。
ちなみに私もスッポンポンで泳いでいる。
なんでこうなったか?それを言うと長くなるけど、聞きたいか?
じゃあ言うな!ってか?
と言って言わないわけにはいかないけれど実は私たちは島の近くの海底200メートルくらいのところに帰還用の潜水艦を隠し持っていたわけ、ところがあの逝かれたサナダムシじゃなかった、真田くんは政権の力も乱用して本来なら持っていちゃいけないはずの10メガトン水爆核弾頭付き弾道ミサイルを島に打ち込んできやがった。
当然潜水艦は島ごと蒸発して日本への帰路はこうして泳いで帰っているわけ。
え?なんでお前ら生きているんだって?知らないよ、でも復元出来た体は体重が69kg程度だからね、なんとか体は復元出来たけれど着ていた服までは復元の手が回らなかったのさ服だけに、ね。
「あとどれくらいあんのよ」とナッツ、本名は夏野明美、身長はデフォルトで165cm、本人の自称ではDカップだそうだがHカップ以上はありそうに大ウソつきだ。私と同じ女子中学1年生、これで13才と言われて信じる奴なんていないだろう。実際、街を歩くたびにモデル勧誘の声がかかって来る、もちろんほとんどがAVがらみだけどね。
私は春雨こと波瑠沙芽、でも本当は「はるさめとは」とは読まない「波瑠」はそのままでいいんだけどなまえは「さとみ」と読む。うーん、しかし作者の奴、手を抜いていないか?前のシリーズで似たような名前が出ていたような気がするぞ。身長は140cm胸は残念なBカップだ。
今の髪は肩までかかった透き通った少しだけウェイブのかかった白色だ。
まあ良い、しかしそろそろ腹減ってこないか?
私はナッツに魚を手づかみでとって生で食べる提案をした。
「ムリ!」
音速よりも速くナッツの返事が返って来た。
彼女の胃袋は彼女の名前が示す通り『ナッツ類以外はほとんど受け入れられない構造になっているらしい。
いや、泳いでいる生魚を手づかみで食えるお前の方が異常だろうって?確かに言われてみれば確かにそうかもしれない。
「それにさあこの辺の海水って数年前にこの国の政府が国民の反対を押し切って、というかガン無視をして垂れ流した原発事故で大量発生した汚染水を処理した処理水を大量に垂れ流したものがいちばん流れて来ている海域だよ。
彼女は自信たっぷりに答えてくれた。
「でも放射性物質とかは取り除いた綺麗な水にして放出しているんでしょ?なら安全じゃないの?」
そうは言ってみたものの自信を持てないのはなぜだろうか?
「この国じゃまともな政治は期待できないよ?政治家自体が自分達を変える気がさらさらないからさぁ」
背泳ぎをしながらナッツは言うが確かにそうかもしれないなぁ。
「おい、それよりも仰向けになって泳いでいたら衛生カメラで監視されていたら立派なオッパイと大事な完熟マンゴーが丸見えなんだけどわかってやっているのか?」
私が言うとナッツは私の体も仰向けにひっくり返してニヤニヤしながら私に向かっていった。
「春雨ちゃんはお子様だねぇ、男の人って、ツルツルの桃色マンゴーよりもあんたみたいな少しおぼろ昆布が生えた程度の適度に透けて見える方が萌えるんだよ」
ナッツはそう言うといきなり自分の左手の人差し指を私の大事な部分に割り込ませて来た。
私が耐えきれずに大声で喘ぎ声を出してしまうと微かに爆発音が聞こえた気がした。
「え?今の何が起こったの?」
狼狽える私にナッツはニヤニヤ笑いながら言った。
「監視カメラ衛星、今の春雨の超音波砲で一機撃沈完了」
って何それ、監視カメラって、私たち盗撮されていたの?
「そんなのネットで拡散されたらもう家族に顔向けできないよ」
私が言うとナッツはニヤニヤ笑いがますますます止まらなくなっていた。
「だって今の真田くんの所有している衛星軌道に無数にある監視カメラ衛生だよ?報復で全世界公開しないわけがないじゃない」
いやいや、あいつそんな陰湿キャラだったっけ?思い出せ!自分。
「あれれぇ、春雨ちゃんってもうあいつがあんたの胎内に超濃硫酸の精液をぶちっこんで全身を溶かそうとしていた事わすれちゃったのかなあ」
限定核戦争とか体験させられていたからそんな瑣末な事、すっかり忘れていたがアイツは私の顔が超絶に残念な微妙顔の微少女である事を理由に馬鹿にしてチョー上から目線でレイプしまくった挙句、私の身体を超濃硫酸でドロドロに溶かそうとしたゲス野郎だった。
「チクショー!アイツに復讐をする手立ては何かないものか!」
私は太平洋のど真ん中で大声で叫んでいた。
「って春雨ちゃんって自分が真田くんにした事、すっかり忘れちゃったの?」
ナッツは思いっきり真顔できいてきた。
「私は犯されるだけ犯されまくった哀れな負けヒロインよ」
私がそう言うとナッツは呆れ顔で言った。
「真田くんの肩を脱臼させたのは誰かしら?」
えっ誰よそんなことしたの?
「真田くんに尻もちつかせて彼の尾てい骨を割ったのは誰かしらね?」
「いやあ世の中事故はつきものだよ、ナッツちゃん、私体重は950kgあるって警告したはずだし」
「その後、恐怖に怯える真田くんの上に乗って騎乗位で腰を降りまくって彼の骨盤を粉砕したのは一体誰かしら?」
「いや、私そんな酷いことはしていないよ、多分だけど」
「さらにその後で逆正常位とか言ってえげつないことに真田くんのほとんどの肋骨をへし折って内臓を破裂させたのは誰だったかしら?」
やばい!ナッツの身体中から殺意が満ち溢れている、ここは全力で逃げないと563れる!
そう生命の危機を感じた私は全力で泳ぎ始めた、すかさずナッツも恐ろしい形相で追いかけて来た。
どうやらまだ彼女は真田くんの洗脳から解けていないようだ。
まだあのゲス野郎のことを愛しているらしい。
それは核ミサイルを投下されても揺るがないものだろうか。
私は自分の股間の大事な穴から大量に液体を噴出した、一時的に異次元に保管しておいた真田くんが私の中に大量に放出した超濃硫酸の精液だ。
「彼が出したものよ、大好きなでしょ、たっぷり飲みなさい」
一応そう言ってやったが絶対に飲むはずがない、だってその辺り一帯に魚の死体がぷかぷかと浮き始めていたから。
「真田さんは私の中にはそんなもの出さないもの、アンモニアの匂いが嗅ぐ沸かしいステキな聖液よ」
どっちにしても毒じゃないの!そう思ったが逃げる方が最優先だ。
もう面倒だ、空飛んで一旦衛星軌道の高度まで達したらどっか適当なとことに落ちるだろう。
私は空を飛び一旦成層圏にまで出て再び急降下すると着水をした。

気がつくと私達はどっかの海辺に辿り着いていた。
普通に考えたら太平洋沿岸側なんだけど。
「あれは何かな?」
私がナッツにきくと彼女は無情にも「ググれば」と言った。
「スマホも何にも持っていないのに探せるはずがなかろう」
なんか焦げた色した筒状のふたつの建屋からヤバそうな煙と水蒸気が濛々と出ているんですが。部分的には水色の壁面が残っている気がしないでもない。
そう思いながら建屋の周りを回っていたらふたりの若い男性が出て来た、しかしどこか変だ、2人とも全身の肌が妙な薬品で焼かれていているかのようにただれていてふらふらとしながらそれぞれ私たちにしがみついて来た。
「ちょ、ここはどこ?何があったの?」
私にしがみついて来た男に聞いてみたが反応はほとんどなかった。
「ボクらはもうだめだ、でも童貞のまま死にたくはない、が・・・」
私達にそんなことを言われてもと思ったがナッツは私に「逝く前にせめて望みを叶えてあげようよ」と言った。
私も仕方がないなぁ、と思いつつその男性に抱かれてやる、いや、その男性を抱くことにした。今まで隠していたが私の正体は淫魔だ。いやいや、そんなロリキャラな淫魔なんてあり得ないだろうって、仕方がないだろ!私は過去にとんでもない禁忌な行為を繰り返してその罰としてこれ以上の肉体的性成長を禁じられている。
こんな見た目でもマンゴーは一応熟しているんだよ。

私は彼のズボンのチャックをおろして前開きのパンツの隙間から慎重に大事なものを取り出していた。
予想通りそのズボンとパンツの中にあったそれさえ酷くただれていて硬く大きくなる事は不可能だと感じられた。
中の海綿体の毛細血管はズタズタに切断されて無理にこすったりしゃぶれば亀頭部の割れ目から大量に出血しそいな気がする。
私は自分の指をすべて使い自分のアナにつながる道をひろげた。
もちろんそれだけじゃダメだ。
極力に彼のモノが触れないほどアナ自体の径を大きく広げて彼のモノを慎重に皮が爛れたそれに触れないように内部に奥深くまで誘い込むとその先、亀頭が私の胎の入り口に軽く触れた。
私のそれは程よい刺激を伝えて来たが彼のそれを締め付けたくなる衝動を必死に抑えて、ゆっくりと優しく包み込むように少しずつ穴の径をしぼめていった。ちょっと軽く触れたかなぁ?と思った時点で彼は顔を激しく歪ませ苦痛のせいか全身をけいれんさせていた。
「これじゃあまるで男女の立場が逆転しているみたい」
もうひとりの男性の相手をしているナッツが言ったが多分彼女が相手にしている男性も似たような症状だろう。
こんな状態ではピストン運動なんて絶対にご法度だ。
わたしたちは緩やかに自分のアナの径が彼のモノを潰してしまわないように慎重に拡げたり狭めたりを繰り返した。
やがてそれは弱々しく私の中にわずかばかりの精液と大量の出血を流し込むと完全に萎んでしまった。
「中で一体何があったの?」
彼を私の身体の上に乗せて耳元で囁いてみる。私が上に乗ると簡単に潰れてしまいそうな気がした。
呼吸がとても弱々しい。人工呼吸のつもりで吸い込んだ息をそのまま重ね合わせた唇同士からゆっくりと送り込む。
もしも私にそれで彼を蘇生出来るスキルがあったらどんなにか良かっただろうか?

やがて彼は息も弱々しくなり脈も弱々しく速くなりだした。
別れ際に私は「最後の相手がこんな微妙なこどもでごめんね」と言ってあげると彼は両目から赤い涙を流して口から大量の吐血をすると動かなくなってしまった。
「そっちはどう?」と私はナッツにきいてみた。
彼女は首を横に振って呟いた。
「吐血と鼻血、弱々しい最初の一回だけ、出血の方が多かった・・・」
彼女もそこから先は言葉には出来ないようだ。
「なんか危ない気がするけど、中に入ってみる?」
私はナッツに提言した。
中でどんな惨状が起きているのかわからなかったが今、この建屋の中に入れるのは世界中のどこを探しても私とナッツのふたりしかいないと確信が持てた。

建屋の中に入ると誰もいる気配がなかった。
正確に言うと「生きて動いている」人たちという意味でだったが。
「屋根が吹っ飛んで、空が見えるね」
ナッツが言ったセリフに対して私は「そうだね」としか答えようがなかった。
あちらこちらで配管が破断していてそこから勢いよく水蒸気が噴き出していた。
強烈な放射線はそこら中から漏れていた。
クソ大きな黒い釜の上部も吹っ飛んでいて大量の湯気を出していたけどそれも弱まりつつある。
「ちょっと様子を見て来る」
ナッツはそう言うとその釜の上端まで一気に跳び上がって中を覗き込んだ。
「酷いものだよ、中に水がほとんど残っていない、燃料が溶け落ちて、そこに申し訳程度の水が太いパイプから降り注がれているけど焼け石に水だよね」
なんでもなさそうにナッツは言うが常人がそこに立てば一瞬にして蒸し焼き状態になって釜の中か外に落下するんじゃないの?知らんけど。
「外もめっちゃ暑いけど中はどうなんよ」
私はナッツにきいてみた。
「うーん、灼熱地獄って感じ?中に20人くらい倒れているけど防護服の中は炭化しちゃって人の形をなしていないと思うよ」
時々ナッツは感情というものが欠落しているんじゃないかと思う時がある。まあいつもじゃないんだけどさ。
どうやら防護服がその用をたしてないほど多種多様な放射線が防護服を貫通したということかもしれない。
「炉の下の溜まった溶け落ちた塊が大きめなプールの水を沸騰させて水蒸気にしている感じね」
私は炉の下部の壁に手を添えながら言った。
良い子は真似しちゃダメだよ!
ヤケド程度じゃ済まないからね!
というかもうここ自体が地獄の一丁目って感じじゃない?
いや一丁目は既に建屋の外でこの建屋の中はもう地獄の二丁目か?
「なんでこんなことになったか春雨ちゃんならわかる?」
いきなりそんなことをきかれても私にわかるはずなどない。
「ってか、ナッツ、あんた今どこにいるのよ」
妙なノイズというかさっきから炉の中の金属の長い棒が妙な振動していてうるさいので声を大きくして聞いてみた。
「えーよく、聞こえないんだけど、炉の中にいるよ、その金属の棒を上下に動かす機械が止まっている感じ?、ちょうど電力需要が多くなっていてかなり上まで引き上げられていたのかな?そんな感じ」
ナッツは自分自身では理論立てて説明しているつもりだろうけど私には全くと言って良いほど伝わって来なかった。
「そこに大きな揺れの地震が来たって感じかな?」
なんでそんなことがわかるの?と突っ込みたかったがどうやらさっきから断続的に発生している金属棒の振動は余震によるものかもしれない。
「今度はかなり大きいから気をつけて」
ナッツが叫んだ時は少し身体がふらついたかな?という程度だったが次の瞬間にはすでに私の身体は激しく建屋の壁に叩きつけられて次の瞬間には再び炉壁に叩きつけられたかと思ったら再び建屋の壁に叩きつけられ、それを何度も繰り返させられていた。
「これはヘビーだわ」
私がそう言った時は自分の頭蓋骨が砕けて大量の血を噴き出していて、胸から背中を直径が30ミリほどある金属パイプが貫いているのが見えた。
「ナッツ、無事なの?」
私は叫んだが返事はない。
しかし、しばらくして脈絡のない返事が返って来た。
「事故の最大の原因は想定を大幅に超えた加速度の横揺れね、間違っても津波なんかじゃない」
「そんなことを聞いているんじゃない、ケガの状態よ」
私は叫んだ、しかし、しばらく返事がなかった。
「跳ねて来た棒がお腹に突き刺さってもう大変」
跳ねて来たってどんな状態だろうか?
「自分で引き抜くから、よしょって、でも血まみれだな、いやこの棒自体がすっごいエネルギー放出していて熱いなんてものじゃないから血なんてすぐに炭化してもえちゃっているんだけど、うああ、もう臨界超えちゃっているね」
ナッツは言いながら自力で出て来た。当たり前だけど普通の人間ならとっくの昔に(以下略
私もそろそろ復元が完了していた。
「どうするよ、この溶けた燃料の塊、ほかっておくとやばいし放射線汚染の元凶だよ」
私が言うと簡単にナッツは言った。
「おし、太陽のど真ん中に転送しよう」
えらい簡単に言ってくれるけど問題は無いのか?
「他の炉も似たようなものだろうか?」
私が言うとナッツは一気に建屋の上を飛び回りあとふたつの炉にも処理を済ませて来たようだ。
「まあ世界何大珍事の数が一つ増えるだけだけど、ここの責任者達はどこに行ったんだろうか?」
私は疑問に感じただっけだったけどナッツにとってはそれは確認するまでも無い出来事だと言う。
「制御室に行けばわかるよ、責任感のある人は被曝してほとんど死にかけているし、無責任な連中はどこか安全な場所にトンズラしている」
それよりもナッツにとっては許し難いことがあるようだ。
「安全な新世代原発って知っている?あれ聞いた時思わず笑っちゃったよ」
話が全く見えて来ない、新世代ってサーマルとかそう言った類だろうか?
「まあここらに充満した放射線量もあたし達にはお美味しいご馳走になるんだけどさこの世界はとんでもない『ウソ』をご馳走にしているのも居るわけで」
ナッツは言うと思い制御室のハッチを開き中に入った。
まだ外よりは放射線量は少ないようだったが中の人も無事とは言い難かったみたい。
私と一緒に制御室に入ったナッツはうずくまってのたうちまわている作業員ひとりひとりに触っていくと彼らは呼吸を安定させて眠り始めていた。
「まあ障害は結構残るだろうけど人並みには生きられるんじゃないかな?」
ナッツは最後のひとりに触れて容態を安定させると本来そこに居るべき最高責任者の席を睨みつけた。
「多分彼は今政府要人達の前で言い訳をしているところだろうけど許してあげるものか」
珍しくナッツは美少女の美しい顔を歪めて言い放った。
彼女は何も言わなかったがそいつがどんな目に遭わされているかは容易に想像がついた。
そいつの身体中の血液に大量の放射性物質が次々と流れ込んで被曝、そして大量の吐血と下血で即死、そしてその部屋にいた大物政治家や原子力規制委員会の人たちも少なからず被曝は免れられないだろう。
「さあてと食事はすんだ事だしここにある車盗んでどっかに行こうか?」
ナッツはそう言うと制御室建物の隣に停めてあった一台の車のキーロックを勝手に解除してエンジンをスタートさせた。
「あんた、春雨も言っていたけどさ、私も口先だけの奴、大っ嫌いなんだ」
まあそれは多分私が真田くんに言ったセリフだとは思うんだけど。

車は東方向に向かい走り出していた、いたけど。
「あのぉ、ナッツさん」
私は疑問に思う、果たして中学生が車を運転して良いものかとききたかっただけなのだけど。
「私、今すごく機嫌が悪いの!死にたくなかったら声をかけないで」
もう某南九州の原子力発電所を出てからめちゃくちゃ機嫌が悪いのかほとんど口をきかなくなっていた。

「あたし、原発ってのが大っ嫌いなんだよね」
突然、口を開いたかと思えばそれですか?
「まあ地震大国にあんなものがたくさんあったり、戦争始まったら真っ先に攻撃対象になるとかリスクの塊だもんね」
私はなるべくナッツのトゲトゲした神経を刺激しないように言ったつもりだった。

「よく原発推進派が原発は資源に乏しい日本に向いているとか、発電量に対するコストが安いとか言っているけど、あれ全部ウソだからね」

「どうせあんたも中坊に何がわかるの?なんて思っているでしょ?でもあたし逹くらいのトシじゃないと見えないものもあると思うのよ」
いえ、ナッツ様、私もあなたと同様に中学生なんですが?と言いたかったが逆鱗に触れそうなのでそれはやめた。

「そもそも原子力発電所は『麦国』が起源だった」
はいはい、それは重々理解しています。
「でもそれは国内ではたちどころに需要は飽和して減産せざるを得なくなった、そこで目をつけたのが」
「はいはい日本をはじめとする海外への輸出ですね」
私はそことなく話を合わせたつもりだった。
「しかし『麦国』内で事故や不祥事が続けて発生してそれをテーマとする映画まで制作される始末となってしまい、より一層の減産を迫られた」
「そこで『基本ライセンス』を押さえたまま各国に改良型の原子炉、及び発電システムを開発させた、それじゃあ日本を代表する3大原発メーカーがどんなに誠意工夫して頑張っても黒字化するどころか赤字になってしまうのも当然、だって新規建設するたびに麦国の元会社にゴッソリと基本ライセンス料を持っていかれちゃうからね」
ブスッとした顔をしながらナッツは言いながらコンビニの駐車場に車を停めた。
「それはどんなものでもあるんじゃない?何も原発に限った話じゃ、エンジン1基しかないポンコツステルス戦闘機とかもそうだし」
私は口を挟んでから後悔した。どうやら逆鱗に触れてしまったようだ。
「どうして最近になってこの国の原子炉の稼働期間を次々と20年単位で延長するようになったかわかる?それも最悪2度目の40年ものまで」
「いや新しく建設する金がないとか?」
「そんなのあり得ないでしょ?、沖縄の建設費がいくら金がかかるかわからない基地だって、オリンピックのバカ高い施設だって万国博覧会の施設やリニアモーターカーにだって湯水のように金使う政権だよ?新しく作り直す理由がないなんてあり得ないでしょ、しかも最小限だけは建設をすると言う、これ本当にどこの国の設計かしらね?」
うーんそんなことを言われてもなぁ。返答に困る私に代わってナッツは答えた。
「新規に建設すれば莫大な金額の基本ライセンス料を請求されるからよ、いいえ、今はもっと別のライセンス料も発生しているかもね」
私とナッツはコンビニで素早く買い物を済ませてすぐの国道に出た「あとどれくらい走れそう?」
そうきくとナッツはすかさず「せいぜい50km」と答えた。

それからふたりはしばらく沈黙を続けたが口火を切ったのはやはりナッツだった。
「ねえ、今『麦国』でメルトダウンしない原子炉の開発が進められているって知っている?」
「うんにゃ、知らない、でもそんなのが出来たら万々歳じゃない」
私は思わずポジティブに反応してしまった」
「バカねぇ、そんなの絵に描いた餅に決まっているじゃない」
いや、詳細を聞かされる前にそんな事を言われても。
「今の棒状の燃料棒と制御棒の組み合わせはやめて球状の核燃料を制御棒の代わりになる金属で球状に包む、その金属は燃料の核反応による熱上昇にも耐えられるからメルトダウンはあり得ないって触れ込みだけどマユツバだらけでさ」
「どこがよ」と私。
ナッツは左手をハンドルから離して人差し指を立てた。
「まずそのマリモ状の燃料球体をどうやって造るかよね」
金属を溶かして包みながら固まる前に中の燃料が臨界に達したら大変な事になりそうだし半球ずつ作ってくっつける工作をしたところで同じ懸念が生じる」
そして中指も立てた。
「もしも臨界を起こさない状態で作るのなら完成後どうやって臨界に持っていくのか?そのまま熱する?そうすれば今度は内容量の膨張で金属のカバーが破損してしまう可能性もある」
そして薬指も立て言う。
「計画ではそれらを水槽の中にたくさん入れた対流させて今の原子炉のように運用すると言うけどそんなに上手く対流するものかしらね?」
さらに子指も立てて言った。
「当然球体同士は激しくぶつかり合うことも予想しておく必要があるよね、その時、燃料を包む金属体は破損しないといえる?」
さらに親指も立てた。
「もしも激しい揺れの地震に遭遇した時、当然だけど中の燃料球体も激しくぶつかり合うやはり金属体の破損の心配もする必要がある、だけど配管の破損や容器の損傷などで冷却水が空になったら燃料球体の中の熱はどこにも逃げようがなくなる、おそらくはその熱に金属体が耐えられなくなるまでに?いいえそれ以前に燃料自体が熱膨張を続けてその圧に金属の球体が耐えられなくなり破裂する可能性も考えなきゃいけない」
そう言いながらナッツは左手をハンドルに戻して右カーブに対応させた。
「そんな物騒、と言ったら言い過ぎかもしれないけど麦国本国の国民が開発に同意するわけがない」
「と言うことは売り込み相手は当然、他国に対してという事になるか、でもそんな怪しげなものを買う国なんて」
あった。ろくに調べもしないで、ポンコツ戦闘機やらガラガラ可変ヘリを爆買いした国が。
「まあ麦国のその技術者にとっても日本はとってもありがたい実験場あり金づる、いいえATMね」
そう言ったナッツのセリフが数日間は耳から離れなかった。

ハルサメとナッツ2日本の海、金鳥の川内  終わり

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