下界(パラレル)13日本列島生物化計画7

下界(パラレル)13日本列島生物化計画7
2023/05/02校正更新
毎回とは限りませんが今作はエログロ描写や官能描写を多大に含みますので20才未満の閲覧はご遠慮してくださいね♪
なお現実と烈しく乖離している部分が多いですよ

「あきねえ、なんでスマホのナビアプリを使わない?」
ハルに言われてハッとした、なんで私はこんな便利そうな存在を忘れていたんだろうか?
「あー、私これのパスワード忘れて使えなくなっていたんだ」
つい大声で叫んでしまったがそれを見て急にハルは大きく吹き出し笑いをし始めた。
「あきねえってどこのご老人様ですかぁ?でもそう言えば誰かさんは孫がたくさんいるって言ってましたもんね」
笑い出したは良いがもう止まらなくなってしまったようだ。
しかし私にとっては彼女の沈んだ顔を見させられるよりは例え自分がどんなに私を馬鹿にしたような話題でもこうして大声で元気よく笑ってくれる方が嬉しい。
「まあ安心してください、あきねえ、もう富士インターチェンジの入り口までは把握(はあく)済みですから」
彼女は自身たっぷりにいう。
もうこうなったらカーナビも自動運転支援機構も必要なくね?って気さえしてくる。
なんか横で見ているとハルは隣や前後の車のちょっとした挙動でハンドルやアクセル、ブレーキ操作に対応しているっぽい。
もう一国(国道1号線)に入ってからかなり経つ。少し早いけれどそろそろお腹が減って来た頃だろう、そうだろ?ハル?
私が握ったおにぎりが食べたいと言いたまえ。
私は実際にはそんな事は言った覚えがないのだが何故かハルは私を睨みつけるとムスッとした顔で言った。
「あきねえの素手で握ったおにぎり食べるくらいならコンビニの1週間賞味期限切れのカビの生えたおにぎりを食べた方がよっぽどマシです」
そ、それはひどいんとちがうか?いくらなんでも。
「せめて素手で握ったおにぎりは食べたくない程度にしてよ」
私が言うとハルはさらに怪訝な顔をして言い放った。
「あきねえ、署を出る時、素手でこの車のオイル交換をしたそのままの手でおにぎり握っていましたよね?マジで信じられないんですけど?」
え?そんなにまずい事だった?確かに手は洗っていないけどちゃんとキッチンタオルで両手についた油を拭き取ってから握ったよ?
「もう、クレンザーでちゃんと油を落としてから普通のハンドソープで洗って欲しかったところですけどね、あきねえどっちもやっていないでしょ?」
うん確かにそうだったかもしれない、でも
「カストロールオイル味のおにぎりも案外いけるかもしれないよ?」
私は言ってしまってから後悔は後には立たない事を思い知らされた。ハルの見事な左ストレートが私の右ほおに命中していた。
「あたしはナナちゃんの塩おむすびを2個食べますからあきねえはそのカストロールオイル味の焼き肉入りおにぎりを4個食べてくださいね」
冷たく言い放たれてしまった。せっかくハルのために100g 450円の高級ブロック牛肉を入れてあげたのに。
そう思いながら私はベンツ箱(ベンツセダンの形をしたお弁当箱)からそのおにぎりを一つ取り出して頬張った。なるほど、確かに鉱物油の味がしないこともない、だが何故だろう少し気分が悪くなって来た。
「うん、さすがにちょっとヤバかったみたい」
私にはひょっとしたら学習能力というものが大幅に欠落しているのかもしれない。
1個目までは食べたがさすがに2個目までは無理だって気がして来た。一応私の体はどんな毒も有害物質も分解して無害なものに変える能力は持ち合わせていたが変なものを食べているという気分だけはどうしようもなかった。
「もお、あきねえったら無理しないでそれの残り次に入るコンビニで捨てちゃってください、あたしの塩おにぎりをひとつあげますから」
ハルに言われてキッチンペーパーで包まれた塩おにぎりを私は頬張った。マジで死ぬほど美味かった、いや表現が不適切か?生き返るほど美味しかった。なんか必要以上にしょっぱかった気がしたのは気のせいだろう。
途中で寄ったコンビニナナちゃんで塩おにぎり2個とミックスサンドふたつ、そして炭酸水を2本買ってそのカストロールオイル味のおにぎりをさりげなく可燃ごみのゴミ箱に捨てて再び私たちは一国(国道1号線)を走り始めていた。
それらを飲み食いした直後、私は深い眠気に襲われた。いつの間にかハルは私の方を向きながら横になって太ももの上に頭を置いてパーカーを捲り上げるとあらわになった右乳房の乳首を咥えて咀嚼を始めていた。
なるほど、さっきは左乳首だったこら今度は右乳首か、バランスがいいな!
なんて言っている場合じゃない彼女に吸われている間に私は深い眠りに堕ちていた。

ー富士山のマグマ溜まりがね、結構やばい事になっているのよー

聞き覚えのある思念が突然に入り込んできた。

ー今までがどの程度のマグマ溜まりだったのかがわからないけどその膨らみ方が尋常じゃないのー

誰だか思い出しにくいが金髪の爆発ヘアのイメージが浮かんだ。

ーそれ透視して確認した結果なのか?ー
ストレートの黒髪を胸まで伸ばした娘。

なんじゃそりゃあ、と言いたかったがそれが誰かは明確にはわからなかった。

ーそれで私たちのスパコン様は何時くらいの噴火を予想しているのかしらねー

毛根から毛先までレインボーに変化する輝くストレートの髪を腰まで伸ばした美少女に対して外側に跳ねた赤髪を肩まで伸ばした少し目つきの悪い子がいじわるそうに訊いた。

ーそんなことわかるわけないじゃない!心臓みたいに脈動しているマグマ溜まりなんて私だって初めて聞いたわよ!ー

それは小田井署で聞いた話とよく似ていると思った。
それは決してあのJK国会議員秋子の言っていたことはハッタリとはいえなかったという事なのか?

ーそれだけじゃないのよ!この辺の火山帯が人間の内臓や血管みたいに繋がっているのよ!伊豆諸島の火山帯、箱根山、遠いから確認はできなかったけど御嶽山も同様に激しく脈動しているのが確認出来たわー

ほぼ間違いなく『日本列島生物化計画』、火山のマグマ溜まり同士がつながり心臓のように脈動していると秋子に聞かされたアレだ。

ーそれは私の間が間違ってなければこの日本列島での実験段階、何が目的か知らないけどさー

「ハル、この声たちの主が今どこにいるかわかる?」
私は目を覚ましてハルの頭を撫でながら訊いて見た。

ー富士インターチェンジから東名高速に入って浜松方面に移動中
、車は元々は滋賀県警の護送車シビリアン、今は静岡インターあたりを走行中、清水インターチェンジの少し向こう辺りから、黄色い車に追われてるー

「もう既にすれ違っているのか?1番近いインターはどこだ?」
私が言うとハルはむっくりと起き上がって両手でハンドルを握って運転に集中し出した。
「あきねえ、ちょっと飛ばしますからね」
ハルはそう言うとアクセルペダルをグッと踏み込んでハンドルを巧みに操ってジグザグ運転で次々と先行車を追い越して行った。
速度計は60から100くらいの間を行ったり来たり繰り返していた。回転数計は・・・もう知らん!
「ヤバいですね」
唐突にハルはつぶやいた。と同時に空から見たシビリアン、護送車のイメージを送って来た。
通常走行でも120km/hがやっとの非力な車を1台の黄色いスーパーカーが追いかけていた。さっきから執拗にシビリアンを追いかけ回しているようにも見える。

私の手はパーカーのポケットからスマホを取り出して画面を操作していた。無意識のうちに操作を始めて8人にグループ送信をしていた。

『今、あんたたちの後ろにピッタリつけている黄色い35GT-R、めっちゃヤバだから気を付けて』

少し間を置いて返信が入った。

『防弾仕様でロケットランチャー持っているとか?』

まさかいくらなんでもそんな事ないだろう、と思いながらハルの横顔を見ると真顔で首を縦に振っていた。それだけでなく左手で素早く私の手からスマホを奪い取ると瞬殺で返信をした。

『それもあるけど対エスパー仕様、念動力も、透視も、花奈のエネルギー化能力の直接攻撃が出来ない、ちなみにそこにいるお腹の大きな亜希や『G』が投げる鉄球も簡単に弾き返されちゃうよ?対戦車砲でさえ弾き返す特殊車両だからね』

え?っと疑問に思った。なんでそんな奴らに追われている?と言うかなんでそいつらの事情に関して私より知っている?

ー間も無く後ろから追突をされてシビリアンは大きく尻を振り危うく中央分離帯のガードレールに激突しそうになるー

助手席の窓を全開にして身を乗り出してロケットランチャー構えている男がいた。

火を噴いて真直ぐにシビリアンを目指して飛んで行く飛翔物が見えた。
ほぼ命中かと思われた時にコンクリートの塊が斜め横から降ってきてロケットはそれに命中して爆発した。

ーなるほどねあの車自身に対しては念動力とかは効かないけど一旦離れて仕舞えば何とかなりますってことなー

ー香織、時間操作であの車から少しでも離れられないかい?ー

ームリ、運転で精一杯!ー

「切羽詰まっているんじゃね?」
私はインター入口で窓を開けて発券機から通行券を受け取るハルに向かって言った。

確かに追い詰められている感じはしている。
速度計はほぼ一瞬にして180km/hの限界を簡単に振り切っている。

ーどうやら時間を遮断するシールドがかけられないみたいー

ー急接近してきた35GT-Rに追突されて大きくケツを右に振って走行車線側のガードレールに左フロントを激しく擦り付けた。今ので左側のヘッドライトが死んだようだ。ー

ー視界の左半分が失われてしまった。ー

ーねえ、これって一般道だったら絶対に殺されているよねー

「シビリアンのエンジンがミッドフロントシップで良かったようだな」
確かに、リアシップエンジンなら火を噴いていたかもしれない。
私がつぶやいている間にも春はジグザグ運転を繰り返しながら次々と先行車をごぼう抜きにしてゆきして黄色いスーパーカーに迫りつつあった。
やはり近くで視認してもいわゆる35GT-Rだ。
ノーマルの初代シルビアでは出せない領域、恐らくは200km/h越えの視界が私を圧倒していた。
シビリアンも35も共に右レーン、追い越し車線を走っていた。
「おいおい、左からの追い越しは道交法違反だよ!」
注意する間も無く私達が乗った初代シルビアカスタムは意図も容易く35GT-Rを追い抜くとシビリアンに横付けにした。
「ハル、窓を全開にしてハンドルとアクセルは私がなんとかするから」
私はハルにいうとシビリアンの連中にメッセージをグループ送信をした。

『スライドドアを全開にして、運転手をそっちに乗り込ませるから!』
送信ボタンを押す前にハルが叫んでいた。
「あたしが飛び込むと同時にスライドドアをを閉めて」
ハルはハンドルから手を離すと身を乗り出してシビリアンの中に飛び込んだ。
私はアクセルを緩めながらハンドルを軽く右に切り35GT -Rの前に飛び出すとさらにフルブレーキングしながらシビリアン車内にテレポーテーションをした。

「月輪、念力でエンジンキル、それから花奈は搭載している残り少ないガソリンをエネルギー化して」

ハルは叫ぶとシビリアン内にテレポーテーションして来た私とアイコンタクトを交わした。
私は急激にスピードダウンして追っかけてくるGT-Rに激突する瞬間を見届けるとどんどん離れながら火球に包まれていくまで確認していた。

「驚くようなことじゃないよ、あれにエスパー攻撃は効かないけど物理攻撃は有効だからね」
私はそう言ってからさらに補足した。
「もうちょっとシルビアがGT-Rに近づいていたら花奈のエネルギー化も無効にされていたかもだけどね」
もちろん後悔に近い感傷がないわけじゃない。
結構入手するのには手間と知り合い、とは言っても国会議員の娘なのだがJR国会議員の倶名尚愛と同じ党所属前田愛理の娘の前田リナという幼女のつてで入手して彼女の手によってさらなる改造が施されていた。

「にしてもシルビアにロータリーエンジンを搭載した試作車をオシャカにしたのはもったいなかったかな?」

そこで私に幾つかの疑念が生じ始めていた、何故私は会った事もない倶名尚愛なるJK国会議員や前田愛理、そして娘の前田リナをよく知っている気がするのは何故だろうか?
他にも十数人知っている人がいる気がする。

まず最初に銀髪の爆破ヘアの少女が目に入った。赤い瞳を持っていて透視能力がある。
そして透視で見えたものに対して念動力攻撃ができる。
身長は今は132cmAカップ、名前は文月輪。

続いてストレートの黒髪を胸まで伸ばしているGカップクラスの巨乳だが同時に股間にAV男優も真っ青な立派な巨根を持っている点が特徴だがこれといって大した能力はない。強いて言えば本来なら睾丸がある位置に女の子の穴を隠し持っていることだがこいつはブラックホールなったりホワイトホールになったりしているので触れないでおこう。
名は冬河銀(とうか ぎん)、身長は152cm標準的な中学生女子、いや、女男子か。

そして身長156cmCカップ、普通の目立たない娘、肩より少し伸びた栗色のストレートヘア、見た目にはおとなしくて優しそうな女の子。
ただし彼女が持つ能力はかなりエグい。
狙った物体を好きな量(人体も含む)エネルギーに変換する能力を持っている(E=失った質量×光速の二乗)
まあ平たく言えば人間核兵器みたいなもの。
名前は確か夏乃花奈(なつの かな)

続いては胸まである、黒髪ストレート、身長165cmFカップの美少女、時間を自由自在に操る能力があるらしいが詳細は不明。
名前は春香織(はる かおり)

そしてサディスティックな目つきをした少女、身長は160cm前後、肩までの外に跳ねた赤髪 エネルギーを物質化できる。核爆発のエネルギーを質量に変換して固有の相手にぶっつけたり転送に使う事も出来る。要するに夏乃花奈と真逆の能力を持つのだがこいつが1番厄介なのは他人の首筋や額に数本の指でタッピングをしてコントロールコマンドを打ち込み自由に操れる操れる能力も持っていること。
そしてさらにそれをそのターゲットにも与えられる事により二次的に操作可能な人間を拡張可能なこと。
マクロ的に簡単な命令で複雑な遠隔操作も可能。
全身を未来の世界で義体化して生身の体はほとんど残っていない。
名前は秋種加世(秋種加世)

そして私が1番気にかけている少女、性に関しては影の人格上では実年齢の13(25才以上)以上の知識と実体験あり、とは言ってもここにいる少女達が全員非処女だと言われても驚く気はさらさらないが、彼女達はそれほど危ない橋を渡って生きてきたと思える。ショートカット、名前の逆さ読みを気にしている。
うん、確かに間違っても逆さ読みは問題だな。
身長?cm、?カップ、体型や顔、などは自由自在に変化できる特技を持っている。その気になれば50代のオヤジになることも可能だな。
ただし彼女は自身が排卵期に近づいた時のみ身長123cmの幼女体型になってしまう。それでも下半身は普通に思春期の女の子なのでその時に男性と性交渉を行えば(強制的に行なわされれば)普通に高い確率で妊娠してしまう。
願望実現達成能力(倶名尚愛の40倍、こいつに死ねと思われたら〇〇〇〇に秘孔を突かれたやつとか変なノートに名前を書かれた奴のように確実死んでしまう、機械に対しても可能、上記の能力により自由自在に身長や体格、顔、などを変えられる。カメラなどにもそのように映るのでセキュリティもフリーパス。ただしこれらの能力は排卵期には全て無効、使えなくなる。肝心な時に使えない役立たずな能力とも言える。(強制的に妊娠させられる可能性があるから。
本人曰く一度妊娠させられてしまったらその胎の中の子が生まれるまで排卵期の状態は続くという。
実は過去に2回ほど孕まされて十月十日その状態が続き雲隠れをしていた時期があったと聞いた。その子は体重も身長も通常児の約半分くらいの小ぶりな赤子だったらしい。ただし自力で出産したがすぐに消えていなくなったとのことだ。
しかし私はなぜこんなにも彼女のプライベートな事まで知っているのだろうか?
ちなみに名前は可奈野椎(かなの つち)

今まであげた彼女達は普通に女子中学生らしい身長だし歳もおそらくはそれくらいだろう、だが以下のふたりはその限りじゃないんだ。

まずそのひとり、胸までの黒髪ストレートヘア、細い目が鋭くて怖い、物理を無視した念動力、最大重量12トンの物を音速22で飛ばすことができる。身長170cmDカップどう見ても高校生どころか社会人だね。
彼女の名前は水無月海(みずな つきみ)

そして最大の問題児が佐原観萌(さわら みもえ) を名乗る少女。
意外と理論派、腰まで伸びたストレートの茶髪、身長175cmDカップ、眼が大きく緑がかったハーフ、計測不能なほど思考速度が速いためヤマカンだけで動いていると思われている。
しかしそのほかにも人外的な能力を多数持っていて電車に轢かれてミンチになった状態や高熱で焼却されて灰にされた状態でも短時間で蘇生してしまう。その場合は毛根から毛先までレインボーにグラデーションがかかったかのように滑らかに変化する輝く髪の毛が無制限に伸びてしまう。眉毛やまつ毛も同等だ。
実は他の7人の姉妹の能力を全て持ち合わせているとも言える。私が彼女に対して違和感を感じているのはそこなんだよね。

彼女達は私と一緒に九州中の火山のマグマ溜まりとその活動を調べてきた仲だったがこのシビリアンには私と一緒に乗り込んできたハル、こと春雨の他にもう5人乗り込んでいた。

そしてあと3人、会ったことがないと言うべきか、記憶にない5人が乗車している。
5人のうち三人ともどう見てもお産間近の妊婦さんにしか見えなかったが衝撃的だったのはそのうちのひとり、私にそっくり、いや、私そのものとしか見えない女性が腹を出産間近に大きくしていることだった。

「あの、実に言いにくいことだけど、あなたは私ですか?」
すごくバカなことを訊いていることくらいは私も自覚ぐらいはしている、でも声に出して訊かずにはいられなかった。
「見れば分かるでしょうが」
と冷たく言うお腹の大きな私。でも何だか苦しそうな小さく呟くような蚊の鳴くような小さな声。
「あなた達は同一人物であって、同時に全くの別人だから」
髪を肩よりも少し下まで伸ばした利発そうな女性が言った。
見た目は利発そうだが頭は回転していないように見えた。
「もうしばらく休ませてもらってからでいいかな」
ショートカットの少女がやはり苦しそうに口を開いた。
3人の年齢は分かりかねたが3人が3人とも体調がかなり悪いのは事実なように見える。どうやら臨月に近いからではなさそうだ。
全くしゃべれないことはなさそうだが床に転がってお腹を庇うように丸まっている。

「えーと、私によく似た奴も含めてお腹が大きい人が3人いるのは何で?」
たまたま近くにいた少女ふたりに聞いてみた。
「まずはあんた、亜希の記憶が曖昧、というかほとんど消えている理由だけど、並行世界を何度も移動してきたからだと思うよ」
少し小柄だけど髪の毛の短い褐色の肌をした気の強そうな美少女が言った。
彼女は私の額に左手の人差し指を突き立てると何やら呪文のような言葉を呟いた。
その時私の中に彼女の名前が閃いた。
「あつこ」
そう口にした途端に私の中に失っていた記憶が次々と湧き上がってくる。
私の中には始祖と呼ばれる少女が棲んでいる。あの忌まわしき『さぬきがわ学園で実験体にされ排卵誘発剤を投与されて人口精子を教師達に何度も中出しをされて受精卵ができたと同時に体力に限界が来て死に至った生徒、いや児童犯罪者である少女がいた。
彼女の死体は死姦マニアに何度も陵辱されていた。
私はそれを見過ごすことが出来ずに自分の体にその体と浮遊していた残留思念ごと取り込んだわけだが。
一方彼女の中に出来た受精卵はいくつか、何組かの遺伝子操作を施された後にそれぞれ12個の受精卵に複製化されてオリジナルの受精卵は凍結保存された。
12個の受精卵はその時に『さぬきがわ学園』に入学させられていた少女達の胎に強制着床させられて出産をさせられ軍人あがりの教師達によって殺戮マシーンとして育て上げられた。
それが奴らがいう『A』から『L』という少女達。
なのだが実は他にも12人組の少女達による殺戮マシーン達が6組以上は存在していた。
彼女達は別の非行少女達を同様に陵辱することによって受精卵製造目的で利用されたに過ぎなかった。
A』から『L』までの12人を含む100人近い少女達の肉体はこの星に数万年以上前から棲んでいた種族たちと交配が可能な肉体を持っていた。
彼らは元々は一つの巨大な精神エネルギーの塊だったが人類が哺乳類が進化した時点で発生した人類の誕生前からその精神エネルギーから派生した特殊な生き物であり先住民だった。
しかし彼らは特殊すぎる故に他の通常の男女の交配による子孫の存続を行うことが出来ずにいた。
一言で言うなら雄のアレがあまりのも立派過ぎたのと雄が雌の成長を待ちきれずに強引に交配行為に走ってしまうことが原因とも言えた。
しかもある禁忌行為をおこなってしまったが故に死ぬことのない身体を得た代償に他の生物との交配が出来なくなってしまっていた。
彼らの『さぬきがわ学園』での実験の目的は自分達と交配が可能な少女達のほとんどが生殖器の成長な発達の速さを念頭に遺伝子操作が行われていたようだったと聞く。
しかしほとんどの組の少女達の身体は彼等と強制交配させられたのちにすぐに自壊の道を歩み始めた。それは仲間同士の殺し合いだったり謎の脳細胞崩壊による死が原因だった。
それは性的な成長を含む肉体の異常なまでの大人になる速さに比べて頭脳、特に精神面での成長の遅さが生んだアンバランスさが災いとなったと言えたかもしれない。
実はG班の『A』から『L』に至る12人組は他の組とはあらゆる意味で戦闘力と頭脳は最弱ではあった。
故に同じ児童矯正支援機関である『こじろう学園』の生徒の襲撃を受けほとんどの並行世界では惨殺されるか慰み者にされて全員が自ら死を選んだ。
しかしたった一つ、いや正確には3つの並行世界で異常事態と言うべきか奇跡が起きていた。
3つの並行世界とも『G』を産んだ少女が『G』と共に施設の脱走を試み惨殺されたこと。
そしてそのひとつの『G』が母体もろとも惨殺された事。
残りのふたつの世界では『G』は生き延びたはずだったがひとつの世界では『A』から『L』までの全員が何者かの仕業によって拉致誘拐された。
そして『G』のいない世界でも少女達はやはり他の並行世界と同様に『こじろう学園』の男子達の襲撃を受けて全滅した。
ただひとつ、『G』のいる並行世界のみが『こじろう学園』の男子達と対等、いやそれ以上に圧倒的な強さを見せつけ撃破した。
そしてその結果に驚き感嘆した彼ら、先住民達は彼女達と(強制)交配をして孕ませることを考えた。
事実彼らは数人に孕ませることに成功して彼女らに出産までさせたらしい、もっともそれははっきりと実証はできないことだったのだが。理由は妊娠させられていた間の彼女達の記憶が曖昧になっているためなんだけど。
ひとつだけ確かなのはたったひとり『G』だけは彼ら12人を逆に孕ませてしまった事らしい。
それが先程の文月輪から佐原観萌の8人。
そして今やっと思い出したが親友のJK衆議院議員である倶名尚愛、同じく別の党であるもののJK衆議院議員の山﨑秋子、そしてJKルポライターの楓凛、最後に内閣調査室勤めの草薙敦子を合わせて12人であっている気がするんだけど気になるのはたったひとり、佐原観萌のみ異常なまでにスペックが高すぎる事だ。

そして他のメンバー、『G』を除く何人かが孕まされて出来た可能性がある少女達に先程の『かなえ』と『あつこ』である可能性だってある。もしかしたら私が途中で拾ったハルこと、『春雨』だってそのひとりかもしれない。

「亜希、もしかしたら佐原観萌は『G』の娘じゃないかもいれませんよ、むしろ春雨さんでしたっけ?むしろ彼女の方が『G』の娘じゃないのかと思うけど」
『あつこ』が唐突に指摘してきた。
確かに言われてみれば彼女のいう通り観萌はあまりにもスペックが高すぎるとは思う。
そしてもうひとり、謎の人物として『さとみ』が存在する。

いかん、いかん、話が脱線し過ぎた。
どこまで行ったっけ?
「今、私たちの目の前にいて腹を大きくして苦しんでいる3人の妊婦もどき『G』と『B』、そして私のそっくりさん、いや、私自身なんだろうけど恐らくは他の並行世界から来たと思われる3人はなぜ今、私たちの目の前にいるかどうか?だろう。

「ごめんなさい、私はずっと今までウソをついていました、私、佐原観萌は佐原観萌ですが『さとみ』でもあります」
え?ここで今カミングアウトする?
私を含めて全員がそう思った事だろう。
「まず目の前にいる3人のお腹の大きな方達は他の並行世界からやってきた『B』と『G』、そしてあなた自身、並行世界の亜希です」
「えーと、さすがにそれは話が飛躍しすぎ」
私がいうと観萌改め、さとみは構わずに続けた。
「あなたの時間線、並行世界ではほとんど、事はうまく運びました、いろいろな偶然が良い方向に働き、由紀と有希はあなたの中に取り込まれそれによりこの寄生体の存在が明らかになりました」
そう言われたらそんな気がする。
「あなたが無責任にも彼女達をふたりの人間に分けて異世界の姉弟と意識を重ね合わせて人体改造してふたり共に男と女の生殖機能を持たせて姉妹同士でバッコンバッコンと子作りに励めるようにしてしまったのは誰でしたっけねぇ?」
いや私そんな記憶ないし、それとこの3人と何の関係が?と思ってから私はハッとした。
あれは全てが私たちに都合がいいようにことが運び過ぎた。
山崎秋子は愛人さん人によって暴走してモンスター化はしたが常に私たちの味方となってその結果、偽さとみを始末してくれたり悪魔、いや人類よりも前から存在する12体のモンスターの始末(殺戮)にも成功して異世界からやって来たミミズメカのプロトタイプを始末(破壊)する事で南海トラフ大震災も数多くの原子力発電所事故、そして国民のほとんどの生命を保護するために彼らをお腹に抱え込んだ3人もそれらがなかったことになり3人とも元の容姿に戻れた。
「しかしその他の時間線、並行世界ではそんな幸運がひとつでも欠けた場合は悲惨な結末しか待っていなかった、そして今目の前にいる彼女達は1番最悪な結末を迎えた世界の彼女たち」
観萌、いや正しくはさとみは自分の目前に巨大な半透明のスクリーンを出現させると幾つかの文字列を数行表示させた。

1、ミミズメカの一部反乱も起きず日本は周囲の大国の基地や都市を含む主要施設を破壊し続けた。その中には麦軍の在日基地なども含まれていた、その結果、全世界大戦戦勝国は日本に対して敵対国条約を発動してほぼ全部の核兵器保有国から核弾頭を備えた弾道ミサイルが日本に向けて発射された』
2、そのため日本にある54基の原子力発電所の原子炉及び燃料備蓄施設が全て破壊され日本を2度と生命が住めない国に変えてしまった』
3、日本の人口のほとんどを自分達の胎に収めた亜希と『B』『G』だったが能力のほとんどを彼らの保護に使い果たした彼女達に自分らを即死レベル放射線量から身を守る能力がほとんど残っていなかった』
4、保護した国民の中には今だに周辺国を敵対視するものが多く、同胞である同じ胎にいる国民に対してさえ敵意や殺意をむき出しにするものが多くそれが毒となり3人の免疫力と体力を著しく奪ってしまっている』
5、モンスター秋子は暴走するだけで味方になるどころか攻撃を仕掛けて来た』

「つまりこのままいけば彼女達3人の命は勿論のこと、日本国民が全滅するであろうことは確かなんです」
さとみはそう説明したが『かなえ』はさらに付け加えた。
「この国の歴史に100のルートがあるとすればほぼ95%に当たる95のルートが絶滅であり、あなたが勝ち取ったたったひとつのルート以外はいくつかの国に分割支配されたり、人口の90を失ったり、ろくな未来がないです」
「まあこの国の国民が選挙でろくでもない連中を選んだ結果だから仕方がないよね」
『あつこ』は皮肉たっぷりに言ったが笑える話ではないのは当然だ。

「それで他国にケンカをふっかけた連中はどうなった?どうせ他国の軍事産業の保護のもとでのうのうと生きているんだろうけどな」
月海が苦々しく言ったが『かなえ』は首を横に振って言った。
「彼らが逃げ込んだ先は銃社会であり、決して黄色人種に優しい国じゃないわ、それどころか今回の件で日本人に対して敵意を剥き出しにしている麦国やその他元同盟国の人たちも数えきれないほどいるはず、何も関わりも持たない普通の日本人には気の毒だけど殺害や暴行の対象でしょうね」
しばらく沈黙が続いた後に月輪が口を開いた。
「でもどうせ奴らは国民から搾り取った金を大量にばら撒いて護衛を雇って守ってもらえるんでしょ?それに下手をすれば同じ周辺国の黄色人種も狙われることになるんじゃないのですか?」
それに対して『あつこ』は思わず失笑してしまったようだ。
「東洋人はみんな区別がつきにくいというのは都市伝説だよ、喋り方、体の動きやクセなどで簡単に見抜けてしまう、しかもそれまで支配階級にいた彼らは独特な雰囲気を醸し出しているからね、どこにも逃げ場はないよ金を受け取るだけ受け取ったら後は放置だね」
「まあそれが今の自称愛国者の成れの果てだけど今の問題はそこじゃない」
口をはさんださとみにハルはつぶやいた。
「それよりもこの3人の手当の方が優先というわけですね」
「うん、火山帯のマグマ溜まり同士の結合と脈動は気になるけど今はこの3人を死の淵から引き戻すことが先決ね、念のために聞いておくけど富士市を出るまではまだちゃんと動けて喋れていたんだったよね?」
いたんだよね?ってあんた観萌としてその場にいたんじゃないのかよ?と私はツッコミたかったがどうやら観萌とさとみは別人格と見るべきかもしれない。
「そして日本の火山帯のマグマ溜まりの脈動化と各火山のマグマ溜まりの結束化は残った最悪のケースのひとつかもしれないですね」
「あ、香織さん、そろそろ私と運転代わりましょうか?私ならノーライトでも運転できますから」そう言ったさとみはいつの間にかいつもの観萌に口調が戻っていた。

下界(パラレル)13日本列島生物化計画7終わり

下界(パラレル)14日本列島生物化計画8

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