下界Part13

下界Part13

毎回とは限りませんが今作はエログロ描写や官能描写を多大に含みますので20才未満の閲覧はご遠慮してくださいね♪
なお現実と烈しく乖離した描写がめちゃくちゃ多数ありますことをお断りしておきます

私の名前は冬河銀(とうか ぎん)と言います。
3月なかば現在は中学1年生で13才です。
もう何度も言っているような気がするので適当に自己紹介すると『巨乳持ちの巨根持ち』です。
一応普通の女の子が持っているような穴を巨根の裏、普通は男の子の金〇のある位置にあったりします。
しかし性欲のおもむくままに、うかつに挿入してから得体の知れない異空間に飛ばされても文句は言わないでくださいね、ということです。
気がついたら「きさらぎ駅」とか「次元の狭間」に飛ばされているかもでーす。(笑)
あとは顔が良い!と言うことくらいしか取り柄がありません。
学業の成績はかなり悪い部類に入ります。
sleepをひつじと誤訳してしまう程度の知能だと認識していただければ幸いです。

私たちは護送車仕様のシビリアンに乗って既に目的地についているんだけど今のところ秋種加世(あきくさ かよ)、(13才、中学1年生)からの指示は全くない。
肩までの外に跳ねた赤い髪とエネルギーを物体に変えて好きな空間に転送させたり音速以上の速度で飛ばしたり、エネルギーのまま転送出来ちゃうできるかなりヤバいやつ?
わかりにくいかもだから一例を挙げると。
彼女めがけてギガトンクラスの水爆弾頭ミサイルを発射した某大国爆撃機がいたとするよね?
その爆発エネルギーを物質化してそれを音速以上の速さでその爆撃機にぶつけて撃墜させちゃうとか。
あと加世の周りにキノコ雲は発生しないでなぜかその某大国の首都に巨大なキノコ雲が立ち上ってその首都が全滅しているみたいな。
あと人の身体の一部に触れて数本の指でタッピングすることでその人の脳にマクロプログラムを打ち込んで自在に操れることが出来るらしいんだ。
怖いよね(^◇^;)

まあ『ゴキちゃん』と佐原観萌(さわら みもえ)ちゃん(13才、中学1年生)があれだけ痛めつけてくれたんだから当分は仕掛けては来ないと思うけど普段はおとなしそうに見えた観萌ちゃんが怒るとあそこまで強くなるとは正直思っていなかった。
いつも医療器具がぎっしりと詰まった大きな黒いボストンバッグを持っていてBQ(ブラック・クィーン)などと呼ばれている。
それと頭の回転が早すぎて時々トンデモ理論を言い出すことがあるのは問題だと云えば問題かな?
まあ後は大した事じゃないけど身体の再生能力が異常に高い、
もしかしたらシュレッダーにかけても次の瞬間にはしれっとして紅茶を入れているかもね。
問題なのは髪の色とか長さとか顔とかプロポーションが人体破壊されるたびに別人になってしまう事らしいけど些細なことだよね!
当然医療資格なんて持っているはずがない。だって13才だもん。

彼女の恋人は1年先輩の水無月海(みずな つきみ)さん(14才、中学2年生)なのだがまあ馬鹿力、というか念動力なんだけど最大20トンの物体を音速30以上の速さで飛ばせるようになったらしい。
まあ能力の方も育ち盛りということか?ちなみにふたりとも身長は170cm以上あってわりとそこそこ巨乳なので中学生には見えないね。
もちろん土木関係の資格なんて持っていない。だって14才だもん。

そして忘れちゃいけない可奈野椎(かなの つち)ちゃん、(12才、中学1年生)、基本的にショートカットで身長は123cm、アンダーAカップを誇るがこの娘の能力は『願望実現達成能力』、ようするにこんな自分になりたいとか、こうなればいいのにとか強く願えば実現してしまうという、ある意味1番怖い能力、身長や体重、プロポーション、顔なんて思いのまま改竄しまくりだし、宝くじや賭博も当て放題、だけどこの娘の能力には大きな欠点があって生理の数日前、排卵期あたりには全く使えなくなっちゃうんだ。
だからおじさん達、気をつけてね。
「お、グラマスな俺好みの美女だぜ」とか言ってホテルに連れ込んでやりまくっているうちに排卵期に入ってホテルの防犯カメラに幼女を犯している危ないおじさんとしか見えない映像して記録されかねないからね。
もちろんそうなったら妊娠する可能性だってあるから要注意ね。

次に私の大事な恋人達を紹介するね。
私の恋人1号、春香織(はる かおり)さん、(13才、中学2年生)、おっと最近14才になりましたね見た目はどこかのお嬢様に見間違えるほどお淑やかですが怒らせるとかなり凶暴になるよ?
身長は今は167cmくらいかな?胸まであるストレートの黒髪結構巨乳の部類に入るとは思うけど私には負けるよね?
特技は奥歯のスイッチを入れると稼働する加速装置。
じゃなくて時間を操作する能力、というと時間を止める能力かって思われがちだけど実は逆、自分を中心とした一定空間内の時間の進みを極限までに速める能力らしい。
その時に自分の周りに断層が生じてしまうのだけど他の人と接触する時にその人を中途半端に巻き込むと相手の身体が衝撃波に当てられたようにスプラッター状態になるらしい。
怖いよね。怒らせちゃダメな人だよ。

そして夏乃花奈(なつの かな)、(12才、中学1年生)この子も3月中には13才になる娘、身長は今は158cmくらいかな?多分だけど胸はまあまあだけど私は好きだな、大体大きければ乳の出る量も多いとは限らないって昔の三武将のひとりの偉伝に書いてあったしね、織田信長だったかな?徳川家康だったかな、
で彼女の特技は所構わず爆睡出来ることかな?
公園のベンチだろうがM電車のロングシートだろうが金山駅北の某ミニステージの上だろうが当たり前のように爆睡をする。
そして目を覚まして神のお告げみたいな事を言って再び爆睡をするのだが実は彼女の場合は意識のみを未来にトリップさせていくつかある可能性のうち1番実現する可能性が高い未来を見てきただけに過ぎない。
問題なのはまだ彼女が小さかった頃はそれでも良かったがもうすぐ13才になるというのに風でまくりあがったスカートの中のパンツが丸見えだという状態でも平気に爆睡していることなんだけど。
『お願いだからズボンを履いて』と何回も言っても全然聞いてくれないのは困ったものだと思う。

今、私たちは護送車を降りてちびっこ公園なる場所で休憩をしているのだが早速爆睡を始めている。
滑り台とブランコくらいしかない小さな公園だけどさっきから自転車みたいなのに3才くらいの女児を乗せて遊ばせに来ている30代くらいのお父さんが目のやり場に困っているよ?
いい加減に気がついてよ。
あの女の子くらいの小さい年頃の時の花奈じゃないんだからね。
そう、私はあのタンクローリーの事故の日に始めて花奈と出会った、と思い込んでいたけれど実はもっと前から私はあの子のことを知っていたんだ。

そう気がついた次の日、香織さんの母親が殺された時の話題が持ち上がっていた。
5年前のタンクローリー事故、これは明らかに花奈が関わっていた。
もしもあのバス停に花奈がいなかったら私たちはもっと早くパン屋に到着していて、タンクローリーの全右タイヤがバーストするという異常事態は起きずにパン屋の建物の中にいたであろう私と香織さんと母親を含む全員が死亡していた。

では次のタクシー運転手が交差点待ちで心不全を起こして死亡した件。
もしも香織が途中で家に帰りたいと駄々をこねて引き返さなかったら運転手の心不全は高速道路を走っている最中に起きたことになる。
香織さんの勘が的中したといえばそうかもしれないがそれとは別に私の脳裏に気になるワードがいくつか思い起こされていた。
私はもう一度亜希に代わって志乃さんの話を聞きたくなった。
彼女は結構私と話が合うかもしれない。
「タクシーの運転手は心不全と検死報告があったって聞いたけどなんとかノートに名前でも書かれたんですかね」
それを聞いた志乃さんは思わずくすくす笑い出した。
「まるでどこかで読んだマンガみたいな設定ですね、彼は心疾患がなくてペースメーカーなどの類も一切つけていなかったはずなんですよね、だから公安が言い張っていたように突然心臓が停止したという証拠はなかった筈なんですよ」
「それよりもいくら急性とは言ってもなんらかの前兆があったはずなのですが、急に動作が怪しくなったとか、ハンドルを握る手が震え出したとか、異常な量の汗を流し始めたとか、お母さんから何か聞いていませんか?」
観萌ちゃんが疑問をはさんだ。
「それに関してはあまり聞いてないんですが・・・そう言えば事情聴取の後で『交差点で待っている最中にビクッと跳ねるように動いたっきり動かなくなったのを思い出した』と言っていました」
香織さんが思い出したようにいうと志乃さんは首を傾げた。
「初耳ですね、警察関係者にその話はしましたか?」
「母もあまり気にはしていなかったので、いけませんでしたか?」
香織さんがすまなそうにいうと志乃さんは
「とんでもないです、普通は気にしない事ですから、こちらこそ父が至らなくてすみません」
と逆に申し訳なさそうに言う、みならい刑事の亜希とは大違いだよ。
「香織さん、ごめん、私、あの日嘘を言っていたかもしれない」
私の言葉に香織さんは少し驚いた顔をしていた。
でも少しすると苦笑いを浮かべて私に言った。
「銀は嘘を言っていませんよ、ただ忘れていただけですから」
そして続けて言う。
「忘れてしまっていたのは私も同じなのですから」

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私はあの日、近所の公園で遊んでいた。
遊具は割と多い方だったと思う。
滑り台、ブランコ、シーソー、ジャングルジム、アスレチック的な何か、全部まで覚えてはいなかったけれど長い板を使って10人以上同時にまたがって遊べるブランコがあった。
その日は朝早くからの雨があがったばかりでほとんどの遊具が水浸しになっていて遊べる状態ではなかった。
その中でもいちばん濡れていたそのブランコにうつ伏せになって身体を横たえて眠っていた女の子がいた。
白い半袖のブラウスにななめにシマシマもようの短いスカート、水玉模様のパンツが丸見えだった。
起こそうとは思ったがためらった。
見知らぬ女の子だったし、当時私は人見知りが激しかった。
今思えばの話だけれど・・・
「起こしてあげたら」
髪の毛の長い黄色い雨ガッパを頭だけかぶらずに着た女の子に声をかけられた。
今思えばこの娘が香織さんだったんだろうがその時は普通の女の子にしか見えなかった。
私がためらっていると彼女はシーソーの上で寝ている女の子の背中を揺り動かして起こそうとしていた。
しかし何度ゆすっても起きる気配がない。
「あなた近所の子?」
遠慮なく話しかけて来るその娘にたじろいでしまっていた。
近所といえば近所なんだろうけどその子のいう近所がどれくらいの近さを指しているのかわからなかった。
「ああ、言わなくてもいいわ、あなたもどうせ話がしにくいと思っているんでしょ?こわいとか言われてるし」
そう言いながら女の子の身体を揺すり続けていたが一向に起きる気配がない。
「かぜひいちゃうね」
なぜかその一言だけはいえた。
その瞬間、私の体は砂場に突き飛ばされていた。
シーソーで寝そべっていたはずの女の子が立ち上がって急に左うでを突き出して私を突き飛ばしたのは理解した。
理解できなかったのはそのうでのひじから先が破裂して真っ赤な血を吹き出していたことの方。
にもかかわらず、かけよろうとしたレインコートの子に「来ちゃダメ」と叫んでいた。
シーソーから飛び降りると今度は何かを掴むように右腕を突き出して今度は肘から上から真っ赤な鮮血が飛び散った。
とてもさっきまでシーソーの上で眠りこけていた子とは思えない鋭い動きと険しい眼差しが何か動いているものを追っているように視線を動かしている。
「かおりさん」
彼女がそういうと今度は両足が破裂してその場に崩れ落ちた。
「もう夢で見た予想とズレてる、守るの無理、すごく早く動いている奴を目で追って、とめて」
女の子が叫んだ時、私は両手を広げて彼女の目の前に飛び出していた。
「見ているものを追って」
そう言った瞬間、「かおりさん」と呼ばれたおんなの子のすがたが消えていた。

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「あれはさすがにこたえましたね」
香織さんが言うと私も同意するより他になかった。
今考えるとあれはまさしく痛みを伴うVRスプラッターを3〜4才の子供が体験するとどうなるのか?
そのお手本みたいなものだったと思う。
「その頃私はまだ小学生だったと思いますが・・・」
志乃さんは言いながらスケッチブックに文字列を書き込んだ。

小田井第二公園猟奇(かまいたち)事件
死亡 20〜30代男性(全身の至る箇所で血管が破裂、失血死)
重傷 3才女児(心肺停止状態で発見、全身に不可解な傷)
   3才男児(腹部や両手などに深い裂傷)
   4才女児(右足太腿、左肩、腹部に深い裂傷

「その後捜査の努力の甲斐もなく犯人逮捕どころか目撃者や揚力な手がかり、証拠品ひとつ見つからなかったと聞かされました」
志乃さんの一言に続き
「時間操作能力」
香織さんはボソリと呟いた。
「なんで忘れていたんだろうね」
彼女の目がうつろに泳ぎ出した。
「私もそれから数年過ぎてから父の書斎で捜査資料のコピーを見ただけですがこの事件以降、この付近で連続して起きていた若い女性や少女の不審死事件が止まったことは確かなんです」
志乃さんはその下に書き足した。

第一公園 A子さん(23才)頸動脈、心臓、および子宮破裂
3丁目  B子さん(15才)頸動脈、心臓、子宮破裂、肩の骨脱臼
市道3号 C子さん(11才)子宮破裂、骨盤骨折、脳内出血

「これって時間操作能力を粗雑に使用した強姦事件じゃ?」
香織さんは3人の被害状況を見てすぐに理解したようだ。
でもなぜ?まさか幼女や男さえも性欲の対象にするような変態さんだったのか?
「実は目撃者がいたんです、と言っても犯人を見たわけじゃなくてまず花奈さんの左腕から大量に出血するところから始まって最後に血まみれになった4人が倒れるまでの一部始終を見ていた当時女子高生だった人がいたんです」
つまりその子が被害に遭っていた可能性もあったということかもしれない。しかし・・・
「なぜそれが後になって」と香織さんが呟いた。
確かにその人が目撃者だった事を言い出せなかった理由はわかるほとんどホラー劇場のようなシーンを見せられておびえない女性はいないだろう。
「それはその人が今から1年前、そして公園の事件から8年近く過ぎた時、周りには人も大勢いたはずの休日の真昼の公園でレイプされそうになったところを小学生高学年くらいの女の子に助けられたと本人は言っていたのですが、心当たりはありませんか?香織さん」
そう言われた香織さんはしばらく考え込んだ後に『あ“』と言ってからなぜか花奈を見た。
「はい、確かにそんなことはありました、近所の幼稚園の先生でしたよね?、あの時は珍しく『時間操作』に関する禁忌事項をよく知っているなとは思ってはいました」
花奈はそれを聞いて何かを思い出したかのような表情をした。
「本人の証言によると『急に後ろから抱きつかれて押し倒されると顔をを胸元に押し付けられて荒々しい息を吹きかけられ胸を揉まれながらスカートを捲り上げられて下着を引き摺り下ろされそうになったところを助けられた』とありました」
「あ、そうですね、確かあの時はその犯人に蹴りを入れてそいつが『時間操作』を解除するまで左顔面を殴りまくった記憶があります」
「そう、しかもそれはただの強姦未遂事件じゃなかった、被害者だった彼女がいくら叫んで助けを求めても誰ひとり助けに来なかった、いいえ正しくはそこにいた誰一人として動いていなかったという事です」
志乃さんはさらに続けた。
「周りには目撃者が必ずいるはずと担当の刑事、私の父なのですが聞き取り調査をしても不自然な目撃情報しか出てこなかったんです」
「確かに被害者が押した倒されたところを目撃した方は曖昧な記憶のも含めてですが2〜3人いました、しかしほとんどの人が衣服が乱されて泣いている被害者の姿とその横に顔をボコボコに殴られた男が仰向けになって寝転がっているところを見た方達ばかりだったそうで」
あれ?そこまでやっちゃたの?
「だってあそこまで生々しい、被害者視線のイメージを送られたらつい怒りが抑えられなくなって」
香織さんがボソリと呟いた
「それを被害者の女性に伝えたら昔自分が見た怪奇現象と同じだと言う事を話し出したんですね」
と私。
「まあほんの一瞬だけ被害者が見た少女の面影があの時のひとりに似ていたと言う理由もあったみたいですがね」
志乃さんは言ってからしばらく考え込んでから香織さんに質問した。
「どうしてあなたはあの公園にいたのですか?」
香織さんは花奈の顔をチラリと見た。
「愚問でしたね、質問をかえます、どうして花奈さんはその女性の危険をイメージ出来たかわかりますか?」
花奈は少し複雑な顔をして言った。
「いつも遊んでくれていた同じアパートのお姉さんだったからです、場所も特定できました」
「その人が知っている花奈は表向きは押し入り強盗に刃物で殺されていたことになっていたからその場にいても顔はだせなかったんですよ」
私も一つだけ補足した。

「銀、確かに私もスッキリした、タクシーの時、急に帰りたくなった直前、あの時確かに高速道路で事故に遭い私がリアウインドウを突き破って車外に放り出されて後続車に撥ねられるイメージをみていた」

「フィレオフィッシュバーガーの食中毒の時も手足が痺れ出してお腹が痛くなって吐き気がして息苦しくなって椅子から転げ落ちるイメージを見たそして一酸化炭素中毒死事件の前も」

「どうやら一件落着見たいなぁ」
月輪ちゃんが軽いノリで言ったがなんとかの矢に関してはスッキリしなかった。
「あれねぇ」
あれはさすがに花奈ちゃんの予知夢でも防ぎきれなかったでしょう?、なんせ相手は静止衛生軌道上、そこまでは想定外でしょ?
「あたしの予知夢はいつも被害者視線だから」
ボソリと花奈ちゃんがつぶやいた。
「そっかぁだから花奈ちゃんはそのときは自分(香織)が炎に包まれて焼け死ぬイメージしか見えなかったんだね」
月輪ちゃん、は続けて言う
「わたしの旦那の時と一緒だね、その時はわたしも旦那の跡をついて行くのをためらって、旦那だけ先に燃やされて、結局自分も燃やされちゃったけど」
他の人はスルーしたみたいだけど私だけそこは引っかかった。
確か聞いた話だと、あ、でも確かに最初に会った時に亜希も月輪ちゃんも自分で年齢不詳だと言っていた。
「もうひとつ視線が追加されたわけだね、香織視線で香織の母親が焼かれて死んでから自分自身も焼かれるイメージ」
唐突に亜希がしゃしゃり出てきて言った。
「少し違うよ」
花奈が口をはさんだ。
「香織さん母娘が同時に燃やされる可能性が消えた事でもうひとつイメージが浮かんできたの」
「それが私に出かける前の香織さんをなんとか理由をつけて引き止めることになったんだね、でもお母さんはどうしても止められなかった、大事な用事だからキャンセルは出来ないって」
私は言った。
「でもそれだと私と香織さんが同時に焼き尽くされるイメージになるんじゃ?」
「もちろん、でもそのイメージの時銀ちゃんと香織さんはどこで何をしてたのかなぁ」
花奈ちゃんに指摘されて私ははっと驚いた、それはどうやら香織さんも同じようだった。
その時のイメージではふたりは庄内緑地公園付近に出て必死になって逃げるようにして走っていた、しかし交差点の信号が赤に変わって立ち止まらざるを得なかった。
その次の瞬間に歩道に乗り上げて駐車してあった白い高級セダンが真っ赤になったかと思った途端に爆発炎上した。
そして次には
「私の上から光のような何かが自分を焼き尽くすのをショーウィンドウにうつるのをもながら焼け死ぬイメージ」
私がそういうと花奈ちゃんはその次に続く私のセリフを期待しているかのように見えた。
「確か上空からの攻撃なら地下に潜れば大丈夫かと思ってたまたま目の前にあった地下鉄の入り口に」
私がそう言った時に亜希が『パチッ』と指を鳴らした。
「市営地下鉄鶴舞線!、銀にしちゃいいアイデアじゃないの、おまけに乗り換えとかしたら次に地上に出て来るのがどの駅かかいもく見当もつかなくなる」
「そーだねぇ、それで銀ちゃんとセットの可能性もどちらか片方の殺害をする可能性も消えちゃいました、そこで浮かんできたのが」
「花奈ちゃん、つまり自分自身の死のイメージ」
私が言うと花奈ちゃんは「せーかい」と答えた。
「あたしはいつもの公園のベンチで寝そべっていたからねぇ」
そう言うと続けて言った。
「私の事、みんなからすごいバカだって思われているみたいですけどね、本当は兄の教科書で勉強していたりしていたんですよ」
この場にいた全員が凍てついたかと思った。
『それお前のイメージと違うやろ』と言うのが本音だが観萌ちゃんだけは驚くどころか『計画通り』みたいな悪い人の顔をして笑っていた。
「上空からの攻撃をして来る静止衛星を点Aとするとその時あたしがいる位置を点B、そして香織さんのいた位置を点Cとする、加えてお母さんが焼かれた位置を点Dとするならおのずと簡単に位置なんて割り出せるわけですよ」
いかにも誇らしげに言っていたがなんか変だ、大体静止衛星軌道は高度36,000Km、たかだか1Km前後の位置の違いで照射角度の情報も無くしてそう簡単に位置なんて特定できるはずもなく・・・
「ずるい!カンニング」
私は思わず叫んでいた。
やはりと言うか当然と言うべきか?観萌さんが絡んでいたようだ。
「花奈ちゃんのイメージはかなり鮮明で情報量も膨大に多いですからね、花奈ちゃん自身は自覚していないんですが私が見れば視点も画角も色々自在に変えられるんですよ」
あーやっぱりさっきの悪い人の顔はそれが理由だったんですね。
「それで、もしかして月海さんに庭の石を念動力で飛ばして破壊したって言うんじゃ?」
やりかねないから一応確認してみた。
「まさか、そんなことしたら『某国の飛翔物体が我が国の重要な人工衛星を破壊』なんてニュースになって大騒ぎになってしまいます、ですから花奈ちゃんにイメージを送り返してそれをエネルギーに換えてもらっただけですよ」
すました顔をして言ったがどれくらいのエネルギーだろうか?
「大した量じゃないですよ?核兵器換算でたかだか20ギガトンくらい?」
ちっともたかだかじゃなかった!
「でもそれって日本の防衛軍所有の重要機密施設ですよね?そんなことしちゃって大丈夫なんですか?」
私が言うと観萌ちゃんはやはり悪い人の顔でニッコリと微笑んで言った。
「あんなのがあってもろくなことないし、近くに同型の静止衛星が5つほどあってそれも全部巻き込んじゃったみたいだけど全然問題ないですよ」
観萌さんはそう言うが本当に大丈夫だろうか?
「それにしても花奈ちゃんと観萌さんはいつから知り合いなんですか?」
思わず聞いてみた。
私はここのメンバーの繋がりは
私(銀)ー香織さんー花奈ちゃん

観萌ちゃんー月海さんー椎ちゃん
そして
月輪ちゃん、いやさっきの話の流れだと元亭主持ちみたいだから月輪さんと言うべきか、それぞれ別のグループに分かれていたとばかり思っていた。
「それを説明しようとするならあの加世さんとの関わりから始めなければなりませんね」
その時の観萌さんの口調は穏やかだったがその瞳は激しい憎悪が満ち溢れていた。
「実は花奈ちゃんがお義兄さんに襲われてから拉致された一件も彼女が関わっていたようです」
観萌ちゃんが言うと月海さんも同意したように続けた。
「実は椎も花奈ちゃんと同様にと言うかあたしたち3人もターゲットにされていました」
「ちょっと待って、『加世は未来から来たんじゃないのか?』って『ゴキさん』も観萌ちゃんも言ってましたよね?どういうことですか?」
「よくあるタイムリープものかなぁ」
秋はそう言ってから『チッ!』と舌打ちをして続けた。
「あいつらもう介入はしないとか言いながらなんべん約束を破れば気が済むんだよっ!」正直言って何の話をしているのかわからなかった。
「それは私達ひとりひとりを産んだ人たちのことですか?」
観萌はそういうといつの間にか自分の隣に座っていた『ゴキちゃん』に向かって喋りかけていた。

下界Part13終わり

Part14に続く

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