逃走8

逃走8
2023/06/22校正更新
私は誰?シリーズの以前書いた前哨ストーリーです。

毎回とは限りませんが今作はエログロ描写や官能描写を多大に含みますので20才未満の閲覧はご遠慮してくださいね♪
なお現実と烈しく乖離した描写がめちゃくちゃ多数ありますことをお断りしておきます

続き

「どうやって?」
秋子がきく。さらに凛(りん)が落ち込んだ表情になる。
「すごい不本意だが・・・ベッドで」
「はぁ女だよ?あいつら_LGBTは全力否定じゃなかったのかよ?それともあのばあさん、あんたが女と知っていて抱かれたわけか?」
大笑いしながらあいおねえちゃん、それを聞いてさらに落ち込む凛。
「いや、そのあんたんとこのジェンダー問題で騒がれているほとんどの女性議員と・・・」
寝ちゃったのお?さすがに私も信じられない、と同時に吹き出してしまった、もうだめ、限界、なので。
「ちょっと車を路肩に停めるね」
私はハザードランプを点滅させると車をファミレスの建物すぐ隣に停めた。
店内から私たちの様子がよく見えるようにだ。
「誰かと待ち合わせでもしているのか?」
凛からのごもっともな質問。別に待ち合わせてなんかいない、むしろ今、顔を合わせたくない奴らだ。
しかしそれはあちら側からしても同じことだろう。
「動きはなさそうですね」
と秋子お姉さん、しかし何か勘違いをしているようだ。
「え?敵さんじゃないの」
うんあいおねえさまも勘違い(かんちがい)しているね、でも用心する必要はなかったようだ。
そこに見慣(みな)れた二人の姿はなかった。
「ほう、さっきから店の中の誰を探しているのかな?」
いやその見慣れた姿の声の主が背後から急に声をかけてきた、父親の前田新作だ。
「はーい、せごどんでーす」
同じく聞き慣れた声、愛理ママだ。
「・・・・・あの、愛理ママ、元総理の言い間違えネタはいらないんですがなぜここに」
私は振り返ることなくママに対してツッコミと質問を同時にした。
「そりゃあリナがここにきて欲しいって念力を送ってきたからだろうに」
かなり違う気がするが父新作はそういうと運転手席ドアに回り込んできて怪訝(けげん)な顔をした。
「リナったら、またそこに立っているということはまた無免許運転をしてここまできたのか?」
ごもっともな指摘(してき)はありがたいが私は積み重ねられた前世と言って良いかどうかは知らないが記憶上は運転歴50年以上のベテランドライバーだ。もっともそんなことを言っても誰も信じちゃくれない。
「あ、これは今変わったばかりでついさっきまであいおねえさまが」
苦しい言い訳を試みるが「あたし無免許」の一言で簡単に梯子を外された。
「あ、違った、秋子姉さんが・・・・・」
バックミラーを見ると思いっきり大きなバッテンを両腕を使い表現していた。
「じゃ、じゃあ凛が」
「リナちゃんった凛さんだけは呼び捨てにするのね、いつの間にそんなにも仲が良くなったのかしら?」
愛理ママが不気味なほど温厚な笑みを浮かべながら言う。
こんな時の彼女は想像を絶するほど怒り狂っている。
「あなたが噂(うわさ)に聞く凛さんね?、うちの可愛いリナちゃんにいつもいつも危険極まりないおもちゃを与えてくれてどうもありがとう」
危険極まりないって・・・・・与えられたのは今乗っている車、いわゆるレクサスの改造車くらいで他はあなた様、愛理ママが買ったレクサスLF-AとかGT-Rとかくらいなものなんですけど。
「それにしてもパパリンがうちに買ってくれたそっけないアルファベット三文字のスポーツカー、なんで買ったか記憶にないんですよね」
愛理ママは言うがそりゃそうかもしれない。
だいたいあの二台はママがパパとの交際期間中にママが議員活動で疲れて半分居眠りしたような状態の時に私が無理やり意識を乗っ取り契約してしまったものだ。
ママが覚えていないのも無理はない。
どうやらママ的にはコペンのような可愛い軽自動車が欲しかったようだが保守系第一党の議員がそんなものに乗るのはけしからんという話になって 国産の高級車を党幹部から勧められていたらしい。 
「危険極まりないおもちゃねえ、私に言わせりゃ女の子の体そのものも危険極まりないと言えないこともないんだけど」
私は誰にというわけでもなくつぶやき空を見上げた。
曇っているわけでもないのに星一つ見えない夜空だった。
「それよりもこの車は私が運転するからリナはパパの車に行きなさい」
私を抱き上げ車外に下ろしながらママは言い凛を睨みつけた。
あ、やばい、凛は間違いなく詰問される。
「ね、ねえ、凛も私と一緒にパパの車に来る?」
無駄とわかっていても誘いをかけてみる。
あの凛がものすごく怯えた目で私を見ていたからだ。
「何言ってるのリナったら、LF-Aに三人も乗れません」
キッパリ言われてしまった。
うん、GT-Rで来てくれたんじゃないのね。
「それに念のために内閣調査室直属の公安について来てもらっているからもう安心よ」
そう言ってママはウインクをしたがその安心はどの程度のものだろうか?
せめて白いRX-7とかで常温リニアの軌道上に飛び込んだりそこで走っているリニアカーとカーチェイスしたりマグナム44で飛んでいるオスプレイを撃ち落とせるくらいのスキルがある人が良いのだが(倶名尚愛注:そんな奴はいない、というか出来ない)
「とりあえず安心していいのかな?」
あいおねえちゃんはそういうとためいきをついた。
「うーん、その保証はないかも」
私は少し考えてから言った。手配された公安メンバーの実力はあまり当てにしないほうが良さそうだ。
だってあいおねえちゃんにしても愛理ママにしても党の中ではさして重要なポジションにいない。
党本部にしてみれば「命を狙われてます」「はあそうスカ」「マヂです!マヂなんです」などと言ってみたところで信じちゃもらえないだろう。
運良く信じてもらえたとしても今、手の空いているいわゆる頼りないどっかの警備保障会社のアルバイターが派遣されておしまいだろう。
「ねえ愛理ママ、パパの運転するLF-AでF-1レーサー級のドラテクを持つドライバーが運転するFORD-GTから逃れられると思う?」
一応きいてみた。
もちろん答えはわかりきっている。
しかしそれはあくまでも最悪の事態を予想してでのことで並のドライバーという可能性もある。
ただ一つだけ確かなことがある。
愛理ママの運転では並以下のドライバーと軽自動車という相手側にとっては最低最悪の条件でもほぼ確実に追いつかれてしまうであろうことだ。
それは愛理ママの運転が下手だということではない。
ただ私専用に凛が改造したこのレクサスセダンの操作系が特殊すぎてまともに運転できるものなどいるかどうか、いや、いないだろう。
もうすでに誰かが説明してしまっている人がいるかもしれないがこのレクサスセダンの操作系にペダルというものがない。
当たり前だ。
4歳児である私の体でペダルなど踏めるはずもない。
だからこの車はハイブリッドからさらに一歩進めてシリーズハイブリッドという構成をとっている。
いや、正しくは一歩後退させてかもしれないな。
エンジンは車輪の駆動には一切関わることなく発電に徹していて車輪駆動はモーターが行なっている。
だからというのもあって操作感覚は殆ど電気自動車そのものであり、それを逆手にとって電車と同じ操作系を採用している。マスコンで加減速、停止をコントロールする仕様となっている、というのもあって実はクラッチペダルがないのはもちろんのことブレーキペダルもアクセルペダルも省略してしまった。
そんなの普通のドライバーが運転出来るわけない。
出来ないよね?
出来るやつって言ったら私と某漫画の公道レーサーくらいでしょ。「ぶっちぎる、ですぞ」とかいう決め台詞が主人公の、そうまるでゆで卵のような容姿の。
あれ?少し違ったかもしれないな、けどまあいいっか。
「というわけで愛理ママ、奴ら、追っ手から逃れるためにはこの車は私が運転するしかないのです」
私はざっと説明してから母親を説得にかかった。
こんなところでぐずぐずしているわけにはいかないさっさとここを離れなければ、私にはそんな焦りがあった。
しかしそんな私の頭に怒りの鉄拳がくだされようとは。
「何が『というわけで』なのよ、娘のあなたが無免許運転で捕まったら私は大恥かいて、じゃなくて週刊誌に書き立てられて党を除名されちゃう、それどころか国会議員も麺食ものよ」
マジで脳内誤変換するほど怒り狂っているのがわかった。ここは素直に従うしかなさそうだ。
「それにあなたたちを連中はどうこう出来ないと思うわ、秋子さんも愛さんもまだ役目があるんじゃないのかしら」
いやに確信がありげに愛理ママは言った。そして乱雑に私の服の後ろ首襟を掴むとヒョイっと社外に放り出した。
「リナは明日も幼稚園があるし秋子さんも愛さんもうちの党の命運がかかった議題が残っているんじゃなかったかしら?」

颯爽と愛理ママは私の愛車に乗り込むと運転席のパワーウインドウを下ろした。そして乱暴にドアを閉める。見た目はおとなしげな母親像で世間一般では通っているが実はわが党の平均女性議員と同様「猫をかぶっている」にすぎない。今は片山〇〇きみたいな恐ろしくもけばい表情だ。
平気でパパにパワハラをかますし、色仕掛けで与党幹部はおろか堅物と言われているような野党議員にまでもハニートラップを仕掛ける始末だ。
「そんなに心配しなくても私はこの手の乗り物は『電車でD!」とかいうゲームで慣れているし、安心してパパの車の助手席で見てなさいね」
愛理ママはそういったがだからこそ余計に不安になる。
『電車でD!」とかいうゲームがどんなものか知っているからだが。何両も連なっている電車でドリフトとかあり得ないでしょう。
「それに二人、いえ、三人に聞いておきたい、っていうか確認したいこともあるしね」
そういった途端愛理ママはすぐにパワーウインドウを閉じたかと思うと猛然と後輪をバーンアウトさせ急発進して瞬く間に視界から消え去った。
「うん、あの三人多分地獄を見るね」
私は小さく呟くとパパが運転席で待っているLF-Aに向かってとぼとぼと歩き出した。
別に歩くのがシンドイ、とかそう云う訳じゃない、ただ考えることが多くて足を動かすのを半ば忘れているってこともあるのかもしれない。
まず一つ、すごい馬鹿だと思っていた母親だが実は妙に勘だけは良いかもしれないという事。
まあこれはかつて私と彼女が一つの体の中に共存していたからこそ言える事だが何事においても深く考えず、いや全くと言って良いほど考えなしに行動することが多かった。
その都度私が介入して行動を変えてやらねば愛理ママは何度命を落としていたかわからない。
「愛理ママはどこまで事態を把握しているのかな」
私はあえて小声で呟いていた。
意識してそうすることにより思念の漏れをブロックしてあいおねえちゃんらに考えていることが漏れてしまわないようにするためだ。数十Km、いやもっと離れていても私が考えていることが彼女らに伝わってしまう不安,いや自信かな?それはあった。
ではその逆は?
できるかもしれない、しかしそれをやるということは逆に私の考えていることがあいおねえちゃんたちに伝わってしまう可能性があるということだ。
『愛理ママは追っ手の正体を知っているのか?そもそも自分の党の中枢部に何が起きているのかどれほど気がついているのか?』
気がつくと私はもうすでにLF-A の右側ドアの前に立っていた。
そっちは運転席側だろうって?いやいやいや、パパのLF-Aは海外向け仕様なので左ハンドルだ。
そんなことはどうでもいいがその時突然にそのドアが勢いよく開き私の体を後方に突き飛ばしてくれた。
パパがろくに確認もしないでやってくれたらしい。
「ちょ、私がいるの見えなかったの?」
私は派手に尻餅をついた姿勢でLF-Aの運転席を見上げた。
そして驚いた。
そこに着座していたのは見慣れたパパではなく見知らぬ男だったからだ。
突然の出来事で固まってしまった私の身体を何者かが後ろから抱き上げた。
いや羽交い締めにした、といったほうが正しかったかもしれない。
その時急に大きな不安に襲われた。
あいおねえちゃんたちは大丈夫なのかと。

(やられたよ)
凛の悲痛な心の叫びが聞こえた。
秋子お姉様やあいおねえちゃんからの反応はない。
私の体は何者かの体ごとシートベルトでくくりつけられてしまい身動きも取れなくなった。
どうやら愛理ママは私の知っている愛理ママではなかったようだ。ではなぜ私はあの時それを見抜くことができなかったのだろうか?
答えは簡単だ、私が知らない愛理ママであって、しかし彼女はまぎれもない愛理ママだったということに過ぎなかった。
(落ち着け、リナ)
凛はささやき返してきた。
(彼女が言ったことが本当ならまだ俺たちにはあしたがある、秋子にも愛にも、そしてリナ、君にもやるべきことはあるようだ、もちろん奴らの駒としてな)
凛の落ち着いた思いが伝わってきた。でも凛は?さっきの話では凛の明日やることはでてこなかった。
むしろ四人の中じゃ一番命の危険が迫ってきているかもしれない。
(俺なら大丈夫さ、どんなことがあっても生き延びちゃる)
三人の中じゃ体格的には一番グラマスな凛だったが運動神経なども飛び抜けて優れていた。しかもメカにもめっぽう強いとなれば一番今のリナにとっては頼りになる存在ではあった。しかし今回ばかりは相手が悪かったとしか言いようがない。
彼らはまぎれもない歴史改竄主義者(れきしかいざんしゅぎしゃ)である。しかしそれは主義主張の範疇に収まらない。時間を遡り物理的に歴史を改ざんすることが可能な文字通りの歴史改竄能力者のようだ。

一応終わり。

後書き
正直言ってここで話が行き詰まりました。
そこで『ポッコ』っと産まれたのが『私は誰?』シリーズです。

なので『私は誰?』に

ちゅぢゅく!

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0字
お代は読んでからの(以下略

女子高校生国会議員と合法ロリみならい刑事のエロエロドタバタSFです。

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