アダルト版カレンダーガール1〜有希

アダルト版カレンダーガール1〜有希

過激な描写やエログロい表現をかなり含みますので20歳未満の方の閲覧はご遠慮してください。

(もちろんフィクションだお、夢からの丸パクリだお、だからもう既におんなじ話先に描いちゃっている人、ゴメンだぉ)

少し開いたカーテンから漏れてきた朝の光。
五月病にかかったかのように今朝もスッキリしない目の覚め方をしたボクの目に一冊の開かれたカレンダーが勉強机の右側、壁にかけられているのが飛び込んできた。
海辺で腰まである長い黒髪を風になびかせて真っ直ぐにこっちを見つめている。  
真っ白なロングスカートの半袖ワンピースにその笑顔はまぶしかった。
ボクがお気に入りの駆け出し若手女子アイドルを始め同じ事務所に所属している12人の女の子たちの写真画像を月別に名前とプロフィール、カレンダーと一緒に掲載した、いわゆる広告も兼ねた奴だ。ただし彼女だけは他のアイドルタレントとは違う一面を持っていた。
なんせメディアに対する露出がほとんど無い、テレビはもちろんラジオや週刊誌などの記事に載ったことがない。
あるとすればたまに投稿されるSNSくらいのものだろうか。

ーあっ、月が変わっている、次のページにめくらなくちゃー

ベッドから飛び降りたボクはカレンダーを掛けてある二本の掛けピンから紐を外して机の上に置いた。
上下に開いた状態で幅20センチ縦に40センチで折り目から上端を少し開けた頭のてっぺんからが下端をすこし開けて海辺の砂浜で立っている姿を写したなんとも季節感がない奇妙なカレンダーだった。そんな彼女たちの背景には自身のプロフィールが手書き文字で記入されている。
その女の子達はと言うと紐付きの文字のみのカレンダーを彼女らが両手でぶら下げていると言うなんともわざとらしい構図だ。
ちょっと離れたところからだとアイドル自身のプロフィールは勿論のこと、カレンダーの数字さえ字が小さくて見難い有り様だ。
ページをめくろうとしたボクはある事実に気がついた。
先月はボクが一押しだった娘の写真画像だった。
当然のことながらページをめくってしまえばもう彼女の綺麗な姿を見られなくなる。
それは嫌だった。
かと言ってページをめくらなければ永遠に同じ月が続きだんだんと現実の月日から離れていってしまう。
でもボクが好きな彼女と別れたくはない。
数分ばかり悩んだボクの頭に妙な迷案が思い浮かんだ。

ー『何だ、このカレンンダーは壁に掛けて使う用と保存用の2冊を買った訳だから次のページの彼女らがぶら下げている文字カレンダーの部分だけを切り取ってボクの一押しの娘が持っているカレンダーに(貼り付けて)持たせれば良いではないか?』ー

他の女の子達も嫌いではない。
むしろ好きなのだが彼女に比べたらやはり優先順位はかなり低い。

ボクはページをめくって次の娘がぶら下げている文字のみのカレンダー部を躊躇うことなくハサミで丁寧に切り取った。
そしてそれを彼女がぶら下げているカレンダーの上からずれないように注意深く丁寧に両面テープで貼り付けた。

ーうん我ながら上出来ではないか?ー

ボクはカレンダーの紐を元の掛けピンにかけ戻してそれを眺めながらも満足していた。

ー我ながら上出来だなー

それにしても2枚の文字カレンダーのサイズが完全にピッタリだったのは驚きだった。もしかしたらこういった使い方を予め考慮して写真撮影後に合成したのではないのかと思えるくらいだった。

ーそんなことするくらいなら最初からアイドルの人数分異なるカレンダーを発行しろよー

と言いたくなるが一人一人単発のカレンダーでは製作費の回収が見込めないのかもしれない。

ー今年いっぱいはこれで幸せかなー

ボクが心の中で呟いていると下の階から母親が呼ぶ声がした。
「由紀、ご飯できているから早く着替えて支度しないと学校に遅れるよ」
最後通達みたいだ。ボクは慌てて着替えると急いで階段を駆け降りた。
ちなみにボクの名前は「由紀」と書いてごく普通に「ゆき」と読む、間違っても「よしき」と読む、男の子じゃない。
ごく普通の女の子だ。
まあそれでも、もしもボクが男だったら眼鏡かけたオタク男子とアキバ系のアイドルやアニメの話で盛り上がれるのに、なんて思う事はあるよ。
あ、でもそれはお付き合いして、エッチもしたいって意味じゃないから、誤解しないでね。

洗面所で顔を洗って、歯を磨いて、髪を軽くブラッシングしたらダイニング兼リビング兼キッチンに直行。
と言っても大したものじゃない。
ちょっと広め、と言っても8畳程度の共用スペースだ。
もう先に兄貴が目玉焼きを乗せたトーストにかぶりついていた。
「全くガキに似合いのキーホルダーだな」
ボクの通学カバンに取り付けられたボクが一押しのアイドルマスコットのぬいぐるみキーホルダーを見るなり朝飯前のカロリー不足ででイラついているボクに対して兄いきなり突っかかってきた。
「うっさい、露出狂のぼん!、きゅ!、ぼん!ヒロインしか出てこないアニメばかり観ているアニキにだけは言われたくない」
速攻で返したボク、兄貴はキョトンとした顔をしてボクを見ている。
「そんなことないぞ、俺は由紀のような貧乳ガリガリのショートカットヒロインも大好きだ」
そう言うが早いかボクが肩にかけていた学生カバンが空を飛び兄貴の顔面に命中していた。
と同時に「ドスン!」という何かが落ちた音。
「痛えじゃねえか!」
抗議の罵声を浴びせる兄貴。
でもこの音は学生鞄が兄貴の顔にヒットした音じゃない。
それだけはわかった。
その音は二階のボクの部屋の方から聞こえてきたから。
もしかしたら不審者の侵入かも?
ボクは慌てて階段を駆け上がりドアを押し開けた。
窓にはロックがかけられていて何者かが侵入した気配位はない。
しかし次の瞬間どこか聞き覚えのある懐かしい女の子の声が聞こえてきた。
「いたーい、腰打っちゃた」
その可愛い声は紛れもない、ボクが一押しの娘、カレンダーのアイドルの声そのものだった。
しかし彼女が今ボクの部屋にいる筈などなかった。
サイン会などそんなにも行ったことがないしライブ自体も聞いたことがない、生歌は実は下手なんじゃないかなんて噂もあるくらいだ。
「ボクの部屋にいる訳ないよな」
ボクは呟き部屋に背中を向けてこの場を立ち去ろうとしていた。
「どこに目をつけているのよ、あたしならここにいるじゃない」
抗議するような、しかし可愛らしいその声。
振り返るとボクの机の上で何故しゃがみ込んでいる身長25センチほどの女児向け人形、というよりはミニチュアサイズの女の子がしゃがみ込んでいた。
どうやらそこから聞こえてきたような気がした。
「うん、気のせいだ、落ちたカレンダーがミニチュアサイズの女の子に見えるなんて」
ボクは気を取り直して憧れのアイドルが着ている服の両肩袖口から出ている紐(ひも)を引っ張り上げ二本の留めピンに引っ掛けようとした。
「ちょと、痛いじゃない、乱暴に持ち上げないで」
一押しのアイドルはそう叫ぶと両手にぶら下げていたボード版でボクの額をひっぱ叩いた。
よく見るとそれはボクが彼女のカレンダーに上から貼り付けた今月の文字カレンダーそのものだった。
怒りまくる彼女。
「だいたいこんなに可愛い女の子を壁に貼り付けようなんてどういう魂胆なの?」
本気で怒りまくっていた。
しかしこういったカレンダーというものは壁に貼り付けるのが定石だよね?
「あたしはカレンダーじゃなくて人間なの、お仕事で仕方がなくカレンダー待たされて写真撮影しただけ」
そう言った彼女は急に驚いたかのように口を大きく開きそれを両手のひらでふさいだ。
「ところであんた、なんでそんなに大きい身体しているの?」
やっと自分の置かれた状況に気がついたようだった。

「それよりもこの肩から出ている変な縄を外してよ」
それはボクにとっては細い紐だったが彼女にしてみればきっと太い縄(なわ)に見えたのだろう。
「でもどうすれば」
ボクは取り乱していた。
急いで家を出なければほぼ間違いなく遅刻だ。
「そこにデカいハサミあるじゃない、この縄、あたしの服の中通してループさているだけっぽいからどこかで切れば抜き取れると思うんだ」
そう言われてボクは紐の一部をつかみハサミで切った。
そして服の中の紐を抜き取ろうと紐を掴むと『グニュ』っと柔らかな感触。
「ちょっと、あんたが男ならぶっ飛ばしているところよ」
叫ぶ彼女。ボクのもう一つの手は彼女の豊満な胸と感じやすそうな背中を挟むようにして掴んでしまっていったようだ。
「ごっ、ごめん」
とボク、手を離すと再び彼女はバランスを失い尻もちをついてしまった。
「ちょっと、早く行かないと遅刻するってあれほど」
階下から母親が怒鳴る声が聞こえてきた。
どうやらボクには迷っている時間はなさそうだ。
まさか彼女をこのままボクの部屋に残していくわけにはいかない、母親が掃除にするためこの部屋に入って来ようものなら大騒ぎになるのは必至だから。
「仕方がない、覚悟決めて」
ボクはそう言うと学生カバンを開け中に二列になって入っている教科書類を一方の一列にまとめて彼女が入れるスペースを作った。
「ちょっと、何する気?」
彼女の抗議などお構いなしにボクは彼女の身体をカバンの中に放り込むと素早く蓋を閉じた。
「朝ごはんはもういいから」
そう言うが早いかボクは階段をカバンを抱き抱えた状態で駆け降り、玄関を飛び出すと自分の通う中学校めざして走り出していた。
「ちょっと、吐き気がするからそんなに揺らさないで」
カバンの中から訴えるような声がした。
どうやら激しい揺れで乗り物酔い状態にあるらしい。
カバンの中で嘔吐物(おうとぶつ)をぶち撒け(まけ)られては困るのはボクの方だ。
しかし生物かどうかもわからない彼女が人間のように食べたり排泄行為をしたりするものだろうか?
少なくともカレンダーから飛び出してきてから彼女は今日は何も口にしていないはずなんだけど、それでも生きていると言うことには違いなさそうなので何かは吐いてしまうかもしれない。
ボクは彼女がカバンの中で揺られてあちこちにぶつかったり教科書に挟まれたりして怪我をしないように気をつけながら再びゆっくりと歩き始めた。
「あたしってさ、気がついたら壁に貼り付けにされていてちょっと暴れた(あばれた)だけで机の上に叩き落とされたんだよね」
ボクが訊いてもいないのにカバンの中で彼女が囁く(わめく)声がした。
ボクが思っているアイドルとしての彼女の口調とそのアイドルに持っているイメージがかけ離れていて別人のような気がした。
がなんか雰囲気というか匂いのようなものはボクが一押ししていた彼女そのものだった。
「一応確認しておくけど君の名前、もしも覚えていて尚且つ差し障りがなければ教えて欲しいんだけど」
彼女が返してくれた声は少し小さくて聞き取りづらかったけどそれそれでもなんとか『ユウキ』と聞き取ることができた。
「有るの『有』に希なるの『希』と書いてユウキと読む」
らしい。
ボクと同じく『ユキ』との読めない事もないから『偽名くさいな』と一瞬思ったがそんな事をしても意味がないことくらいすぐに気が付く。
「あたしは本当はアイドルじゃなくてイラストレーターになりたかった」
そう言ったきり彼女は黙り込んだ。
有希という名はボクが一押しのアイドルと一文字たりもカスってもいないしむしろボクの名前の方が近かった。
彼女は芸名などではなく本名を名乗っているとどこかで聞いたことがあるしそれは最近彼女が取得した普通車運転免許証で証明されたと信じている。やはり別人なんだろう。

学校の門には遅刻する事なく通過することができた。
もちろん持ち物検査なる厄介なものに遭遇(そうぐう)することもなくだ。
よってカバンの中を調べられることもなく一安心をしていたら教室に着いた時点で遅刻していたというオチが待っていた。
もちろんお約束にように罰として水がたっぷり入ったバケツを持って廊下に立たされる羽目になった。
ボクが通っている中学校は中高一貫になっていて多少成績や出席時間がアレでもエスカレーター式に簡単に進学が出来る。
そのおかげでクラスメイトには結構名の知れたタレントさんも多く通っている。
そのせいもあって色々校則などもそれなりに厳しかったりするのだけれどボクはもちろん見本生徒だ。
しかし持ち物検査と称してカバンの中を調べられて彼女が見つかる事を懸念して夏用制服の胸元にこっそり忍び込ませた。
ボクの胸は脱ぐと結構凄いんだぞ、という自負はあったが彼女を胸の谷間に挟み込んでも見た目に変わりがないことからやっぱりボクってスゴイと妙に納得してしまった。
「確かにトップはスゴいけど丸みというか膨らみがないというか」
小声で有希が気に触る事を言っている声が聞こえた。
ボクの心の呟きが聞こえてしまったのだろうか?
「そのおかげであたしは全然苦しくないけど、それよりトイレに行きたくなった」
有希はそう言うと胸の狭間から顔を出してボクに訴えた。
「あのね、授業はまだ始まったばかりなの、それなのにトイレに行きたくなったなんて言える?」
ボクは彼女をたしなめる気などなくただ確認をするために言ったのだが有希は突然涙目になり訴え始めた。
「もう限界、ここでしちゃいそう」
そんなこと急に言われてもなぁって思う。
『だいたい今朝までただの紙きれだった奴がそれから一時間も経っていないのに小便なんてするはずがなかろうが!』
と正直ツッコミたかった。
「あっ、少し漏れちゃった」
思わず心臓が止まりそうになる。
「せ、先生!トイレ行きます」
ボクは慌てて叫ぶと先生の許可の確認をとることなくバケツをそこに置くと一目散にトイレ目指して走り出した。
急がないと。
でも静かに小走り。
奥は一目散に個室に入るとロックをかけて便器のヘリに彼女、有希を座らせようとした。
「ちょっと、まさかこんな姿勢でさせようって気じゃないでしょうね?滑り落ちるじゃない!」
うん、させようとしていたけど。
「まずその便器のヘリに立たせて、ワンピース捲り上げてパンツをおろすから両手であたしの両肩の親指と人差し指で挟むようにして両太ももを支えてくれる?」
有希は自分でそう言った通り自分のワンピースを捲り上げるとパンティを一気にくるぶしあたりまで引き摺り下ろした。
ボクが両肩に両手首を入れて両太ももを指で支えながら開脚してやると勢いよく聖水が噴き出すのが見てとれた。
でもそれがボクの両掌にかかっちゃうんですけど。
「ジロジロ見ないで」
と有希はいう。
「そんなの毎日自分の見ているし、女同士だから」
と言っている最中に有希はボクの親指の皮をつねった。
「女同士だからこそよ、やれ自分のと比べて色がドスグロイとか、匂いがキツイとか、あんたもそう思っているんでしょ?」
確かにそういうのは気にはなるけど正直言って。
「有希のは綺麗だし、いい匂いしかしないよ」
と正直な感想を述べただけなのにそのひねった指をさらにひねらせて激痛が襲う。
ボクは彼女を思わず便器の深海の中に落としそうになった。
「紙を取りたいからあたしをそっちのほうに移動させて」
「はいはい」
とボクは彼女をトイレットペーパーホルダーのほうに移動させる。
ボクが紙を切り取ってやってもよかった気もした。
だが手が滑って彼女を便器の深海に落としてしまったら。
それこそ何を言われるかわかったものじゃないから彼女に任せる事にした。
「まるでケント紙で拭いているみたい」
彼女は言うが彼女にしてみればその通りかもと思う。
「有希にさせていたらボクもしたくなっちゃったよ」
ボクはそう言うと彼女を再び制服の中の胸の谷間に戻してパンツをおろすとスカートを捲し上げて便座に座り用を足し始めた。
「その色からしてあんた処女ね」
自分の一押しのアイドルにいきなりそんなこと言われてボクはスゴいショックを受けた。
もしもボクが男だったとして『あんた童貞でしょ?』と言われてもこれほどのショックを受けただろうか?
もし有希が男だったとして『君は処女だね』なんて言われてもそんなには落ち込まないだろう。
むしろ喜んで『ボクの初めてをあなたに捧げます』なんて言ってしまうかもしれない。
いや、実際はサイズが合わなすぎて何もできないんだけどね。
それでも異性に言われるより案外同性から言われたほうがこたえるものだとその時になってやっと気がついた。
やはり女同士って互いをライバル視しているせいもあるかもしれない。

「さてと教室に戻りますか」
ボクは彼女に、そしてボク自身にも言い聞かせるように言うと、立ち上がってパンツを上げた。
まあまた立たされ続けるだろうけど窓際の席で睡魔(すいま)に襲われる(おそわれる)よりはマシかもしれない。
 教室の前に置いたはずの二つのバケツはいつの間にか片付けられていて無かった。
「すみません、もう立たなくっても良くなったんですか?」
一応先生に聞いてから教室に入ろうとしていた。
「立たなくても良いが、その服装のままで逆立ちしてグラウンド二周だ」
デスマスクのままで、このエロ教師はなんかさりげなくとんだセクハラをぶっ込んで来たと思った。
「嫌です」
ボクは反発した。
どう考えても逆立ちしてグラウンド二周回っている間じゅう、ボクは全校生徒に太ももと、汗で濡れて股間にピッタリ張り付いたパンツを晒す事になるからだ。
もちろん割れ目ちゃんのラインもくっきりと浮きぼりになってしまう。
「ブルマ履いちゃダメですか」
一応訊いてみた。
「ダメだ」
と教師、拷問ですか?スパルタですか?公開処刑ですか?

ボクはともかく彼女がそんな状態に耐えられるかどうか不安だった。
逆立ちを長時間し頭を下にし続けていたら。
「中で逆さになれるあたしはともかく、アンタは頭に血がのぼりすぎて最悪脳の血管が破れて大変な事になるでしょうね」
と彼女。
「嫌です、って断るべきかな」
ボクがそう言うと有希はしばらく考えてから胸元で囁いた。
「そうならないようあんたの血流をコントロールするとかは可能よ」
だったらそれでいけるかも、と思った。
あまり余計なイザコザは避けて通りたい。
しかしそんなことは可能なのか?
まあカレンダーの写真の女の子が実体化しちゃうくらいだ。
細かい事は気にしたら負けなんだろう。
「でもそれで良いのかしら?、あんたが良くても、いえ、だからこそこれでこの教育方針は正しいのだとばかりに盛大な勘違い(かんちがい)をして他の子が犠牲になる事だって考えなきゃね」
「でもそれって先生に逆らえって事かな?あんな筋肉モリモリのハラスメント教師相手にそんなのボクにはムリ」
そう言った途端有希はボクの左乳房をつねった。
「あぁ〜」
思わず喘ぎ声みたいな、いや、喘ぎ声そのものを出してしまう。
「あ、さてはお前今逆立ちでグラウンド二周するよりは放課後俺の個人レッスンを受けたいか?」
なんという事を突然に言い出すハレンチ教師だと思った。
そして言葉を失い絶句する。
「わかりましー」
とボク、いやいや、そんな事ボクは一言も言っていないし。
「センセーの白い液が枯れるまでお付き合いしますよ」
教師に頭を近づけて彼にしか聞こえない小声でボクのセリフ、だからそんな事ボクは言ってないし。
「だから今日のところはそれで見逃してね」
「おーい、有希、なに勝手に話し進めている」
私は思わず胸元の彼女にツッコミを入れてしまった。
「ほー、一人ノリツッコミか、AV女優並みの悶え演技を期待しているぞ」
エロ教師はボクの耳元で囁くと一番感じる耳の後ろに息を吹きかけてきた。
「あ〜!」
自分でも聞いたことがないようなエロティックな声がボクの口から漏れる。
いやそれも有希の仕業(しわざ)なんだけど。
エロ教師は『にっ』と笑うと笑うと耳元で
「じゃあ放課後、保健室で、席に戻ってよし」
と告げた。
ボクは自分の席に戻る間に胸元の彼女に抗議した。
「君のせいでトンデモない約束をさせられてしまったよ」
ボクは小声で胸元の有希に愚痴った。
「だいたいボクが制服脱いだら有希の存在だって明るみになってしまい君こそヤバいんじゃないのか?」
席に着きながら囁くボクに彼女は答える。
「あたしなら大丈夫、フィギュアの振りをするから」
そう言うと彼女はボクの右乳房に爪を立てて『ツー』っとl引っ掻いた。
今度はエロ教師ばかりかクラス中の男子共までもが好奇の目で見てきた。
もしかしてまたトンデモないエロ聲を発してしまったのかもしれない。

アレからは誰もエロ教師の餌食になる事なく一日の授業が終わったわけだがボクの心はスッキリしなかった。
だってあの気持ち悪いエロ教師に抱かれに行くんだよ?
スッキリする訳がない。
しかも今日からはテスト週間だ。
部活も居残りも全て禁止、よって残っているのは先生達だけ。
絶対確信犯でしょ。
「大丈夫、あたしに任せなさい」
とか調子の良い事を彼女は言ったが確か『都合が悪くなったらフィギュアの振りをする』なんて言ってなかったっけ?

あっという間に下校の時間が来てボクは約束通り保健室の前に立つとドアをノックする。
「入ります」
とボク、しばらく間を置いて。
「どうぞ」
と保険室の先生の声が返ってきた。
え?これってもしかして保健室の先生の立ち会いで性的行為をする気か?と一瞬先生たちの正気を疑った。
いやよく考えたら奴、エロ教師は今までも二人っきりにならない事で女子生徒を油断させて犯行に及んでいたのかもしれない。
今まで奴らの犯行が明るみに出なかったのは『女子生徒自ら罪の軽減を餌にされて罠に嵌って(はまって)しまった負い目』ともう一つ。
開いたドアの向こうに既に待っていたエロ教師の姿が見えたと思った次の瞬間、ボクは後ろから羽交締めにされて口と鼻にガーゼのようなものを押し付けられた。
記憶に残ったのはクロロホルムの臭いと聞き慣れた甘い声。
「おやすみ、ゆき」

気がつくとボクは全裸でエロ教師の上で腰を振っていた。
ーちょっとまさか本当に入っていないよね?ー
気になったボクは自分の股間を確かめずにはいられなかった。
ーちょっと、固くて太いモノがしっかり入っているよー
ボクは慌てて腰を上げて自分の大事な穴からその太くてかたいモノを引き抜こうとしたが手にも足にも力が入らずに出来なかった。
「安心して、あんたがやっているのは夢の中だけだから」
胸元で彼女が囁く(ささやく)。
「ちょっと、なんで有希の存在がバレていないんよ」
小声で呟いたボクの唇に彼女は人差し指を当てて囁いた。
「ゴメンね、あんたにもかけた暗示を今解くから」
そう言うと彼女はボクの右乳房に爪を立てて軽く差し込んだ。
一瞬目の前が真っ暗になったかと思ったらボクに上乗りになり息を荒くして硬くて太いものを自分のズボンの社会の窓口から引き出してボクの大事なところに突き立てようとしているエロ教師が目に入った。
動こうとしたが奴のたくましい左腕がボクの両腕を頭上で押さえつけ、右手が股間を痛い程強い力で押さえつけながら自分の硬くて太くて長い物を突き立てているので身動きが取れない。
「何ぼんにゃりしているの?このままだと本当にやられちゃうよ」
と有希の声。
「だってボク動けないし」
今度はそう言ったボクの左乳房を彼女はつねった。
「あっ、あぁ」って、思わず声に出してしまう。
押し広げられたボク股間。その先の両足、両足首を奴の両足に絡めて締め上げる、その足を右に捻ってやるだけで奴は慌てて両手の力を抜き、バランスを崩してベッドの下に落ちた。
「服とカバンは回収して、ここで着替えましょう」
彼女に言われるがままにボクは制服や下着、そしてカバンをかき集めて着始めていた。
「証拠の撮影役、ご苦労様」
有紀はそう言うとボクの胸から飛び移って保健室の先生が手にしているビデオカメラを操作した。
保健室の先生は微動だにしない。
「これでSNSに投稿完了」
そう言って彼女は再びボクの胸に飛び込んで来た。
「ちょっと、投稿完了って、ボクのプライバシーと尊厳は?なんで、ボク自身が陵辱されてる場面を公開しちゃうのほんとやめて」
抗議してみたがもう既にTOKIO阻止、じゃなかった。時遅し!
「もう100万視聴突破したよ」
っておーい、自分も観ながら言っているんじゃないよ。自分も映っているんだよ。
身長25センチのリアルな人間が映っていることで合成を疑われちゃうよ。
「あ、それとコメ欄に『あの可愛いフィギュアはどこで買える?』って書き込みが殺到しているみたい、いい目逸らし(めそらし)になって良かったね」
彼女はそう言うとボクの下着の中で胸の狭間にピッタリ収まった。
まるで仔猫のようだ。
「詳しい事はあとで話すから用が済んだらさっさと行くよ」そう言われてボクは慌てて保健室のドアを開けて廊下に出ると他の教職員にバレないようにゆっくり歩きながら校舎の外に出た。
「ところで有紀、保健室の先生にすれ違いざま何か囁いていたみたいだけど、何言ったの?」
ボクは下駄箱の前で靴を履き替えながらきいた。
「気がつかなかった?あいつずっと目を閉じさせていたんだよ?」
と有希。
「なんで?」
ってボク。
「そりゃあ色々都合が悪いから」
と言った彼女はボクの制服の胸元から顔を出して遠くを見つめていた。

家族にはボクが陵辱されている問題の動画が公開されていて、おまけにバズっていることなんて・・・。
幸いバレてはいなかった。
もっともバレていたら即刻、両親に勘当されて家を追い出されていただろうけどね。
日本は何故か性犯罪に関しては男性加害者に優しい。
ボクはいつものように家族で晩飯を食べると、つまらないバラエティ番組を30分ほど兄貴と愛想笑いをしながら観て、有希と一緒にお風呂に入った。
ボクが服を脱ぐ間、有希には既に回っていた洗濯機の蓋の上で服を脱いでもらった。
「ちょっと、ここすごく揺れて転びそうなんだけど」
フラフラよろめきながら彼女は怒っていた。
そして案の定脱ぎかけているワンピースのスカート部を踏んづけて転けた。
「いったぁい」
彼女は叫ぶとボクを睨んだ(にらんだ)。
「何があった?大丈夫か由紀!」
とドアの向こうから兄貴の声。
もちろん入って来られたら困るので
「なんでもない、なんでもない」
と叫ぶ。
「あたしにもなんか着替える服買ってよ」
って有希は言うがそんな服どこ売っているの?って話だ。
「あんた本当に女の子?あの超有名な梨華ちゃん人形の服を買って着せてくれれば良いじゃないよ」
「でもさぁ、有希の体型って梨華ちゃんに比べたら少しもっちりしていて服がはちきれて着れないんじゃないの?」
全裸になった有希をみてボクは言った
流石に惨事のヒロインとまではいかないがあの超細身な女児向け着せ替え人形に比べて有希の体型はもっちりしていると言える。
浴室はボクが前もって流しておいたシャワーで十分に温まっているはずだ。
ボクは用心深く有希を両手で抱き上げると浴室内の四角いタイルが敷き詰められた床の上にそっと置いた。

「ボクが眠らされていた間に何が起きたか教えてくれないか?」
有希と向き合わせにプラスチックの椅子に腰掛けたボクは答えを待った。

「その前に上下関係をはっきりしておかなくっちゃね」
そう言って有希はボクが渡したボディソープを吸った千切ったスポンジで自分の体を洗い始めた。
確かあのカレンダーのアイドル、生年は不公表だった気がした。
つまりは彼女、有希が「あたしは高校生だ、あたしが年上だからあたしに従いなさい」と言い張って仕舞えばボクとしてはなんの反論も出来ないということだ。
「ボクは8月生まれの中学3年生」
正直に答えた、有希はなんと答えるか?
「あたしも中学3年生、一応プロダクションの公表では労働基準法上高3ということになっているけど嘘よ」
「同年か、二人の立場は対等」
ボクがそう言いかけた時有希はすぐ横に置いてあったシャンプーリンスの下に両手で受け皿を作るポーズをとった。どうやらそこにシャンプーリンスを注ぎ落とせと言う事らしい。
「ハイハイ、」
ボクは液が飛びすぎないようにゆっくり押したつもりだったがそれでもまだ強く押しすぎたようだ。
ドロっとしたピンク色の液体が有希の身体全体に降り注いだ。
「ひど〜い、なんのイジメ?」
目を閉じながら両手で液体を拭い取ろうと努力している。
ボクは黙って乾いたフェイスタオルを手渡した。
もちろん彼女にとっては手に余る、いや、身体に余る大きさであるのは言うまでもない。
彼女はタオルの片端を手探りで掴むと顔にこびりついたどろどろの液体を拭き取った。

「あたしの能力は爪先から薬物を出せるって事、例えばあんたがクロロホルムとかで眠らされる時にあたしはあの保健室の先生の手の甲に爪を差し込んである薬物を注入したって事、ここまではわかる?」
よくはわからないけどボクを眠らせた先生に対して有希も同様薬品を使って催眠状態にして暗示をかけたってことかな?
「うん、なんとなくはわかったけど次からはもっと手短くわかりやすく説明してほしいかな?」
ボクは有希が目をつぶって腰近くまでまである長い髪の毛を両手で揉むようにして洗っている姿を見て思わず呟いた。
「そんなに大変な思いまでして髪の毛を伸ばしたい物なのかな?ボクみたいにショートカットにすれば手入れも楽なのに」
思わず呟いてしまった。
「あっきれたぁ、アンタってやっぱり女の子じゃないのね、こうやって髪の毛を洗っている最中が一番楽しいのに」
その反論には思い当たる節があった、実は母親もボクに対して似たような事を言ってきた記憶がある。
ボクはちっとも女の子らしくないらしい。

「それで先生に薬物を投入したのは何のためにしたのかな?」
ボクはあえて彼女の反論はスルーして本来の議題に戻した。
「まず一つは彼に記録としてのビデオ映像を残してもらうため」
「ちょっと待って、それなら薬物を使わなくともそのままビデオ撮影をしてもらえば良かったんじゃ」
ボクは彼女の言葉を遮り異論を唱えた。
「それじゃダメなのよ、あいつらが欲しいのはアンタがあのエロ教師を誘惑する映像、誘惑しているかのように見える映像が欲しいわけ、でも実際にはエロ教師がアンタに襲い掛かっている光景が展開されていたら当然ビデオカメラを止めるでしょ?」
あれほど手短にと注文しておいたのにさらに長くしやがって、と思った。
「でもどうしてそんな動画が・・・」
言いかけてボクは小さく『あっ』っと叫んだ。
つまりエロ先生達はどうみても女子生徒に非があるように見えてエロ教師が悪くはないと見る者に受け取られる動画が欲しいのだ。
「でもそこまでしても結局は女子生徒に手を出したエロ教師が悪いことになるよね?」
ボクは再確認した。
「保健室は職員室に結構近くてあれだけ物音や声を出していても誰も先生の一人さえ来なかったよね?それは何故かわかるかな?」
「え“」
おかしな声をだしてしまった。
それはいくら何でも考えすぎじゃないだろうか?先生みんなグルで犯罪者なんて。
「アンタがあの中学に入ってから何人かは退学者、いえ、転校して行った子達がいるんじゃないかって思うけど記憶にない?」
いきなり頭部を泡まみれにした有希がたずねてきた。
「数はハッキリとは覚えてはいないけど理由の大半が家の都合だったと記憶している」
私はそう言いながら転校して行った女の子達の顔を思い出そうとしていた。
「みんなおとなしそうな、でも何か陰のある、周りから疎まれていた娘達ばかりでしょ?」
有希の指摘は正しかった。そう言われれば先月中ばに突然家族ごと北海道に転校して行った花田幸代さんとかも、「雑巾の匂いがする」とか露骨な嫌がらせを受けていた。
もちろん彼女はそんな匂いはしなかったしむしろ清潔な香りがしていたイメージだった。
でもだからと言って。
「少し本題から外れたから話を元に戻すね、とにかくあたしは爪先から保健室の先生の手の甲に暗示にかかりやすくなる薬を注入してこう囁いたの、『何があってもこのままあの休息用のベッドを撮影し続けてね』って、彼は思い通りにカメラを回し始めてくれた。
「それから、アンタにもエッチな夢を見てもらうため、というか恐怖に引き攣る(つる)顔になってもらうための薬を首筋から注入したんだけど」
有紀はそう言いかけていったん口を閉じた。そしてしばらく考え込む。
「多分考えすぎなんだと思う、アンタがガーゼに染み込ませた薬で眠り込まされている間にエロ教師にアンタが近づいてベッドに誘導(ゆうどう)した、・・・あれ?」
そこまで言って有希は首を傾げた、これじゃボクがエロ先生を誘惑したみたい。
どう見ても誘い込んだのはボクと言う絵面にしかならない気がする。
「アンタのスマホでさっき上げた動画の確認できない?」
いきなり有希は聞いてきた、でも無理、だってボクは何度かスマホを水没させて死なせた事があるから!
「じゃあ細かい事は風呂から出てから考えることにしましょう」
そう言ってからボクは有希と自分の身体に頭からシャワーのお湯をかけて全身を包んでいたシャンプーリンスの泡を洗い流した。
特に有希の顔や髪の毛、そして大事な部分は丁寧に指先でクチュクチュと。
「ちょ、ゆき、、アンタ強く擦りすぎ、感じすぎて変な声出しちゃうじゃない」
「ご、ごめんその程度は普通かなって、サイズと感度忘れていたかも」
言い訳はしたがボクには彼女に対する多少の復讐心はあったかもしれない。
「まあボクの部屋は決して暖かいとは言いきれないからゆっくり湯船に浸かって温まりますか?」
ボクはそう言うと有希と向かい合わせになり彼女の両太ももの後ろで両手を組み合わせるとそこに腰掛けさせた。
彼女の頭がボクの首筋より少し上あたりに来る程度まで抱き上げる、彼女の少し荒く熱い吐息がボクの首筋にかかったかと気がついたとき彼女の両腕はすでにボクの細い首筋に絡みついていた。
「なんかこういうのもとっても気持ちがいいな」
ボクは思わず本音を口にしてしまう」
学校でも女同士でこれをやってしまうから要らぬ誤解を受けてしまうのかもしれない。
ボクは男女見境なく手を出す問題児らしい。
ボクは有希を抱き抱えながら慎重に湯船に体を沈めてお湯の温かさを堪能し始めていた。
いや、正しくは有希の体の柔らかさと伝わってくる温かさに翻弄(ほんろう)され始めていたのかもしれない。
「この感じ、枕営業の時なんかには一度もなかった」
どういったわけか有希もボクの首筋にしがみついたままうっとりしたような表情でボクの細い左肩を見つめていた。
「どうせならいかつくてたくましい男の人の胸元の方が良いだろうに」
ボクがそういうと何故か彼女は首をおききく横に振り小さなため息をついた。
「あたしさ、事務所の人に『売れるためだからさ』とか言われて何度か有名かどうかは知らなかったんだけど『自称偉いクリエイターさん』を何度か紹介されて、枕を共にして。
ーあ、そっちの枕営業ねー
そういったことに疎い(うとい)ボクでもようやっと理解できた。
「枕ならまだいいよ、湯船を共にされちゃったこともあるんだよ?信じられる?本来さ、身体を清める場所でよりによってあそこを刺激しておりもの大量に出させられてあたしの大事なところに固くて太いモノが捩じ込まれて白くてドロッとした汚いモノ大量に入れられちゃってさ、お風呂って神聖な場所を汚したんだよ、連中!」
小さくつぶやく彼女の背中をボクはそっと撫でて(なでて)やることしかできなかった、今日のボクだっておんなじ目に会うことになっていたのだから。
そして今度は有希の、彼女の体を両手で強く抱きしめている。
「あいつらが抱いてくれるのはいつもあたしの下半身だけ、あいつらはあたしが逃れられないように下半身をがっちり押さえつけて、反撃できないように片手で楽々あたしの両手を封じ込めて、自分の太くて硬いものをねじ込んできて、それを散々あたしの腹の中で暴れさせて、ヒイヒイ言わせた挙句お腹の中に熱いどろどろした液体をぶちこんで、それから」
有希はそこまで一気に捲し立てると目から大粒の涙を流して悔しそうに啜り(すすり)泣きを始めた。
「あたしが求めていたのはこの安らぎなのに、お腹から上いえ、全身を包んでくれる優しさなのに・・・」
そこまでいうと有希は小さな寝息を立てて眠り始めてしまった。

ちょっと今のボクには彼女が話してくれた枕営業の実態なるものは俄(にわか)には信じがたかった。
だけど女である自分には今が至高の一時であることに何ら変わりがない。
どうして男性という人種は同じ人種である女性に対して子孫を残すための生殖交配という理由でしか関わりを持てないのか?
不思議でならなかった。
それともボクの周りにはそんな男性しかいないせいなのか?
今、こうしてボクは温かな湯船の中で安らかな寝息を立てている彼女を抱きしめてその柔らかな肌の温もりと小さいが確かな鼓動を感じている。
何で男性たちはこれが至上のひと時であると感じ取ることがないのか?大いに謎だった。
それにしてもボクはなんで今、そんな事を考えているのだろうか?
不思議だった。

もう少しこうして居たかったのは本音だけどこのままここに居続ければ彼女、有希の小さな身体はのぼせ上がってしまうだろう。
外では兄貴が『まだ出てこないのか!』とばかりに苛つき(いらつき)始めている声が聞こえてきた。
せっかちな奴め、浴室のドアの向こう、すぐそこに立っている。
そればかりか、妹のパンツやブラジャーを手に取ってジロジロみているなんて!
「わかった、あと三百数えたら出るから即刻更衣室から出て行って!」
などと適当なことをいう。
「そんなにも待てるかよ」
って即答。
少し間を置いてからボクは兄貴に聞いてみた。
そんな必要も理由もなかったのに。
「兄貴ってさ、結婚を前提に付き合っている彼女いる?」
バカな質問をしてしまったと自分でも気がついている。
「いるけど・・・、さてはヤキモチかぁ?」
唐突に変な答えが返ってきた。
そして浴室のドアが開くなり。
「寂しいか?俺とやりたいか?下半身が疼く(うずく)なら・・・」
兄貴がその先の卑猥(ひわい)な一言を言い放つよりも早くボクが投げつけた洗面器(肉厚のアルマイト製)が勢い良く彼の顔面に命中していた。
そしてボクは浴室掃除用の長めのモップを巧みに扱いドアを再び閉め直した。

「ごめん、ママでもパパでも、どっちでもいいから生ゴミの回収に来て」
浴槽の中から大声で叫ぶと着衣室兼洗面所兼洗濯機置き場のドアが開き今日は父と母が倒れた兄貴の両肩を掴みずるずると引きずって出ていくのが曇りガラスの向こう側にうっすらと見えた。
まあ兄貴の妹に対する覗き行為は日常茶飯事だからふたりとも慣れ(なれ)きってしまっているのかもしれない。
ただボクも浴槽の中に浸かっていたのだから実害はなかったのだから過剰反応と言えなくもなかったけど、やはり有希の存在は知られたくないという思いはあった。
有希の体を乾いたフェイスタオルを使って優しく拭いた上げあげながらボクは考えている。
「これは決して百合などという歪んだ性癖(せいへき)じゃないぞ、れっきとした母性愛なんだ」
と自分自身に対する言い訳。
ーバカだなぁ百合って母性愛と母性愛の絡み合いなんだよー
耳元で誰かが囁いたような気がした。
ーじゃあバラは父性愛と父性愛の絡み合いなんかよー
問い返してみたが返事はなかった。
ボクは乾いたフェイスタオルをもう一枚用意して、それで彼女の体を顔だけは出るようにしてくるんでやり洗濯機の蓋の上にそっと置いてやった。
もちろん洗濯機の一時停止ボタンを押すのだけは忘れずにね。
二人は着替えて兄貴の視線を避けるようにこっそりと二階への階段を登った。
「そういえば押し入れの玩具箱の中に昔ボクが梨花ちゃんのために縫い上げた服や下着類があったような気がする」
そう呟くと同時に有希は『キモッ』って吐き捨てるように言った。
いいじゃん、ボクだって女の子だしあんな頃、とは言っても小学2、3年生くらいだった。
ボクは外でほかの女子と遊ぶのが苦手な女の子だった。
いや本人はどっちかというと男子のつもりだったかもしれない。
野球とかサバイバルゲームとか男の子が興味を持ちそうなものには一応興味を持った。
そしてある程度知識を蓄えて男子たちの間に共通する趣味と価値観を共有して話の輪に入ろうとした。
でも結局は無理だった。
野球の話、好きなチームと好きな選手の話題、そこまでは良かった。
でも問題は好きな理由が全く違うということだった。
本音で好きな理由を言ったら。
「お前オレの好きな選手をディスるなよ」
なんてマジギレされるのはザラだった。
女子とお人形ごっこの話をする時も同様だ、何故か話がこじれて、誤解されていつも大喧嘩(おおげんか)になってしまう。
「この梨華ちゃんは秀才すぎる故に男子にも女子にも疎まれて校舎の裏庭で待ち伏せされて集団暴行されて着ていた服もズタズタに引き裂かれて身体中傷だらけにされたんだ」
ボクがその時によく口にしていたセリフを呟くと有希は案の定冷たく言い放った。
「あんたってやっぱり相当な被害妄想癖(ひがいもいそうへき)があるのね」
「そんなことはない、事実だ」
とボクは言いたかった。
だけど確たる自信も記憶もボク自身の中には存在しなかった。
ボクの部屋に入り、ボクがその箱を押し入れから取り出して開くと有希は少しだけ嬉しそうに微笑んだ。
デニムのホットパンツにシンプルな半袖の胸まで三つしかボタンのない上着のシャツ、そしてふわふわのパンティ。
すると有希は着ていた服を全部脱ぎ捨ててパンティを履き上げた。一応全部綿で出来ていて感触には自信があるつもり、だった。
「まあ一応洗濯はしてあるみたいだし綺麗に保存してあるから着られないこともないんじゃない?」
そう云うと有希はボクを見て満足げに微笑んだ。
「こんなにいいもの作ってどうして嫌われたのかな」
有希は真っ直ぐにボクを見つめて尋ねてきた。
「リアルすぎるのかな?みんなはなんで既製品の売っている服じゃダメなの?って聞いてくるんだ」
「どうしてダメだったの?まああたしみたいに生身の体だと化学繊維やビニールの服はゴワゴワして気持ち悪いのは確かなんだけど」
ボクの感覚ではまさにそれなんだけど。
「セルロイドの人形は汗を掻くこともないし、おりものとかあるわけじゃない、ましてや生理とかそれを身につけることで感じることもない、はっきり言って由紀のその拘り(こだわり)が彼女たちに自分らの生理的な気持ち悪さを想起(そうき)させちゃうんじゃないかな」
そう言い終えた頃には有希は全ての服を着終えていた。
「でも今のあたしにはとても心地良い衣服であることには違いないんだけどね」
そう言い終えた後シャツの中から長い髪の毛をかき出した有希はきゅうにボクの顔を見て慌て(あわて)始めた。
「なんでそこであんたは急に泣き出すのよ、あたしそんなエモいこと一言も言っていないんだからね」
そんなことはわかっている。
ボクだってそんな頃は自分の我儘や思い込みで梨華ちゃんに無理やりその服を着せつけていた自覚はあった。
でも数年経った今こうして、多分お世辞かもしれないけど感謝してもらえるなんて心にも思ってはいなかったからかもしれない。

それはともかくボクは何故あのエロ教師に馬乗りになって自分の大切な穴に太くて硬いものを受け入れて尚且つ腰を振っている夢を見ていたんだろうか?
しかもボク自信そんな体験をしたことはないけどエロ教師の硬いものの先端から解き放たれた熱いドロドロとした液体がボクのお腹の中いっぱいに噴き出してくるのを感じていた。
あれは少し前に兄貴の部屋にあったエロビデオで見た「中出し」って奴なんじゃないかと思う。
ボクは欲求不満か?
「そうだねそれは当たっていると思うよ」
有希はあっさりと肯定した。
「でも安心して、由紀はその行為には及んでいないしそもそも由紀自身は気を失っていて身動きが取れていなかった筈」
そう言いかけて有希は突然に黙り込んだ。
「あたしがあんたの手を引いたエロ教師の右掌に爪を立てて薬剤を注入したんだけど彼の手の甲にはもう一つ小さな穴が開いていたのは今になって気になるんだけど」
「それってもしかして有希みたいなカレンダーガールの存在がいたってこと?」
ボクはふと不安に駆られた。
「それはわからない、ところで由紀は自分の首筋以外にチクリ、って何かが刺さったような痛みは感じた場所はない?」
とつぜん有希がきいてきた。
そういえば右腕の肩の辺りが蚊んすに刺されたみたいに少しヒリヒリしている気がする。
「あたしの予定では由紀はただ意識を失い眠っているだけだった筈、もしかしたらあたしが由紀の体の動きを封じる薬を追加で投入していなければ本当にあんたはエロ教師のリクエスト通り、奴の身体の上で全裸になって太いモノを下の口に咥え込んで激しく腰を振っていたかもしれない」
急に青ざめた顔になり有希はボクの右腕の肩付近にある小さな刺し傷に触れた。
「これは間違いなくあたしが爪で差し込んだものと同種の類の薬物」
有希の顔がみるみる青ざめてゆくのが感じ取られた。
「あの時スマホでアップした動画を確認できない?」
有希にいわれるまでもなくぼくはスマホを操作してその動画を探し始めていた。
例え検索できなくとも過去の視聴履歴からそれはすぐに観ることが出来たはずだ、しかし。
『この動画は既に投稿者により削除されています』
ただそのメッセージが表示されるのみだった。

「先手を取られた」
床を拳で叩き悔しがる有希。
そんなに悔しがることじゃ、とボク。
「映っていたはずよ、あの動画にはあたしと同じカレンダーガール、生きたフィギュアが」
そう言って有希は勝手にボクのベッドの上の布団に潜り込んだ。
ボクの部屋には寝具と呼べるものはそこしかなかったからボク自身もそこに一緒になって横に寝るしかないのだけど。
普段は自分自身感じたことはないんだけどその時に限って女の子の匂いって良いものだなって思った。
いつもは織物臭いとか生理の時は血の匂いで気分が悪くなるとか碌なもんじゃないとばかり思っていたんだけど、何故今心地よく感じているのか?理由は分からなかった。

ー夢の中に腰から半分と右腹から右足にかけて鋭利な刃物でざくりと切り落とされた女の子がボクを睨み返している夢を見たー
その女の子には見覚えがあった。
ボクが一押しだったアイドルの女の子と同じカレンダーに掲載されていたこ娘。
多分次の月に掲載されていたアイドルだ、そこには文字のみのカレンダーをぶら下げていたはず。
ボクは自分の勝手でその部分をハサミで切り取ってしまった。
そして次に見たのは上半身のほとんどが鋭い刃物で切り落とされて大量の血を噴き出している女の子。
「わぁー」
ボクは大きな叫び声と同時に目覚めた。
「びっくりさせないで」
冷静かつ小さくボヤいた有希の声がボクをさらに不安に落とし仕入れた。
彼女みたいにカレンダーから実体化する例もあるくらいだ。ボクが切り刻んだ彼女たちがその姿のまま実体化して苦しみ悶えながらボクに恨みつらみを言いにきたとしても別に不思議はない。
全身から流れる冷や汗が止まらなかった。

その次の日の朝、ボクは有希を制服の胸元に入れていた。
別段邪魔になっているわけじゃないし不思議な快感のようなものを味わいたからかもしれない。
「そいつらってやっぱりボクが切り刻んだアイドルの怨念(おんねん)かな?」
ボクは周りにいる家族に気がつかれないようにそっと胸元の有希に耳打ちをした。
「それはないんじゃないかなぁ」
と有希は言う。
「だって、ボクに対する恨みや復讐でボクを陥れて嬲り(なぶり)モノにしようって」
言いかけたボクの口を有希の小さな両手が塞いだ。
「はっきりと言えるわけじゃないけどさ、あたしが見たカレンダーの仕様じゃ文字カレンダー部を切り取ったら普通に死ぬと思うしゾンビ化しても動けないと思うよ?」
ってもっともなご指摘ありがとう、って感謝する。
とはいえボクの夢の中に出てきた彼女達は立派にほぼ上半身だけで
歩き回りもう一人も下半身のみで徘徊をしていた。
これ以上の恐怖があるだろうか?
「それを言い出したらあたしだって十分ホラーでしょ?」
そう云うと有希は自分の左手の人差し指を見つめた。
その爪(つめ)はみるみる伸びていき指先から5ミリほど伸びたところで先端が尖った状態で止まった。
「あたしたちはこれをターゲットの皮膚に突き刺すんだけど同時に即効性の麻酔を抽出するから刺された方は全く気がつかないんだけどその直後被体を操る麻薬のようなものを注入するの」
そう言って有希はボクの額にその指を突き刺した。
確かに全然痛くない。
それどころかだんだんぼんやりしてきて気分が良くなってきた。
良質の酒か何かに酔わされたような気分だ。
もっともボクはまだ未成年なので酒類を口にしたことがない。
でも酒を飲んで気持ちよさそうな表情をしている大人達を何度か見ているので気持ちよく酔っ払うと云うのはこう云う状態なんだなと思えた。
「ごめん、由紀、これ以上、アンタを危険な目に遭わせるわけにはいかないんだ」
有希はそういうとボクの制服の胸元から飛び出し、みるみるその身体をボクとほぼ同じくらいの大きさにまで成長させてボクを抱き上げるとベッドの上のに寝かせた。
「ちょっと待ってくれ、君は一体何者なんだ、カレンダーから生まれたアイドルじゃないのか?」
ボクは朦朧とした意識の中で問いかけた。
「あたしは、」
君は一旦区切ってから決心したかのようにい続けた。
「あたしは今でも自分が何者かわからない、だけどきっとあんたが呼ぶ声に反応した結果じゃないかと思う」
じゃぁここにいてくれよ、と願う我儘なボク。
「いや、だからこそあたしは君をこれ以上巻き込む訳にはいかない」
彼女は窓を全開にすると勢いよく夜の大空に飛び立っていってしまった。ボク一人をこの部屋に残して。

ーーーーーーーーーーーーーーー

しばらくして麻酔状態から目覚めたボクの部屋には彼女がいた痕跡にいなるようなものは何一つ残っていなかった。
いや、正確にはただ一つだけはあった。
有紀が実体化した時に彼女が両手にぶら下げていた今月分の文字カレンダー、とは言ってもただの紙切れに過ぎないのだけど。
有紀はボクの元を去る時に彼女自身に着せていたボクが手縫いをした衣服ごと巨大化していた。
物理的な法則とかには縛られない存在らしい。

ーーーーーーーーーーーー

いつものように朝が来た。
以前と違うのは君のカレンダーがない朝だといことくらいか?
「遅いじゃねえかゆうき」
兄貴はボクを見るなりそう挨拶をした。
聞き間違えなんかじゃな、いつもなら兄貴はボクのことは「ゆき」とよんでいたはずだった。
「あのね、バカ兄貴、ぼくはゆき、いつからそんな呼び名になったの?」
ボクは問い返した。
「何言ってるんだ?お前は生まれた時からずっとゆうきだろ?」
さも当然のように兄貴は言った。
すると背後から母が近づいてきた気配。
「本当に今更ですよ?あなたは『有るの有』と『希の希』と書いてゆうきて何遍も言っているでしょ?」
確かにそんな長い気もしてきた、しかし記憶にかすかに残る「由紀と書いてゆきと読む少女は一体誰?
「ボクってすごく熱中していた女の子のアイドルがいたよね?」。
これならみんな知っているだろうと思い聞いてみた、しかし答えはそっけなかった。
「有希がジャーサンのアイドルに夢中になっていたのは知ってたけど女性アイドルはなぁ、いつもブスだの淫乱だのってバカにしていたし、それにストレートのロングヘアに憧れていたくせに髪が伸びかけるとばっさり切り落としてショートにしちゃうのな」
兄貴はそういうとそそくさと席を立ち学生鞄を左手にぶら下げると家を出ていった。
そうだっけ?あたしは少し疑問に思ったけど深く考えないことにした。
ただ一つ、兄貴の黒い学生鞄には不似合いなアニメの人気キャラクターを模したフィギュアがその取っ手に細い紐で括り付けられていたことくらいが多少気になった程度だったけど。

学校に着くなりあたしは級友に「おはよう、ゆうき」と呼びかけられた。
「あの、あたしはゆきだよ」そう訂正しようとしても声が出なかった。
「ゆうきってさ、今日はいつにも増してネクラだよね」
誰かが言っているような気がした。
あたしだって他人とは関わり合いたくないし平和な生活を過ごしたい、それのどこが悪いのか?と聞き返したい。
それでも根暗だと言われるのは本望だ。
一時間目英語の授業が始まって何分が過ぎただろうか?
あたしの右斜め後ろの女子生徒がすぐ隣のやはり女子生徒に耳打ちをしているのが聞こえてきた。
「かなえさん気分が悪いって保健室に行ったきり帰ってこないね」
それを聞いたもう一人の女子生徒があからさまに下衆な笑いを浮かべて返してきた。
「保健室の先生ってイケてるものね、あそこ別称先公公認のラブホだもんね」
あたしはその一言で頭の中で何かがブチ切れた音を聞いた気がした。
かなえというのは同じくアイドルを目指してこの学校のあたしと同じクラスに転入して来た『希かなえ』という女子生徒だ。
「先生、あたしもナプキン換えにトイレに行きたいんで」
あたしがそういうとなぜか英語の先生は『フッ』と含み笑いを返してきた。
「楓山有紀くん、衛生面を考えるならトイレよりも保健室をお勧めしますよ」
確かにそう言い切った。少し引っかかるものがあったが深く考えるのはやめた。
あたしは英語の先生に一礼をすると背中を向けて教室を立ち去ったけど背中に何か粘着するような、クラス全員のねっとりとした視線を感じたのは気のせいだっただろうか?

あたしは保健室のドアをノックすると中にいるであろう保健室の先生に告げた。
「済みません、ここで生理用ナプキンの交換をしても良いですか?」
返事はなかった。誰もいないのかとドアを開けて床を見下ろすと制服のスカートを真っ赤な血で汚していたかなえさんが横たわっていった。
「なぜ?」
聞き覚えのある声。その声の主はあたしだった。
もちろんあたしとは容姿が全く異なる。
彼女は黒いストレートヘアを腰まで伸ばしている美少女。
「これはどういうこと?説明して?」
とあたし。
あたしといえば耳や襟にかかるかかからないか程度のショートカットの癖毛で顔にもやや癖がある微少女。
「説明は後、なんでこんなところに来たの?あんたは別のカレンダーガールに命を狙われているというのに」
彼女、いや等身大の有希はそういうと右手に持っていたジャックナイフをあたしに目掛けて投げつけた。悲鳴のような声が聞こえたかと思ったらあたしの背中は強く蹴り飛ばされて床に這いつくばるように転がった。

二つ並んだ保健室の隣のベッドにはかなえさんが苦しそうにのたうちながら横たわっているのが見えた。
「彼女の身に一体何が」
あたし、いやボクはうっすらと記憶を取り戻しつつありながらベッドから上体を起こしてロングヘアの女の子に訊いた。
目の前にいる美少女は体のサイズが通常女性のそれとほぼ変わらぬ140㎝程度だったが容姿はあのカレンダーからぬけて出てきた有希そのものだった。
「君の事は深く追求しないとしてだよ?」
そう言ってボクはボクのすぐ隣のベッドで下半身を真っ赤な血染めに苦しげにのたうち回っている女の子、希かなえを指差した。
「かなえは一体どうしてあんな目に」
途端に有紀は悲しげな表情になった。
「あれはメタル陰茎に陵辱された結果だよ」
メタル陰茎って一体何?とツッコミたかったけど、余計頭が混乱しそうなのでやめにした。
「まさかとは思うけどあのエロ狂師はアソコだけサイボーグ化されたとか?」
なんで?とは思ったけど犯人は容易に想像がついた。
有希のライバルのカレンダーガール
ボクにはそれが何者かは想像つかないがもしかしたら有希と同様カレンダーガールの画像が具象化したものだろうか?
しかしそれよりは今の心配は希かなえさんの状態だ。
どうやら有希から聞いた話によるとメカエロ教師の股間から生えた棘がいっぱい生えたドリルのようなもので大事な穴をぐりぐり掘りつくされたらしい。
そりゃあ血まみれになるというものだ。
おまけに得体の知れない白濁液も大量に注入されたらしい。
「ごめん、止めるのが間に合わなかった」
彼女は大変申し訳なさそうにいう。
彼女の体は腕や肋骨に至るまでボキボキに折られて一部肋骨が肺に突き刺さっている状態だという。
エロ教師の大きな両手で脇の下を強い力で握りつぶされたらしい。
エロ教師は全身サイボーグか?
「なんでこんな酷いことを」
呟くボクに有希はそっと耳打ちをした。
「彼女はあたし達のグループ、プロジェクトの中では待遇は良い方だったんだけどそれは枕営業によるものだったんだ」

有希は血まみれになって苦しみ弱々しい呼吸をしている希かなえのベッドのすぐ横に丸椅子を置くとそこに腰掛けて彼女の左腕を両手で握りしめた。
苦痛に歪んだ彼女の表情が少しは和らいだかのように見えた。
「ごめんね、あたしがあいつの撃退に手間取ってさえいなければあなたはあんな酷い目にあうこともなかったのに」
有希は目から大量の涙を溢れさせた。

「なんで一人で片をつけようとしないでボクを呼ばなかったのさ」
有希は驚いた表情でボクを見上げた。
「ボクにサイボーグ相手を戦わせるのは不安だったか?確かにボクは君よりは非力かも知れないけど長年の引きこもり生活でネットを駆使して収集した知識がある、君が思うよりは戦力になると思うけど」
そうだね、って有希がつぶやいた声が聞こえた気がした。
そうは言ったもののまずはの最大にして理不純な犠牲を受けた希かなえさんを医療機関に運んで治療を受けさせるのが先決だ。
「それよりもそこでのびている保健室の先生が無断でネットに公開してしまった動画を削除しないと」
そう言って立ち上がりビデオカメラを操作し始めた有希の手が止まった。よほど酷い内容らしい。
「精神にうけたショックで命を落としてもおかしくない内容よ、あたしがあんな奴に手こずってさえいなければ!」
有希は両手の拳を強く壁に叩きつけて号泣した。
動画の内容は陵辱行為とよりは破壊行為そのものっだった。
もしも仮に彼女が負った傷が奇跡的に全快したとしても彼女の破壊された心は永久に治らないだろう。
「下手をすれば一生廃人のままだ」
有希は吐き捨てるように言った。
ボクには有希が一体何歳なんかわからなくなる。
体の発育が良い小学生高学年から逆に頭と身体の成長が遅い成人に見えることもある。
カレンダーにもオフィシャルサイトにも詳しい生年月日及び年齢は非公開になっている。
ただ市内の芸能人がよく通っている高校の名前とそこの三年生とだけは片隅に書いてあった。
ボクが通っている中学はそこにエスカレート式に進学できる系列校だったが、ボク自身は彼女、有希との直接面識は全くなかった。
それどころか昨夜の浴室での話が本当ならボクと彼女は同じ学校の同じ学年にいたことになるのだけどやはり一度も面識はなかったと思う。
それどころか今は何故か彼女の芸名さえも思い出せない状態ある。
ファンの間の噂では中学一年生ということになっているらしいがそれにしてはプロポーションは立派だ。身長が141cmなのを除いてだけど。
「こんなにも血まみれにしちゃね」
有希は希かなえの身体を軽々とひょいっと右肩に抱えると「ついておいで」と言った。
あの、ここ三階なんですが?
そう思って躊躇していると有希は左手を差し出して手招きをした。
「だからここは3階だって!」
そう叫んだ時は有紀は既に希かなえとボクを両肩に抱えたまま窓から飛び出していた。
「大丈夫!レッカプル飲めばどこまでも飛べるさ」
って有紀は大声で言った。
けれど血まみれの保健室と惨殺というより破壊され尽くしたエロ教師とイケメン保険の先生の残骸はどうする気だよ!
「どう考えてもボクは誘拐婦女暴行犯と殺人犯だよ!」
そう言ったボクに有紀は左手親指を立てて『ニッ』と笑った。
「だいじょうぶ!この国にはJCがJCをレイプするという認識はない!」
「いやだ、その最初の認識になるのは絶対に嫌だ」
ボクは強く抗議した。
有希の身体はボクと希かなえの決して軽くはない2人の身体を両肩に抱えながら校舎の三階窓から一階の庭に軽々と着地した。
「気流の目を読んだだけだよ」って君はこともなげに言うが誰が信じるものか⁉︎って思う。

ーーーーーーーーーーーー

それにしてもボク、楓山由紀(ぷんさんゆき)はどう考えてもお尋ね者になるのは確実なのだが誰が責任を取ってくれるという気だろうか?

「まあ、あたしとしてはうってつけの隠れ場があるんだ!けどそこで匿ってもらうことにしよう」
数十分の飛行を終えた後僕たち3人は有希に案内されて平屋建てのボロアパート前に立つと彼女はチャイムのボタンを高速連打し始めた。
恐らくは1秒あたり24連発は押しただろうか?もっともその音はボクの耳には続けて押しっぱなしにしているようにしか聞こえなかったんだけど。
「うるさい、押し売りはお断りとあれほど・・・・・」
機嫌悪そうに出てきたのは少しだけウェイブのかかった黒髪を腰まで伸ばした美少女だった。
どことなく有希によく似た面影がある。
「あんたか、」
そう言うと彼女はキョロキョロとアパートの周辺を見回して誰もいないことを確認するとボクらを部屋の中に招き入れた。
「また面倒な拾い物をしたんじゃないやろね」
と彼女は言う。
「あの、初対面で失礼ですが彼女は何者ですか?」
ボクは思わず有希に聞いてしまった。
「ああ、彼女は葉類亜希と言って現職の刑事みならい」
そっけない答えだった。
いやいや、それだけじゃなんのことかさっぱりわからないし、『現職の刑事みならい』って現職なの?それとも無資格の刑事?
「心配しないで、彼女の刑事としての腕は確かだし、過去に凶悪犯を少なくとも7、8人は殺している」
有希は自信を持って言っていたがそれは逆に安心して良い要素だろうか?
下手をすれば彼女の気分次第でボク自身も殺されるんじゃ^^;
かなり不安を煽られた気分になった。
それでなくてもボク自身が凶悪犯として逮捕されてしまう可能性だってある。
「ボク達、三白眼の角刈り男に狙われたターゲットみたいにM16ライフルで眉間を撃ち貫かれるんじゃないでしょうね?」
そんな不安を口にした。
「大丈夫よ、彼女の武器は拳大の小石と硬式野球ボールくらいだから、以前は着弾と同時に全方向にに炸裂する特殊弾の所持も認められていたみたいだけど今は所持が禁止されているし」
その一言で一安心をしたがボクは念の為にネットで検索をかけてみた。
調べている間に彼女、葉類亜希から飲みかけのサイダーが入った瓶を手渡される、ボクは迂闊にも一口飲んでしまう。
「ふむふむ確かに風間刑事の娘である風間志乃さんが殺害された際に犯人の凶弾で風間刑事も銃殺されかけ殉職しかけたところを彼の元妻である葉類知恵の一人娘が果敢に石つぶて2個で立ち向かい彼の人命を救出した事で後に県警によって表彰された」
なるほど、警察官らしい実績はちゃんと残しているものだと感心をした。
あれ?でもその後に何か追記が書かれているみたい。
「ただし彼女が投じた石が犯人の頭蓋骨を破って内部に侵入して彼の脳髄をぐしゃぐしゃにかき混ぜたのが犯人の直接死因であり、一部では過剰防衛どころかれっきとした殺人事件ではないのか?と言う疑念もあり数ヶ月投獄される事態にも発展した」
「ちょ、有希ちゃん、このお巡りさんもの凄く怖いんですが?」
ボクはすぐそばに立っている有希にそっと耳打ちをした。
「それになんですか?300km/hで突進してくるLF-Aを硬式ボールで止めてしまったって?」
「あー深く考えない方が身のためよ」
有希はそういうと僕から飲みかけのサイダーを奪い取り一気飲みした。
「それで有希はこのボーズ をどうして欲しいんだ」
ぶっきらぼうに葉類亜希は言う、いやもうフルネームで呼ぶのはめんどくさいから亜希で構わないだろう。
「なに?お前と同じ類の別のカレンダーガールに関わったって?」
そう言うと亜希は僕の頭をぐしゃぐしゃ押さえつけて睨みつけてきた。
「お前なぁあの問題に男が関わると碌な事がないんだぞ」
そう言われたがボクとしては引くに引けない状態にあった。
「あzーーーーーーーーーーーーーーーーーーボクは男じゃないです、こう見え
 ても女の子なんで」
そう言ってからボクは今までの経緯を彼女に包み隠さず説明した。
もちろん希かなえという級友が鬼の金棒のようなもので下半身はもちろん、上半身に至るまでボロボロに痛めつけられて瀕死状態にある事も説明した。
「亜希さんはカレンダーガールについて何かご存知なのですか?」
単刀直入に聞いてみた。
「ごめん、私、『さぬきがわ学園』案件が終わってひと月も経っていないからその件に関してはまだ首を突っ込んだばかりでまだ詳しく把握していなくて」
全身から力が抜けるほど頼りない答えが返ってきた。
「え“、でも有希とは知り合いなんでしょお?」
「んー、彼女はたまたま雨の日、アパートのベランダでタバコを吸っている最中に漂っていたところを拾っただけなんだよね?」
ちょっとどころかさすがに意味がわからない。
「やっぱりあれかな?タバコを吸う、女子中学生の幽霊を拾う、って感じかな?」
そう言って急に亜希は大声で笑い出したが何がおかしいのかさっぱりわからない。
「でも傷ついた身体を癒してやる事なら出来るかもね」
亜希はそういうと大事そうに希かなえを両手で抱えてお姫様抱っこをして部屋の奥にあるのカーテンのむこうに消えていった。チラッと見えたが白いシーツのかかったセミダブルくらいの大きさのベッドに彼女を寝かせた。
当然シーツも鮮血で汚れることとなるが亜希はそんな事など気にもとめていないように見える。
「覗いちゃダメだからね」
彼女はそう言ってカーテンを閉じた。
「今から部屋の奥で艶かしい声が聞こえ始めるんじゃ」
ボクは敢えて有希に言ってみた。
「どうしてわかるの?」と彼女の即答。
やはり気のせいかカーテンの向こうから甘い吐息と気忙しい喘ぎ声が漏れてきているような気がした。
「まあ体の傷も心の傷も癒すには相当な時間がかかるだろうからあたし達は今回の件についてあたしなりの推測とかしようと思う」
真剣な表情に戻り有希はボクに向かい合って言った。
「覚えているかな?あたしが君の机の上に落っこちた朝のことを」
それは忘れられるはずもないだろう。
カレンダーの中の被写体がいきなり実体化するなんて有り得ないし。
「そこまで理解できているなら話を進めるね」
有紀は唐突にそう言った。
「いや、ボクはそれで理解したとは一言も言ってないし」
ボクの否定はあっさりと無視された。
「うん、だから実際にあり得ない事が起きちゃったよね、って認識さえしてくれればそれでいいから」
有希はそう言ってくれたが話が噛み合っていない気しかしないのは気のせいだろうか?
「話は飛ぶけどあの日、由紀は保健室に誘われて拉致されて暴行されそうになった、いや、正しくは由紀があのエロ教師を誘惑したかのような暴行のされ方をした、そこまではok?」
はいはい、お陰でボクが陵辱されるシーンが全世界に公開されちゃいましたけどね!それが何か!
ボクは怒りが収まらない目で有希を睨み返した。
「ただ由紀も気が付いてはいると思うけどあの動画は奴等にとってはとっても不本意なものだったよ」
有希は確信をこめて断言した。
「ボクが先生達を誘惑する動画が欲しかったって話なんでしょ?」
ボクは訊き返したが理由はそれだけではないようだった。
「チラッとだけエロ教師の向こうに映ってはいけないものが映っていたんだ」
「でもその公開動画は削除されていたんでしょ?」
、ボクは確認した。
「ふっふっふっ、それがそうでもないんだよな」
亜希はカーテンの向こうから含み笑いを浮かべながら言う
「私、そういうの大好きなんで、片っ端からダウンロードしてローカル保存しているの」
葉類亜希なる痴女は堂々と言ってのけた。
「これとかもね」
そう言って彼女はカーテンを開いてノートパソコン上で「ボクがエロ教師に襲われている場面の動画を再生し始めた。
「で、ここにちょっと、エロ教師の腰の向こうにチラッと映っているんだけど見覚えないかな?」
そう言って亜希が静止させた画像の片隅に見覚えのある美少女、確かアイドルが写されていたカレンダーの1人だった。
しかしその姿は紛れもなく希かなえに少し似たふっくらとした可愛い少女。
「でもあの娘はボクの部屋のカレンダーでは実体化していなかったはず」
「彼女もその年に実体化したとでも言う気?」
まさかと思いつつボクは言った。
そんなことがちょくちょくあってたまるかと思った。
「彼女も今年に入ってから実体化したとしたら?」
亜希はそういうとノートパソコン上に別の動画を流し始めた。
「これはその件とは関係無いだろうけれどとある動画サイトで配信されていた画像」
1人はカレンダーに掲載されていて、有希のふた月前のページに掲載されていたアイドル。
名前やその他プロフィールは思い出せなかった。
そしてその動画に記載されたタイムスタンプはまだカレンダーの前の年9月3日になっていた。
つまりカレンダーがまだ制作される前の出来事だ。

そして後から入ってきた3人の女子、一見中の良い友達にも見えたがカレンダーガールを見つめる目はどう観ても友人に対するそれではなかった。
「ごめんあたしトイレ行ってくる」
そう言って1人部屋を出ていった。
「じゃあ、あたしお茶とケーキ持ってくるね」
そういうと2人目も消えた。
「あ、ごめんちょっとお母さんに電話をかけてくるから、私のへやだからゆっくりしていってね」
そう言って最後に出ていったこの容姿は毎日中学で見かけていたそれとは多少は異なっていたものの明らかに希かなえ、彼女そのものだった。
そして彼女が部屋を出ていったと同時に外から鍵をかけられた音。
「いいわヨォ、好きにやっちゃテェ」
ドアの向こうから微かな希かなえの声。
携帯電話で誰かと喋っているようだ。
同時に部屋の中のクローゼットのドアが開き3人のイカつい男が飛び出してきて彼女に襲いかかった。
白いシーツのベッドの上に押し倒され泣き叫ぶ彼女の悲鳴、引き裂かれる衣服。
「叫んでも無駄さ、ここは地上100メートル以上の高層マンション、この億ション全て彼女の所有物だからな」
見覚えのある男がそう言った。
うちのエロ教師、保健体育の教師だ。
2人の大男に両肩を押さえつけられて身動きが取れない彼女、残る1人が強引に彼女の股間を押し広げてドス黒く太くて長い棒を奥までねじ込む。シーツを鷲掴みにして苦痛に歪んだ表情で首を激しく横にふり乱れた呼吸で喘ぐ姿が痛々しい。
形の整った大きめな乳房が激しく上下に揺れる。エロ教師の腰は何度も八の字にねじった。
激しく泣き叫ぶが誰も助けには来ない。
それどころかドアの向こうから微かな希かなえの笑い声。
やがて彼女は諦めたのか絶望したのか動かなくなる。そして両目からは大量の涙が・・・
「俺この一瞬が美しいって思うんだよな」
と一人。
「そうそう男を受け入れてくれたって感動するよな」
その一言でボクは思わずノートパソコン上にのディスプレイにありったけの力で拳を入れそうになった。
「ふざけんなよ!」
意外とボクよりも怒りに震えていたのは有希の方だった。
「気持ちはわかるけどここでパソコンぶっ壊しても意味ないから」
そう言った亜希が一番沈着冷静・・・・な訳がなかった。
「あんた達全員許さないんだから、みんなの顔をこの脳に叩き込んでやる、復讐してやるんだから」
彼女の言葉は威勢が良かったがその声に力はなかった。
「復讐?寝言はよせよ、この場面は全て録画したネットで生公開済みだ、お前の芸能人生命も終わり、それより誰が胎ん中の子の父親になるかだな、ま、認知する気はさらさら無いけどよ」
そうして再び彼女は代わる代わる男達の太い棒をねじ込まれて熱いドロドロした白濁液を何度も注入されるとしばらくして放心したかのように啜り泣きをした。
安心できない日というのは感覚的にわかる。
いくらなんでもこれだけ大量に男達の液体を入れられたら酸性バランスは崩れ中性寄りになり妊娠しやすくなっているはずだ。
穴から溢れ出した白濁液に多く鮮血が混じっていた。
「私より先にアイドルになろうとした罰よ」
外から希かなえの声が聞こえた時、彼女は目を見開き決して開くことのないドア目指して突進を始めた。
「かなえ様に楯突くなんて10年早いんだよ」
男の1人が冷たく言い放つと彼女を横から強く突き飛ばした。
そして彼女の頭は運悪く近くに立てられていた部屋の備品である金属製の帽子かけの帽子をかける枝の尖った先端が突き刺さり・・・・
みるみる大量の血が床に広がった。
しばらくの間沈黙が続いたが男の1人が呟いた。
「これどうするよ、殺しちまったぜ」
流石に他の2人もやりすぎたことに気がついたようだ。
ただドアの向こうの希かなえは冷酷に言い放った。
「この部屋のお掃除は他の部下達に任せるからあなた達は生ゴミの始末をお願いね」

希かなえは数人の部下を部屋に招き入れ部屋の清掃を命じた。
その間に3人の男達はこっそりと彼女の亡骸をそっと別の部屋、窓が開く特別な部屋に運び出して窓を全開にすると遥か彼方100メートル下の地面の上に叩き落とした。
「こんなことして大丈夫でしょうか?」
犯行に関わった1人の男性は後ろめたげにつぶやいたが希かなえは平然と答えた。
「私の邪魔をしたゴミを一つ処分しただけよ、気にすることはないわ」
そう言うと希かなえは男のチャックを下げて中から太くて立派な物を取り出すとしゃぶり始めた。
そしてそれを自分のスカートの中に引き込みずらしたパンティの股間部を右にずらしてその中から姿を見せた割れ目に差し込んだ。
「ちょっと、もうビデオは止めてね」
希かなえが言うと男は右手に持っていたリモコンを操作してそこで防犯カメラの動画は終了した。
「その後どうなったかですよね」
と有希、少し関心を持ち始めた様子。
「恐らくは転落事故、もしくは飛び降り自殺で処理されたんじゃないですかね?」
ボクは適当に予想を立ててみた。しかし、実はそんなニュースは聞いたこともなかった。
だが仮にニュースになっていたとしてもかけ出し前のほとんどの人が知らない限りなく一般人に近い存在だから知られなかったのかもしれない。
それに検死をすれば死体頭蓋骨に大きく開いた穴に不信感を持つだろう。
「ううん、そこじゃない」
突然、亜希はその説を否定した。
「そもそもそこの高層高級マンションはもちろんの事、その付近一帯、いえ、その区間では飛び降り自殺を含む転落死、そして死因のわからない変死体は一軒たりとも見つかっていない」
亜希は断言をした。
「いくら亜希さんが優秀な警察官だったとしてもそこまで広範囲に正確な情報集ができるものなんですか?」
とボク、事件は起きたのは東京都の新宿区の一角、そしてあまり言いたくはないが多少の逮捕実績があるとはいえ葉類亜希は刑事になってわずか一年足らずの駆け出しの上に管轄は愛知県警小中井田井署の田舎署刑事、そんな遠方の些細な情報を収集できるとは思えない。
「まあ誰だってそう思うだろうけど一応私にも人脈ってものがあってね、少なくともランボーやコマンダー以上に頼りになる人よ、脳筋で少しおっちょこちょいだけどね」
そう言うと亜希はスカートの中からスマホを取り出すとどこかに電話をかけた。
「あっ、楓凛ちゃん?今から言うことちょっと調べてほしいんだけどさメモ取れる?」
亜希がそう言うとハスキーな、しかも不機嫌そうな女の声が返ってきた。
「オメーの記憶容量なんざ関数電卓程度のメモリで十分だよ」
えらい言われようだ。
ってか、関数電卓って普通の電卓とどう違うんですか?
「それで何を知りたい?」
亜希は今までも経過をボクのカレンダーの被写体が突然に実体化したところからきめ細かく楓凛なる人物に対して説明を始めた。
(最近の電卓のメモリは容量が大きいんだな)などと思いながら説明を聞いていたが電話の向こうの楓凛なる女が突然にストップをかけた。
「いやそれ、そのアイドル達のファンからクラウドファンディングで金を集めて作成したカレンダーだよな?」
ボクには少し聞きなれない言葉が出てきたが多分特定多数の人たちによる寄付金とかで作ったと言うことだろうか?
しかしボクを驚かせたのはそれに続く言葉だった。

アダルト版カレンダーガール1〜有希 

終わり

アダルト版カレンダーガール2〜刑事みならい

に続く

#ハタチ未満閲覧注意
#SFっぽく
#政治色濃く
#過激な性暴力描写あり
#20才未満の方の閲覧はご遠慮ください
#ハルサメとナッツシリーズ
#小説

有料特典 おまけあります。


あとがき

11月末から翌年2月終わり近くまでの話です。

ここから先は

1,553字
有料部分を時々追加、更新します、円盤特典みたいなものと思ってください。

壁にかけてあったアイドルの女の子が突然にミニチュアサイズの女の子に実体化 軽いエッチあり、重たい性描写あり、身体のムフフな場所に寄生する異…

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