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はるかなる三ツ沢

 三ツ沢は六町構成であるので、それぞれの町に行く人が皆同じ道を行くとは限らないが、横浜駅西口からのルートを考えると大体3~4通りになるのではないか。
 1.横浜駅西口からバスに乗り浅間下交差点経由で向かう
 2.市営地下鉄で三ツ沢下町、三ツ沢上町駅で降りる
 3.沢渡経由のバスに乗ってゆく
 4.横浜駅西口から鶴屋町三丁目・北幸を経て勧行寺脇の階段道を歩く
 
 バス利用の場合三ツ沢公園や市民病院があるために浅間下交差点ルートは運行本数が多くて一番目のルートがメジャーなようだ。市営地下鉄利用の場合、利用できる乗降場が2駅しかなくそして滝野川沿いの谷底にあるから丘の上にある三ツ沢公園や三ツ沢墓地へ行くのには億劫で国道1号線沿線に発達したロードサイドショップや豊顕寺境内(墓地)へは有利である。もちろん市営地下鉄の導入空間である国道1号線を走る横浜駅西口からの循環バスがあるのでそれを併用ないしそちらのみを利用するということも出来る、3番目のルートは若干特殊。これは三ツ沢の南端部を走るバスで運行本数は多くなく利用客が限られる印象がある。しかしそのルートは尾根筋を通るので国道1号側へは下り坂になるのでやや楽。また横浜翠嵐高校前を通るので同校の通学者向けだろう。
 そして4番目のルートは交通費が掛らないルートで距離もそれほど長くなく三ツ沢南端部へのルートとしては3番目のルートと被るようだ。しかし東海道沿いの屏風のような段丘の崖を登らなければならず、また階段道であるからある程度の体力ないし意志がある人向けとなろうか。
 自分が初めて三ツ沢に行ったのは親に連れられて三ツ沢墓地への墓参だった。この時は自家用車で、次に来たのは小学校六年生の時の遠足である。これは観光バス利用だった。そしてそれ以来三ツ沢に行くことは長らくなく、ふとしたきっかけで行ったのは20年以上前に図書館で住宅地図を見ていて三ツ沢墓地に囲まれる家があるのが気になって市営地下鉄で三ッ沢上町駅を経由した時である。大変困ったことに三ッ沢上町駅はホームの位置がすこぶる深い。これはトンネル掘削方法として新オーストリア式工法(NATM工法)を採用したため。この工法を使用して地下鉄工事をしたのは日本では画期的な事で、土木学会賞を受けた記念の銘板が誇らしげに飾られているのを見て、どうにも土木工学というものに不信感を抱いたものである。
 その後の自分の「研究対象です!」に地下鉄駅の空間構成が加わったのは、全てはこいつのせい、と言いたくなるようなきっかけだった。

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