見出し画像

ベージュのパンプス

こんな生活を「なんてことない日々」と呼べたらそれはとても幸せなことだし、同時に不幸でもある気がする。


とある祝日。
眠気がきれいに醒めるまで布団で過ごし、のんびり起床。今日は、先週だった私の誕生日のプレゼントを買いに、恋人とお出かけをします。
小綺麗なパンプスをリクエストしているので、試着がしやすいように小綺麗な格好に着替えていると、すでに準備を済ませた彼が「俺ももうちょっとおしゃれしよ〜」と再びクローゼットへ向かいました。私の服装をおしゃれだと感じてくれたことも嬉しいし、このお出かけに気合いを入れてくれるのも嬉しい。

外に出ると少し暑いくらいの陽気。祝日の観光地ということもあり、近所の通りは人で賑わっていました。
近くの大きな駅に向かいつつ、めぼしい靴屋さんを見て回ります。うろうろとお目当ての靴を探す私に、ついてくる彼。のりのりで一緒に選んでくれるわけじゃないけれど、試着してみれば感想をくれるし、退屈そうな様子は見せない優しい人です。

ひと通り見て、買ってもらう靴を決めた頃にはお昼過ぎ。前から気になっていたラーメン屋さんに入ってみることにしました。
私は説明文も写真も一切ない油そばに煮玉子をトッピングし、「最初から煮玉子がのってたら、ダブルになっちゃうね」などと話しながら到着を待ちました。結果、トッピングの煮玉子とは別に温泉卵がのっていましたが、美味しかったのでオッケーです。お互いのラーメンを味見しつつ完食。

帰り道、前にふたりでラーメン屋さんに行った時、私が人知れず見舞われていたハプニングの話を彼に初めてしました。
当時私達は付き合い始めてまだ1ヶ月ほど。私はその事件についてあまり気にしていませんでしたが、彼が選んでくれたお店での出来事だったので、言うと責任を感じてしまうかな…と当時は黙っていました。
今、ただの笑い話として消化できる間柄になったことに感慨深さと時の流れを感じました。


ラーメンで満たされたお腹に眩しい日差し。彼は冷たい甘味をご所望です。
家の近所にある八百屋さんのフルーツジュースを提案しましたが、残念ながら店休日でした。しかしそのすぐ近くにソフトクリーム屋さんがあって、変わり種のアイスが並んでいました。彼は豆腐ソフトを購入し、ご機嫌で味わっていました。


家に帰るとおやつの時間。
テキパキと着替えを済ませ、「昼寝だ!」と彼。休日のお昼寝は最高に心地よくて大好きです。
しかし気持ちよさにまかせてごろごろしていると、気づけばもう18:30。
「よく寝た〜」と呑気な彼ですが、ラーメン以降の運動量が少ないせいで、まったく夕ご飯の気分ではありません。作り置きで軽く済ませて、話題は今日の金曜ロードショーについて。その日はジブリの「猫の恩返し」の放送日だったのですが、彼に内容を知っているか訪ねたところ、自信満々に曖昧かつ間違いだらけのあらすじを披露してくれたので、一緒に観ようねと約束してさっさとお風呂に入りました。

ビールと、おつまみに干し芋を準備して鑑賞会スタート!作品についておしゃべりして、笑い合いながら観る映画はいつもより面白かったです。
映画が終わってすぐ布団に入ったのでまだ23:00頃。彼も一緒にたくさん昼寝をしたはずなのに、すぐに寝息が聞こえてきました。なぜ…。
寝付けない私は隣でこの文章を書いています。

実は今日、生理2日目でした。もともと私は軽い方で、生理中でも自分のご機嫌を取るのが上手い自負がありました。でもそれは、一人暮らしであることも大きな要因だったと気づいたのです。
ひとりなら、好きな時間に起きて、好きなものを食べて、掃除は気が向いたときにすればいい。それを咎める人はいません。誰も話しかけてこないから発言に目くじらを立てることもない。
しかし、同棲ではそうはいきません。家事は私が無理そうだと判断するなり相手がやってくれます。とてもありがたいのですが、自分の無力さや情けなさが際立って感じられます。相手のなんてことのない発言も、勝手に裏を読んで曲解して、へこんだり怒ったりしてしまいます。そんな自分が嫌だし、月1でこうなってしまうことが同居人にとても申し訳ないです。
そんな感じで生理のときは色々不安定で、泣いて困らせてしまうことも多かったのですが、今回は珍しく一日中ご機嫌で終えることができました。私もえらかったし、彼の配慮もひしひしと感じました。

他人と生きていくにはそういう思いやりが不可欠です。結婚して何十年経っても、相手は他人であると、決してドライな意味ではなく思いやるきっかけして、忘れずにいたいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?