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諸刃の剣

ほんとうにそうだ。
自分のことを諸刃の剣だと誰かが言った。
わたしもそう思うのだ。

正しいことが一番人を傷つけると
本で読んだことがある。
わたしは正しい、正しいを主張して
人を傷つける生き物だ。

それが悪いことなのかもしれないと思う。
思っても、そうする。
わたしは醜く
それが理由で人に嫌われる人間で
それでも正しいことを押し通そうとする。

業だ。
それはもう。
その異常とも言える執着は
常軌を逸している。

わたしもまた、相手を傷つけることによって
傷つく。
自己嫌悪にも陥る。

なのに。
なのに。
それでも、また時を戻したら
わたしは同じことをする。
それがわかっている。

わたしを優しいとか
一緒にいて楽しいとか
好きなところがあると言ってくれる人は
わたしが諸刃の剣であることを
知っている。

それはしばしば
わたし自身を
命に関わる事態に追い込んで来たことも
知っている。

正しいことが一番人を傷つける。
正しくないと駄目か。
他に道はないか。
もっと優しい道はないか。

もがいてもがいて、悩んでも
見つからないのだ。
他の道は。
わたしには見つけられない。

苦しい苦しい
諸刃の剣だ。
ふと触った手のひらから
血が溢れ出る。

苦しい苦しい。
苦しい。

傷つけた人に、思う。
わたしもまた血を流すからと。
他に道はないのだと。

すべてを失っても
わたしはどうしても
この眼をつぶることが出来ないのだ。

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