第二の居場所~カフェ~


  病人・無職の私は、ひたすら家にいる。
ものすごく暇に思われそうだが、自分のペースで物事をやると、そうでもなかったりする。
年ごとに時間の経過が速くなることを痛感しているが、一日もあっという間なのだ。
加えて家にいると、しんどいと横になってしまいがちだ。何もできないまま過ぎてしまうし、ますます衰える…焦る。
危機感を持った私は、カフェに出てゆくことを思いついた。何と言っても、カフェは座っていられる。
 カフェといっても、お洒落カフェではない。
私のカフェでの目的は家を、日常をきっぱり離れて、集中して歌を作ったり本を読んだりすることだ。だから長居ができて、心地よく放置してくれるところがありがたい。自然に、行先はチェーン店になっていた。
あかるさも暗さも程よく、座り心地のよいいくつかのカフェ。
周囲の声は気にならない。家にいると、「あれもしなくては、これもしなくてはならなかったのでは?」「積ん読の本が私を呼んでいる… …」など、誘惑も多いが、一旦離れてしまうと集中すべきことは思いのほか捗る。これは素敵な(危険な)発見だった。
修行が足らないといえばそれまでだが、特にここ一番という時には、心強い居場所になった。

  インテリアや景色、雰囲気、音楽等、その場所そのものをたのしむ。
美味しいコーヒーやちょっとした甘いものをたのしむ。
そんなカフェも好きだけれど、私には歌をつくる等の強い動機がないと、体力もお金も使えない。貧乏性かもしれないな。
病気を持ってみて、おのずから本当にやりたいことがわかった。そうでないことや無理なことは諦められるようになった。諦めることは負けではない。自分を守り、より適したことに力を注ぐ。それによって生きる力になる、たのしい希望を持てる状態をキープする。
節約の仕方も、かたちを変えてゆく。
今の自分のゆるさも悪くないのでは、と思っている。








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