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微生物試験における培地の調製

医薬品試験における菌の取り扱いについては、日本薬局方の参考情報の『微生物試験に用いる培地及び微生物株の管理』に載っています。

培地の調製は、培地を秤量した後、オートクレーブで高圧蒸気滅菌をおこないます。(まれにろ過による滅菌の場合もあります。)
滅菌サイクルの完了後は速やかに培地を取り出します。メーカーの培地に添付されている調製指示書に従います。記録は、調製年月日、採取した粉末培地、培地成分の名称、ロット番号、質量、使用した水の容量、滅菌条件、滅菌後のpH、使用した機器などを記録しておき、問題発生時の原因調査に役立てます。
 
粉末培地は、滅菌前に水に溶解させるか、よく振り混ぜて十分に分散させます。不適切な場合には、色調、透明度、ゲル強度、pH等の性状が許容範囲から逸脱する場合があるので注意します。例えば、培地が褐色化した場合、メイラード反応が進んでしまっているため過度に熱しすぎの目安になります。

培地調製時の注意点を以下に示します。
①容器の破損
②容器間の分注量の不均一
③培地成分などの付着による容器の汚れ
④褐色化又は変色
⑤気泡
⑥酸化還元電位指示薬の状態(酸化還元電位が低いと嫌気性が高く、電位が高いと好気性が高くなるため、酸化還元電位を下げているのが液体チオグリコール培地です。嫌気状態が崩れるとピンク色に変化するレサズリンを嫌酸化還元電位指示薬として用いています。)
⑦溶血
⑧結晶などの形成
⑨亀裂や窪みを生じるような乾燥
⑩微生物による汚染



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