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歳をとったからできるようになっていたこと
まだ50代とはいえ、年々身体が辛くなる。
見たり聞いたりして知ってはいたが、本当にはわかっていなかったんだなあと思う。できないことが増えるたび気分がげんなりしてしまうことが、歳をとることの一番の辛さなのかもしれない。
だが、50代半ばで大学生活を送り、何より驚いたことが
歳をとって、逆に、できるようになっていることが増えてるんじゃない?
と実感したことだった。
まずは、粘り強さ。
わからないことを考え続けることや、できなかったことに再挑戦することが、それほど辛いと思わない。昔はとてもつらかった。諦めて投げ出したい気持ちと闘っていた。今は、闘わずとも、粘ることができるのだ。
次に、これとは相反するともいえるのだが、あきらめの良さ。
力学関係の科目は、苦手だ。苦手というより、まず、一つもわからないところからのスタートだった。テキストの一項目ごとに進めていくのだが、わからない。でも、そのまま、例題を書き写し、解答例も書き写し、最後に「わからない」とコメントを記し,次に進む。という流れが何故だかわからないが自分の中にできていた。
今になって分析するに、その時の自分が考えられる限界がわかって、これ以上考えることが無駄だと察知しての行動だったんだと思う。
以前はこれができなかった。できないことやわからないことが悔しくて泣きながらしがみついていたこともある。ところが、今はあっさりと手放すことができる。
そして、これがどうなったかというと、こうして「わからない」と記し続け、やり続けていたら、あら不思議。わかるようになってきたのだ。最終的にできるようになったのだ。結果、「構造力学」の修了試験は満点でA+での単位習得である。
そして、「経験則」のパワーを知る。
たくさんの科目で経験則というものが理解を助けた。社会にまつわることのみならず、数式さえも、経験則に基づき解くことができることにも驚いた。
長生きしている人ってそれだけで凄いということは、こういうことなのかもしれない。
大人になってからの大学生活は、年齢と共に下がる方が当たり前かもしれない気持ちを、グイっと上向きにしてくれる大きなパワーになった。
大丈夫、58歳、まだまだこれからも進化しつづける。
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