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正しさより納得

最近は正しさより自分が納得出来る答えを探すようになった。

突然ですが、「私、HSPです」。

HSPというと、なんだか今の流行りに乗っかってるみたいですが。
私、HSPです。

HSP(Highly Sensitive Person)とは、感覚が敏感で、刺激を受けやすいという特性を生まれつき持っている人のことをいうそうで。

私は特に対人関係で目立つ。
他人との心の境界線が薄く(低く?)、相手の感情の影響を受けやすいタイプだ。

友人が「げぇー!雨やん!最悪やわ」と叫ぶと、「ごめん!申し訳ない!!」と平謝りしてしまう。
「なんでアンタが謝るん!?アンタは天気を司る神かっ!!」と驚かれる。

でも本当に申し訳なく、自分のせいとしか考えられなくなる。

機嫌の悪い人や怒っている人も苦手だ。
頭の中が、「なんかしたかな?」「嫌われたかな?」でいっぱいになる。

夫の愛人から妊娠を告げられたのかもしれない。
おばさんなのに、おじさんと間違われたのかもしれない。

もしくはシンプルに体調不良なのかもしれない。

こんな時、「相手側に何かあった」と自然と考えられる人が多いと聞くが…出来ない。

何とかしなくてはいけないと焦る。
この状況を打破しなくてはと躍起になる。
お伺いを立てたり、愛想笑いを浮かべておかしな話をしてしまう。
大きなすり鉢持ち出して、ゴリゴリ大ごまをすり始める。

余計に相手の状況は増悪する。
もしく味をしめる人間もいて、舐めに舐められる。

そうなると最悪のシナリオにどっぷりハマッてしまう。

一体これは何なのか。
名前のつかない得体の知れない状況のお陰で人間関係に嫌気がさしていた。

そんな時にHSPという言葉を知り、目からウロコだった。
HSPは病名でも診断名でもない。いわば、気質や性質だ。嫌な言い方だが、「言うたモン勝ち」みたいなところがある。

もっとHSPについて知りたくて、HSP専門としているカウンセラーさんの勉強会にも参加してみた。

参加者はHSPを自認している方が多く、お互いを気遣い合う優しさに満ちているように感じた。

皆優しい。
優しかった。

でも、違和感を感じた。
HSPに酔いしれている雰囲気を感じずにいられなかった。

その違和感が爆破したのは、グループワークだ。
5人グループで話し合うのだが、ある一人の方が「秋元さんは…HSPではないと思うんです」と言われた。 
その言葉を皮切りに、残りの3人も「私もちょっと違うなと思いました」と言い出した。

理由は、私が自己紹介で笑いも入れながら快活に話した事、分からない事は分からないと皆の前ではっきり言うこと、そしてインドでも東南アジアでも一人で行く事だという。

「生きにくくて、自分を変えたくて…」という話をした。
皆さん、共感たっぷりで聞いて下さった。
ここにいる人達は皆経験して苦しんでいるのだ。
「それで、辛すぎて、インドに行きました」
なんでインド?
しかも一人?
しかも2ヶ月?
しかも太って帰ってきた?

「HSPは…インドに行かない…と言うより、行けないと思います」
と、控えめに優しく言って下さった。

そうなん?
HSPはインド行かんの?

私以外の4人が私が「HSPでない理由」を口々に言い出した。

そんな中で「私達の世界を汚さないで」と言わんばかりの必死な思いを感じとった。

「あれー?私、HSPじゃなかったんやぁ!あれ?あれあれー?失礼しましたぁ!今日はHSPについて勉強して帰ります!」と、ヘラヘラしながら言った。
こう言わないと、収拾がつかないと判断したからだ。
それを聞いて、全員が安堵の息を洩らした。
私を労う人もいた。

「寄生虫」や「亜人」を思い出した。
人間の中に化物が入ってはいけない。
排除されなければいけない。

HSP専門と言っていたカウンセラーさんも不思議な事を言っていた。
HSPと発達障害が似ているという質問に対して、「HSPが強くなると自閉症スペクトラム障害になるんだと思います」と。
ザワザワとした雰囲気で、「えー!そうなんやぁ」と眉間にしわを寄せ、小声で言ってる人もいた。

んな訳あるかいっ!

怪訝な表情で首を傾げている女性がいた。
恐らく彼女も同じ思いだった…と、思いたい。

この勉強会はただひたすらHSPあるあると、いかに繊細で傷付いてきたかを労い合う集いで終了した。

初心者対象の勉強会だから、それで良いんだと思う。
辛かった人同士が分かち合える場という意味では大成功だ。

勉強会の後に、強い仲間意識が芽生えた人達はライン交換をしていた。

無論、私は誰からも声を掛けられなかった。

私は正確な…というより自分自身が納得するような知識が欲しい。
そして、この生きにくさを少しでもどうにかしたかったのだ。
「あるある言いたい」ではない。
だから、私はここでは異質で良い。
てか、HSPではないのかもしれない。
この生きづらさは何なのか…また考え直そう。
…とスネながら帰った。

そんなある日、公認心理師の橋本翔太さんのYouTubeを見て目から鱗だった。

橋本さん曰く、HSPは症状であって診断名ではない。
例えて言うなら「頭痛」について話しているだけだと。
多くの人がHSPは生まれつきのものだと誤解して、根っこにある原因を見ていないこと。
その原因には、もちろん生まれつきの気質というのもあるが、発達障害だったり親子関係だったり…様々だそうだ。

「頭が痛い」となると、それは頭痛だ。
他人から違うと言われる事ではない。
なるほど。
そして頭痛が強くなったからといって脳梗塞にはならない。
頭痛から脳梗塞になる訳でない。
脳梗塞になるから頭痛が出現する。
なるほど。

他人から「HSPではない」などと独断される事ではないのだ。
自分の繊細さに生きづらさを感じたら、それはもうHSPだ。
なるほど。

なるほど。
正しいかどうかは二の次。
納得が出来た。








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