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「豪雨の予感」第23話(水害被害ストーリー)

「健斗は今ごろ小学校かな…やけど大雨警報出てるし休校??…てことは今家で一人??…いやまてよこれだけの豪雨やから母はリモート勤務なんかも…てことは二人で家におんのかな??父は災害救助で現場バタバタなんやろうな…え、まって!うちって川の横やん、もし川が溢れたら大変なんちゃうん!もしもやで、もしも流されたりしたら、うち帰るところなくなるやん!え、ちょっとどうしよ」

正面を向いて呟いている愛子の独り言は、隣の席の佳奈にははじめは暗記した英単語か何かを誦じているように思えたが、もちろんすぐにそうではないことに気づき愛子の方を向いて声をかけた。

「どうしたん愛ちゃん…さっきから独り言言ってるで、何言ってるかめっちゃ聞こえてるで!」

「…ちょっと佳奈ぁ!そうやねん、おうち無くなってたらどうしよ!佳奈、佳奈の家は大丈夫なん?確かおうち真田山やったよな?」

「うん、大丈夫。さっきお母さんからメッセージが来ててんけど大丈夫みたい」
「そうやろな、真田山もここと同じ上町台地にあるし」
「うん、無敵笑。ていうか上町台地には上町断層っていうのがあるみたいでな、高台やから水害には強いけど、もしその断層で地震が起きると一発でアウトていわれてるねんな」
「そのときは愛子の家に泊まっていいから、もしこの豪雨で家がなくなって住むところなくなったら佳奈んち泊めてな!当分の間やで」

「オッケー、愛ちゃんやったらいつでも🙆‍♀️」
「ちょっと!全然緊迫感ないやん!なんでそんな笑顔で両手でオッケーしてんの!真剣に頼んでんのに」
「安心してほしいから、大歓迎ってことやで…やっぱりおうち心配やんな、聞こえてた…みおちゃんに電話してみたらは?」

佳奈は親しみを込めて愛子の母をみおちゃんと呼んでいる。

「そっか、ありがとう。けど今授業中やけど電話していいんかな?教室では流石に電話しにくいし、さっき1時間くらい前にお母さんにメッセージ送ったんやけど全然返信が来んくて、どうなってんやろ。めっちゃ心配」
「やんな、メッセージ送る余裕ないんやろか、てことは愛子んちちょっと大変なことに…いや大丈夫大丈夫」
「やっぱ電話してみる」
「うん、そうしい。トイレ行くってことにして、な!」

第24話に続く
(このストーリーは実話を下にしたフィクションです。一部実在する名称を使用しています)

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